« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月31日 (金)

2010年をふりかえって

1年の最後として、このブログで2010年に取り上げた話題で重大問題は何だろうかと思いました。ブログ主の偏見による主要課題です。

1) 税

年金や医療保険や他の社会福祉制度全般を含めた広い概念で考えています。成長を取り戻せば、増税なしで政府財政の再建が可能であるとの意見があります。しかし、政府財政赤字の主要因は社会保障費であり、12月24日閣議決定の2011年度一般会計予算(このMOFのページにあり。)では、税収40.9兆円に対して、社会保障費28.7兆円と、税収の70%が社会保障費です。

変な改正を盛り込んだ法人税率引き下げ案の2011年度税制改正大綱が決定したのですが、根本的な議論が何もなされていない。敢えて言えば、参議院選のときに法人税引き下げと消費税率引き上げの議論があったものの、選挙が終われば法人引き下げのみとなってしまった。民主党2009年衆議院マニフェストは、10兆円以上の財源をムダな支出削減により捻出すると読めます。本当は、その見積もり間違いの分析、国民への報告、対応策の立案がされるべきが、なされていない。それだけで、重大な犯罪行為に思えます。

アイルランドがEUとIMFの支援を受けることになったのは2010年11月であった。日本とは事情が異なるとの意見やアイルランド危機の原因は税制がその主因にあらずとの意見は、その通りと思う。しかし、アイルランドは欧州の経済発展の優等生であったのであり、日本も転落していく危険性については常に注意を払っておくべきと考えます。

2) 医療

医療問題も何一つ解決していない。あらゆる問題に共通であるが、特効薬は存在しないのであり、丹念に解決していかねばならないと思う。

例えば、2010年で、気になることは、医療ツアー受け入れ拡大の動きである。医療ツアーに反対するものではないが、国内向けの体制がおろそかになってはいけない。医師不足や地方における医療過疎化が進んでいるのであれば、その対策はおろそかにしてはならない。海外向けの例えば中国人を含む外国人富裕層向け医療サービスは、シンガポールやタイとの激烈な競争であろうが、日本に他国より優れた治療サービスが存在するのであれば、海外からも患者は必ず来る。それが市場経済である。

2011年もよく検討・研究をしていきたいと思います。

3) 裁判員裁判

裁判員裁判において死刑判決が3件あった。11月16日横浜地裁、11月25日仙台地裁と12月7日宮崎地裁の3件である。

死刑判決の裁判員に対する心のケアという言葉を耳にするが、心のケアの前に、裁判員としての義務と権利の行使について整理されているのかが気になった。憲法36条の「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」について、裁判員はどう考えたのかであろうか。死刑が残虐な刑罰に該当するなら、死刑回避に向けての発言をすべきであり、残虐でないなら、刑務官に死刑執行を命じ、被告の命を奪うことができる。判断がつかず、悩んだのだと思う。しかし、各人の憲法第36条の解釈は、永山基準より重く、重要である。このことは言いたい。裁判員は、永山基準より、自分の裁判員としての基準の方を優先すべきである。それが、裁判員裁判であるから。

永山則男は逮捕時まだ19歳10月の少年であった。国家権力が人の命を奪ってよいのか大いに疑問を持つ。11月25日仙台地裁の被告も少年であった。永山則男の獄中のことを考えると、死刑とは何も解決をしない手段とも思える。

来年もよろしくお願いします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月28日 (火)

1000円高速より鉄道発展策を

12月7日に書いた東北新幹線全線開業に思うで、次の表を掲げ、鉄道のCO2排出量の優秀性を書いたのですが、日経 12月24日 高速新料金、平日「上限2000円」で合意 政府・民主 休日は1000円 というニュースがあり、バラマキが優先し、将来の展望が見えない現政権の政策に嫌になっています。政策を批判し論じるには、数字で検証することが必要です。そこで、もう一度電車のCO2排出量を検証することとします。

Railco2201012a

Railco2201012b

1) 新幹線のCO2排出量

東海道山陽新幹線のN700系の車両構成は16両編成で定員1,323名、電動機の合計出力が17,080kWである。時刻表を見ると速い列車は、新大阪から博多までの所要時間は2時間28分であり、途中停車が5駅であるので、1駅2分で合計10分停車していたとすると、距離553.7kmを2時間18分で走行することとなり、平均速度240.7km/hとなる。

240.7kmを走行ノッチ、回生ブレーキを含んだ総平均動力率を50%として計算すると35.5kWh/km、定員当たりは26.8Wh/人・kmの電力消費率となる。この結果からは、新大阪・博多間の電力消費量が19,656kWhとなり、以前にどなたかから聞いたことがある約20,000kWhとほぼ一致します。

JR東日本の新幹線としてE2系を考え、10両編成で定員814名。電動機の合計出力が9,600kWである。仙台から八戸まで280.1kmを1時間21分で走行する。盛岡停車が2分として、平均走行速度は212.7km/hとなる。山陽新幹線同様に、総平均50%動力とすると、22.57kWh/kmで、定員当たりは27.7Wh/人・kmの電力消費率となる。

電力消費量とそれに関係するCO2排出量は、JR東海・西日本の新幹線もJR東海の新幹線もほぼ同一と考えてよいと判断する。むしろ、乗客数の増減に対して電力消費やCO2排出量の変化がほとんどないことから、乗車率による変動が大きい。乗車率の変動による電力消費とCO2排出量のグラフが次である。なお、定員100%乗車率の場合の電力消費率は30Wh/人・kmとし電力のCO2排出係数は428g-CO2/kWhとした。(電力CO2排出係数は、エネルギーバランス表からの計算であり、自家発電等も含んでおり、電力各社が発表している数値より少し高い。)

Trainco2201012a

2) 在来線電力消費量

JR東日本の通勤用E209電車は10両編成で電動機総出力1,520kWです。走行時の平均時速60km/hでその総平均動力率を35%とすると、886Wh/車両・kmとなります。1両当たりの定員は、156名なので5.7Wh/人・km(CO2排出は2.4g-CO2/人・km)となります。座席の数では1両54人なので、つり革で立っている人がいない場合は、46.4Wh/人・km(CO2排出は19.9g-CO2/人・km)となります。

通常電力消費は1kWh/車両・km以下と言われており、座席数は長距離であれば80席程度のこともあり、乗車率50%の場合は、25Wh/人・km(CO2排出は10.7g-CO2/人・km)となります。

在来線の電車はCO2排出という面では、非常に優れています。

3) 日産リーフ

日産リーフの主要諸元がここにあり、電力消費率は124Wh/kmと書いてあります。2人で乗れば62Wh/km、3人で41Wh/km、4人で31Wh/kmとなり、4人乗りの場合が新幹線とほぼ同じになります。

4) ガソリン車

ガソリン1リットルを消費した時に排出されるCO2の量は2,312グラムです。燃費が10km/Lのガソリン車の場合は、231g-CO2/kmであり、20km/Lの車では115.6g-CO2/kmであり、30km/Lの車では77.1g-CO2/kmです。リーフの場合の124Wh/kmは、53.1g-CO2/kmと計算されるので、リーフの方が、CO2排出量は少ないと言えます。

結論

鉄道はドアツードアの交通手段ではなく、駅までの交通が必要であり、乗換も必要です。従い、本当は車と鉄道がよく連携されたシステムがよいのだと思います。鉄道だったら、家族や友人とだべったり、本を読んだり、寝たりすることができます。一方、充電済み電気自動車が駅で安い価格でレンタカーとして借りることができれば、いいなと思います。

1000円高速を続けて鉄道を破滅に追いやることはよくない政策と思います。社会全体が豊かになるような政策をすべきだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月26日 (日)

検察特捜部に望むこと

無罪が確定した村木さんの郵便料金不正事件や大阪地検特捜部による証拠資料改ざん・隠蔽について、最高検は24日、検証結果報告書を発表しました。

1) 特捜部

検察庁の特捜部(特別捜査部)とは、検察庁事務章程第5条により、東京、大阪と名古屋の地方検察庁に置かれた組織であり、財政経済関係事件及び検事正があらかじめ指定する事件の捜査及び処分の決定に関すること他を所管事務としている。政治家や大型経済事件の場合は、犯罪者も高度な知能犯であり、犯罪捜査には高度な能力が必要となります。例えば、特定の者に利益供与をしても、それをある政策の実現であると主張することはあり得ます。そのような悪に対して立ち向かっていく組織は、やはり検察の中でも、その専門組織として存在する必要があると考えます。

