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2010年4月28日 (水)

殺人事件への時効廃止

4月27日に刑法改正による殺人事件に対する時効廃止と、同日付けでの公布と施行がありました。

4月27日 読売 殺人の時効廃止、改正法成立・即日施行へ

4月27日 官報特別号外

そして、同じ日にもう一つ、最高裁による大阪高裁での死刑判決をを破棄し、大阪地裁に差し戻す判決がありました。

4月28日 読売 大阪母子殺害の死刑判決破棄、差し戻し…最高裁

裁判所Web 判決文

ともすれば、上の2つのことを別々に考えてしまうのですが、同時に考えてみました。

1) 合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証

刑事裁判における有罪の認定に当たっては、「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」が必要であると最高裁判決には述べられています。

まさに、その通りであり、社会正義実現のためとは言え、国家権力が個人の権利を侵害するにあたり、制限はあります。刑事事件の犯人と認定し、刑を執行するのですから、疑わしきは被告人の有利とするのが原則です。

被告人には、例え犯人であったとしても、犯行を否認することは、あり得る。しかし、拷問は許されるのではなく、否認のまま、裁判となることがあるが、その時の、原則は、今回の最高裁判決が、非常に参考になると思います。

できれば、時間がある時に、判決文を読むことをお奨めします。特に、堀籠幸男裁判官の反対意見、藤田宙靖裁判官、田原睦夫裁判官、近藤崇晴裁判官の各補足意見,那須弘平裁判官の意見が述べられており、興味を持って読むことができます。

また、判決文で触れられていますが、次の最高裁判決が、間接証拠のみであるが、「合理的な疑いを差し挟む余地がない」程度に立証されていると判断された例です。

裁判所Web 平成19年10月16日 最高裁判所第一小法廷 爆発物取締罰則違反,殺人未遂被告事件 棄却決定

2) 時効廃止の効果

犯人が死刑に問われる事件の場合、被害者の心が癒される面はあると思います。例えば、4月28日 朝日山梨 思いが伝わった 時効廃止 遺族らは歓迎

一方、25年が無期限となったことで、犯人逮捕の可能性が、どれほど高まるかは、遺族の方には恨まれる発言となりますが、あまり期待できない面もあると思います。警察が25年かけて捜査し、核心部分に相当迫れてきたという事件もあるが、殺人事件であり多数の人員と経費を費やして捜査したが、犯人に迫れていないという事件もあるでしょう。見込みがないにも拘わらず、(例えば、年数が経過して、犯人も死亡している可能性がある。)いたずらに税金を使って捜査を継続することが、時効廃止となったから、許されるのかの問題もあると思います。

25年以上経過している殺人事件で、「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」が可能な場合は、やはり少なく、そもそも、時間の経過と共に、記憶は薄れ、時間を遡って、捜査することは、困難がつきまとい、その上、合理的な立証ができるかとの問題があると思います。

しかし、現在において、過去と異なるのはDNA鑑定です。犯人と思われる人物のDNAが分かっていれば、犯行から25年以上経過していても、合理的な立証が可能な場合があると思います。但し、DNA鑑定の場合も、鑑定した試料が犯人と特定するに合理的か等の問題もつきまといます。また、私なんか、DNA鑑定とは、どのような方法で実施し、信頼性がどこまであるのだろうと疑問を持ちます。多分、鑑定試料にもよるのだと思います。警察庁のDNA鑑定ガイドラインでも、DNA鑑定試料はマイナス80℃という超低温で保管することが定められているようです。

DNA鑑定試料の超低温保管は、実施して欲しい。費用は増加すると思います。しかし、刑法や刑事訴訟法が存在する目的は、安心して住める社会を作り出し、維持することです。殺人を犯せば、DNAが残る可能性がある。犯人が、時効がないことにより、一生涯苦しむ。そのようなことが、犯罪の抑制となり、安心して住める社会につながることを期待します。

