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2010年5月23日 (日)

韓国哨戒艦への北朝鮮魚雷攻撃のねらい

韓国哨戒艦「天安」の沈没は、北朝鮮の魚雷攻撃であると、大々的に報道されています。読売の記事は次の通りでした。

読売 5月21日 韓国哨戒艦沈没の調査結果

国連も調査を開始するとのことです。

Reuters May 22 U.N. body probes North Korea's possible truce violation

韓国が発表した推定に間違いはないと思うのですが、不思議さが多いとも感じると共に、様々なことが頭に浮かんできます。

1) 哨戒艦「天安」の哨戒能力

哨戒艦とは、哨戒にあたる船であり、一般の船ではなく、潜水艦がいれば、それを発見する能力を備えた船と了解します。沈没した地点は、北朝鮮との境界付近で、北朝鮮はその境界を認めておらず、自国の範囲内としている場所。そのような地点であれば、厳しく警戒をしていると思うのですが、何故魚雷攻撃を簡単に受けたのだろうかと思います。「天安」の哨戒能力は低かったのでしょうか?

2) 北朝鮮の国家破綻度

北朝鮮の魚雷攻撃とした場合に、その狙いが分からなくなるのです。しかし、国家としての統制がなく、軍閥割拠みたいな状態で、ある一部の組織が行動してしまったということなら、その可能性はあると思うのです。下関事件の長州藩や、盧溝橋事件を契機として戦闘を拡大していった日本軍のようなものです。国家のある組織が単独で、行動する。

ソマリアについて、アフガニスタンについて、イラクについて、何故苦労しているかと言えば、武器を持った集団が、力を誇示して、自分の天下を譲らない勢力が存在するからです。北朝鮮が、そうなったら、恐ろしいと思います。そして、もし既にそうなっているのなら、北朝鮮政府を支援して安定した民主国家建設にあたることと思います。

北朝鮮の攻撃だとして断定するのみで、終わらない大変な問題がある可能性があるかも知れません。

3) 北朝鮮からの武器輸出

もし、韓国哨戒艦「天安」を沈没させる小型潜水艦と魚雷を持っているなら、それらを輸出できることに他ならないと思います。武器としての威力は証明済みですし。他の破綻国家やテロリストが買わないとは限りません。ソマリア海賊が、金を払わない船舶については安全航行の保証をせず、北朝鮮製小型潜水艦と魚雷により沈没すると発表したらどうなるでしょうか?

そのほか、世界には傭兵会社も存在し、我が社は北朝鮮製小型潜水艦と魚雷を保有していると宣伝して、海上警備を引き受ける。これも、武器投資が簡単に回収できるビジネスだろうと思います。

そして、北朝鮮の武器輸出人が政府ではなく、末端のある組織であったなら。国家破綻度は、更に酷いのでしょうが、そこまでなってはいなくとも、なる可能性はあるとして、対策を講じる必要があると思います。

4) 電気自動車の部品から小型潜水艦と魚雷を制作

高性能電池が世の中に出るようになりました。ガソリンやディーゼルエンジンは排気ガスが出るために潜水艦には不向きであったし、魚雷だって高性能電池があれば、製造が容易になると思います。i-MiEVを買ってきて、その電池とモーター及び制御機器を取り外して、軍事転用する。どうですか?これもあり得る話だと思うのです。

民間用と軍事用は異なると考えられてきた。しかし、民間用の機器が開発により高度技術を採用しているが、安く大量に身近に存在し、それらを軍事転用すれば、高性能武器が安く大量に手にはいるようになった。どうでしょうか、そんなことが、現在は生じているのではないでしょうか?そのような方法で武器をつくって金儲けをしている人は、黙っているはずです。ここらも、気をつけないとならない現代の悩みだと思うのです。

破綻国家やテロリストが簡単に安く武器を入手できるとしたら、国家の安全という概念について、考え直す必要があるように感じました。

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2010年5月21日 (金)

このNHK報道は見過ごせない点が多い

いつもNHKの報道は、問題が多く、見過ごせないと思っていますが、やはり!ということで。(リンクが切れると思うので、続きを読むにも掲げておきます。)

NHK 5月21日 20時43分 裁判員 3人に2人がストレス

「裁判員や補充裁判員を務めた4000人以上のうち、連絡先のわかった330人にアンケートを行ったところ・・・」とあります。裁判員は、保護が必要があることから、本人が承諾しない限り、特定されることがないことになっています。次の裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第101条です。

