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2010年10月31日 (日)

ウルトラ堤防

政府の行政刷新会議の特別会計に関する事業仕分けで、スーパー堤防事業については「廃止」との判定があったと報じられた。

日経 10月28日 スーパー堤防事業を「廃止」判定 事業仕分け2日目

そうなると、次に書く堤防はウルトラ堤防と呼ぶのかなと思いました。

1) ウルトラ堤防

私が、勝手に付けている名前ですが、実物の写真を見るのが早いと思います。

Photo

写真の向こうに見えるのが、通常の堤防です。こちらは、高さが約2m低く、表面がコンクリートで覆われています。左が利根川です。もし利根川が洪水で水位が、このコンクリート面より高くなると、水は越流し、右に流れ込みます。

そうなると、右側は、洪水ですが、更に右に数km離れた場所に第2の堤防があり、その堤防で防ぐのです。越流した場合は、この越流堤から本堤防までの間は、池となり、池に蓄えられた水量が洪水緩和に役立つのです。越流した水は、現在はポンプで左側の利根川に戻されます。次の写真が、そのポンブ場です。

Photo_2

この場所は、次の所で、川沿いの堤防が、幅が狭く白くなっている所が、コンクリートで覆われた越流可能部分です。

この航空写真で左下となる部分は、田として見えるように、畑もありますが耕作地です。洪水となり、ここに水が入ると、その時の状態にもよるが、基本的には、作物は失われます。その時は、農家に補償金が支払われます。ダムと違って、設備建設の費用は、安くて済みます。そして、洪水で毎年越流するわけではありません。10年に1回ぐらいでしょうか?補償金は、失われた農産物の対価見合いですから、収穫後の越流であれば、金額が少ないし、量が少なく、水没時間も短ければ、金額も少なくなります。なお、当然のことですが、越流堤と本堤防の間の土地は、農地だけで、民家や工場は一切ありません。この水没地の正式名称は、田中調節池です。

国土交通省荒川上流河川事務所の第12回 荒川太郎右衛門地区自然再生協議会というページに資料-2 調節池の役割としくみについてというのがありました。そこに、田中調整池面積11.75km2、容量3,080万m3とあります。八ッ場ダムの夏期洪水調節容量が6,500万m3でるから、その半分の大きさがあります。そして、稲戸井調節池、蒲生調節池を合わせると合計1億5483万m3ですから、すごいものです。やはり、ウルトラ堤防です。最近では、都心の地下に河川水調節用の大型地下タンクが調整池として多く建設されています。例えば、荏原調節池というような調整池です。

2) スーパー堤防

スーパー堤防ですが、都心地下の大型調節池の掘削発生土を使って建設するそうです。だから、スーパー堤防が建設されないと、都心他の土木建設工事ができなくなるという説があります。

この江戸川河川事務所の江戸川スーパー堤防をクリックしてみてください。「スーパー堤防の盛土は、公共事業による建設工事などで出た建設発生土を有効に再利用しているので、資源循環型社会にも貢献しています。」と書いてあります。

そうなると200年かかろうが400年かかろうが、関係ないのです。現政権与党の役人いじめで、下手をすると方向が間違ってしまう事業仕分けに、大いなる疑問が出てきます。

必要なことは、治水がウルトラ堤防である調節池や河川を結ぶ導水路を含め、どこまで対策ができており、将来的にどうするか、そして、金銭的に費用と効果がどうであるのかを国民に示すことです。税金を使うのが無駄ではなく、税金でないとできないことがあり、それが必要・有効であれば考える必要があります。

また、山林の保護を忘れてはなりません。事業仕分けと言って、象のしっぽをちぎることではないはずです。全体像(象?)を分析し、報告することを望みます。

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2010年10月29日 (金)

法人税の繰越欠損金制度を変えるのはひどいです

これには、悲しくなってしまいます。

日経 10月29日 法人税率下げ財源、赤字控除枠半減で捻出 政府税調案

1) 法人税改悪

ここまでして、法人税率を下げなくてはいけない理由が理解できません。この結果、利益を得るのは、利益の計上を継続できる企業のみであり、赤字企業はお先真っ暗です。国税庁が、10月に平成21事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要を発表しており、平成21年度の黒字申告割合は20年度の29.1%から25.5%にダウンしています。

赤字企業が増加していることに対して、政策を考えるべきです。繰越欠損金の制度とは、法人税を合理的な負担とする制度です。企業活動は、継続的であり、1年で区切れば、山の年もあれば、谷の年もあります。山谷をならして、税金を支払うことは、企業にとっても、社会にとっても、望ましいことです。ベンチャー企業にとって見れば、明後日の成功を夢見て、頑張っています。研究開発に支出した費用も、将来利益が出れば、その費用として所得とその税を計算することが、何故悪いのでしょうか?こんな日本に住みたくない、企業活動したくないと思わせる税制改悪です。

韓国企業に負けるから、法人税で応援すると言うなら、理論が根本的におかしいのです。韓国企業も日本企業も税率は同じです。平成21年の法人税改正で外国子会社からの受取配当金は95%が非課税となっているからです。例えば、日本企業が韓国に製造子会社を設立し、韓国の税金を払った剰余金を日本に配当してきても配当金の5%の税率分しか税がかからないので、韓国企業との差はたったの2%です。(配当をしてこない部分を含めれば、更に差は小さくなります。)