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2010年4月26日 (月)

国際会計基準(IFRS)をめぐるおもしろさ

金融庁が4月23日に「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の公表についてを公表したので、おもしろいと思いました。次の金融庁のWebからダウンロードできます。

4月23日 金融庁 「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の公表について

1) 何故”誤解”とまで言うか

”誤解”が蔓延しているか、蔓延しそうだから、金融庁がわざわざ、こんな刺激的な表現まで使って公表に踏み切ったのだと思います。私は、できませんが、不安を煽って、一儲けを企むコンサルタントは存在します。早く準備をしないと、大変ですと、持ちかける。

2) IFRSとは

IFRSとは、会計基準であり、外部に公表する財務諸表の会計に適用する財務会計基準です。従い、管理会計まで、IFRSを適用するかどうかは、企業のオプションであり、外部公表用の財務諸表がIFRSで作成可能であれば、良いわけです。

IFRSの財務諸表は何かと言えば、IAS1号に書いてあります。IAS1号なので、IFRSと呼ばれる前の基準ですが、常に改正はされているし、IFRSに含まれます。IAS1号では、財務諸表とは次のようになっています。

A complete set of financial statements comprises:
(a) a statement of financial position as at the end of the period;
(b) a statement of comprehensive income for the period;
(c) a statement of changes in equity for the period;
(d) a statement of cash flows for the period;
(e) notes, comprising a summary of significant accounting policies and other
explanatory information; and
(f) a statement of financial position(会計方針の変更時等に作成)

(a)は、貸借対照表のことです。(b)は、comprehensive incomeとなっており、包括利益と言われていますが、現行の日本基準と一番異なる部分と思います。当期包括利益と当期純利益の違いは、包括利益とは当期純利益に”その他包括利益”を加算(損失であれば減産)した金額です。それでは、”その他包括利益”とは何であるかですが、現在資本直入で処理しているその他有価証券評価額の差額等が、これに入り、純資産の期首と期末の変動額のうち当期純利益に含まれず、資本取引にも入らない部分です。

なお、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」でも、個別的事項の3で、「IFRSでも、当期純利益が表示され、業績把握のために重要なものであることに変わりはない。」と言っています。

資産・負債の評価が現行と変化なければ、statement of financial position(財政状態計算書と呼ばれるようですが、貸借対照表と考えればよいと思います。)の純資産の部に包括利益が入ってくるが、変化なしとなるはずです。

(c)、(d)、(e)は、現行とほぼ同じです。

3) IFRSの適用企業

非上場企業や有価証券報告書を作成していない企業は、適用除外で、上場会社についても「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の1番目で、「2012年を目途に上場企業の連結財務諸表への強制適用の是非を判断する」と書いてあり、決定していません。

しかし、言えることは、国際的活動をしている企業は”MUST”です。さもなければ、企業の信用が得られず、資金調達は勿論、販売にさえ影響するかも知れません。ガラパゴス諸島でのみ活動する企業には、あまり関係ないでしょう。

IFRSのおもしろさは、主体的に取り組むか、どうかです。IFRSを適用して財務諸表を作成する会社は、伸びていくと考えたら、株式投資の一つの参考情報です。

4) 国際化

ガラパゴス諸島では、国民の幸福や富の追求より、選挙の票のためのバラマキが流行しています。バラマキ政治家は、国民主権とか官僚支配脱却なんて言っています。そんな標語ではなく、正しい政策を立案し、推進することが、重要なはずです。

国家とは法を制定できるのであり、それ故に主権が国家にあるとされます。IFRSとは、財務諸表作成のための基準・規格でありますが、IASBが決定するのであり、日本の国会が決定するのでも、金融庁が決定するのでもありません。従い、解釈も金融庁が行うと変になるわけで、ある意味、大企業の会計基準の制定に関する主権を放棄します。