第百一条 何人も、裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。これらであった者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報についても、本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。

連絡先のわかった330人とありますが、どのようにして連絡先をNHKは知ったのでしょうか?裁判所が教えると思わないが、もしかして、裁判所の事務官が「了承が得られた場合のみ、アンケートをしてください。」としてNHKに連絡先を教えたのでしょうか?それでも、本人の同意がない場合、名前すら教えることができないのですから、NHKがどのようにして、裁判員の連絡先を入手したのか不思議です。

唯一合法的と思えるのは、裁判が終了して出てくる裁判員に対して個別に打診をすることと思いますが、これもはなはだ失礼なことであり、裁判員にしてみたら、不愉快なことです。

今回の報道で感じるのは、NHKの傲慢さです。法の遵守は無関係であり、裁判員制度を、どう育てていくべきか、社会がどうあるべきかは、NHKの人にとっては二の次なのでしょうね。とにかくNHKに視聴料を払いたくないとの気持ちが強くなるだけです。私には、NHKからは、社会のルール、憲法や法律を守り、社会に貢献する気持ちが感じられません。

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この種の不正は恐ろしい

2年以上も前に書いたブログですが、最近2008年5月14日のニイウスコーの推理に多くのアクセスをいただいています。

次の、読売の記事ですが、この種の経済犯罪は恐ろしいと思います。

5月20日 読売 ニイウスコー粉飾、被告の元会長が起訴事実認める

ニイウスコーの元会長である末貞郁夫被告の犯罪もそうですが、被告が陳述した日本IBM(東京)の幹部による架空の契約書の発行は更に恐ろしと思ったからです。罪の意識をあまり感じずに、している可能性があります。

大村被告は2005年6月、日本IBMを訪れた際、同社幹部に「社内で使うだけだから」などと懇願し、架空の契約書に同社の社印を押させて売り上げを計上したとした。

本物の印鑑が押されているわけで、監査法人は確実に誤魔化されると思います。投資家を初め多くの人がニイウスコーを信用・信頼することになり、その結果損失を被ります。ニイウスコーとは、IBMと野村が設立したIT会社であり、最も信頼ができると考えられていましたから。

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2010年5月19日 (水)

殺すためのワクチン使用?

直前のブログが「宮崎県口蹄疫対策として牛・豚等にワクチン」でしたが、殺すためのワクチン使用は、さすがに私も考えていませんでした。

疾病予防のワクチンを、大量に殺すために時間を要するので、その時間稼ぎに使用するなんて、考えれば、すごいことだと思いました。

読売 5月19日 ワクチン投与後に全頭処分へ…政府方針

道義的な心の痛みと言うべきか、神を冒涜していると言うべきか、そんなこと以外に、疾病予防ではなく殺処分のためのワクチン使用で、本当に感染拡大が防げるのかです。

感染拡大のために、あくまでも疑わしきは殺せとの方針が正しいのかの疑問です。殺処分の対象となった畜産農家は政府から補償を受けるべきで、それで正しいと考えます。しかし、その財源は税金です。そうであれば、最も効果をあげる対処・対策を講じることが、必要です。

殺すためのワクチン使用とは、そこに大量殺処分の対象の拡大が、その背景として同時に存在している。この政策が正しいのか、ワクチンを疾病予防として使用することは、考えられないのか、関係者は国民に対して、海外での例を含むデータ等を示して科学的に説明すべきであると考える。

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2010年5月18日 (火)

宮崎県口蹄疫対策として牛・豚等にワクチン

宮崎県知事は、口蹄疫について、非常事態であると記者会見で述べたそうです。

共同47ニュース 5月18日 宮崎県知事、口蹄疫非常事態宣言 一般住民にも外出自粛要請

少し、考えてみます。

1) 宮崎県知事と口蹄疫の関係

家畜伝染予防法は、家畜の伝染性疾病の発生予防、まん延防止ならびに畜産の振興を目的とした法律で、都道府県知事が大きな役割を果たして、法の執行を行うことを定めています。例えば、家畜伝染予防法16条1項は、次です。

第十六条
次に掲げる家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。
一  牛疫、牛肺疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの患畜
二  牛疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの疑似患畜