法人税率よりも、日本の制度で変な部分は、沢山あります。例えば、地方税で研究開発費の優遇がないこと。日本企業の成長戦略を取りにくくします。そして、極めつけは、雇用を締め付けることです。法人税率引き下げを勧める経済産業省の資料までが、日本の企業の社会保険料雇用者負担が法人課税負担と併せると61.7%であり、比較対象に入れている10の国のなかでは、これより高いのはフランス72.2%とスウェーデン63.3%のみです。負担が低いのは、台湾の23.9%です。更に、日本には都道府県民税である事業税には、資本金1億円以上の企業に対して、付加価値割り事業税として0.48%の税が課されます。人件費に対して0.48%税を徴収するのです。社会保険料も人件費に対しての比例計算ですから、人件費を増額するインセンティブは税の面では、薄れます。

法人にとっても個人にとっても、税であろうが、保険料であろうが、負担に差はありません。高額所得者や高額所得を計上している企業にとっては、税負担より社会保険料負担の方が節約できる可能性があります。何故なら、基本的に保険料では、高額所得者に所得見合いのみで負担を求めると保険給付に対して高くなりすぎるので、シーリングを付けざるを得ない部分があるからです。一方、税であれば、所得が低ければ、税率を低くし、企業であれば、赤字法人に課税しないという人や法人に対してのやさしい取り扱いが可能です。格差社会の格差拡大、特に底辺層をますます貧しくする政策を、どうして推進するのかと思います。

現在の日本において、年金と健康保険が大きな問題です。近い将来に破綻する可能性があり、破綻すれば、低所得者が切り捨てられる可能性があります。政治が、対応しなければならないと、民主党はその改革を訴えていた。しかし、政権を取ると豹変しました。

2) 政府税調

政府税制調査会があります。自民党政権時代には、政府税調と党税調がありました。民主党は、2つあるのはおかしいと党税調をなくしたと言いました。しかし、実態は、政府税調をなくし、党税調を政府税調と名前を変えたのです。自民党政権時代は、税は最も利害が複雑で関係者の意見を広く聴取し、議論をする必要があると、大学の先生や民間人もメンバーに加え、必要あれば、公聴会も行い、公正な税制を作ろうとの意思は見受けられました。

しかし、民主党は、官僚制打破と言って、自分たちが天下を取ったから、公務員は自分たちの奴隷であれとするような言動です。政府税調には、民主党議員ばかり。これでは、公平な税制は望めないと思いました。日本に民主主義を取り戻したい。一党独裁政治から抜け出したい気分です。小選挙区制を早く中止できないかと又思いました。

上で引用した国税庁の資料ですが、「源泉所得税額は1 2 兆2 , 9 7 3 億円で、前年度に比べ1兆7,838億円(12.7%)と、3年連続で減少しています。これは、主に給与所得の税額が9,081億円(9.6%)、配当所得の税額が6,564億円(31.7%)、減少したことによるものです。」と書いてあります。働いている多くの人が、苦しんでいます。その解決を計ろうとしないのは、政治家として、失格と思います。

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2010年10月27日 (水)

札幌地裁には驚きました

B型肝炎北海道訴訟に関しては、10月20日のどうするB型肝炎訴訟で書きましたが、第6回和解協議で、札幌地裁がキャリアーについても補償を検討するよう要請したというのには驚きました。

日経 10月27日 「未発症者も補償検討を」 B型肝炎訴訟で札幌地裁が国に要請

詳しくは、10月20日のエントリーを読んでいただきたいと思いますが、昔集団予防接種で注射器の針等を一人ごとに取り替えなかったのは、当時としては、ごく一般的に受け入れられていたと思うのです。針を変える等を主張すれば、集団接種を妨害する悪意のある人だと思われた可能性があると思います。当時は、幼児死亡率も今より高いし、結核で亡くなる人が多かったことをやっと克服し、予防接種に光明が見えてきた時代だと思います。なお、予防接種の当時は、B型肝炎は、未だそのウィルスが発見されていなかったのです。

その当時の、そうような時代背景や人々の考えを含め、集団予防接種についての詳細報告が欲しいのです。B型肝炎北海道訴訟で、原告の訴訟原因は集団予防接種なのです。

「国」として報道されていますが、「国」とは「国民全員」です。「国」が、お金を持っているわけではなく、国民の血税で支払われるのです。従い、政府は、国民に詳細報告をすべきです。

また、キャリアーとは、発病しておらず、一般の健康人と変わりがない人です。但し、どの時点かで発病するリスクは抱えています。従い、ウィルスが発見されれば、定期的に検査をし、発病すれば早期治療をすべきです。その費用について、集団予防接種が原因であれば、検査費用や治療費は、健康負担の自己負担を含め、全額政府が負担すべきと考えます。しかし、それ以上に保証金を支払うなら、原告は全国民に対して、その正当性を説得すべきです。原告弁護団のWeb(10月20日のエントリーでリンクをおきました。)では、説得力ある説明は見あたりませんでした。