しかし、EUなんてある部分の主権を国家主義ではなく、EU主義にし、それを拡大し、そのことによって発展を遂げ、より大きな国民の幸福や富の追求をすることを目指しています。他の国の国民まで巻き込んだバラマキ政治は難しく、より正しい政策を立案され、推進されるのではと期待感が持てます。

グローバル化に対して、競争力とか言われるが、ガラパゴス諸島から脱却すること、世界標準を適用することが、正しい政策と思います。一国主義では、勝ち残れないのみならず、他国に貢献もできないから、取り残されガラパゴス諸島となる。20年ほど前に、ソ連崩壊がありました。ソ連がガラパゴス大陸となってしまったことが、その理由にあると思います。

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2010年4月18日 (日)

政治の混迷

政治の混迷とは、従来ともすれば政局混迷の意味で使われているように思います。普天間や高速上限制は、非現実的なマニフェストを実行するとして、あいまいなままにしていた与党政治家の責任が大きく政治の混迷であると思います。

与党政治家を選んだ選挙民の問題でもあるが、一方で当時のもう一つの政党は更に酷かったと選挙民が判断したのだから仕方がないと思います。二大政党制や政権交代が解決になるのではなく、国民がまともな正しい考え方をする政治家を育てていないことが、最大の問題である気がします。

1) 普天間

普天間はいつどのように幕を引くのでしょうね。5月末とか、そんな短期的問題ではないはずです。それを、「5月末までに私の責任でXXX」と言うのは、無責任きわまりないと思います。長期的に防衛をどうするか、米国基地をどうするか、沖縄をどうするかが、根本問題であり、これを議論せずして、解決しないと思います。

その上で、普天間をどうするかでしょうが、私の案は辺野古地上案で滑走路は50mにとどめ、ヘリコプター専用とする。辺野古基地周辺に住む人たちで、騒音や事故の心配がある人には、適正な補償を行い移転地を政府が準備する。費用的にも、これが一番安くてすむはずです。米海兵隊の多くの人たちはグアムに移転します。これで、米国の体面も保たれるはずです。

そのような案を当初から示して、解決に向かうべきが、ずるずると引っ張って信頼を失う指導者と呼ばれている人がいる。最も、その指導力がないと言われている人も、実は周りからガンジリガラメに縛られていて、ご本人の意志とは異なっているのかも知れませんが。しかし、そうであれば、政治家として失格なのですが。

2) 高速料金上限制

思いつき政策の範囲を出ない人たちだと思います。高速道路はどうあるべきか、鉄道輸送はどうあるべきか、フェリーや内航船舶はどうあるべきかの基本研究が欠如している人たちです。バラマキしか知らず、基本的事項の調査・研究に興味がない人たちは政治家失格です。

CO2の面や省エネルギーの面からは、鉄道や船舶が優れています。ただし、個別の貨物配達には、どうしてもトラックに頼る必要があり、積み替えには人手とエネルギーも必要であり、単純ではありません。しかし、長距離になるほど鉄道や船舶が有利になるはずです。それを高速料金上限制にすると、金銭面で長距離について高速を優遇することとなります。もし、するなら、高速が最も有利となる距離について優遇するのが本当の政策と思います。また、ETCをどう考えるべきかも検討すべきと思います。

ETCを将来普及させ、一般道においても、交通量の自動計測目的に使用することも可能だと思います。また、事故防止や取り締まりに活用できる可能性もあると思います。例えば、駐車料金の徴収に使用するのは、きわめて簡単と思います。道路建設の公共投資評価も簡単かも知れません。

考えなしのバラマキ政策は嫌なものです。合理的に説明できない政策は、国民を愚民と思っているように感じてしまいます。

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2010年4月11日 (日)

ビラ配布事件

「しんぶん赤旗」を近所に配ったとして、国家公務員法違反に問われた元社会保険庁職員に対する3月29日の東京高裁無罪判決を不服として、東京高検が7日、最高裁に上告したとのニュースがありました。

