カンガルーケアのリスク
3月3日に、大淀病院事件での大阪地裁判決について書きましたが、カンガルーケアで赤ちゃんが呼吸停止し、脳機能障害になっているというニュースが目に入りました。
MSN産経 3月3日 「カンガルーケア」中に赤ちゃん呼吸停止 長崎の産婦人科医院
カンガルーケアとは、出産後すぐに、赤ちゃんをお母さんが素肌の胸の上に抱くことです。その結果、お母さんの育児放棄も少なくなり、お母さんと赤ちゃんの愛情形成に役立つと言われています。当然のことながら医師の下でしないと危険であり、万能ではありません。例えば、朝日は、昨年9月28日に次のような記事を出しています。
朝日 2009年9月28日 出産直後のカンガルーケア 新生児の呼吸停止など16例
医師の許可を得て、出産直後にお母さんが赤ちゃんを抱くことは、良いことだと思います。但し、ほんの短い間にすべきでしょうね。
問題は、リスクを含め、正しい知識がお母さんに伝わっているのかだと思います。
朝日の記事には、「長野県立こども病院の中村友彦・総合周産期母子医療センター長も「(正常出産でも)出生直後は呼吸循環状況が危機的な状況となる可能性が高いことを認識して実施すべきだ」と強調した。 」とあります。
また、MSN産経の記事が書いている「カンガルーケアは1978年に南米のコロンビアで保育器不足の対策として始まり、・・・」なんてことは、お母さんに正しく認識されているのか疑問です。
大淀病院事件も、たらい回しなんて批判された。しかし、大淀病院の産科医が頑張ったのは、お母さんと赤ちゃんの両方の命を救いたかったからです。大淀病院では、残念ながら助けられないと判断し、お母さんと赤ちゃんの両方を治療可能なICUとNICUを持っていて、受け入れ可能な病院を探さなければならなかった。受け入れた病院では、お母さんを直ぐに手術するとともに赤ちゃんを帝王切開で出産するのです。そんな大変な事態であることを、認識せずに、たらい回しという変な表現を使う。
よりよい社会をつくりあげるには、正しい認識をすることが、必要且つ重要と思います。
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