ビラ配布事件
「しんぶん赤旗」を近所に配ったとして、国家公務員法違反に問われた元社会保険庁職員に対する3月29日の東京高裁無罪判決を不服として、東京高検が7日、最高裁に上告したとのニュースがありました。
東京新聞 4月7日 検察、違憲不服と上告 赤旗配布の逆転無罪で
判決文は、裁判所Webに未だ出ていないようで、読めていませんが、東京新聞の記事にある「元社会保険庁職員の行為で、行政の中立的運営と国民の信頼という保護法益が損なわれる危険性を認めるのは難しい。」との判断が、論点であろうと思います。
憲法第15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」との定めと、憲法21条1項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」等の個人の自由との関係であるが、勤務時間外に一般人としてする行為は、国家公務員法の適用外と考えるのが私には妥当と思います。
しかし、東京新聞の3月31日の社説を読むと驚くことが書いてある。
そもそも、警察の捜査自体が、常識からかけ離れてはいないか。尾行は二十九日間に及び、多い時は十一人もの捜査官で元職員の行動を監視した。三、四台の捜査車両を使い、四台から六台のビデオカメラを回し、撮影を繰り返したのだ。立ち寄り先や接触人物まで確認するのは異様で、戦前の暗い風景を思い起こさせる。時代錯誤ではないか。 |
東京新聞のこの考えを、その通りと思います。北朝鮮のような国家にしてはならない。東京都葛飾区のマンションに入り、ドアポストにビラを投函したことで、住民が通報して、住居侵入に問われた僧侶の事件について、東京新聞の2007年12月13日の社説は、「二十三日間も身柄拘束して起訴」との記述があります。北朝鮮の警察と競争することが、日本の市民警察なのかと思います。
この日本の警察の実態について、国連の自由権規約委員会は2008年10月に次の見解(第26)を出しています。文書はここにあります。
The State party should repeal any unreasonable restrictions on freedom of expression and on the right to take part in the conduct of public affairs from its legislation to prevent the police, prosecutors and courts from unduly restricting political campaigning and other activities protected under articles 19 and 25 of the Covenant. |
国民が幸せに暮らす国を作り上げるには、たゆまぬ努力が必要です。
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コメント
当該の尾行ビデオ。
見た事があります。
確かに最大六台のカメラが回ってました。
公安警察に一度狙われたら、お終い、だと思いました。
投稿: ママサン | 2010年4月14日 (水) 01時13分
ママサン コメントありがとうございます。
私には、そんな経験をしたことはありませんが、恐いですね。
投稿: ある経営コンサルタント | 2010年4月14日 (水) 02時30分
その通りです。あまりのことです。日本の公安警察の傍若無人ぶりはあまりにも世間に知られていません。これでは小林多喜二の時代と変らない。すくなくとも公安警察の諸氏の意識は変らないのでしょう。でも、今の世界には、国際人権規約があります。
民主党の事業仕分けが始まります。是非、この公安警察に仕分けの大鉈を振るっていただきたい。
投稿: 山上俊夫 | 2010年4月23日 (金) 20時19分