もう一つ恐るべきことは、予防接種が個人レベルに移行しつつあることです。役所が、役人が、将来の訴訟を恐れて、安全策をとり、個人の選択であるとし、費用は個人負担であるとする方向になっているような気がします。せめて、健康保険の適用を認めたらと思うのですが。勿論、その場合でも、問題は残ります。予防接種法に基づく公費での救済が受けられない可能性です。どのような薬でも、予防接種でも、副作用はあります。個人により違うし、その日の体調によっても異なるので、事前に予測不可能です。そのような医療の不確実性を社会として、どのように取り組むべきかという大きな課題はあります。しかし、できることや社会のためになることはすべきです。そうならない一因に今回のようなことがあると感じます。

なお、予防接種に関して、内藤真弓さんが日経BPに途上国並みのワクチン行政 定期接種化で子供の病気防ぐべきを10月26日に書いておられました。私は、読んでいて、その通りと思いました。一方で、日経 10月25日 抗がん剤副作用、救済制度見直し要望 民間3団体という記事がありました。抗ガン剤に副作用があるのは、常識になっていると思うのです。こうなると、医療側は、患者から一切の不服を申し立てないとの書面を取ることになると思うのです。良識の範囲で、権利・義務を構築しないと社会が死滅するように思います。

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2010年10月25日 (月)

日経新聞にも記事がありました

10月22日に朝日新聞への事実歪曲非難として、朝日新聞が東京大学医科学研究所の癌研究に関して事実を歪曲する記事を書いたことを非難しましたが、本日の日経には、次の記事がありました。

10月23日 日経 癌学会などが朝日新聞に抗議 がんワクチン記事巡り

記事が伝えている日本癌学会と日本がん免疫学会の連名抗議声明は、次のサイトにあります。

朝日新聞の記事(10月15・16日)に関して -- がん関連二学会からの抗議声明 --

朝日新聞は、一面で大きく謝罪文を掲げるでしょうか?それとも、誰も読まないぐらいの小さな謝罪文を掲載するか、あるいは報道は正しいと言い続けるか?仮に大きな謝罪文を掲載した所で、読者の信頼は回復できず、記事を信頼して読むことはできないと感じます。(もともと、そうだったと言う人がいるのかな?)

蛇足ですが、企業・団体・組織の経営・運営で最も重要なことは、本業は誠実に遂行することです。自分が責任を持って誰にも負けずに遂行できる自信がある業務が本業です。今回の朝日新聞の不祥事については、色々思ってしまいます。

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2010年10月22日 (金)

朝日新聞への事実歪曲非難

朝日新聞は、2010年10月15日付の朝刊1面トップ(東京版)に、「『患者が出血』伝えず 東大医科研、提供先に」として、東京大学医科学研究所を非難する記事を載せました。次の記事です。

朝日 10月15日 東大医科研でワクチン被験者出血、他の試験病院に伝えず

何も知らないで読むと、この記事を正しいものとして受け取ってしまいます。しかし、東京大学医科学研究所は、多数の誤りが記事には見受けられ、医療の発展のために真摯に臨床試験に取り組んでいる全国の医師、看護師、臨床試験コーディネーターらを落胆させ、患者を動揺させることを憂えるとする声明を10月20日に発表しました。

東京大学医科学研究所の声明は、ここにあり、このブログを書いている時点では、東京大学医科学研究所のホームページの新着情報に”朝日新聞「臨床試験中のがん治療ワクチン」記事について”として声明文や患者への説明文へのリンクがあります。

特にそのなかでも、清水所長の「朝日新聞記事に対する個人的な所感」は、激しく朝日新聞を非難しておられます。

私は、朝日新聞社の新聞社としての体裁がなっていないと思います。社会に対する責任感はゼロとしか思えない。こんなブログを最近書いたこともあったなと思うし、このブログの最初の頃のエントリーでは、納豆の偽造のような「あるある」の批判を多く書きました。でも、「あるある」は、見ていた人の中には、捏造や歪曲があり得ると思っていた人もいたと思います。しかし、今回の医療批判は、大新聞が一面で取り上げたことであり、本来であれば、報道機関として、何重にもチェックされて掲載される記事として読者が信頼を置いて読む部分です。見事に裏切りましたね。

朝日新聞は、10月20日に院内感染防止にHIV検査、患者に全額負担 浜松2病院という記事を載せていました。院内感染防止でHIV検査をするなら医療機関が、その費用を全て負担すべきとしか私には読み取れません。現行の制度は、実はそうなります。しかし、院内感染でHIVに感染したらどうなるのでしょうか?医師等医療関係者はHIVになって当然であると言うのでしょうか?現在、HIV検査は、無料・特命で保険所や地方自治体の特設検査施設で受けられます。入院患者も無料で検査が受けられて当然だと思います。制度が変なのです。

つい最近では、院内感染をよく知らずに見当違いの非難をし、HIVの院内感染を防ごうとすると、HIVが蔓延してもやむを得ない的な論調になる。院内感染については、9月14日の帝京大学病院診療制限に書きましたが、日経メディカルの正しい記事に救われました。ちなみに、日経メディカルは、この東京大学医科学研究所の朝日の記事についても朝日の癌ワクチン報道に対し、東大医科研が会見 中村教授は「自然な出血がなぜ問題になる」と憤りを隠さずと正しい報道をしておられました。

こんなことを書いていると、またまた、47ニュース 10月22日 朝日新聞、共同配信記事に酷似 マニ教宇宙図発見でと、共同通信に謝罪に謝罪したと報道がありました。どうしようもありません。記者を全員解雇して、投稿記事のみにすればよいと思います。