東京新聞 4月7日 検察、違憲不服と上告 赤旗配布の逆転無罪で

判決文は、裁判所Webに未だ出ていないようで、読めていませんが、東京新聞の記事にある「元社会保険庁職員の行為で、行政の中立的運営と国民の信頼という保護法益が損なわれる危険性を認めるのは難しい。」との判断が、論点であろうと思います。

憲法第15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」との定めと、憲法21条1項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」等の個人の自由との関係であるが、勤務時間外に一般人としてする行為は、国家公務員法の適用外と考えるのが私には妥当と思います。

しかし、東京新聞の3月31日の社説を読むと驚くことが書いてある。

そもそも、警察の捜査自体が、常識からかけ離れてはいないか。尾行は二十九日間に及び、多い時は十一人もの捜査官で元職員の行動を監視した。三、四台の捜査車両を使い、四台から六台のビデオカメラを回し、撮影を繰り返したのだ。立ち寄り先や接触人物まで確認するのは異様で、戦前の暗い風景を思い起こさせる。時代錯誤ではないか。

東京新聞のこの考えを、その通りと思います。北朝鮮のような国家にしてはならない。東京都葛飾区のマンションに入り、ドアポストにビラを投函したことで、住民が通報して、住居侵入に問われた僧侶の事件について、東京新聞の2007年12月13日の社説は、「二十三日間も身柄拘束して起訴」との記述があります。北朝鮮の警察と競争することが、日本の市民警察なのかと思います。

この日本の警察の実態について、国連の自由権規約委員会は2008年10月に次の見解(第26)を出しています。文書はここにあります。

The State party should repeal any unreasonable restrictions on freedom of expression and on the right to take part in the conduct of public affairs from its legislation to prevent the police, prosecutors and courts from unduly restricting political campaigning and other activities protected under articles 19 and 25 of the Covenant.

国民が幸せに暮らす国を作り上げるには、たゆまぬ努力が必要です。

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2010年4月10日 (土)

権力者は腐敗する

「権力者は腐敗する」と改めて認識させてくれたのが、郵貯上限2000万円への改訂です。

読売 3月31日 郵貯上限2000万円で決着 亀井・原口案通り

郵貯上限2000万円やかんぽ生命保険加入限度額2500万円へ増額することで、誰が利益を得るのかと言えば、政治家および権力者であるように思えます。公的機関の資金も、税金と民間企業や個人が拠出した資金であり、民間企業の資金も最終的には個人が拠出した資金です。

資金を必要とする公的機関もあり、その場合は政府借入れや公債発行あるいは個別の銀行借り入れがあって問題はない。資金は将来のための投資に使われて意味があり、その場合、社会にとって最も望ましい投資に使われるべきである。郵貯の上限を1000万円引き上げることが、社会の発展になるとは全く思えないのである。

1) 預金者に便利か

不便になることはないが、現状の1000万円で困ることもないと思う。銀行が遠くても郵貯が1000万円あれば、日常の生活に特に不便はないと思う。今や銀行預金もコンビニのATMで預金の引き出しが可能であり、ゆうちょ銀行と提携している銀行であれば、郵便局のATMでその銀行の預金の引き出し、預け入れ、振り込み等が可能である。例えば、ふくぎん

2) 民間銀行との競合

「百害あって一利なし」と思える。なぜなら、ゆうちょ銀行には預金を集めても、貸し出しを行う能力がないからである。経験のない素人が、資金を貸し付けたり、運用したりすると、どうなるかと言えば、恐ろしいことがあり得ると思う。経験とは、失敗の積み重ねであり、失敗から学び、リスクを把握する。資金貸し付けや運用においてリスクゼロはないのである。民間金融機関の貸し付け審査や貸し出しに問題はないかと言えば、ある。しかし、失敗すれば、自らが倒産するか、そこまで至らずとも、他行に吸収されたりする事業リスクが存在することから、現在のゆうちょ銀行より市場原理が働く。