特捜部不要論を耳にすることがありますが、それは行き過ぎであり、特捜部がしっかりして欲しいと望みます。

もう一つ、特捜部不要論としては、犯罪捜査は警察に一任し、検察は公訴に専任すべきであり、同一機関が捜査と公訴をすることの弊害論です。この場合、刑事訴訟法第191条第1項の「検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。」との定めを削除することとなります。しかし、191条1項は、特捜部が必要であると考えると共に、現在の国家公安員会と警察庁並びに都道府県公安委員会と都道府県警察制度を維持することがよいと考えます。即ち、現制度では警察行為は都道府県警察が実施しているのであり、その捜査についての補完は検察庁がすべきであり、警察庁ではないと考えます。

警察は犯罪捜査を行うのみならず、パトロールのような犯罪防止、治安維持の行為も行うのであり、戦前のような巨大な警察権力が存在すると、その弊害も考えられます。現在の警察制度は、1947年に始まった自治体警察制度を、1954年の警察法改正によりスタートしており、警察制度という国民の生活に密接に関係している制度の改正は、十分な検討を要すると考えます。

2) 凛の会郵便不正証明事件

凛の会が不正な証明書を受けて郵便の不正な割引を受けたことは事実です。この2010年2月19日のMSN産経ニュース 【郵便不正】障害者団体元会長に求刑1年6月は、「正規料金との差額約3億7700万円を免れたとされる。」とあります。

次の朝日新聞にあった今回の検証報告(要旨)には、凛の会の倉沢被告が村木さんに証明書の発行を要請し、村木さんから証明書を受け取ったと供述したとあります。

Asahirinnokaimuraki

村木さんは、犯行には関係していなかったのであり、真犯人を放置することでよいのかとの疑問が発生します。担当係長であった上村被告の単独犯でしょうか?その点について捜査力を保有しているのは、特捜部以外にないだろうと思います。

村木さんのことについては、倉沢被告の話を信じ込み、それ以上の捜査をしなかったことも大いに批判され、反省されてよいものと思います。特捜部の不十分な捜査も批判されるべきです。過去に、ロッキード事件というのがありましたが、あの時も児玉誉士夫については、米側資料により一番多くの金銭を受け取っていることが分かっているが、特捜部は手を出せていない。もっと、しっかりして欲しいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月23日 (木)

首相と外相、何のための沖縄訪問

本日(23日)の琉球新報と沖縄タイムスの社説を読むと、菅首相と前原外相は沖縄の反発や反感を買うために沖縄を訪問したと思えます。

琉球新報 12月23日社説 学校移転発言 優先すべきは住民生活だ

沖縄タイムス 12月23日社説 [沖縄詣で]表面の誠意その本意は

その通りと思います。沖縄タイムスの社説にあるように「日本政府が今、頭を下げてお願いすべき相手は、沖縄県ではなく米国政府である。」が正しいことであり、その努力をせずして、「危険性除去対策として県が要望すれば、学校など周辺施設の移転を政府は検討する。」なんて発言をすれば、反発や反感は当然のことと思います。

米国政府との交渉の可能性

本当は、沖縄の人達が私なんかよりよく知っておられると思います。かつては、琉球王国として日本とも中国とも外交努力により独立国として維持してこられたのですから。でも、私が思うことを書いてみます。

1) 普天間部隊のグアムと岩国への移転

普天間部隊のグアムと岩国への移転を取り決めているのが2006年5月1日の再編実施のための日米のロードマップ(外務省仮訳はここ)で、この関連での普天間に駐留する第3海兵隊の移転に関する協定が2009年2月17日の協定でここにあります。

合意されていることは、

・ 普天間や岩国にいる約8000名の第3海兵隊の要員と、その家族約9000名の、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転すること

・ 普天間にいる第3海兵隊KC-130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場へ移転し岩国を拠点とする。訓練及び運用のため、海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的に展開する。

2) 本質論

グアムと岩国に移転した後に沖縄に残る第3海兵隊の部隊は何人であるのか又どのような任務かも不明です。そして、沖縄タイムスに次のような記事もありました。

沖縄タイムス 8月17日 [海兵隊再検証]米議会ですら不要論も

確かに1)のリンク先の日米のロードマップには、1800mV字型滑走路のスケッチが添付されています。これを、一部手直しで進めることは、誰にでもできること。

本当の外交とは何でしょうか?過去の合意であるとして、外交をせずして、国内に負担を押しつけるのが首相や外相の役割でしょうか?これ以上は、全て2つの社説が語っているので、私が付け加えないほうがよいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月22日 (水)

JR西日本尼崎事故裁判

裁判に関する2つのニュースがありました。

時事ドットコム 12月21日 「ATS整備怠る」検察指摘=前提誤りと弁護側反論-JR西前社長初公判・福知山線

時事ドットコム 12月22日 ATS設置義務、民事は認めず=福知山線事故で-車掌の復職請求は却下・大阪地裁
日経 12月22日 JR事故で乗務、原告の車掌復職認めず 大阪地裁

車掌の民事裁判については、時事ドットコムと日経でニュアンスの違いを感じたので、2つ記事リンクを載せました。

1) 山崎元社長の刑事裁判

2009年7月9日のJR福知山線脱線事故で山崎正夫社長起訴で書きましたが、刑事裁判の意義に疑問を持ちます。不起訴にすべきであったと。即ち、刑事罰に問われる以上、被告に真実を語るように強制することはできません。例えば、刑事訴訟法311条第1項には「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。」とあります。自信がなければ、「覚えていません。」で正しいのであり、刑事裁判とは真実を証明する場ではありません。刑事裁判は、検察が起訴した容疑者が刑事罰を受けるべきか、受けるとすればその刑の重さについて判断する場です。

容疑者は、刑を受けたくありませんし、今回の事件のような場合であれば、改善すべき点の問題点の追求に協力するより、自分自身が無罪になることを優先します。当然のことです。

尼崎事故は、酷い事件と思いますし、許せないと思います。JR西日本は被害者に最大限の償いをすべきと考えます。そして、事故の再発に向けて、他の鉄道会社の参考にもなるような事故に関する報告書を出すべきと考えますし、山崎元社長は率先してそのような活動をすべきと考えます。

しかし、刑事罰はと言うと、起訴をすることにより、山崎元社長をそのような活動から遠ざけ、ひいてはJR西日本にも山崎元社長のトカゲのしっぽ切りにする口実を与えかねないと思います。それからすると、検察は起訴すべきではなかった。村木厚子氏の起訴のようになりましたが、一方で、偽の障害者団体証明書である凛の会に郵便料金を安くするために証明書が不正に発行されたのは事実のはずです。その犯人は誰でしょうか?Webを探すとこのJanJanNewsのようなのも出てきます。まさかと思う次第で、真偽の程は全く解りませんが、検察批判にもやはり色々な種類があるようです。

2) 車掌の民事裁判

このニュースに接するまで車掌の復帰について民事裁判で争われていることを知りませんでした。時事ドットコムと日経を見てもニュアンスが異なるし、判決文も読んでおらず、的確なことは言えません。しかし、この様な予期しない事故に遭遇したら、動転してしまったとしても、それを責めるのは行き過ぎだと思います。事故報告書を読むと、次のような記述があり、そのような状態になるのだろうと思いました。(事故報告書154ページ)

2.17.1.1 本件車掌の対応
本事故発生直後の対応について、本件車掌は、次のように口述している。
それまでの経験では事故か何かあれば運転士から連絡があったのだが、本事故のときは本件運転士から何も言ってこなかった。このため、無線で輸送指令員に報告しようと思ったが、列車無線機は「ツン」とも「スン」とも言わなかったので、9時19又は20分ごろ業務用携帯電話で輸送指令員に報告していたところ、乗客から脱線している旨伝えられたので、7両目運転室右側の窓から顔を出して見ると、下り線上に車両があったため、脱線している旨輸送指令員に報告した。なお、列車の左側は見なかった。
輸送指令員から運転士を見てきて欲しいと言われたので、運転士のところに行くための準備をし、降車する前に防護無線のカバーを破りボタンを押したが、発報する際の「ピピピ」という音が出ず、反応がなかった。運転室右側の乗降口から線路に降りて前方に行き、途中で線路右側のフェンスから道路に出て、下り線上の車両の前方に行ったところ、本件列車から多数の乗客が降りてきていた。
大変なことになっているので警察、消防に連絡するよう、通話状態のままで持っていた業務用携帯電話で輸送指令員に言った。しかし、うまく説明できなかったので、「何を言っているのか判らない」と輸送指令員が言っていた。車両の数を数えたが、6両しかなく、あせってパニックになった。どれが1両目か分からなかった。
輸送指令員から「運転士と替わって」と繰り返し言われたので、そばにいた別の列車の運転士に業務用携帯電話を渡した。そのときは、この運転士が対向運転士と思っていたが、後で聞いたところでは、後続運転士であった。
その後、負傷者に声をかけたが、乗客に頭を下げるので精一杯で、ほかのことはできなかった。その後、警察官が来ていろいろ聞かれた。そして、大阪支社の輸送課員が来たので、二人で警察署に行った。
自分は、運転席の椅子で左の脇腹を強く打ったが、病院には行っていない。強く打ったと言っても、運転士の椅子がクッションとなり、それほど酷くはなかったと思う。

