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2011年3月22日 (火)

東京電力需給見通しの予想

3月19日から21日までの3連休は、計画停電がなかったが、22日からは実施予定と発表がありました。

東京電力プレスリリース3月21日 3月22日(火)以降の計画停電の実施予定等について

関東と山梨県、富士川以西の静岡県に住んでおられる方や工場、事務所等の人々は、苦労をしています。停電になると大型店を含め店が閉店し、生活が不便となり、経済的損失や社会的損失も大きく、一刻も早く元の状態に復帰させてくることを東京電力に要望します。但し、不可能を望んでも無理であり、現実の姿は、どうであろうかと勝手な予想を書いてみます。

1) 3月21日(祝)以降の計画停電の実施予定等について

東京電力のプレスリリースには、都度翌日の供給力予想が記載されており、それをグラフにしたのが次です。

Tepco20113a

13日から14日にかけて、供給力が落ち込んだ理由が不明であるが、以後は順調に回復し22日は35,500MWの予想になっている。

2) 昨年の記録

1年前と比較すると、少なくとも、需要面の予想の参考になるのであり、2010年1月から2011年1月までの13月分の月間最大電力(MW)とその供給構成ならびに月間供給電力量(GWh)のグラフを作成した。データの出所は、資源エネルギー庁の電力調査統計からです。

Tepco20113b

Tepco20113c_2 

最大電力や必要供給力の参考として、毎月の電力供給量をその月の時間数で割り算して、月間平均供給電力(MW)のグラフを書いたのが次です。

Tepco20113d

3-4月は、平均32,000MW-34,000MWで、最大47,000MW-52,000MW程度です。3月22日の供給力が35,500MWであれば、平均はカバーできても、ピークは困難というのは、そうなのだろうと思えるような感じです。

3) 供給設備

供給力をチェックします。東京電力自社の数値は、電力調査統計やWeb(例えば、ここに火力発電の詳細がある。)から知ることが可能であるが、他社設備からの購入については、自由化されたこともあり、数字が掴みにくいが次の表のように推定した。なお、佐久間水力発電所は、東京電力と中部電力が50/50で利用可能と理解するが、50Hz電源の運転が可能な貴重な設備故、50Hz運転を行って、全量を東京電力と仮定した。

Tepco20113e

東京電力がプレスリリースで地震により停止中としている発電機は表の右端欄に記載した。日本原子力発電東海2号は休止中であり、相馬共同火力新地発電所も運転不可能と理解し、常磐共同火力勿来発電所も休止中とした。鹿島共同火力は住金鹿島の操業状態をチェックしていないが、外部への売電はしていないとした。

揚水発電を除外し、柏崎刈羽原子力発電所の運転中発電機は公表されているので、火力について地震休止中以外の発電機について、これらを合計すると次のようになった。(なお、ディーゼルは全て伊豆七島と小笠原故、除外した。)

Tepco20113f

22日の供給力は35,500MWと発表されており、42,388MWの中に、定期点検による停止中の発電機がその差6,888MW以上はあると推定される。水力については、水量がある時に最大出力運転となり、負荷のパターンによっても供給可能能力が異なるので、推定には困難が伴う。除外した揚水発電も供給力としては期待可能であり、系統安定には欠かせないが、揚水動力が必要であり、現在の供給力と負荷状態において、どのような揚水発電の運転が可能であるかの推定はいよいよ困難が伴う。一方、鹿島火力は地震により3,200MW休止している。これが、復帰し、揚水動力に回せるオフピーク時の供給余力が大きくなると、ピーク時の供給力も増加することとなる。そうすると、現在より10,000MWあるいは15,000MW-20,000MWの供給力増加も可能ではないかと思う。

無責任予想としては、4月の中旬には5,000MWは回復し、40,000MWの供給力になるのではないか。40,000MWでは、1年前の最大電力47,335MWの4月最大電力をまかなえないが、供給停止時間は、今より相当短くなるはず。工場の操業パターンの調整等で相当停電は回避できると期待する。ゴールデンウィークに鹿島火力が全機運転可能となれば、45,000MW程度まで回復し、計画停電ゼロの状態になることを期待する。

4) 燃料

ゴールデンウィーク計画停電ゼロのためには、燃料面のチェックも必要である。第一福島、第二福島原子力発電所の地震により停止した発電機の出力合計は6,428MWである。6,428MWの火力発電所を24時間フル稼働させた場合の燃料量は、月間燃料消費量が重油で、100万-110万キロリットルである。この燃料の量も相当大きい。しかし、石油の国家備蓄、民間備蓄があるので、原油輸入が手配してから日本到着まで2月を要するとしても、備蓄の取り崩しでまかなえる量である。

鹿島発電所他、石油火力は原油・重油・ナフサを含め、石油であれば、燃焼可能な設備になっている。従い、燃料面の心配はないと思う。(コスト面・価格面は当然ある。)LNGは、輸送にLNG船が必要であり、その他制約が多い。短期的には、石油に依存せざるを得ない。

以上が私の分析です。今年の夏は、猛暑になると、結構大変かも知れません。

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コメント

問1.菅首相は東電を批判したあと、マスコミからバッシングされました。
東電は叱ったことは褒められると思うのですが、どうしてバッシングされるのでしょう?

問2.石原都知事はハイパーレスキュー隊を派遣した後、急にネットからのバッシングが酷くなりました。
どうしてバッシング酷くなったのでしょう?

問3.なぜマスコミからは電力会社や保安院を非難しにくいのでしょうか?
経済産業省から電力会社への天下りがたくさんおり、電力会社出身の議員が
自民党にも民主党にもたくさんいると聞きましたがそのためでしょうか。

問4.地方自治体が原発建設を阻止しにくいと聞きました。理由はなんなのでしょうか?

問5.なぜ電力会社や保安院は原発を40基も造ったのでしょうか?

問6.他国の先進的な地熱発電が実は日本企業が全部つくったと聞きました。
どうして日本でできないのでしょう?

問7.スマートグリッドの計画を邪魔しているのは電力会社であると聞きました。なぜでしょう?

問8.なぜ同じ資源のないドイツで原発をもうすぐ全廃できるのでしょうか?

問9.高コストにもかわらず、なぜ日本では原発推進されるのでしょうか?


原発利権という名の魔物、電力利権という名の悪魔
→原発、べ、別に推進してないよ?ttp://www.ustream.tv/recorded/13373990

投稿: ゲンパツスイシン | 2011年3月22日 (火) 21時35分

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