原子力、火力、水力発電のコスト比較
4月27に書いた有価証券報告書からみる原子力発電コストの最後に、次回は、他の火力、水力等と比較すると述べました。同じように、有価証券報告書のデータから比較することとする。なお、今回は、沖縄電力と電源開発を対象に加える。
一般電気事業者10社と卸電気事業者である日本原子力発電と電源開発の12社の2008年度と2009年度の発電量(GWh)は次の表の通りである。
1) 原子力発電のコスト
kWh当たりのコスト単価で、各社の原子力発電をあらわすと以下の通りである。
2) 火力発電コスト
2008年度と2009年度の各社火力発電コストは次のグラフの通りである。
原子力とコストの内訳が大きく異なっている。燃料費の占める割合が大きい。上のグラフで2008年度がコスト高であったが、燃料費コストが、その原因であったことが読み取れる。なお、発電コストは、電源開発が一番低い。その理由としては、同社の火力発電設備が全て石炭火力発電であることがあげられる。但し、単純な単価のみで、全てを論じることができず、負荷変動への対応や、夜間停止あるいは夜間低負荷運転の対応等も考慮する必要がある。
3) 水力発電のコスト
次に水力発電のコストを示す。
火力からは再度一変した。当然であるが、燃料費がない。一方で、コストはほとんど一定であるが、発電量が出水量で変化する。水が多い年は、発電量も多く、コスト単価は下がる。
なお、揚水発電も、この中に入っている。揚水発電の評価としては、一種の大規模電池であるとも言える。現実には、原子力を出力一定で運転していることから、揚水動力は原子力による電力を使用しているとも言える。即ち、揚水発電に関わる設備修繕費、減価償却費、支払利息・金融費用等は全て原子力の発電コストとして考え、発電電力を原子力に加えると共に、揚水動力を差し引いて評価することも考えられる。有価証券報告書では、そこまでの情報は得られないため、計算していない。なお、揚水の発電量は、揚水動力より必ず低い。
4) ディーゼル発電
最後に、ディーゼル発電についても、見ておく。ディーゼル発電は離島において使用されているが、多くの離島にも海底ケーブルにより電力供給がなされるようになり、ディーゼル発電がほとんどない電力会社もある。
上のグラフはガスタービンも含むが、基本的には、軽油を燃焼するディーゼル発電であり火力発電とほぼ同じコスト構成である。設備のスケールは、一般火力やガスタービン複合火力と比較して小規模であり、そのためもありコスト高になっている。
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コメント
発電コストグラフを論文に使わせていただいて宜しいでしょうか?
又原発の経費の中に、政府からの交付金・補助金など含まれていますか?
投稿: 寺島達成 | 2011年10月27日 (木) 13時55分