ゆうちょ銀行の資金運用は、国債となっており、現状はこれで仕方がないと思う。預金を増やし、国債保有高を増やすことに意味があるかと言えば、日本の金融市場をゆがめると共に政府の財政健全化を遠ざけるだけで、政権の権力者とそこに結託した人たちを喜ばせるだけと思う。

預金についても、定額貯金とは不思議な預金で、6月間は引き出しできないが、預金時の利率が原則10年間適用される。6月間の預金を固定することで、10年間の預金利率を手に入れることができ、そのキャンセルに手数料は不要である。預金のデリバティブである。こんなマーケットからかけ離れた預金を民間銀行は提供できない。もし、定額貯金まで2000万円に含めるなら、むちゃくちゃである。

3) 預金保険料の引き下げ

預金保険とは金融機関が預金者保護のために預金保険機構と締結する保険である。従い、預金保険料の引き上げ・引き下げは、政治が関与するのではなく、預金保険機構と対象となっている金融機関が先ずは検討をすべきである。

そもそも、ゆうちょ銀行も民営化法の施行により預金保険の対象となったのである。リスクが低くなったから下げるということではなく、民間銀行預金を優遇するために預金保険料を下げるという話はまるで変な話である。

4) 郵政民営化

そもそも郵政民営化とは何であったのか?郵貯と簡易保険の民営化は必要であった。衆議院通過して、参議院で否決されたとして、総選挙をした。国民不在の選挙ごっこを政治家たちはやっていた。また、同じようなことをしている。立派な政治家を育てることができない社会になってはならない。

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2010年4月 3日 (土)

大淀病院事件のその後

既に、半月以上前ですが、3月1日の大阪地裁判決に対して原告は控訴せずとの報道がありました。

産経関西 3月16日 奈良妊婦訴訟、原告側控訴せず

毎日 3月16日 奈良・妊婦転送死亡:賠償訴訟 遺族が控訴断念

何度も、このブログで取り上げたことがあるので、報告です。あれほど大きく連日報道されたのですが、控訴せずになると、マスコミはすっかり静まりかえっているように思います。

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足利事件の検証

4月1日に警察庁と最高検察庁が検証結果を公表したとニュースがありました。

日経 4月1日 DNA鑑定過信、供述吟味も不徹底 足利事件検証 警察庁、警察の「ずさん捜査」を認める

日経 4月1日 足利事件検証結果、最高検も公表

私は、警察庁および検察庁のWebを見てみましたが、発見できませんでした。一方、足利事件が、どのように報道され、我々はどのように受け止めていたかを検証してみることも必要と思います。菅谷さん逮捕当時の新聞を探し出してみました。事件の発生が1990年5月で、菅家さんの任意同行が1991年12月1日、そしてその日のうちに自供で、逮捕が翌日の12月2日です。

1) 事件の報道

朝日、読売、毎日と日経を取り出しました。朝日、読売、毎日の3紙は、1日付け朝刊で、警察からの情報で動きを察知して書いたのだと思います。最初は、朝日です。(クリックで拡大します。)

1991121asahi_2

次は、読売です。第1面であったので、日付が確認できます。

1991121yomiuri_2

次が毎日です。

1991121mainichi_2

日経は、12月2日朝刊で、逮捕後の記事となっています。

1991122nikkei

2) DNA鑑定

DNA鑑定については、読売、毎日、日経が解説記事を載せています。それぞれ、読売は「個人を365通りに分類でき、血液鑑定と併用すれば百万人中の一人を特定できる。」としており、毎日は「この方式だけで百%の個人識別はできないが、科警研は「従来の血液型分類法を併用すると精度が高まる」としている」と書いており、日経は、同じ内容の文章もあるが、「しかし、絶対的な指紋鑑定と違い、確度は極めて高いものの100%識別できるわけではなく、病歴や遺伝などの個人情報を持つDNAが分析対象となるため、プライバシー保護や採取方法の刑事手続きなどの問題を指摘する声もある。」との記述もあります。