事故の発生時間は9時19分00秒後頃と推定され、救出のために乗客や一般の人が車両の屋根にのぼったりしていたのですが、1500ボルトの架線(き電線)には10時3分51秒まで電気が流れ続け、触れたら感電死する可能性がある危険な状態であったのです。(報告書158ページの表36)45分間も裸線に高電圧が流れたのですが、予期せぬ事故が発生した時に、的確な情報を入手し、全体像を把握して、適切な措置を下すことの難しさがあります。45分は長すぎると思うし、検証をし、今後の対策に役立てるべきと思います。

3) 事故原因

事故原因はJR西日本(果たしてJR西日本のみの止まるのかどうかよく判りませんが)の例えば日勤教育に代表されるような形骸的な組織運営の体質がその原因として存在すると思います。そして、それはATS設置より本質的な問題であると思います。

実は、私たちも本質に迫るのではなく、ともすれば形式的に言い訳的に反応して、何かをする。形骸化していないか、時には振り返ってみる必要もあることを、この事故は物語ってはいないでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

参議院の選挙制度改革

東京高裁を含め幾つかの裁判で、7月の参院選において1票の格差が5倍以上もあったことが違憲であるとする判決があり、参議院の選挙制度改革が、今後の議論の一つです。そのような中で、参議院西岡議長がドント方式による比例9ブロック案を提示したとのニュースがありました。

時事ドットコム 12月22日 参院議長が比例9ブロック案=選挙区は廃止、格差1.15倍

もし、この案にするなら、非拘束名簿のドント方式ではなく、中選挙区のような、個人戦(議員を選出する選挙)にすべきと思います。

政党を選ぶのではなく、人を選びたいと思います。

ドント方式では、政党に属していないと立候補ができず、当選してからは党の方針に縛られてしまう危険性を感じます。次の選挙でも当選したいと思えば、次も党から公認を得たいわけで、(自覚をしていなくても)正義より党(議員個人)の利益を優先してしまう恐れです。国民のための政治ではなく、政党のための政治になってしまいます。今の民主党を見ていると、つくづくそう思います。

二大政党制とか政権交代とかは、国民のための政治にならず、議員のための政治なのだという感覚を最近よく感じます。比例ではない、複数選出制9ブロック選挙になったら、頭角を現す人や、国民との対話(Netを通じてでもよいと思います。)を重視して、活動をする議員も増えると思います。対話とは、一方的に陳情を聞くのではなく、国会報告を含め自分の考えを述べ、国民の意見も聞くことです。そして、自分の様々な政治テーマについての研究を発表するのです。政党助成金は議員活動助成金とします。助成金の一部を使って、シンクタンクやコンサルタントに研究委託をし、その結果を公表すればよいのです。(自分の意見と異なる所があれば、自分のコメントを付せばよいのです。)

ネットが一つの政治を国民の身近なものに引き寄せる手段であると思うし、この際、時代変革に対応した制度にすべきと考えます。参議院では政党よりも議員個人の活躍が期待できるなら、日本の政治も相当よくなるのではと期待するのですが。

蛇足ながら、時事ドットコムに記載ある9ブロック案の議員数は、総議員数であり、参議院の場合は、半数毎の3年おきの選挙です。従い、選出議員数は最小の北海道ブロックにおいて6名であり、最大の南関東ブロックで22名です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月20日 (月)

今後の政局

無責任なつぶやきです。小沢氏と菅民主党代表の会談結果も、実は予想通りだったんですよね。

日経 12月20日 首相「協力すると言った」 小沢氏「冷静に冷静に」 政倫審出席、堂々巡りの密室90分

これで小沢氏一派は、12月31日までに新党を立ち上げるのだと思います。そうすれば、1月1日に衆議院議員と参議院議員合計で5名以上の政党が存在するので、政党助成金を受け取ることができる。仲間とチルドレンが集まれば、簡単なこと。政党助成法とは、デタラメ法もいいとこのような気がします。議員活動助成法に変更すべきと思います。

次に、小沢氏の証人喚問ですが、小沢氏が抜けた民主党も反対に回れないだろうと思うのですが、あり得るのは小沢新党が、証人喚問に賛成すれば、内閣不信任を出すと、脅かすことであろうが、どうなるのでしょうが?所詮、ヤクザの出入りの感がします。

無責任なつぶやきでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月19日 (日)

2011年度税制改正大綱

やはり、2011年度税制改正大綱については書いておかねばならぬ気がしました。日経ニュースと税制改正大綱です。

日経 12月16日 「つぎはぎ」の税制改正、900億円減税 大綱を決定

平成23 年度税制改正大綱 平成22 年12 月16 日

1) よく分かりません

日経は「つぎはぎ」と表現しているのですが、無思想で下手をすれば悪用される懸念さえ感じます。大きな改正を盛り込んでいるが、全体のデザインが不明で、よく錬られておらず、思いつきでデコレーションをしているようです。与党分裂の可能性は、税制改正案を見てもあるのではと思ってしまいます。

2) 法人税

話題になっていた法人税率は25.5%としたのですが、その結果について、東京都23区の法人を想定して、法人税、地方税(法人都道府県民税と法人市町村民税)および事業税の税率を整理すると次のようになります。(資本金1億円超の外形標準課税の場合にも、事業税は、10.08%相当であるとしています。)

表面税率 実効税率
現行 大綱 現行 大綱
法人税 30.00% 25.50% 27.25% 23.16%
地方法人税 6.21% 5.28% 5.64% 4.80%
事業税 10.08% 10.08% 9.16% 9.16%
合計 46.29% 40.86% 42.05% 37.12%

約5%税率が下がるのですが、そのうち国税分が約4%で、地方税(地方自治体分)が約1%です。資本金1億円超の法人に対して外形標準課税がある事業税は完全に廃止して、全てを国税とし、法人所得に関係なく人口に応じて配分する地方自治体への分与税でもつくった方が、合理的と思います。

税制改正大綱の79ページから法人課税が記載されているが、(i) 減価償却制度の定率法250%を200%にし、(ii) 資本金1億円以上の企業(大企業)の繰越欠損金の控除限度額を所得金額の80%にし、(iii) 貸倒引当金を銀行等を除き大企業には認めず、(iv) 寄附金の損金不算入は国、地方自治体に対する寄附を除き限度額を現在の50%に変更することが述べられており、これらは全て増税です。

減価償却制度について、私は12月12日に損金経理要件をなくすべきと書きましたが、大綱は逆に損金経理要件をそのままにして償却限度額を厳しくしました。即ち、事業年度の初めに投資をしたら10年償却資産であれば初年度25%を償却費として損金処理可能であったのが20%になりました。投資は借入金とあわせてするのが通常であり、所得金額より大きくその数倍の場合もあります。例えば、所得金額を100として、その2倍の10年償却資産の投資をした場合、納付税額は20となる[(100-200÷10x250%)x40%]。所得100の40%の40の税が20節約できたことになります。ところが、今回の改正では税率が35%になったにも拘わらず、税額は21で、増税となります。[(100-200÷10x200%)x35%]初年度のみで比較することは、適正さを欠くかも知れませんが、事業とは先になればなるほど、不確定要素が多くなり、新規投資の直後に節税を図かれることは、魅力的です。そして、何より、投資促進効果があるので、景気対策として効果があります。現政権の政策は、変だと思います。

繰越欠損金については、何度も述べているので、省略します。貸倒引当金についても酷いと思います。現行の制度で、大企業は過去3年間の貸倒実績による計算でしか貸倒引当金が認められていないのです。それ以外には、例えば、相手方の民事再生法や会社更生法の申請の結果として、債権の50%の貸倒引当金が認められます。この部分の詳細が不明ですが、現行で合理的と思える制度を何故改正する必要があるか理解に苦しみます。

