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2010年11月 8日 (月)

法人税は、どうするのか?

11月5日の日経記事です。

日経 11月5日 経団連会長「負担同じなら口先だけの活性化」 課税ベース巡り

「実際の負担が同じなら口先だけの産業活性化。効果は出ない」や「欠損金を翌期以降に繰り越して所得と相殺できる制度の見直しについては、「赤字企業をさらに追い詰める。体を張ってでも阻止したい」と語った。」とあります。

ほとんどの企業経営者・企業関係者は、同じ意見だと思います。そうなると、何のために法人税改正をするのか、訳が分からなくなります。拙速な改正をしないで、多くの人の意見を素直に聞いて、また法人税のみを取り上げるのではなく税全体あるいは政府が税で何をすべきかや、今後の国債・政府債務問題も含めて検討し、信頼できる幾つかのシンクタンクの検討も聴取し、正しい議論を重ねて、長期的視野のもとで改正すべきと考えます。

でも、思いつくことを少し書いてみます。

1) 法人税率を5%引き下げる財源

11月4日の第7回税制調査会に提出された資料に「法人税率引き下げの財源措置の例」と言う表があり、ここで見ることができます。 法人税率を5%引き下げた場合は、1.4兆円~2.1兆円の税収減が予想され、それをカバーするための税改正の対象が10項目書かれており、各項目毎に実施した場合の税収増の予想が右端の欄に書いてあります。一番大きな税収増となるのが、地球温暖化対策税の約1兆7千億円。しかし、地球温暖化対策税は実施する場合は、目的が限定され、法人税の穴埋めにならない気がします。それ以外では、欠損金の繰越控除50%廃止で5000億円や減価償却を定額法のみとする8000億円があります。

法人税率引き下げをするなら、この表の項目から選ばれるはずであり、5%引き下げて、この中の項目を実施するなら、現行の税制の方が、よっぽど合理的です。事業仕分けで、税制調査会廃止を答申するのが良いのではと思ってしまいます。

2) 米倉会長の講演

11月5日経団連米倉会長の講演は、ここにあるのですが、冒頭に書いた発言は見あたりません。講演の後の質疑応答の部分ではと思います。講演の中で、「税財政・社会保障の一体改革」と述べておられます。民主党が主張していたのは、そのような改革であったはず。ところが政権を取ると、改革には見向きもせずに、小沢隠しや変なことばかりしているように思えます。

経団連の2010年9月14日の「平成23年度税制改正に関する提言」というのがここにあり、「II.税制抜本改革のあり方」に「(4) 社会保障・税共通の番号制度の早期導入」が書かれています。社会保障・税共通の番号制度の早期導入は、推進すべきであるが、政府はさぼっているとしか思えない。

米倉会長の講演にも、TPP交渉への早期交渉参加があります。TPPに関しては、日経 11月6日 TPP、協議開始を明記 閣僚委決定 農業改革方針、11年6月めど と報道されているように、日本の農業をどのように構造改革をしていくかが、今後の焦点のはずです。魅力あり競争力ある農業を育てていくことに、ほとんどの人は異論がないと思います。高齢化と耕作放棄地の拡大が進み、そうでなくとも構造改革が必要であることは事実です。農業の構造改革を税金を投入せずにすることは無理と考えます。法人税を財源として、農業の構造改革を推進して良いのではと思います。農業も企業も両者とも成り立っていくことが重要です。

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