家畜防疫員とは、家畜伝染予防法53条3項に「・・・都道府県知事は、当該都道府県の職員で獣医師であるものの中から、家畜防疫員を任命する。・・」とあり、都道府県の職員です。

2) 疑似家畜の殺処分

発生以来宮崎県で疑似家畜の大量殺処分が行われているのです。農家にとっては、大事に育ててきた家畜を出荷するのではなく、一頭残らず殺すのです。疑似家畜とは、口蹄疫に感染している家畜ではなく、感染の疑いがある家畜で、ピンピンしている家畜です。とても辛いことのはずですし、家畜防疫員も仕事とは言え、苦しいと思います。しかも、下火に向かっているのではなく、拡大を続けているのですから、県内の畜産農家の全ての収入を無くすのみならず、精神的な痛手も農家に与えることがありうると思います。

3) ワクチン

口蹄疫はウィールスにより感染するだからワクチンはあるのです。やっと、ワクチン使用に動き出すようですが、11万頭も殺処分してからではなく、もっと早くワクチン使用を決断できないのだろうかと思います。

共同47ニュース 5月18日 口蹄疫でワクチン使用を検討 農水省、専門家見解受け

ワクチンを使えば、感染した動物と抗体の区別がつかなくなると言った理由もあったと思うが、やはり日本で使ったことがないのが一番大きな理由であったと思います。例えば、米国ですが、この農業省のチラシは口蹄疫ワクチンについてであり、ワクチン銀行(Vaccine Bank)があり、各種ワクチンを備蓄していること、接種後7-8日以内に免疫が生まれること等がか書いてあります。

実は、日本でもここに平成16年12月1日の農林水産大臣公表の「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」がありますが、ワクチンの使用がありうることは書かれています。

4) 黒船来襲

日本で口蹄疫は1908年以降は発生がなく2000年に発生が確認されるまで92年間も発生がなかったのです。世界的には、まれな国で、従い牛肉の輸入も米国やオーストラリアが主体で南米からは禁止であった。

ワクチンのなかった時代で、国境を越えての物や人の移動がほとんどない時代と現代はあまりにも違いがありすぎると思います。今宮崎県で起こっていることは、次に別の都道府県で起こっても何の不思議もありません。グローバル化した現代に対応しないと、ガラパゴス諸島は破滅することを懸念します。今回の宮崎県の口蹄疫は現代の黒船ではと思いました。

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レベルの低い議員達

レベルの低い議員が多くて、情けなく思いますが、自尊心とか誇りは人一倍高いようです。そう思えるのが、国家公務員法の改正です。法案を読んでも、目的がはっきりしません。幹部公務員の首根っこを政権与党が押さえ、公務員に無理矢理与党の言い分に従わせる意図を持っている改正である気がします。

1) 公務員は国民に仕える者

憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」をどう読みますか?公務員は与党議員に仕えるのではなく、国民全体に仕えると読むべきです。小選挙区制で与党になった人達が権力を好き勝手に行使することは許されざるべきことです。国民全員に成り代わって、与党議員と正義の戦いをするのが、公務員です。

民主党の最大のバカさ加減は、自分たちがバカであるのにも拘わらず、他人の意見を聞こうとせず、権力を振り回す。抵抗する公務員を左遷したいとして、公務員法の改正をする。民主党は従来から公務員の人件費削減を言っていました。民主党的な無理に実現を計ると支障が生じかねないスローガンの一つですが、民主党の頭脳レベルでは、仕方がないのか、あるいは選挙目当てであり、良心と理性は正しく持っているのか、どちらなのかと思っていましたが、・・・・・このところの強行採決からすると、酷い政党と政治家や政党員であります。

2) 三宅雪子の転倒

次のMSN産経ニュースに写真が掲載されていますが、マンガです。

MSN産経ニュース 2010.5.12 国家公務員法改正案、衆院委で可決 混乱で小沢ガールズが転倒

このWikiの転倒騒動という記述が、よく纏まっていますが、三宅雪子は強行採決のあった内閣委員会の委員ではないのです。実は、厚生労働委員会の委員なのです。即ち、傍聴者として傍聴していた人物が強行採決になると傍聴席を飛び出して、議長席に走っていく。マンガそのものです。

頭の中は、スッカラカンではないのかと思ってしまいます。マナーすら身につけていなのです。

3) 強行採決には柔道家

そこで、民主党が参議院選で柔道家を担ぎ上げようとしている理由が理解できました。そういう政党を立て直そうとする人は、なかなかあらわれないのでしょうか?