寄附金の損金不算入額にしても、議論もなしに半分にするのは、許されるのかと思います。特定公益増進法人等に対する寄附金は同額の増額をするとのことですが、各企業の実態を余り知らず、何とも言えませんが、結果としては、資本金100億円で税引後利益12奥程度の会社であれば、寄附金の限度額は従来37百万円であったのが19百万円となります。いずれにせよ、判断できるだけの資料がなく、法人の寄附の実態についての情報を開示し、国民に議論を呼びかける必要があると思います。

3) 所得税(給与所得者の特定支出)

所得税法57条の2の「給与所得者の特定支出の控除」を対象とする特定支出は、通勤費、転任費用、受講費用等に限られ、これらの合計支出額が給与所得控除を超えた場合に給与所得を調整する仕組みでありました。大綱では、特定支出として図書費、衣服費、交際費及び職業上の団体の経費も認め、合計額が給与所得控除の50%を超えるた場合に、調整することに変更しようとしている。次のグラフが、給与所得控除の額と特定支出の足切り額であり、この足切り額を超過した特定支出を所得金額から差し引くのが大綱の案です。(グラフには、現行の給与所得控除の金額も青の点線で書きました。)

2010_2 

給与所得者の特定支出が給与所得控除の額を超えるのは特殊な場合で、従来ほとんど適用はありませんでした。事業所得等の場合は、必要経費が認められます。但し、家事関連費等の必要経費不算入の制度により交際費でも事業関係でなければ、必要経費として認められません。図書費、衣服費、交際費については、プライベートな支出とも密接に関係します。そもそも、線引きが困難であるから、給与所得控除として給与額から計算した金額を給与所得控除として差し引くことにしています。

特定支出で所得金額を差し引くことがほとんどなかったことの理由には、例えば通勤費や交通費は会社から全額支給されるので、個人負担がなかったことがあります。足切り額を下げたことにより、会社が個人負担として押しつけやすくなったことを懸念します。例えば、会社負担の通勤費は月1万円までとか、仕事での車の使用は全て個人負担とか、制服も個人負担とか、労働者が弱くならざるを得ない不況の時にこんな制度を導入して、どのような考えでいるのかと思います。交際費に上司への付け届けが含まれるなら、嫌なことになります。あるいは、会社は交際費を嫌って、飲食やゴルフ接待は個人負担としたり、悪影響が懸念されます。連合は行政刷新担当大臣をクビにできるか?を書きましたが、現政権は労働者の敵だと思えます。

4) 証券税制の歪みの延長

預金利息が20%の税率であり、上場株式売買差や受取配当は10%の税率というのは、歪みと呼ぶべきと思います。株式投資と預金を比較すると、預金はリスクなしで、株式は投資先が倒産しなくても株価下落や日本航空株式のようにゼロ価値になることがあり得ます。やはり、株式投資は余裕資金がある人、少なくともある程度はリスクにさらしてもよい金銭資産を保有している人しか手を出せないのが基本だと思います。即ち、証券優遇税制とは、中間層以上で、富裕層になればなるほどその恩恵を受ける税制です。

預金、証券を含めた金融商品に関する税制は、総合課税であるべきです。そうすれば、低所得者が苦しい中から預金をしてもその利息に課される税は低くて済みます。年金と預金で暮らしている高齢者も税が少なくて住みます。また、証券投資で損をした場合でも、その損金額で所得金額が低くなれば、税額は少なくなり助かります。証券投資をする多くの人にとっても、儲けた時に税を払い、損をした時に税が安くなるのは、合理的な税制です。株式投資売買損益の中でしか合算(損益通算)を認めない制度は、証券市場の合理的な発展を阻害していると思います。

なお、「退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長します。(94ページの下から)」とありますが、これは法人税法第2章のことで租税特別措置法68条の4で平成23年3月31日までの間に開始する事業年度の退職年金等積立金については適用が停止されています。引き続き平成26年3月31日まで延長するとの意味です。しかし、そもそも制度がおかしいのであり、廃止すべきです。即ち、年金として積み立てた積立金に法人税1%と地方税0.173%の合計1.173%を徴収する税制です。運用益より税の方が高ければ、マイナスです。それでなくても、公的年金が破綻しつつるある所に、企業年金にも不合理な税を課して制度を破綻させるようなものです。

参考として総合表を作成しました。税制は合理的であるべきです。

資金拠出 運用益 資金回収
預金 税後所得 20%課税 非課税
上場株式 税後所得 10%課税 売却益の10%
公的年金 税前所得 非課税 総合課税(公的年金控除あり)
企業年金 税前所得 残高の1.173% 総合課税(公的年金控除あり)
個人年金 税後所得 非課税 総合課税(拠出時と受取時差額に対して)

今回の大綱においては、少し高額所得者に厳しかったので、証券税制ぐらいは延長したいとしているなら、せめて納税者番号制を延長期限の2年後には実施し、金融課税を合理的な総合課税に移行するとの決意を示すべきと考えます。

でも、ねじれ国会でどうなるのか、観察しましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

外交に自信がない現政権

12月17日に政府は「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について」と「中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)について」を閣議決定しました。

「島嶼部に対する攻撃への対応」なんて言葉があったりして、中国を意識しているように感じます。日経の次の記事もそんなことを読み取って、書かれていると思いました。

日経 12月18日 新防衛大綱、中国けん制鮮明 海空重視し南西シフト

今後10年間の防衛方針に関する大綱であれば、目先のことより10年間の基本方針を記載すべきであるが、外交に自信がない内閣であるから、島嶼部に対する攻撃への対応と言わなければ、外交問題を国民に批判されるから、これで逃げようとしているように思えてしまいます。日本国憲法の平和主義とは、外交を何にもまして重要視することであると考えますが、この新防衛大綱はずれている気がします。

ところで、「防衛計画の大綱について」という文書は、英文でも発表(SUMMARY OF NATIONAL DEFENSE PROGRAM GUIDELINES, FY 2011-、リンク先ここ)されているのですが、中国について次のように書かれています。

IV. Basic Policies to Ensure Japan’s Security
3 (3) Japan will promote confidence and cooperation with China and Russia.

これに相当する日本語を探したが、次の部分と思います。これって、二枚舌?

この地域の安全保障に大きな影響力を持つ中国やロシアとの間では、安全保障対話・交流等を通じて信頼関係を増進するとともに、非伝統的安全保障分野等における協力関係の構築・発展を図る。特に、中国との間では、戦略的互恵関係の構築の一環として、様々な分野で建設的な協力関係を強化することが極めて重要との認識の下、中国が国際社会において責任ある行動をとるよう、同盟国等とも協力して積極的な関与を行う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月12日 (日)

法人税の合理化

法人税率引き下げ結論持ち越しとのニュースですが、そもそも税収よりも国債発行高の方が大きいという予算で税率引き下げは、筋が悪いと思います。

日経 12月12日 法人税率5%下げ、財源巡り結論持ち越し 政府税調

欠損金の繰越控除を企業に不利にすることは、赤字で苦しんでいる企業の苦しみをまったく理解できていないと言うべきであり、証券税制の優遇は廃止すべきであるが、所得税の合理化を法人税引き下げの税源に議論もなしにすることは、無理がありすぎと考える。

1) IFRSと法人税

東京財団が12月に「日本のIFRS(国際財務報告基準)対応に関する提言」という政策提言を出した。(ここにあります。)IFRSの2015 年ないしは2016 年に強制適用との話もある中、強制適用には問題ありと論陣を張っており、私自身強制適用することは問題や弊害が多いと思っており、興味深く読みました。

なお、IFRSが強制適用と言っても、上場会社の連結対象となる子会社を除き、非上場の会社には現状でも適用される予定はないことを認識しておいてください。また、IFRSを積極的に適用し、IFRSによる財務諸表による会社の情報公開を積極的に行い、有利な資金調達やビジネスの展開を図ろうとする企業は、早期適用を含め大いにIFRSを利用すべきだと考えます。IFRSの一般的な説明としては、私はこの日本公認会計士協会のパンフレットが一番分かりやすいと思います。

一方、日本の法人税制がIFRSを採用しようとする企業の足を引っ張るようなことになってはならず、税制は中立であるべきです。

2) 減価償却とIFRS

IFRSで定率法による減価償却が認められるかどうかとの議論があります。有形固定資産の利用方法は、その企業が決定するのであり、その減価償却方法は他企業と異なって当然と言える。しかし、日本では多くの企業が税法基準を採用しており、税効果会計の適用以前には実例として「税法基準による。」とさえ書いてあった財務諸表にお目にかかったこともある。