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2010年10月20日 (水)

どうするB型肝炎訴訟

日経が、次の社説を掲載していました。

日経10月19日付社説 肝炎賠償で増税は筋が通らぬ

この社説の直接の出来事は、次です。

日経10月13日 「B型肝炎」和解へ財源問題浮上

北海道B型肝炎訴訟で、政府は、2010年3月12日の札幌地裁による和解勧告を受けて、10月12日の札幌地裁での第5回和解協議において、「和解金額に関する国の考え方」を示し、この中で死亡・肝がん・肝硬変(重症)被害者に対して2500万円、肝硬変(軽症)被害者に対して1000万円、慢性肝炎被害者に対して500万円を支払うとしたのです。

札幌地裁が裁判でなく、和解を提示した理由、政府が和解に積極的な理由は、次の平成18年(2006年)06月16日の最高裁判所の判決の影響と思います。

集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染損害賠償請求事件最高裁判決 同(全文)

なお、原告弁護団はWebにおいても、その主張を訴え活動しておられますので、原告弁護団のWebも掲げます。

B型肝炎訴訟北海道弁護団

私が、思うことを、幾つか書き連ねます。

1) 詳細報告を国民にすべき

最高裁の判決を読んでも、次の点で、理解に苦しむのです。

(3) B型肝炎に関する知見
B型肝炎ウイルスの発見は,1973年(昭和48年)のことであるが,同一の注射器(針,筒)を連続して使用することなどにより,非経口的に人の血清が人体内に入り込むと肝炎が引き起こされることがあること,それが人の血清内に存在するウイルスによるものであることは,我が国の内外において,1930年代後半から1940年代前半にかけて広く知られるようになっていた。

裁判の原告(B型肝炎に感染した人)は5人で、感染が疑われる予防接種の時期は、①昭和39年12月~昭和46年2月、②昭和26年9月~昭和33年3月、③昭和37年1月~昭和42年10月、④昭和40年2月~昭和45年2月と⑤昭和58年8月であり、⑤の人以外は、ウイルス発見前に感染しました。そこで、「1930年代後半から1940年代前半にかけて広く知られるようになっていた。」と述べていますが、これは、どの程度なのでしょうか?ウイルスの発見前にも、その病気は存在する。しかし、ウイルスが発見されていなければ、病気の特定も治療も感染予防も困難と思えるが、どうなのでしょうか?

(4) 我が国における予防接種の経緯
我が国では,予防接種法(昭和23年7月1日施行),結核予防法(昭和26年4月1日施行)等に基づき,集団予防接種等が実施されてきた。・・・国(以下「被告」という。)は,昭和23年厚生省告示第95号において,注射針の消毒は必ず被接種者1人ごとに行わなければならないことを定め,昭和25年厚生省告示第39号において,1人ごとの注射針の取替えを定めたが,我が国において上記医学的知見が形成された昭和26年以降も,集団予防接種等の実施機関に対して,注射器(針,筒)の1人ごとの交換又は徹底した消毒の励行等を指導せず,注射器の連続使用の実態を放置していた。

昭和25年厚生省告示第39号で、1人ごとの注射針の取り替えを定めたと述べているが、実態は、全く異なるように思えます。昭和25年当時日本は貧しかった。注射針を1人ごとに変えていたら、ツベルクリン反応試験ができなかったのではないか?

結核対策が最優先課題の時期であったと思う。危険性は、よく解っておらず、リスクを知りつつも、リスクよりも結核予防の対策として集団接種を実施することが、結核対策として有効であると考えるのが当時の常識ではなかったかと思う。

最高裁の判決文には、何も書かれていない。日経が言うには2兆円である。納税者である国民に政府は説明すべきである。消費税を上げるから払えるなんて、気楽に考える前に、国民に、本件の詳細説明をすべきである。

政府は、金額についても、説明もすべきである。何人と予想されるかも、その理由についても。 国家賠償法により支払うのであろうが、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」とある1条1項の「故意又は過失」とは、誰による何であったのかも、明確にすべきであるし、違法とは、何のことかも。

2) 個人に負担を求めるべきではない

日経社説は、責任者、国家公務員と医療界が負担すべきと言っている。負担するなら、国民・企業全体で税金で負担すべきであり、個人にその責任を求めるべきではない。政府として、効果とリスクそして費用を勘案して決定したはずである。その結果としての負担が個人とは、変である。

仮に、これが企業であり、会社として方針を誤り損失を出したとして、その方針を決定した際に、リスクも全て合理的に勘案しての決定であれば、株主代表訴訟を受けても問題ないし、仮にその結果企業が倒産であっても、責任を問うことは困難である。

本件の場合、個人に負担を求める方向に行ったなら、暗黒の社会を作り出すと思う。

3) 医療の不確実さ

医療とは不確実である。ウイルスが発見される前に、その病気について、どこまで確実になっているか、ほとんど不明ではないか。

本件「後出しジャンケン」では、ないでしょうね。政治家が、人気取りだけで、走れば、恐ろしいことになります。真実を、明らかにして、合理的に進めて欲しいのです。もし、説明ができないなら、和解に応じずに、裁判で争って欲しいのです。