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2010年5月14日 (金)

新規国債発行額の抑制

次のニュースがありました。(日経は、電子版に移行後、全文を読むには、登録が必要ですが)

日経 5月14日 11年度新規国債は今年度以下 民主が公約明記へ

1) ギリシャの二の舞を避ける

ギリシャの二の舞は避けなくてはいけません。「日本はギリシャと違って、国内の投資家が持つ割合が大きいから問題ない。」との説がありますが、国外投資家と国外投資家と、どのような違いがあるでしょうか?通貨交換・送金・預金・証券保有等投資や金融に関する自由化がなされていれば、国内も国外も差はないはずです。グローバル社会となってきたのであり、国内投資家と国外投資家に区分して考えることは、危険性があると思います。

ギリシャで起こったことは、ギリシャ政府が国債の償還をできなくなったことでしょうか?企業で言えば、手形不渡りが予想されたのでしょうか?私は、そこまで、追い詰められる前にギリシャ政府は手を打ったと考えます。ギリシャはEU加盟国であり、通貨ユーロを使っています。経済的には、EUの一員として活動し、通貨ユーロを使うことの恩恵を利用していました。人口1千1百万人の国が繁栄を続けるには、EUとユーロは欠かせなかったと考えます。但し、EUとユーロを維持することは、政府財政の健全化は義務であります。4月23日にEUとIMFに緊急融資を要請したのは、EUに止まり通貨ユーロを使い続けるための選択であったと思います。

ギリシャと日本の根本的な違いに通貨ユーロがあります。通貨ユーロは、European Central Bank(ヨーロッパ中央銀行:ECB)が発行しているのであり、通貨政策を加盟国が放棄することにより成立しています。国債を中郷銀行に買わせるなんて、通貨ユーロでは、例えそれが、景気対策であっても、実行不可能です。

ヨーロッパとは、国境を越えて連帯しないと、発展が望めない。そのために、主権の一部が制限されても構わないし、主権の行使は、ヨーロッパという大きな枠組みで実施される部分があってよいのだとの考え方です。

島国日本とは、違います。ギリシャを見て、対岸の火事と思うより、ギリシャは対処可能な時期に早めに手を打ったのだと考えるべきと思います。

2) 民主党マニフェスト

冒頭に掲げた日経ニュースのなかに、「鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長が参加する政権公約会議に向け、公約にどのような表現で盛り込むかをさらに詰める。」と書いてあります。民主とのマニフェストとは、別名空手形と同じであり、その意味では自民党と変わりないはずが、いかにも空ではないと、実行しようとするから破綻をまねく物と思っています。

公約にある程度空手形や理念が存在し、そのままでは実行が困難な物が混じっても仕方ないことと思います。民主との一番悪い点は、ボス政治です。何故、鳩山と小沢が参加する政権公約会議で決定せねばならないのですか?支持者が作り上げ、代議士が立法に向けて尽力するのが、公約やマニフェストでなければならないのに。国民が参加しないマニフェスト作りなんて、意味がないように思います。政治家がバラマキ政策を掲げ、当選するような仕組みは不要です。小選挙区という悪い制度を導入した政治家を落選させたい気になります。

3) 国債暴落

国債の買い手が思ったようにつかなかったら、利息を高くするなり、償還金額が同一であっても、販売価格を下げる必要があります。この事態が起こったら、全ての利率が上昇するでしょうね。1)で、日本の国債は日本の投資家による保有が多いと書きましたが、この財務省資料にあるように金融機関や保険会社が60%を保有しています。この金融機関や保険会社にゆうちょ銀行とかんぽ生命を含んでいます。

国債金利が上昇したら、既に保有している国債も信用力は変わらないのであり、同じ条件の元利払いを受けるには、中途売買金額も下がらないと同等金額にならなくなります。例え、売却しなくとも、金融機関等を含め企業が保有していれば、評価損の計上が起こります。

金利は上昇する。金融機関は評価損計上で、新規貸し付けに応じることができない。税金は大増税。すごい悪循環が生じると思います。高い法人税では企業が逃げ出すとの説がありますが、悪循環に陥った時は、企業にとって魅力はないのであり、多くの企業が逃げ出す。

自分たちの政府を身の丈にあった運営とし、悪い政治家に甘い汁を吸わせないようにすることは、重要だと思います。

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2010年5月 9日 (日)