有形固定資産の減価償却に関して、法人税法と所得税法で条文が次のように異なるのである。

法人税法第31条①
内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として・・・損金の額に算入する金額は、・・当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額・・・のうち、・・政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。

所得税法第49条①
居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として・・・その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、・・・政令で定めるところにより計算した金額とする。

所得税法には、「その償却費として損金経理をした金額のうち」という制限がついていません。その理由は、個人の場合は、帳簿作成の義務がないことと、法人については次の企業会計原則の一般原則第7を税法でも踏襲している結果と思います。

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる型式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない

しかし、IFRSにおける財務諸表の概念を述べている概念フレームワークには企業会計原則では馴染めない部分があり、法人税法の損金経理要件と呼ばれている「損金経理をした金額・・・のうち」という部分を条文から削除すべきと考えます。

定率法の償却率を定額法の250%とする改定の結果、固定資産税の課税標準額は帳簿価額と違ってきました。目的毎に異なった資産価額が存在して構わないと思うし、損金経理にこだわるのはおかしく、そもそも税と財務報告は目的に応じて、合理的であるべきと思います。税目的と財務報告目的は、それぞれ最も合理的な方法を選択すればよいはず。仮に減価償却方法が異なっても、最終的に減価償却費の合計は、その資産の取得価額と一致します。

日本公認会計士協会が2010年6月に出した平成23年度税制改正意見・要望書がここにありますが、要望事項1が「会計基準の国際的統一化に対応し、損金経理要件を中心とする確定決算主義の在り方を弾力的に見直すこと」となっています。

3) 歳入庁構想

歳入庁をつくることも、もっと積極的に推進すべきと思います。社会保険制度の統一のために歳入庁が必要だと思うし、地方税も多くの事務所・事業所を持っており複数の都道府県・市町村に申告がまたがっている法人は事務が大変ですし、源泉徴収票は就業者ごとの多くの市町村役所に送付せねばならない。事業税という変な税金もあるし、個人所得税は前年所得で課税されるし、これらは全て歳入庁を設立し合理的に運用すれば解決するはず。

産業が発展する方向であり、国民が豊かになる方向での税改正を望むのですが、一部だけに恩恵が向いてしまう税改正にならないよう、また基本は国債に依存しないための歳入確保であることを忘れてはならないと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月11日 (土)

海老蔵の密輸疑惑

ニュースは、単に消費税脱税とのみ伝えていますが、税関に申告しなかったら、密輸です。

12月10日 MSN産経 海老蔵、今度は脱税? 麻央に贈った婚約指輪に疑惑

実は、この男どこまで信用がおけるのか、相当の問題児と思った方がよいのだろうとの印象を受けました。もし、宝石業者が手続きをしたならば、密輸は直ちに営業停止のような状態になるので、そんなリスクは犯さない。本人又は知人であれば、その可能性があるが、普通に考えれば本人が飛行機の中で申告書を渡されるが、それを無視した。

このダイヤの指輪については、次の朝日の記事のようにモナコ公演の際に海老蔵が現地で購入と書いてあるが、本人が言ったのであろうが、真実は疑問である。

朝日 2010年1月30日 麻央は1000万円婚約指輪に230万円振り袖

次のデイリースポーツの記事によれば、2009年年末に2人はそろってハワイに行っていた。

デイリースポーツ 2009年12月30日 海老蔵と結納の小林麻央“厳戒帰国”

ダイヤ指輪は、2009年12月に2人でハワイで買った。そうであれば、密輸記事が伝える米国からの輸入と辻褄が合う。

芸能ニュースは取り上げたことがなかったが、この男については犯罪の疑惑が感じられるし、歌舞伎界も相撲界同様徹底的にうみを明るみに出さないと問題が多い可能性があると思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月10日 (金)

連合は行政刷新担当大臣をクビにできるか?

次のニュースを読んで思いました。事業仕分けは行き過ぎており、有効なガバナンスやコントロールが効いていない。それは、担当大臣他の能力のなさの結果である。

10月と11月の政府の第3弾事業仕分けは、内容が劣悪になり、魔女狩りを超え、暴力行為になっていやしないかと感じる部分があります。そんなこを感じつつ、読んだのが次のサンスポのニュースです。

サンスポ 12月2日 連合から仕分けに

1) 社会復帰促進等事業の廃止を結論

サンスポが報道している事業仕分け結果はここにあり、10月27日のA-5で「労災保険の社会復帰促進事業については原則廃止という結論にさせていただく。」と書いてあります。社会復帰促進事業とは、労働災害を受けた労働者が職業に復帰することを支援する事業で、この愛媛労働局の説明が内容をよく説明していると思います。そして、サンスポの記事にあるように、”企業が倒産した際、退職に追い込まれた労働者の未払い賃金を国が立て替える事業を含む”と書いてありますが、このような内容も含む重要な事業です。

バカの仕分人と言うべきか、仕分人として選任されたから、その任務を精一杯忠実に果たそうとしている人達だから仕方ないのかも知れません。

なお、特別会計が悪で、一般会計が善と考えるのは変であり、呼び名を変えるだけであれば意味はない。保険事業のように、政府保険事業とするが保険料算出等のために特別会計にし、他の会計と混同しないとするとい選択は正しい。

2) 労働災害保険とは

何故民間労災ではなく政府労災としているのか、弱者でありうる労働者の権利を政府という強制力を持つ機関が実施することにより国民を守ることとしたのがその基本と考えます。ところが、事業仕分けの中では、次のようなコメントさえ見受けられます。

● 社会復帰促進事業は受益と負担の関係が崩れていて必要ない。
● 労災保険は認定を除いて自動車自賠責保険のように民営化・業務委託を検討すべき。
● 労災保険勘定については、民営化の検討をすべき。

一方で、格差拡大というべきか、貧困の拡大と言うべきか、弱者や低賃金労働者層の貧困が増えています。新卒が就労困難であるのみならず非正規労働者(希望する仕事に就労できていない人)が増加しています。今の日本に最も必要なことは、有能な人材を有効に活用して魅力ある社会を作り出すことと考えます。しかし、この事業仕分けの結論は全く逆行すると思います。

3) 問題点は

仕分け人はバカと書きましたが、一人の人に万能の能力を求めることは無理と言えます。仕分け人に例えば大弁護士事務所の弁護士がおられます。そのような方に、非正規労働者の実態を知れと言っても無理があると思います。むしろ、社会的弱者や仕分けの対象となっている事業で恩恵を受けている人も仕分け人に選んで公正な仕分けをすべきです。

何が問題かと言えば、ガバナンスの問題です。ガバナンスの責任者は担当大臣です。連合が、そう思うのであれば、事業仕分け担当大臣他の辞任を要求すべきだな、できるかなと思いました。

変な事業仕分けの結論は、余りにも多すぎるのですが、例えば、国際協力機構の海外青年協力隊事業にしても、ボランティア活動の支援が事業仕分けの対象でよいのかと思います。

4) 子ども手当を事業仕分けの対象にしたら

子ども手当を事業仕分けの対象にしたらよいと思います。もしかしたら、仕分け人がこぞって不必要と結論づけるかもしれないと思います。

一つの問題点は政府の財政赤字で国債を発行している現状で、実施する意義付けです。国債の利払いも償還も支給対象となる子どもが将来成人したら重くのしかかっていきます。本当に子どものことを考えるなら、国債償還や利払いの負担を低くしておくことは必要と言えます。社会的公平さの実現であるなら富裕層に支給する理由はない。全員に支給し、全員にその利払いと償還を押しつける。最も、相手が子どもなので、その親に支払われ、親が他の目的に支出するかも知れない。そうなったら、子どもには負担のみ残ってしまう。

こんなことを考えたら、嫌になりますね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 9日 (木)

菅総理、軽く考えすぎでは

12月6日の菅総理記者会見が首相官邸のWebにアップされています。(ここ

その中に菅総理の発言に「・・・総理大臣という立場は、大変重い立場だと考えてきた中で、・・・」とあるのですが、ご本人は重いと思っておられるのでしょうが、私なんかが感じているのは、軽く考えすぎではと思うのです。

1) 小手先のごまかしをしてはならない

記者会見での菅総理の発言と記者の質問に対する回答を見ても、重要なことは述べずに、細かいことを述べて、それを成功と評価する。今問われているのは、日本の社会構造のあり方についてであると思います。雇用問題は、新卒者雇用のジョブ・サポーターの倍増もよいかも知れないが、産業構造の改革や新卒者以外の中途採用を拡大する労働市場への転換等根本本題に取り組むための方策・政策がなければならないと思います。