もしかしたら、悪い医療裁判と同じではないかと、思えます。医療を理解できない裁判官が、医療側に責任がないにも拘わらず、賠償を命じる判決です。

B型肝炎が予防注射で発症した方には、同情します。しかし、損害賠償に馴染むのだろうかと思うのです。新たに法を制定して、多くの国民の理解と負担で解決することが望ましいと思えます。

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2010年10月15日 (金)

パソコン記録による小沢4億円書類偽装

最近は、厚生労働省村木厚子氏冤罪事件でのフロッピー・ディスクのファイル作成日の改竄が、大きな話題でした。

同じようなことが、小沢4億円土地購入事件でも、報道されていることを知りました。

毎日 10月14日 熱血!与良政談 熱血!与良政談:小沢さんと小澤さん=与良正男

小沢氏は、2007年2月に記者会見を行い、政治団体の不動産(土地)所有については、小沢名義ではあるもののあくまで政治団体の財産であり、政治団体と小沢との間で交わしたという、小沢の個人資産にしないという土地購入日と同じ日付の2005年1月7日付けの確認書を公開しました。しかし、押収したパソコンを特捜部が解析した結果、ファイル作成日は2007年2月であったと毎日新聞は報じている。

村木事件を丁度ひっくり返したような感じです。

ところで、何故そのような小沢日付偽装が分かるかですが、10月 4日の小沢事件には根本的解決を望むの中でリンクを貼ったMSN産経ニュースの東京第五検察審査会の議決要旨のこのページに次のことが書いてあります。

さらに小沢氏は平成19年2月20日に事務所費や資産などを公開するための記者会見を開くにあたり、同年2月中旬ごろ、池田被告に指示し、本件土地の所有権移転登記が小沢氏個人の名義になっていることから、本件土地が小沢氏個人の財産ではなく、陸山会の財産である旨の確認書を平成17年1月7日付で作成させ、記者会見の場において、小沢氏自らこの偽装した確認書を示して説明を行っている。この確認書の作成年月日の偽装は事後的なものであるが、収支報告書の不記載・虚偽記入について小沢氏の関与を強くうかがわせるものである。

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2010年10月14日 (木)

法人税率の引き下げが事業所国外移転を防げるか

「法人税率の引き下げが事業所国外移転を防げるか」は、良い表題ではないと思います。何故なら、国外への事業所移転がイコール悪だと決めつけるのは、適切ではないはず。国内雇用の喪失や国内不況が問題であって、国外に日本企業が投資し、多くの国で産業が増加することは、地球規模で見れば、よいことに思えます。むしろ、日本企業が、外国に投資せず、国内に止まりガラパゴス諸島化し、競争力がなくなったとしたら、日本全体がいよいよ貧困化をたどるだけの可能性があります。

本件の関連記事を掲げます。

日経 10月13日 首相、法人税率「引き下げ方向で検討」 衆院予算委

私の意見を以下に述べます。

1) 政府の無政策

余りにも無策になっていると思います。よく言われる景気刺激策ですが、子ども手当(4000億円)と高校無償化(2010年度国庫負担1兆5千億円)が、景気刺激策の一つとも考え得るかもしれません。扶養控除や特定扶養控除を減額しているので、合計の2兆円が全額景気刺激にはなりませんが、いずれにせよ景気刺激策ではなく、所得控除から手当支給への制度改革と考えるべきと思います。なお、単純な手当ではなく、所得税と相殺する所得税額控除とし、税額が小さく控除できない場合は還付とする制度に改めて行くべきと考えます。無条件ではなく、正規に申告・納税することを条件にすればよいはず。納税者番号制度を確立をし、給与所得者は年末調整で可能とすれば良いはずです。

しかし、根本問題は、将来に不安がない状態をつくることです。現状では、景気対策として個人に手当を支給しても、将来の不安から、多くの人は貯蓄に幾分かを回さざるを得ない状態です。

企業にとっても、減税よりも、仕事そのものが将来的に安定して存在することを望んでいます。市場経済において、政府が仕事を作り出すのは、変な部分があり、仕事そのものではなく、市場取引(ビジネス)が盛んになされるような制度になることを促進すべきです。

公共事業も、その支出により恩恵を受けていた産業が存在するのであり、利用されないハコモノを作れば無駄であるが、価値の高い公共事業は意義があります。ともすれば密室で決定され特定の人達に利益が誘導される危険性が問題であったのであり、国民が決定に参加できる公開された場で決める方向にすれば良かったはずです。

派遣法の改正も、下手をすると、派遣労働者を形式請負に追い込む等労働者の保護とは逆の結果になる可能性もあります。貸金業法の改正が、ヤミ金融を増加させたり、格差社会の底辺では、貧困ビジネスが増加するのと同じ構造です。

むしろ企業が解雇に容易に踏み出せるようにした方が、経済や社会のために、良いように思えます。但し、そのためには、解雇されても、収入が途絶えず、次の仕事のためのステップアップの教育・訓練が受けられるようにする必要があります。解雇されたら、大学に戻り、あるいは別の大学で、異なった学部で学んだり、修士課程や博士課程に進めるようにする。また企業に戻る。そんなことが容易に実現できるようにして欲しいと思います。

解雇が容易であれば、企業にとってメリットは大きい。法人税が解雇後の従業員のために支出され、解雇が自由であれば、必要に応じ多人数の雇用も可能となり、仕事に見合った高給を払うことも期待できる可能性があります。