NHKの報道は、何を考えているのだろう

NHKの次のような報道に接すると、1月・2月に「医療、医療費、医療保険を考える」をシリーズで書いた私にとっては、嫌になります。

5月9日 がん患者の治療費負担 軽減を (リンクが消えた時のために、続きを読むに文章を入れておきました。)

1) 高額医療費制度

高額医療費制度により、一定額を超えると、超えた金額は健康保険で全額カバーされるため、立て替えは生じますが、一定額で自己負担は据え置きとなります。

その一定額とは、国民健康保険の場合、次の金額です。(基本的には、どの健康保険でもほぼ同じです。)

自己負担限度額(月額)
年3月まで4月目から
上位所得者世帯 150,000円+(医療費-500,000円)×1% 83,400円
一般所得者世帯 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円

上位所得者世帯とは、世帯総所得が633万円以上の世帯ですが、その場合は、上の表で計算すると、医療費総額が月百万円であったとして、年間総医療費12,000,000円に対して1,205,600円の自己負担となります。

従い、NHKが報道しているように、年間百万円の患者負担はありえます。しかし、月50万円の医療費で、自己負担額30%の15万円を負担した場合は、4月目から83,400円で済みますが、年間合計額は15,000円低いだけの1,190,600円です。医療費が高額になっても、ほとんど変化はないのです。

何か、NHKの論理は、おかしいと思います。

2) 医療保険の財政

私は、2月20日の医療保険3:医療、医療費、医療保険を考える(その9)で、次のグラフを書きました。(協会けんぽと健保組合・共済の金額は、会社・雇用主負担を併せた金額です。)

20102medinsurances7

このグラフは、今の一人当たり医療費水準が変わらないとし、増税なしで、税金の負担を据え置いた場合の医療保険の保険料支払金額の予測です。確かに、病気になり、医療費を年間百万円も負担するのは、厳しいのは事実です。しかし、一方で、保険料を天井知らずで上げて良いのでしょうか?日本の、医療費負担は国際的に見て、非常に小さいのです。従い、上がる要素と破滅する要素しかないような気がします。

NHKは、木を見て森を見ず、重大なことには触れません。そんなNHKに視聴料を払いたくありません。

3) 低所得者・生活保護

百万円払えない場合は、死ねと言うことかと、なりますが、年収6百万円以下の一般所得者の場合は、1)の自己負担額は64万円となり、更に住民税非課税の低所得者は327,600円になります。低所得者にも、配慮はしています。それが妥当かどうかは、全体を見渡して、考えるべきと思います。

更に、言えば、生活保護が最後の手段として残されています。生活保護を受けるためには、財産を全て処分しなければならない。しかし、生活保護を受けた場合は、医療費は自己負担なしとなります。

勿論、生活保護を、進めるわけではありません。楽では、ないはずです。全くの暗闇ではないと言いたいのです。NHKは「命の問題が経済の問題」と報道しています。生活保護の水準引き上げを言いたいのでしょうか?

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進展のない普天間問題

「進展のない普天間問題」とは、解決の目処が立たないのは当然ですが、何も進んでいないと感じるからです。

普天間問題を書くのは、疲れますが、次のDianmond Onlineのインタビュー記事で、私より過激な意見を述べる人がおられたので、本質をあらためて認識さされました。(単純リンクでは、読めないかも知れませんが、リンクを貼ります。)

Dianmon Online 5月7日 元CIA顧問の大物政治学者が緊急提言 「米軍に普天間基地の代替施設は必要ない! 日本は結束して無条件の閉鎖を求めよ」 独占インタビュー チャルマーズ・ジョンソン 日本政策研究所

1) 本質論

チャルマーズ・ジョンソンさんが、述べておられることは、本質論です。記事に、チャルマーズ・ジョンソンさんの言葉として、「日本にはすでに十分すぎる米軍基地があり、他国から攻撃を受ける恐れはない。」があります。米国人から聞くのですが、本来は日本人にもこのような意見がなければいけない。

勿論、日米安保反対意見では、米軍基地不要となりますが、日米安保賛成であっても、基地の数や駐留米軍の人数・兵器の量について、どこまでが妥当なのか、必要なのか、そのような研究や議論がされて然るべきです。日本が独立国であるなら、独立国のSecurity(国防)は、独立国の人民が決めることです。例え、条約を締結していても、主体はその独立国にあります。

