2010年をふりかえって
1年の最後として、このブログで2010年に取り上げた話題で重大問題は何だろうかと思いました。ブログ主の偏見による主要課題です。
1) 税
年金や医療保険や他の社会福祉制度全般を含めた広い概念で考えています。成長を取り戻せば、増税なしで政府財政の再建が可能であるとの意見があります。しかし、政府財政赤字の主要因は社会保障費であり、12月24日閣議決定の2011年度一般会計予算(このMOFのページにあり。)では、税収40.9兆円に対して、社会保障費28.7兆円と、税収の70%が社会保障費です。
変な改正を盛り込んだ法人税率引き下げ案の2011年度税制改正大綱が決定したのですが、根本的な議論が何もなされていない。敢えて言えば、参議院選のときに法人税引き下げと消費税率引き上げの議論があったものの、選挙が終われば法人引き下げのみとなってしまった。民主党2009年衆議院マニフェストは、10兆円以上の財源をムダな支出削減により捻出すると読めます。本当は、その見積もり間違いの分析、国民への報告、対応策の立案がされるべきが、なされていない。それだけで、重大な犯罪行為に思えます。
アイルランドがEUとIMFの支援を受けることになったのは2010年11月であった。日本とは事情が異なるとの意見やアイルランド危機の原因は税制がその主因にあらずとの意見は、その通りと思う。しかし、アイルランドは欧州の経済発展の優等生であったのであり、日本も転落していく危険性については常に注意を払っておくべきと考えます。
2) 医療
医療問題も何一つ解決していない。あらゆる問題に共通であるが、特効薬は存在しないのであり、丹念に解決していかねばならないと思う。
例えば、2010年で、気になることは、医療ツアー受け入れ拡大の動きである。医療ツアーに反対するものではないが、国内向けの体制がおろそかになってはいけない。医師不足や地方における医療過疎化が進んでいるのであれば、その対策はおろそかにしてはならない。海外向けの例えば中国人を含む外国人富裕層向け医療サービスは、シンガポールやタイとの激烈な競争であろうが、日本に他国より優れた治療サービスが存在するのであれば、海外からも患者は必ず来る。それが市場経済である。
2011年もよく検討・研究をしていきたいと思います。
3) 裁判員裁判
裁判員裁判において死刑判決が3件あった。11月16日横浜地裁、11月25日仙台地裁と12月7日宮崎地裁の3件である。
死刑判決の裁判員に対する心のケアという言葉を耳にするが、心のケアの前に、裁判員としての義務と権利の行使について整理されているのかが気になった。憲法36条の「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」について、裁判員はどう考えたのかであろうか。死刑が残虐な刑罰に該当するなら、死刑回避に向けての発言をすべきであり、残虐でないなら、刑務官に死刑執行を命じ、被告の命を奪うことができる。判断がつかず、悩んだのだと思う。しかし、各人の憲法第36条の解釈は、永山基準より重く、重要である。このことは言いたい。裁判員は、永山基準より、自分の裁判員としての基準の方を優先すべきである。それが、裁判員裁判であるから。
永山則男は逮捕時まだ19歳10月の少年であった。国家権力が人の命を奪ってよいのか大いに疑問を持つ。11月25日仙台地裁の被告も少年であった。永山則男の獄中のことを考えると、死刑とは何も解決をしない手段とも思える。
来年もよろしくお願いします。
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