最後の質問者がTBS松原記者であり、「・・・・改めてお聞きしたいんですが、この政権は結局何をしたい政権なんですか。」と問われて、「・・・G20の前の3日間は、7時間、7時間、6時間の一般質疑、集中審議で、朝5時起きからずっとやっていました。・・・」なんて、何故言うのだろうと思います。

昔厚生大臣をやっていてO157問題が発生した時に、菅氏はかいわれ大根をむしゃくしゃと食べました。パフォーマンスとしてはよくても、本質的問題解決ではなかったはず。同じようなことを今もしているように思えます。

2) 民主党マニフェストを作り替えては

民主党マニフェストは、選挙で勝つためだけが目的で作成されたと思います。その実効性は、当時は重要でなかったと思います。しかし、内閣として活動するには、実現性や実効性を無視してはなりません。

ムダを無くして政府支出の財源を作るなんて嘘を更に上塗りすることは許されないはず。法人税率を下げることも、地方税を含め税体系全体の中で考えるべきこと。税社会保障の番号制は、どうしても必要と思うのであるが、記者会見では一切触れられていない。

別の政党では、「党をつぶす。」と言って、そのやったことは別として、頑張った人がいた。総理とは、国民のために働く人であり、自分が属する党のためや、その党の支持者のために働く人でないことを常に心にとめておくことが必要です。党のマニフェストに従わずとも、国民のために活動することが重要です。

3) 将来展望の作成

将来展望がありません。ところで将来展望とは、将来の絵空事ではありません。それへの過程を含んだしっかりとしたロードマップです。

例えば、TPPに前向きな発言はするが、一方で農業政策は個別所得補償以外に政策は見えず、また将来展望は全く不明である。日本の農業の将来の展望が暗いと、農業者を含め予想しているのに検討すらしていないと感じる。読売には、12月9日 日本、またもや「化石賞」…COP16後ろ向きという記事がありました。少し前は、25%削減とか言ってはしゃいでいました。ギャップの大きさを感じると共に、説得力ある展望を示せないから、無茶苦茶になっていると思います。

正しい活動をしていれば、必ずよい発展につながると私は信じます。政界再編があってもよいと思います。私が望むような小選挙区制の廃止は、そう簡単に実現しないと思えますが、小選挙区制が目的ではなく、国民が望む国民のための政治が重要です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

体内埋込型補助人工心臓の日本での承認

「問題多すぎのNHKクローズアップ現代」の続きの感じですが、テルモが「体内埋め込み型の左心補助人工心臓厚生労働省より製造販売承認取得」として、12月8日にプレスリリースを出しました。

テルモ プレスリリース 12月8日 体内埋め込み型の左心補助人工心臓

補助人工心臓とは、心臓の機能が弱くなってしまった人に付ける血液ポンプで、その人の心臓とともに働きます。例えば、心臓移植を必要とする人であっても、補助人工心臓を装着することにより心臓の機能を実質的に回復することが可能な場合もあります。これまでの厚生労働省より承認されていた補助人工心臓は例えばこの補助人工心臓の下の方の写真に駆動装置の写真がありますが、このような駆動装置を接続しておかねばならず、しかもこのニュース(47ニュース 2010年9月15日 人工心臓のチューブ外れ意識不明 九大病院、原因究明へ)のように事故もありました。

体内埋め込み型補助人工心臓は、一般人と同程度の生活をほぼ可能にすると理解します。一方、NHKクローズアップ現代が伝えていたように日本において承認に時間を要しデバイスラグが存在するのも事実と認識しています。しかし、日本でまったくダメなのではなく、今回のように承認されるのであり、この結果、保険適用となり必要とする人は使用することができるのです。○×ではなく、どこに問題があるかを掘り下げるのが報道の役目と考えますが、その部分が不足しており悲しくなります。

2年前の12月19日に医療報道の読み方というのを書き、その中でエヴァハートについて触れましたが、補助人工心臓エヴァハートも同日に厚生労働省に承認されたと理解します。(メーカーであるサンメディカル技術研究所のプレスリリースは、このブログを書いている時点では部会での承認に関するまででしたが。参考サンメディカルのホームページ

読売 12月9日 埋め込み式補助人工心臓、国産2機種を初承認

PS 実は、NHKクローズアップ現代は、据置型補助人工心臓について触れており、上記の九大病院の事故のことも述べていました。しかし、デバイスラグを伝えることと日本での埋込型補助人工心臓承認の承認への動きは相反することから触れていませんでした。意図的にそうしたのか、あるいは取材能力不足かどちらか分かりませんが、私でさえ2年前にある程度は分かっていたことがと思います。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年12月 8日 (水)

問題多すぎのNHKクローズアップ現代

12月8日のNHKクローズアップ現代は「ある少女の選択~“延命”生と死のはざまで~」というタイトルで放映を行っていました。どのようなことをするか(どのような変なことを伝えるか)と思って見てみましたが、やはり、これでは誤解を生むだけと思いました。

1) 延命治療

延命治療という言葉を番組では多用していました。しかし、その意味は何でしょうか?私は、回復がほとんど見込めない治療または多大の苦痛を伴い生活レベル(QOL: Quality of Life)が著しく損なわれることが予想される治療と考えます。例えば、末期癌で、その治療方法を選択しても副作用が大きく、多いと予想されるのみならず実際に治療をしていて副作用による苦痛が大きすぎ一方で短期間の延命効果しか得られないと見込まれる治療と考えます。但し、延命治療であるかどうかには主観がはいるのであり、その患者にしか判断できないと考えます。

人は自分の病を治療するに、その方法について選択権を有します。副作用や苦痛の大きい治療より、回復の可能性は少し低いかも知れないが、QOLの高い生活を選択することがありえます。そこに緩和医療が、存在するのであり、また緩和医療とは治療を放棄することとは全く異なります。緩和医療でも、治療を継続します。但し、QOLを極端に下げてまでの治療方法は選択せず、人間としての尊厳を持ちながら治療を行います。

私が考えるようなメッセージは全くありませんでした。放映された番組では、人口呼吸器を使用している少女が人工透析を拒否して、死んでいったとの内容に受け取りました。私の感想は、何故人工透析をしなかったのだろうか、人工透析を継続して普通に近い生活をしている人が大勢いるのに。まして、若いから、治療を継続していれば、新しい治療方法により、完全でなくとも、現状より改善する可能性があるかも知れないのにと思いました。

2) 緩和医療

多くの方が緩和医療を選択しています。例えば、緩和ケア医の日々所感のようにブログを書いておられる医師もいます。在宅医療も、高いQOLを保ちつつ治療をする方法と思います。但し、訪問診療・往診、訪問看護、訪問介護が一体となった連携がとれ、入院等のために病院と提携がとれているようなシステムが構築されている必要があります。在宅医療をシステムとして構築し、実施している医師や医療機関も多くなっています。例えば、ナカノ会は鹿児島市で在宅医療をしておられます。

3) 本質を理解できないNHKクローズアップ現代

私は、12月8日のある少女については、人工透析という問題ではなく、別の問題があったのだろうと思います。また、その少女や家族が同意しているからと言って、ここまで映像をハイビジョンで放映してよいのだろうかと思いました。何と言って説得したのか知りませんが、生存している時から、死亡後の親に対するインタビューまで放映するのです。10年、20年と経過した時に、ご両親は今と同じ気持ちでいることができるのか。もしかしたら、心の中で苦しみ続けるのです。マスコミ関係者は、自分の作成した番組の視聴率しか興味がないのかも知れませんが。

クローズアップ現代は、12月6日に「ワクチンが打てない」、12月7日に「解消できるか“デバイスラグ”」というのを放映していました。ワクチンが打てないのは、マスコミがワクチンの副作用のみを訴え、効用についてはほとんど取り上げなかったからという一面があります。現実に結核予防のためのツベルクリン反応やBCG接種によるB型肝炎訴訟について原告の言い分のみを伝えているように思えます。原告の主張を伝えることも必要ですが、結核撲滅という日本の過去の戦いは無視してよいのかと思います。また、B型肝炎は予防接種のみならず、他に感染原因が多いことも伝えるべきです。デバイスラグについては、日本の人員不足があることを述べるべきです。医師不足で、新薬、新デバイス、新治療法に関する許可について日本は徹底的に人員不足であり、遅れています。同時に開発の方も、例えば米国と比べれば、余りにも金も人も少ないのが実状です。その上、事業仕分けとやらで、瀕死状態です。民主党の中に、最先端医療が日本の成長の原動力なんて言っている人がいますが、嘘つきの塊のように思えます。もし、本当にそう思うなら、税金をもっと投入すべきです。大学院を出ても、博士になっても、就職先がない。高学歴者を使いこなせる産業がないというのは、将来のお先真っ暗の国と思います。

