韓国ブームと貿易統計
日経が「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」というタイトルの社説を掲載したことから、韓国でも話題になっているとのこと。Nikkei Net IT Plusには、趙章恩氏が書いた次の記事がありました。
3月18日 日本の「韓国企業に学べ」ブーム、韓国の反応は・・・
次の「韓国と一緒に手を組んで世界市場を攻めてみよう」は、重要と考えます。
韓国では以前から「反日」ではなく、日本を超える経済大国、文化大国になる「克日」をすべきだとされてきた。日本を追い越すキャッチアップ戦略は、今もまだ進行中である。日本が急に「韓国はすごい」「韓国を学ぼう」と言い出すよりも、「韓国と一緒に手を組んで世界市場を攻めてみよう」と言ってくれる方がうれしい。 |
韓国は、人口4860万人で、国土面積98千km2なので、人口密度は496人/km2であり、人口で日本の約1/3弱、人口密度は日本の1.5倍という国です。日本と比べると国内マーケットが小さく、経済発展を遂げるには世界に出て行くしかなかった面があると思います。分断国家であることと関係が深いと理解するが、軍事費もGDP比2.5%を支出している。また、在日の方が60万人以上おられるが、それ以上に中国に2.4百万人、米国に2.1百万人、ロシアに50万人以上と国外に居住する人々が多くいることも特徴です。
1997・98年のアジア通貨危機では、IMFの支援を受け入れざるを得なかったが、見事に立て直しており、同じ時期から現在に至る経済成長では、日本とはあまりにも対比的です。勿論、日本が成熟期に達しており高度成長が望めないという状態にありますが、韓国のバイタリティーを見ていると、日本が取り残されそうな気がします。しかし、韓国の成長の陰には日本があり、両国が互いの強み・弱みを生かし、補完し、協力することにより将来の発展があると思います。
貿易統計の面から見てみたいと思います。
1) 2009年輸出相手国第3位韓国
2009年の輸出は、 財務省貿易統計によれば54兆1706億円でした。これを相手先別にグラフにしたのが次です。
2) 2009年輸入
2009年の輸入についても、見ておきます。燃料や資源の輸入相手国であるオーストラリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦を除けば、やはり韓国が中国、米国に次ぐ順位です。但し、韓国との貿易は輸出4.4兆円に対して、輸入2.1兆円なので、輸出が2倍以上です。
3) 日本の貿易主要相手国
燃料や資源の輸入原産国を除けば、中国、米国、韓国、台湾であり、中国の数字に香港も加えて、2009年の輸出入額をグラフにしました。
貿易額がどれくらいかと言うと、「コンクリートから人へ」とのことで、公共事業費を減らしていますが、2009年度予算は7兆701億円で、これを2010年度の予算案では5兆7731億円となっています。この数字と上のグラフの数字を比べてください。貿易とは、経済に与える影響が大きいことが分かります。
なお、2009年の日本の名目GDPは、474兆2188億円でした。輸出はGDP比11.4%となります。韓国は、2008年輸出GDP比31.9%で、4330億米ドルなので、外国貿易が産業に占めるウェイトが高い貿易立国となっています。
4) 日本の貿易
円高為替で、輸入が良くないと言われることがありますが、決して、そんな単純ではありません。次のグラフが、2009年の毎月の輸出入額です。輸出入とも増加しており、輸出の増加の方が大きいのです。
最後に、中国、米国、韓国、台湾向けの2009年月別輸出額の推移グラフを掲げます。
これらのグラフを見て、先行きが暗いとはあまり思えません。やはり、日本は貿易立国ではないか。但し、高度成長期の加工貿易の時代は終わっています。近隣諸国を始め、世界の国々と共存していく中で、日本がどのような貢献をしていくか、高い貢献をすることが高い価値を相手が認めてくれることです。そうすることにより、繁栄があると思います。
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