また、「中国は自ら戦争を起こす意思はないことがわかる。」や「北朝鮮は攻撃の意思はあるかもしれないが、それは「自殺行為」になることもわかっていると思うので、懸念の必要はない。」も、その通りと私は思います。今年3月に起きた韓国海軍哨戒艦の沈没事件にしても、北朝鮮の攻撃ではないと思います。そうだとすれば、自殺行為でしょう。

逆に、米国の意図で、戦争に巻き込まれる可能性は、下手をすればその可能性があることを示したのが、イラク戦争なのかも知れない。大量破壊兵器があると言って、攻め込んだ。当時の判断として可能性を疑っても仕方なかったのかも知れない。しかし、それでも、攻撃が許されるのか、他の方法は存在しなかったのかは、問われる。交戦好きな人がいたら、直ぐに戦いが始まり、多くの国を巻き込み、多くの人が死亡し、戦地は荒れ果てることを改めて認識させてくれたと思う。

2) 妥協論

4月14日の政治の混迷の「1)普天間」で、ヘリコプター専用で滑走路は50mとする辺野古地上案を書きましたが、これは妥協案です。妥協案を進め、その上で、本質論を研究・検討し、多くの国民が賛成できる案をつくっていくのが私の提案です。

なお、私の妥協案が、どこから来ているかというと、2006年5月1日の再編実施のための日米のロードマップ次の日米合意です。

a) 次のことから、第3海兵隊は、大部分がグアムに移転します。

約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。

b) 次のことから、固定翼機(普通の飛行機)は、岩国に移転します。

KC-130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。

もぬけの空なのに、飛行場を建設する理由がありません。地元土建屋を潤すことが目的だったと考えられます。

さらに、もう一つ、おもしろい記事がありました。Stars & Stripesで、The Independent News Source for the U.S. Military Communityと書いてあるので、米軍関係者向けのメディアと了解しますが、普天間飛行場が今年の初め工事で閉鎖された時の記事です。(現在は、4月12日の琉球新報の記事のように、再開されているようです。)

Stars & Stripes January 1, 2010 Futenma closing to fixed-wing aircraft during runway repairs

嘉手納を使っているのです。また次の様に書いてあるので、KC-130以外の普天間にある固定翼機は、小型のUC-35とUC-12です。

The fixed-wing aircraft that will operate temporarily from Kadena include KC-130 tanker-transports and smaller UC-35 and UC-12 light passenger and cargo aircraft.

これを書いて、岡田外相が嘉手納案を唱えたことがあったことを思い出しました。多くの人は、嘉手納案に対して、嘉手納の空軍と普天間の海兵隊が同居できるわけがないと反対したのですが、大部分がグアムと岩国に移転し、最小部隊(司令部はグアム移転が決定済み)が連絡のために、UC-35やUC-12を利用するなら、これらを嘉手納に駐機し利用することは可能である。即ち、辺野古に滑走路は不要である。

3) 重要なこと

民主党の方々は、選挙が大事と思っておられるようですが、重要なことは、人々を幸せにすることです。民主党の大嘘に政権交代がありました。政権交代したら、よくなるか、悪くなるか?少なくとも、よくならないことが証明されましたと思います。

そもそも政権交代=良い政治の関係は成立しないと思います。もし、今でも民主党の方々が、政権交代が良いと思っておられるなら、人々を幸せにするように、行動されることを願います。

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2010年5月 4日 (火)

憲法記念日に考える

憲法記念日がやってきたところで、また憲法について、考えてみました。

1) 気になる言葉「国民」

現在の憲法で、私にとって、最も気になる言葉が国民です。国民とは何であるのか、日本国憲法では、「日本国民」という単語と「国民」という単語の2種類が書かれています。この2つの単語を同じ意味で捉えるべきか、別の意味があると解釈すべきでしょうか。

憲法前文の冒頭が、「日本国民」という単語で始まります。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

国民とは、Peopleのことであり、人民や人々と同じ意味と考えます。もし、これを国がJapanese Stateを意味し、民とは文字通り、天皇や武士その他支配階級に属さない人々と読むと、この前文の意味が変になり、理解不能となります。この国民とは、天皇を含む、あらゆる人々と考えます。その上で、日本国民とは、日本国籍を持つ国民あるいは日本国の構成員である国民と理解すべきと私は考えます。ちなみに、米国憲法の前文は、次の文章で始まります。

We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defence, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.

