« カンガルーケアのリスク | トップページ | バイオ燃料に関する報告書 »

2010年3月 7日 (日)

医療関係の報道

医療に関する裁判について、もう一つ書いてみます。東京女子医大心臓手術事件です。2001年3月に、心臓手術を受けた当時12歳の少女が死亡した。東京女子医大は、死亡原因が人工心肺のポンプを高回転にした操作ミスに起因する脳障害と結論付けた内部報告書を作成した。人工心肺のポンプを操作した佐藤医師は、2002年6月に逮捕され、約3カ月間勾留された。裁判では、2005年11月に無罪判決が出され、これを不服として検察は控訴し、控訴審の東京高裁でも2009年3月27日に無罪判決となりました。検察は、上告せず、無罪が確定しました。

概要については、佐藤医師がNikkei Medical2007年8月号に書いておられる文章がここにあります。また、佐藤医師は、ブログ紫色の顔の友達を助けたいを書いておられ、そちらにも資料があります。

東京女子医大が佐藤医師の操作ミスが死因であるかのような内部報告書を書いたし、警察は逮捕したし、検察は起訴したので、マスコミは共同47 2002年7月19日 東京女子医大の2医師起訴 心臓手術の女児死亡でのような報道をしました。

佐藤医師は、報道機関等に対して名誉毀損の損害賠償裁判を提起し、その結果、原告である佐藤医師が勝訴したのがある一方で、請求が認められず、棄却されたのもあります。

請求が認められなかったのは、共同47 2007年4月11日 NHKの「隠し撮り」適法 元担当医の名誉棄損認めず共同47 2009年7月28日 名誉棄損で新聞3社逆転勝訴 共同通信の記事掲載です。

損害賠償が確定したのは、共同47 2007年8月27日 無罪判決の報道で名誉棄損 医師がフジテレビに勝訴共同47 2010年2月17日 名誉棄損で毎日記者らの敗訴確定 術後死亡記事を出版です。

佐藤医師は、裁判では共同47 2003年8月25日 佐藤医師が起訴事実を否認 東京女子医大手術ミスのように2003年8月25日には、否認をしています。毎日の記者が書き、集英社が発行した新書「医療事故がとまらない」の出版は2003年12月であったが、記事を見直すことなく、出版し、誤解を与え、名誉を毀損したのです。フジテレビは、東京地裁の無罪判決をニュース番組で報道する時に、わざわざ医師が未熟だったとする趣旨の弁護士のコメントを紹介し、医師と被害者遺族の双方が記者会見をしたのに、遺族のコメントだけを放送したなんて、無罪判決の報道とは思えません。

この事件のニュースには、様々なものがあり、共同47 2008年9月30日 当時の担当医の処分を要請 手術事故で死亡女児の両親なんて、2005年11月の無罪判決がケシカランから行政処分で医師免許を取り消せと言っています。執刀医は、看護記録などを改ざんした証拠隠滅罪で有罪となっていますが、読むと佐藤医師のことです。

医療は難しい面がありますが、思いこみで、分かったつもりになることは危険だと思います。

|

« カンガルーケアのリスク | トップページ | バイオ燃料に関する報告書 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 医療関係の報道:

« カンガルーケアのリスク | トップページ | バイオ燃料に関する報告書 »