法人税を下げるより、企業のために、税金を有効に支出するとは、何かを考えることの方が、今の日本には重要と考えます。

2) 法人地方税の減税を

法人税を減税するより、法人地方税(法人都道府県民税、法人市町村民税、事業税、地方法人特別税)を減税すべきです。多分、このように言うと、地方自治体は支出が固定化されており、減税の余地はないと思う人が多いかもしれません。しかし、減収分は、政府が地方交付税を交付して埋め合わせれば問題がないはずです。一時的な不況による税収不足は、政府が国債を発行して補うべきです。それは、地方自治体や企業に負担させるべきではないはず。

それでなくても、法人地方税は、変な税金です。そもそも、法人が地方自治体から、どのようなサービスを受けているか明確ではありません。日本の法人実効税率が約40%と言われます。法人税が30%だから、地方法人税が10%かと言うと、そうではなく、法人税30%、道府県民税・市町村民税20.7%、事業税10.%の前提で計算すると、実効税率42%のうち27%が法人税で、残る15%が地方法人税と事業税になります。27%を下げる議論が、どれだけ有効なのか、それよりも経済発展・産業発展のために、どのような政策を展開するかの方が、有効と思います。その結果が、法人税引き下げであれば、納得します。

法人地方税の不合理な点として、租税特別措置法42条の4の「試験研究の法人税額の特別控除」が、地方税には適用されないことがあります。道府県民税の課税標準は、法人税額ですが、地方税法23条1項4号で、「・・・租税特別措置法第四十二条の四 の規定の適用を受ける前のものをいい・・・」と定めています。事業税は、所得金額、資本金等の額、付加価値額が課税標準なので、初めから対象外です。

企業からしても、税務署にのみ申告・納税することで済めば、仕事も簡単になります。多数の地方自治体にまたがって事務所や事業所があった場合は、それぞれに申告・納付するので大変です。金額をどう分割するかというと、就業者数での比例で、月ごとにするのです。

そして事業税の資本割、付加価値割は、赤字でも大企業(資本金等が1億円以上)には課税されますから、企業からすると、嫌なものです。事業税については、2008年10月1日から約45%相当額が、地方法人税特別税として都道府県経由国庫に納付し、政府が地方人特別譲与税として再度都道府県に1/2を人口比例で、1/2を企業の就業者数比例で配分することになっています。これこそ、よほどのバカが考えた税と思えます。単純に、法人税でまとめるべきです。大都市への地方税の集中を回避しようとしたわけでしょうが、日本国内で企業誘致合戦をするよりは、日本の各地が、それぞれの特色を生かし、日本全体で整合性ある発展を遂げるようにした方が、よいはずです。

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2010年10月11日 (月)

尖閣諸島領土問題

国家間の領土問題とは、世界各地で存在する問題です。国家間の戦争が続いていたヨーロッパでは、領土問題なんて、日本と比べられないほど多いと思います。Wikiを見てもこのようなリストがありました。

尖閣諸島について、外務省はここで「中華人民共和国政府の場合も台湾当局の場合も1970年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するに及びはじめて尖閣諸島の領有権を問題とするに至ったものです。」と説明しています。日本と中国の外交関係は、米国が1971年に中国と国交樹立の動きを開始し、1972年にニクソン訪中となったのですが、この動きに負けてはならないと田中角栄首相もブルドーザー的に動き、1972年9月29日の日中共同声明となりました。

ちなみに、日中共同声明には、当然のことですが「日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」と書かれています。

日中共同声明から6年近く経過して調印されたのが日中平和友好条約です。日中平和条約の批准書交換は、1978年10月23日に東京で行われました。その時、来日したのが鄧小平氏で、10月25日に日本記者クラブで記者会見を行ったのですが、尖閣諸島領土問題について解決は時代に託すと述べたのです。

当時の福田首相他政府首脳にも同じことを述べたはずです。当時の会談では、中国領とも日本領とも確定していないと解釈せざるを得ないだろうと思います。日本政府が日本領土と主張して一向に差し支えはないと思いますが、「領土問題はない。」と断定すれば、売り言葉に買い言葉を生み、相互不信を生むのみと思います。ビジネスの経験からすれば、当然の感覚ですが、ビジネスをしたことがない人や通常の感覚がない人が内閣に入ると、やはりうまく行かないのでしょうか?最後に、1978年10月26日の朝日、日経、毎日の朝刊の一面を掲げておきます。(クリックすると、別窓で拡大表示されます。)

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2010年10月 5日 (火)

着々と進む普天間米海兵隊のグアム移転

普天間駐留の米国海兵隊の2014年までのグアム移転は、着々と進んでいるようです。

10月4日の官報で、米国と9月14日に締結した5億ドル弱(約410億円)の日本政府予算の平成22年度拠出に関する交換公文が発表されました。交換公文そのものは、官報以外で見あたらなかったものの、次の外務省のWebにプレスリリースはありました。

外務省プレスリリース 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定に基づく日本国政府による資金の提供に関する書簡の交換