2) 市民とは

気になる言葉として「市民」という言葉があります。米国籍を持つ人をUS Citizenと呼びますが、ある社会の一員として認められた人が市民(Citizen)であり、国民(People)より範囲が狭いというのが私の解釈です。

ローマ市民とはローマ帝国の特権を認められた人々であり、古代ギリシャ市民に奴隷は含まれず、ヨーロッパの市民革命もブルジョア革命であり、プロレタリアートは含まれていなかった。現代の市民の意味は、国籍を保有している人であります。例えば、欧州条約(EU Treaty)第20条1号は、次の定めです。

Citizenship of the Union is hereby established. Every person holding the nationality of a Member State shall be a citizen of the Union. Citizenship of the Union shall be additional to and not replace national citizenship.

3) 日本国憲法第三章

憲法第三章とは「国民の権利及び義務」です。第三章最初の第10条は「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」であり、この第10条では、「日本国民」と使われていますが、他の第11条から第40条までは、「日本国民」の用語は使用されておらず、「国民」、「すべて国民」または「何人」との用語のみです。

第10条は、日本市民のことを日本国民と呼んでいますが、1946年の当時に日本市民なる言葉は日本語として、ほとんど使用されていなかったし、今でも、市民とは、特定の市の住民としての意味程度で使われているのが、現状と思います。

「何人」とは、まさに世界中の人を意味しているとも解釈できると考えます。例えば、第18条の「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」です。「国民」についても、世界中の人々と考えて良いのかも知れないが、やはり解釈としては、「日本市民」ではなく、「人々」の意味と考えます。例えば、第11条の「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」について、世界中の人々と考えても頭の中に、スッキリと入ります。一方で、立法権が及ばない他国については、定めていないと読むべきか、武力の行使はしてはならないが、外交努力その他により、この第11条の定めの実現に尽力すべきと読むべきかであると思います。いずれにせよ、「人々」を意味すると私は考えており、その意味で、日本市民より範囲が広く、在日の人々は勿論、短期滞在者や旅行者に対しても当然あてはまると考えます。

4) 世界人権宣言

世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)とは、1948年12月10日に第3回国連総会において採択された宣言です。日本は、当時国連には直接関係なく、政界人権宣言は、第二次大戦戦勝国の人達がつくったと言えます。しかし、日本国憲法が影響を与えたのではないかと思うのです。

日本国憲法の成立過程は、貴族院本会議が修正案を1946年10月6日に可決、そして衆議院可決10月7日、10月29日枢密院本会議可決となり、同日に天皇裁可があり、11月3日公布で、翌1947年5月3日憲法施行です。

世界人権宣言(英文)はここにあり、またその外務省仮訳はここにあります。主語は、人々(People)」ではなく、「Everyone(すべて人)」になっています。読んでいて、勇気づけられます。おもしろいと思うのは、次の29条1号です。

Everyone has duties to the community in which alone the free and full development of his personality is possible.

この部分の外務省の仮訳「すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う。」は、必ずしも、しっくり来ないのですが、自由と人格の発展が確保される社会に義務を負い、確保されていない社会には義務を有さず、革命も武力闘争も許されると読むのは、行き過ぎでしょうか?障害・殺人は許されないが、自由と人格の発展が確保されない社会には義務は存在せず、確保される社会を目指して尽力すべきと読むのでしょうね。

5) 現在の日本

現在の日本で、基本的人権が完全に確保されているのだろうか。確保されていないとすれば、法が定める義務に従う必要は生じないとの解釈は成立するのかしないのか。少なくとも、基本的人権がないと感じる人にとって、法の義務は堪えられないことであろう。

格差社会で取り残された人達はどうか。在日の人達も、国民であることに、何の疑いもないと思う。むしろ、日本が今後発展するには、アジアに進出せねばならず、アジアに進出とは、アジアと一体化し、EUのようなAsia Union(AU)をつくって行かざるを得ない。アジア共通の価値観をつくっていかなければならない。その時の価値観とは何か、言葉で表現する必要があり、アジア憲法のようなものを目指すことになると考える。一足飛びに、憲法までならず、AU条約を整備しつつ作り上げていくことになると思う。

その際日本国憲法も一つの参考になるのではと思う。

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