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2010年11月21日 (日)

裁判員裁判での重大事件

裁判員裁判で、11月16日に死刑判決がありました。

神奈川新聞 11月17日 横浜沖バラバラ強殺:裁判員裁判で初の死刑判決、「執拗で残虐」/横浜地裁

1) 死刑判決

私は、死刑は好きではありません。もっとも、好き嫌いで言えば、ほとんどの人は嫌いであり、死刑を課すような犯罪がなくなることを望んでいるはずです。11月16日の横浜地裁の判決のニュースで、「控訴することを勧めたい」と裁判官が述べたことには驚きました。即ち、そんな軽々しい判断で死刑を評決したのかとの点です。しかも、判断基準として永山基準をよりどころにしたとあります。

一人の命を奪うのに、そんなことでよいのだろうかと思います。職業裁判官でないことから、永山基準にとらわれる必要はなかったはずです。そして、永山基準を述べた最高裁判決の1990年から死刑執行の1997年に至るまでの永山死刑囚の獄中のことも裁判員は知ることができた。刑事罰とは、被害者に代わって復讐を遂げるものではないと私は考える。例え、被害者が死刑を望んでも、宗教的すぎるかも知れないが「あなたには天国に行って欲しいから、私は無期懲役を主張しました。」という選択もあると思う。勿論、評議の秘密により、心の中でしか、述べることはできないが、心の中で述べても伝わる可能性はあると思う。死刑執行を命じる法務大臣や死刑執行官は三権分立の執行機関の人であり、裁判員は死刑の決定に関与をしていることを忘れてはならないと思う。日本国憲法第11条の基本的人権は、重いと思う。

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

2) 少年犯罪

少年犯罪は、裁判員裁判が適切なのだろうかと疑問を持ちます。

河北新報 11月20日 少年「厳しい処罰を」 断罪の瞬間、動揺も 石巻3人殺傷

少年の被告に対する死刑求刑です。もう一つ、少年事件の裁判を掲げます。

共同47 11月19日 同級生刺殺で不定期刑求刑 奈良地裁、裁判員裁判

少年(20歳に満たない者が該当し、女も少年です。)の刑事事件については少年法が適用され、少年法20条に次の定めがあります。この20条により検察送致となった場合は、原則起訴となり、重大事件の場合は裁判員制度による裁判となります。

第20条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

少年法は、少年の裁判に当たり、第50条で第9条の趣旨に従うことを求めています。

第50条 少年に対する刑事事件の審理は、第九条の趣旨に従つて、これを行わなければならない。

第9条 前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行うように努めなければならない。

また、少年法は、第55条で裁判所が保護処分に付するための家庭裁判所への移送決定もあり得ることを定めています。

第55条 裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

奈良地裁の裁判で弁護側は「心神耗弱だったのは明らか。家裁に移送後、医療少年院への収容を望む」と述べています。少年事件は、複雑な背景を持っていることが多い。少年法第9条の趣旨に従い時間をかけて審理をするのがよく、裁判員裁判には不向きだと思います。永山事件の永山則夫も少年で殺人を犯し、逮捕時19歳10月でした。一審だからとデタラメでもよいとはなりません。

3) 被告否認

裁判員裁判でも被告否認事件はあります。

南日本新聞 11月2日 鹿児島市・老夫婦強殺初公判 「全く知らない」と被告

裁判員にとって大変ではありますが、自分の良識に従って、どうどうと判断を下せばよいと思います。疑わしきは被告人の有利とする原則を守ることだと思います。もし、被告人が嘘をついていると判断できれば、有罪とし量刑を判断する。

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