従い、当時DNA鑑定について、絶対的な信頼を確立していた訳ではないと思うのです。DNA鑑定の結果が、当時において既に絶対視されていたように言われるのは、少し違うと思います。

3) 心理学

12月1日に任意同行で、その日のうちに自供が得られたとして、警察は犯人と思いこんだのでしょう。このことについて、このMSN産経4月1日【足利事件】心理学専門家が取り調べ関与も 再発防止策のように心理学者いう言葉を耳にますが、これも問題があると思います。何故なら、このWikiにありますが、菅谷さんを小児性愛者であるとした精神鑑定も存在したのです。

不確定・不確実を積み重ねることの恐ろしさです。

4) 支援者

足利事件の最高裁の上告棄却は2000年7月であり、再審請求は2002年12月で、その結果のDNA再鑑定の決定は、2008年12月でした。DNA再鑑定の決定まで長期間を要したことも大きな反省材料と私は思います。

この事件で、忘れられないのは、支援者です。婦人公論 2009年7月22日号に書かれておらられる西巻糸子さんのインタビュー記事が、この3月28日のAsahi.com MyTown栃木 菅家さん支え17年/この人 このテーマに写真付きで出ていました。

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2010年4月 2日 (金)

上場会社の役員報酬開示

一人1億円以上の役員報酬を支払う上場会社は、有価証券報告書において、報酬が1億円以上となる役員の報酬額の開示を義務づける内閣府令第12号が3月31日に公布されました。

この金融庁のページから、内閣府令やその概要等がDownloadできます。なお、一人1億円以上の役員報酬に関する部分は、第二号様式記載上の注意(57)コーポレート・ガバナンスの状況a(d)ですが、続きを読むに入れておきます。

1) 1億円以上役員報酬開示の妥当性

反対論としては、この3月8日経団連御手洗会長発言のように、「役員報酬が個別に開示されれば、プライバシーやセキュリティの問題が生じることが懸念される。」しかなかったように思う。

開示の妥当性については、上場会社の社会的義務と考える。上場会社とは、このWikiにあるように英語ではPublic Company(英国では、Publci Liability Company:PLC)であり、非上場会社(Private Company)とは、根本的に異なる。会社の持ち分を、市場により、誰に対しても売ることができる会社であり、持ち分を流通させる場合の、その会社の社会的責任は大きい。

投資家を欺す上場会社は、極端な例であるが、適切な情報開示は、証券市場の発展のために不可欠であり、株式は賭博ではなく、投資でなくてはならない。上場会社が自社の株式の流通性を高める社会的責任とプライバシーやセキュリティの問題とどちらが大事かとなるが、高額役員報酬に関するプライバシーについては、保護の対象ではないと考えます。セキュリティ問題も、日本において報酬開示の結果により高まるとは思えず、まして、社会的責任を考えれば、説得性があるとは思わない。

2) 対象者と1億円の計算方法

必ずしも、取締役に限定されず、監査役及び委員会設置会社の執行役を含みます。報酬には、金銭での支払やフリンジ・ベネフィットのみならず、ストックオプション、賞与、退職慰労金も含むとあるので、現金による支払い時ではなく、時価ベースで発生時認識をすると私は解釈します。

役員と監査法人で1億円を超える、超えないで意見の相違が出てきたりするのでしょうか?適用は、3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書について適用されるので、この3月期の有価証券報告書からです。6月末頃には、どのような報道がされるのかなと思います。

役員報酬の開示は、上場会社のみならず、独立行政法人、政府出資企業等にも、1億円とすべきかどうかの議論はあると思いますが、適用すべきと考えます。その点、3月1日の独立行政法人の国債保有で書いた住宅金融支援機構は理事・監事の報酬額について個人毎に金額を情報開示していましたから、気持ちがよかったですね。

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