クローズアップ現代のみではないでしょうが、表面を上滑りしたり、間違った指摘をしていることが多いと思います。今回のことは、もしかして懸命に治療をしている人の勇気をそぐことになるのでは、延命治療について誤解をする人がでてくるのではと思い、書かざるを得ないと思い書きました。

1年前に川崎協同病院事件医師有罪確定を書きましたが、家族の依頼で気管内チューブを抜いたら殺人罪となった川崎病院事件があります。延命治療という言葉をよく考えないで使うと恐ろしいのであり、人それぞれ、その意味も異なると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

預金保険機構による日本振興銀行の預金概算払い25%について

預金保険機構は、日本振興銀行の預金者の元本1000万円を超える預金について25%の概算払いを決定したことを12月7日に発表しました。日経の記事と預金保険機構の発表を掲げます。

日経 12月7日 振興銀、1000万円超す預金の仮払い率25%に

預金保険機構 12月7日 日本振興銀行の預金等債権の買取り(概算払)について

銀行の倒産で配当率が25%とは、ひどすぎると思いました。25%は、預金者一人当たり1000万円まで保護されるのでそのために1000万円を超える部分が悪い配当率になるののではなく、単純に資産処分しても日本振興銀行の預金者を含む全債務の25%にしかならない見込なのです。銀行とは、石橋を渡る堅い経営かと思ったら、実は無茶苦茶でしたと言うことです。なお、1000万円以下の預金者の預金が全額払い戻される原資は25%の清算配当と75%の預金保険なのです。

日本振興銀行の貸借対照表

25%の計算根拠について、預金保険機構の発表の3ページ目に参考1として記載があります。これを、2008年3月末以降の日本振興銀行の貸借対照表と比較して推移を記載したのが次の表です。

201012

25%は、総資産2200億円に対して、負債の合計が8900億なので24.7%すなわち25%になるのです。

過去の推移を見ると2009年3月期に貸出金が830億円から3130億円へと一気に2300億円も増加しています。ところが、2010年9月の民事再生手続開始決定後の今回の発表では600億円と2009年3月末より小さい金額になっています。

日本振興銀行の貸出金が増加したのは、次のロイターニュースが伝えているSFCGからの債権買取が大きな一因であったはずです。

ロイター 2009年3月24日 日本振興銀行、SFCGから譲り受けた債権は約1024億円

実は、この債権譲渡は二重譲渡であり、日本振興銀行への譲渡以前に新生信託銀行やあおぞら信託銀行に譲渡されており、裁判でことごとく日本振興銀行は負けています。例えば、この10月8日の日本振興銀行の発表で「・・同内容の4件の訴訟に関し、一審判決とはいえ、いずれも同様の理由で当社敗訴の判決を受けていることを重く受け止めており、今後は、株式会社SFCGより二重に譲渡された債権の帰属について、債権譲渡登記の先後により決することを基本に確認作業を進めていくことといたします。」と述べており、また上の表のその他負債が200億円から3100億円に増加していることについて、備考欄に「二重譲渡・過払に起因して発生する可能性のある不当利得返還債務等。」と記載されている。

貸出金は、架空計上と疑いたくなるような内容で、負債が破綻後に増加していく。SFCGからの債権買取にしても(債権譲渡登記についてここに法務省の説明があります。)、債権譲渡登記がなされておりその時点で債権者ではないSFCGから債権買取を行い対価を払ったのであれば、明らかに犯罪だと思います。(詳細の事実を知らないので言えませんが)

貸出金を増加したのは、ずさんな融資というべきか、下手をすると、その融資金がトンデモナイ目的に使われたりしていることもあるような気がします。債権買取にしろ融資にしろ預金者のお金が流出したのです。

25%という低い概算払い率になったことについて、単に残念だと思う以外に、何故そんな低率になったのか、よく調査をして、公表して欲しいと思います。1000万円以下の預金に対する75%部分は預金保険が原資ですが、結果的には全ての銀行預金の利子が、その分低くなっているのです。(あるいはカバーするために今後低くなるのです。)国民としては、原因究明を高々と要求して当然と私は思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 7日 (火)

東北新幹線全線開業に思う

東北新幹線が、12月4日に青森まで開業しました。日経記事および新幹線の駅(新青森)と在来線の青森駅そして高速道路のインターチェンジの位置図を掲げておきます。

日経 12月4日 東北新幹線が全線開業 東京―新青森3時間20分

1) 国交省によれば鉄道貨物輸送はトラック輸送の6分の1のCO2排出量

ここをクリックしてみてください。モーダルシフト等の推進と書いた国交省の広報です。鉄道輸送はCO2排出量22g-CO2/トンキロで、営業用貨物車135g-CO2/トンキロの6分の1以下で、内航船舶39g-CO2/トンキロよりもCO2排出量は少ないのです。

2) CO2排出量の検証

国交省が統計(鉄道関係の統計はこのページにあります。)を出しており、鉄道輸送統計調査に平成21年鉄道輸送統計調査 年報というのがあり、2009年度の鉄道輸送貨物量は43,250千トンで20,561百万トンキロでした。

CO2に関しては、経済産業省資源エネルギー庁の総合エネルギー統計にエネルギーバランス表があり、2009年度は速報として簡易エネルギーバランス表が発表されています。2009年度において、貨物輸送は42,948KLの石油製品と977,673MWhの電力を輸送エネルギーとして消費しています。それぞれのCO2排出量は、エネルギーバランス表の炭素表から42,948KLの石油製品に対して炭素換算30,704tCの排出量であったことが分かります。電力消費に関しては、931,353,910MWhの電力供給に対し108,710,431tCの炭素排出であったことがら、鉄道貨物輸送の電力消費977,673MWhに対しては114,117tCと計算できます。合計144,821tCであり、CO2排出量に換算のためには、44を掛けて12で割ればよいので、531,010トンのCO2となります。

結果、2009年度の鉄道貨物輸送の平均CO2排出量係数は25.8g-CO2/トンキロです。

一方、トラック輸送については、国交省の自動車輸送統計調査というのがあります。2009年度は営業用自動車輸送量は2,873,655千トンで245,580百万トンキロで、ガソリンと軽油の消費量は合計16,386,098KLでした。CO2排出量は、エネルギーバランス表から、石油製品32,506,492KLを消費し、炭素量23,067,098tCなのでKLあたりの炭素換算排出量は710kgC/KL(2,602kg-CO2/KL)となります。173.6g-CO2/トンキロとなりました。

国交省の数字は、2008年度についてであり、2009年度はCO2排出係数は大きくなっているのですが、不況により輸送量が減少し、その結果としてトンキロあたりの係数としては増加したものと判断します。2008年度と2009年度の比較は次の表の通りですが、鉄道輸送がCO2排出という面ではトラック輸送よりはるかに優れていることが分かります。

Railco2201012a

3) 旅客輸送でのCO2排出量比較

2009年度の旅客輸送についても同じように計算をしてみました。結果のみを示すと次の通りでした。

Railco2201012b

やはり鉄道は非常に優れています。参考まで、ガソリン1リットルを消費した時に排出されるCO2の量は2,312グラムです。従い、10km/Lで走行した場合は、231g-CO2/kmです。2人で乗っていれば、115g-CO2/人キロとなり、146g-CO2/人キロと余り変わりはないような感じです。なお、営業用自動車とは、バスとタクシーの双方を含んでおり、その平均値となっています。

4) CO2排出量削減には鉄道に補助金を

2009年度の温室効果ガスインベントリ報告書は未だできていません。そこで、エネルギーバランス表からCO2の排出量を見ると1,134,535CO2千トンです。このうち232,869CO2千トンが運輸部門における排出量であり20.5%を占めています。

CO2排出量削減には、鉄道輸送への切り替えが最も効果的です。そのためには、鉄道運賃をもっと安くすべきです。先ずは、1000円高速や高速無料実験を廃止し、高速料金から鉄道に対する補助金を捻出する。ガソリン税をもっと高くし、鉄道に補助金を出す等があると思います。

