札幌地裁には驚きました
B型肝炎北海道訴訟に関しては、10月20日のどうするB型肝炎訴訟で書きましたが、第6回和解協議で、札幌地裁がキャリアーについても補償を検討するよう要請したというのには驚きました。
日経 10月27日 「未発症者も補償検討を」 B型肝炎訴訟で札幌地裁が国に要請
詳しくは、10月20日のエントリーを読んでいただきたいと思いますが、昔集団予防接種で注射器の針等を一人ごとに取り替えなかったのは、当時としては、ごく一般的に受け入れられていたと思うのです。針を変える等を主張すれば、集団接種を妨害する悪意のある人だと思われた可能性があると思います。当時は、幼児死亡率も今より高いし、結核で亡くなる人が多かったことをやっと克服し、予防接種に光明が見えてきた時代だと思います。なお、予防接種の当時は、B型肝炎は、未だそのウィルスが発見されていなかったのです。
その当時の、そうような時代背景や人々の考えを含め、集団予防接種についての詳細報告が欲しいのです。B型肝炎北海道訴訟で、原告の訴訟原因は集団予防接種なのです。
「国」として報道されていますが、「国」とは「国民全員」です。「国」が、お金を持っているわけではなく、国民の血税で支払われるのです。従い、政府は、国民に詳細報告をすべきです。
また、キャリアーとは、発病しておらず、一般の健康人と変わりがない人です。但し、どの時点かで発病するリスクは抱えています。従い、ウィルスが発見されれば、定期的に検査をし、発病すれば早期治療をすべきです。その費用について、集団予防接種が原因であれば、検査費用や治療費は、健康負担の自己負担を含め、全額政府が負担すべきと考えます。しかし、それ以上に保証金を支払うなら、原告は全国民に対して、その正当性を説得すべきです。原告弁護団のWeb(10月20日のエントリーでリンクをおきました。)では、説得力ある説明は見あたりませんでした。
もう一つ恐るべきことは、予防接種が個人レベルに移行しつつあることです。役所が、役人が、将来の訴訟を恐れて、安全策をとり、個人の選択であるとし、費用は個人負担であるとする方向になっているような気がします。せめて、健康保険の適用を認めたらと思うのですが。勿論、その場合でも、問題は残ります。予防接種法に基づく公費での救済が受けられない可能性です。どのような薬でも、予防接種でも、副作用はあります。個人により違うし、その日の体調によっても異なるので、事前に予測不可能です。そのような医療の不確実性を社会として、どのように取り組むべきかという大きな課題はあります。しかし、できることや社会のためになることはすべきです。そうならない一因に今回のようなことがあると感じます。
なお、予防接種に関して、内藤真弓さんが日経BPに途上国並みのワクチン行政 定期接種化で子供の病気防ぐべきを10月26日に書いておられました。私は、読んでいて、その通りと思いました。一方で、日経 10月25日 抗がん剤副作用、救済制度見直し要望 民間3団体という記事がありました。抗ガン剤に副作用があるのは、常識になっていると思うのです。こうなると、医療側は、患者から一切の不服を申し立てないとの書面を取ることになると思うのです。良識の範囲で、権利・義務を構築しないと社会が死滅するように思います。
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