今回の交換公文は、2009年2月17日のこの協定を言及することにより始まっています。その概要は、この外務省の概要説明の通り、普天間駐留の米国海兵隊の要員約8千人及びその家族約9千人の沖縄からグアムへの移転に関連して総額28億ドルを日本政府は米国政府に拠出するという内容です。今回の金額は、総額の20%弱と言うことでしょうか。

着々と進んでいると理解するものの、釈然としない部分はあります。

1) 普天間海兵隊はグアム移転後に日本に何名が残るのか

説明がないのです。主力は、グアムに移転するはずです。その後、日本に残る部隊あるいは(厳密には、岩国駐留海兵隊は存在するので)沖縄に残る部隊は、何を目的として、どのような部隊が何名残るか明らかにすべきと考えます。

日米安保条約において日米は対等であり、米国に説明を求めて当然であります。もし、そうできないなら、米国の戦争に日本が巻き込まれる危険性があることになり、場合によっては、日本国民から破棄との意見が出てきても当然のような気がします。

沖縄の人にとってみれば、説明無くして、同意できずとなるのは、当然と思います。

2) 辺野古滑走路は必要か

2009年2月17日の協定第3条には、日本側がロードマップに記載あるような代替施設の建設を実施することが条件と書かれています。でも、1)の質問の答えによっては、変わってきます。再度米国と交渉の余地も、あると思います。

辺野古滑走路案については、普天間飛行場の代替の施設に係る二国間専門家検討会合が持たれ、8月31日にFUTENMA REPLACEMENT FACILITY BILATERAL EXPERTS STUDY GROUP REPORT (仮訳概要)が提出されました。しかし、この専門家による検討には、滑走路が必要かどうかの検討は含まれていません。対象は、V字案とI字案の比較であったのです。

政治家や議員達とは、勝手きままで、企業で言うCSRがないように思います。

3) 悪いのは誰

政治家のみを悪者にしても解決にはならないでしょうね。マスコミも、悪いと思います。例えば、この交換公文による平成22年度の米国への拠出について、私はマスコミ報道に接していません。国民が、しっかりしないと、政治家とマスコミに誤魔化されてしまう。大東亜戦争前夜みたいです。

4) 円高メリット

米国政府に払うのは、ドルです。従い、円高メリットにより本年度予算は節減できたのでしょうか?私は、冒頭に約410億円と書きました。一方、外務省プレスリリースには約468億円と書いてあり、私の計算と58億円も違います。

外務省の円金額から為替レートを求めると90円でした。私は、現在の83円を適用しました。米国政府に約束しているのは、ドル建て、ドル払いです。外務省は、当初予算に計上した円価で発表しているのかも知れません。交換公文締結前の支出はあり得ないので、円高メリットはあると考えます。

しかし、もし、政府が保有している米ドルや米国国債売却資金により支払うのであれば、そもそもドルからドルであり、為替の差損益は生じません。実は、日本政府は米ドル資産(ほとんどは米国国債と理解します。)を、7-8千億ドル保有しています。(参考:この8月14日の47ニュース 円高で外為特会赤字10兆円 埋蔵金の捻出難しく)従い、円換算すれば、巨額の為替差損です。当然、埋蔵金なんてないし、そんなことを言う政治家がバカです。

為替なんて、一喜一憂するものではなく、本質の部分を正確に捉えて、適切な対応をすることが、やはり一番重要と考えます。

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2010年10月 4日 (月)

小沢事件には根本的解決を望む

東京第5検察審査会は、小沢一郎氏を政治資金規正法違反事件で、起訴すべきであるとする「起訴議決」をしたことを公表したとニュースがありました。2度目の決議であることから、小沢氏は、東京地裁に起訴されることが決定しました。

10月4日 MSN産経ニュース 小沢氏強制起訴へ 検審「起訴すべき」

1) 検察審査会の決定理由

東京第五検察審査会の議決要旨は、東京高等裁判所庁舎の掲示板に張り出され、その全文は次のMSN産経ニュースで読むことができます。

10月4日MSN産経ニュース 【小沢氏「強制起訴」】第5検察審査会の議決要旨(上) 「十分な再捜査が行われたとは言い難い」(上)  

(下)はこちら

一つ言えることは、検察審査会は、報道以上の情報を審査して、決議しています。例えば、検察審査会法35条には「検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。 」との定めがあります。検察審査員は守秘義務を負っているが、審査に必要な情報は得ています。

それを念頭に入れて、議決主旨の(下)の部分を読むと、次のようなことも書いてありました。

小沢氏の本件土地購入資金4億円の出所について、小沢氏の当初の説明は著しく不合理なものであって、到底信用することができないものである上、その後、説明を変えているが、変更後の説明も著しく不合理なものであって、到底信用することができないものである。小沢氏が本件4億円の出所について明らかにしようとしないことは、小沢氏に収支報告書の不記載、虚偽記入に係る動機があったことを示している。

検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴に躊躇(ちゅうちょ)した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる。

国民の感覚からすれば、しごく当然のことと思えます。政治家・議員は、一般の人よりも高い倫理が要求されると考えます。それを、小沢氏は低いレベルの説明で終わらせようとしていたと思います。

2) 諸悪の根源

小沢氏とは権力に欲望をもっている人間と思うし、不可解な行動をしている印象を与えている男である。政党にしろ、自民→新生党→新進党→自由党→民主党と、これでは覚えられない。

小沢氏が、関係した諸悪の根源は、小選挙区制度と政党助成金であると考える。

現民主党政権を見ていると、利権者の集まりのように思える。菅と小沢の代表選なんて、互いに言っている内容は、同じ政党ではないと思える。しかし、代表になったら、挙党一致なんて、こいつらバカだと思った。新人議員もバカばっかり。

国会は政党で成り立っているのではなく、議員で成り立っていることを忘れてはならない。頭を持ち、心を持ち、考えることができるのは、人である。決して、団体ではない。良い議員を選出することができる選挙制度を望むのである。それは、小選挙区制度では得られない。

10月1日の国会所信表明演説の7項目目で菅首相は、「政治改革と議員定数削減」と述べていた。内容は触れていないが、今年の参議院選の民主党マニフェストには、「2 政治改革」に「参議院の定数を40程度削減します。衆議院は比例定数を80削減します。」と書いてあった。参議院もほとんどが一人区なので、削減可能なのは比例区しかなく、衆議院は比例区を80削減すると言う。酷い・醜い・悪い政党もあるものだと思います。国民が重要なのではなく、自分たちの権力が重要であり、それを隠す。小沢氏の政党だから、仕方ないのかな?

費用削減のためというなら、政党助成金(政党交付金)を廃止すれば、簡単に可能です。それが、できないのなら、政党助成金をやめて、議員個人に議員活動助成金を払うことにすれば良いのですから。ここに政党交付金のWikiがありますが、これもおもしろいです。

・ 使途について制限がないので、飲み食いに使っても自由

・ 助成金支給日直前の政党の離合集散が起こる。

・ 解党時の使途が定められていないので、解党時の党首の政治団体に入金されるなど、不透明なカネの流れを生む。

今回の検察審査会の決定が、日本の政治を良くする方向に動くきっかけになって欲しいと私は望みます。

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2010年10月 3日 (日)

自然保護の重要性(山岳トイレ)

朝日新聞が、次の記事を掲載していました。

朝日 10月2日 山小屋のトイレがピンチ 事業仕分けで補助金廃止

自然を愛し、山を愛する人間にとっては、実に悲しいことです。しかも、環境省が率先して自然保護ではなく、自然破壊を望むのですから、更に悲しい。もう少し、私なりに見てみます。

1) 反対運動

反対運動が、どこまで、盛り上がっているか分かりませんが、長野県議会は環境省の廃止方針に対して、本年7月2日に意見書を決議し、内閣総理大臣、財務大臣及び環境大臣あてに意見書を提出しています。ここに、その意見書があります。

自然保護・環境保全を活動目的としているNGO・NPOは多いと理解しますが、環境保護を求め、トイレ建設補助金制度の継続を環境省に訴えるべきと考えます。

2) 補助廃止は環境省が決定した

内閣府行政刷新会議が事業仕分けで有名ですが、トイレ補助金廃止は、行政刷新会議が各府省に対して指示した事業仕分け作業(行政刷新会議の行政事業レビューのページ)で、環境省が独自に実施した事業仕分け作業(行政事業レビュー)で決定したのです。

事業仕分けを全面的に否定するわけではありませんが、深く考えずに、ムードや雰囲気による決定となる危険性があり、更には、理性より、声の大きさや非難・罵倒が勝ってしまうこともあることを承知すべきです。事業仕分けチームが戦前に存在し、大東亜戦争を対象としたら、参戦論ばかりで、反対したら非国民と言われた気がします。

そこで、環境省の行政事業レビューの結果ですが、ここに2010年6月30日付の中間報告があります。最後のページのリストの3番目の「山岳環境等浄化・安全対策緊急事業費補助」が、山岳トイレであり、廃止と書いてあります。

頭に来るのは、廃止理由の説明です。(頭にきたから、転載します。)

○本来、山岳地帯の景観管理に要するコストは入山者の方が負担すべきと考える。山小屋に対して、適切な使用料の徴収により、設備の整備及びメンテナンスを行う方向に改めるべきであろう。
○公共性の定義を明らかにして、国民に理解していただく必要がある。
○入山規制等の規則面の強化による自然・景観保全に重心を移すべき。

私からすれば、自然を愛する心を持たない、嫌な意見です。誰もが、自由に楽しめるのが自然です。空気を吸うことに対して料金は徴収できない。自然に触れることを規制なんて、とんでもないことと思います。観光立国とは、豊かな自然が残る国です。税を使って保持・保全していく必要があります。

どう考えても、この廃止理由は、私には、環境省とは思えないのです。環境省の役人は、良心を持って欲しい。バカの政治家なんかに動かされて欲しくはありません。

3) 環境省の方針

ここに環境省の「行政事業レビュー点検結果の平成23年度概算要求への反映状況について」という書類があり、16/32ページの181番です。廃止により1億2千万円節約とあります。

一方、ここに環境省の「平成23 年度 環境省重点施策」があり、盛りだくさんの政策が書かれています。この中で、驚くべきは、8ページ目(16/29)に”新しい発想による山岳トイレの時限的整備”と書いてあるのです。少なくとも1億2千万円は、どこからでも捻出可能なはず。私からすれば、バイオ燃料導入加速化事業の40億円なんて、環境省が実施するより、経済産業省が実施すべき事業と考えます。

もっとも重要なことは、何か?それを見失った時、方向を誤ると思います。

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