かつての東北本線は、現在盛岡以降の岩手県内がIGR岩手銀河鉄道で、青森県内が青い森鉄道になっている。何故こんな形を採らねばいけないのか、岩手県と青森いじめみたいである。新幹線の延長と引き替えにいじめをしているが、新幹線は貨物輸送が不可能という欠点があり、この対策は在来線を残す以外に方法がない。貨物という重量物が走行しないことを前提に橋梁や高架線路の建設費を抑え、保守費を押さえることにし、更には電車のみの走行や夜間運転停止による保守時間の確保により安全性を高めた。これらは、在来線が存続することを大前提に考えたのである。

太陽光発電よりはるかに効果が高いのが鉄道の利用促進と思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 6日 (月)

どう読むべきか「デリバティブリスク」

デリバティブの解説ではなく、次のニュースで思ったことです。

読売 12月5日 通貨デリバティブで経営難、金融庁が実態調査へ

直前のブログで地方自治体はデリバティブに手を出すべきではないと書きました。一般企業はと言うと、リスクヘッジであれ、投資や投機であれ、その企業の経営者が判断して実行することに反対はしません。しかし、このニュースは、金融機関による取引先などへの無理な販売やリスクについての不十分な事前説明の可能性を含め金融庁が実態調査を実施すると述べています。

私の感じたことは、わざわざ調査する必要があるのかとの点です。即ち、2006年6月に証券取引法が改正され、法の名前も金融商品取引法となり投資者保護が強化され、多くの改正点が2007年9月末から施行されました。デリバティブとは、ある意味実態がないような感があります。販売者は、どのような条件でもお好み次第の金融商品を作り上げます。即ち、要求する条件の金融商品(デリバティブ)がそれに見合うリスク・フィーを払えば必ずできあがるのです。従い、悪徳業者は別として、通常であれば、それほど変な取引はされていないはずと思うからです。調査に反対しませんし、実態は知りたいと思います。

そこで、次に思うのは、リーマンショック直前の頃ですが、企業に余裕が出た時に、投資・投機に向かった資金が、それなりにあるのではとの点です。ある人が言いました。「中小企業の経営者とは自分の資産増加にキチガイみたいに熱心で、従業員のことなんてほとんど考えていない。」勿論、そんな経営者ばかりではなく、従業員のことを思って頑張っている経営者も多くおられます。しかし、一方で、90年初めのバブル崩壊の前にあったのは不動産価格と株価の異常高騰であり、バブル崩壊の結果、銀行は多額の不良資産を抱え込み、政府による銀行への資本注入と低金利により銀行は救済された。

日本の金の動きは、正常なのだろうか?法人税率を下げたとして、その結果企業に残る金は、投機資金になってしまう可能性はどうなのだろうか?勿論、投資や投機を否定するつもりはなく、投資や投機がInnovationにつながっている点があると思います。全ては、そう単純ではないことは確かです。だから、無理して法人税率を下げなくてよいではないかと思いますし、中小企業に低い法人税率を適用する必然性はあるのか疑問に思っています。多くの中小企業は、赤字企業で、欠損金の繰越制度があるからこそ、赤字でも従業員に給料を支払い続け、将来儲かったら、その時の利益で穴埋めすればよい。累積欠損金以上に儲かれば、その分について税金を払うのは当然だと考えている中小企業の経営者がほとんどだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 3日 (金)

地方自治体はデリバティブに手を出すべきではない

ひどいニュースと思いました。

日経 12月3日 自治体、円高で損失拡大 仕組み債の利払い膨らむ

名前は、「仕組債」ですが、中身は「デリバティブ」です。1ドル=120円の時に債券を発行し、1ドル=100円を突破するような円高になると支払い金利が跳ね上がる条件がついていたとすれば、その債券の引き受け者(証券会社や銀行、投資銀行等)は、引き受けと同時に1ドル=100円のドル・プット・オプション(即ち、デリバティブの一種であるオプション取引)を売るのです。デリバティブを販売した代金が債券引き受け者には入るわけで、この代金を原資として債券の表面利子率を下げることができます。

1ドル=100円のドル・プット・オプションとは、プットとは売る権利です。即ち、1ドルを100円で売る権利であり、この権利を購入した保有者は相場が100円より高ければ、権利を実行しないし、低ければ頃合いを見計らって実行します。市場で1ドル=80円で買える場合は、1ドルにつき20円の利益が得られます。オプションが実行されれば、オプションを売った者は、1ドルにつき20円の損失が発生します。

そこで、この20円は、やはり債券に連動します。即ち、債券の利息で受け取ることとなり、債券の金利が上昇する特約を当初から付けてあります。仕組債とは、債券とデリバティブ取引の合体した取引であり、デリバティブと言うとリスクがある金融商品とのイメージがあるので、仕組債と名前をカモフラージュしています。実は、それのみならず、結果としてデリバティブの取引そのものも表面には出にくくなっているので単純に評価すらすることが難しくなります。結果、いいカモを見つけて、金儲けをする材料になっている面があると思います。

日経記事には、「08年末で17の自治体が総額4200億円の仕組み債を発行している」とあり、仮に4200億円が、同様な仕組債であれば、満期までの残余期間が6年で、年率5%金利が上昇しているとすると、1,260億円という数字になります。発行している地方自治体の住民は地方行政サービスが悪くなり大変だと思います。何故なら、地方自治体の独自の判断で実施したことなので、政府が国税を使って援助するのは筋が通らないだろうと思うからです。あるいは、別の表現で言えば、他のまじめな地方自治体に住んでいる人達が犠牲になることが正しいかという点です。

デリバティブの取引に何故地方自治体が手を出したのかは、知識や能力がないからです。更には、ガバナンスがないからです。これだけ揃えば無茶苦茶ですが、実は「地方主権」なんてバカなことを言っている人たちは、更に無茶苦茶と言うべきか、無謀と言うべきか、ポピュラリズムに乗っかっているだけの人達なのだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

法人税について(OECD諸国との比較)

法人税の改正について未だその決着は見えていませんが、よく考えることは必要です。

日経 12月2日 経団連会長、菅政権の方針支持 官房長官と意見交換

OECD統計データとの比較を行ってみます。

1) 日本の法人税率は最高だが税収(対GDP比)は?

次の表を見てください。OECD tax databaseから作成しました。

Oecdtax201012a単純に、法人税率を下げてしまうと、税全体はどうなるのかの疑問が出てきます。

2) 法人税率の推移

主要国について、地方税を含んだ実効法人税率の推移をグラフに書いてみました。

Oecdtax201012b_2 

日本と米国がほぼ同じで、ヨーロッパ諸国は、この10年以内の間で税率を下げています。しかし、GDPに対する税収全体の割合は、日本より大きいのであり、法人税率を下げた部分は、他の税でカバーしたのでしょうか。あるいは税率のみでは把握できない部分があるのかチェックできていません。

3) 税収の推移

次が税収の推移で、1975年以降なので、上のグラフとは年数の範囲が異なっているので注意下さい。また、税収には政府が運営している公的年金、雇用保険、医療保険等の社会保険料(個人負担及び企業負担双方とも)を含んでいます。

Oecdtax201012i
(注:米国のデータが当初抜けていたので、追加しました。)

4) 付加価値税率の推移

付加価値税率の推移は次の通りです。付加価値税として日本の消費税は含んでいますが、米国の販売税(Sales Tax)は含んでいないので、米国がグラフから外れています。

Oecdtax201012e

消費税をどう考えていくべきか、全体の構想の中で、考えるべきと思います。

5) 社会保険料を含めた税収構造

次のグラフがOECD諸国全体の社会保険料を含めた税収構造です。

Oecdtax201012f

OECD諸国の平均像と比べて参考とし、それに対して自国はどうするかを考えることは重要と思います。特に、社会保険料については、国により制度の差が大きいのです。例えば、法人税の税率は低いが社会保険料の雇用者負担が大きい国もあります。日本は基本的に会社と個人の負担割合は50/50ですが、イタリアは会社約30%で個人負担約10%と会社の負担が個人の約3倍です。OECD全体でも、上のグラフで紫部分が緑部分より大きくなっています。政府の支出の中で年金と医療が増加していることから、法人が負担する政府運営の(公的)年金と医療保険についても法人税と同時に考える必要があると思います。

6) 債務残高

日本政府の債務残高を無視するわけにいきません。政府が財政危機に陥ったなら企業活動も同時にうまくいかなくなる。従い、最後にOECD各国の債務残高(GDP比)です。

Oecdtax201012g

日本政府の債務が多いことに相当の衝撃を受けるのですが、次のグラフを見ると日本だけが方向が狂っていることになります。政府債務問題もよく考えるべきと思いました。

Oecdtax201012j

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »