原発国営会社には反対です
本日も記者会見で、無責任思いつき発言をしておられるようです。(参考首相官邸7月13日 菅内閣総理大臣記者会見、このMSN産経の首相会見詳報(1)~(6))
昨日は、衆院東日本大震災復興特別委員会で、原子力発電の国営化の検討可能性を述べたようです。衆議院の議事録が未だなので、この佐賀新聞 7月13日 原発、国有化も選択肢か がその答弁の参考となります。
1) 国営企業
国営企業とは、何であるかは、明確でないが、独立行政法人のような組織なのだろうと思う。原子力の分野では、原子力安全基盤機構と日本原子力研究開発機構が、独立行政法人なので、参考になると思う。原子力安全基盤機構は、原子力安全・保安院と連携し、原子力の安全確保に関する専門的・基盤的な業務を実施する機関であり、中立性が必要なので、独立行政法人となっている根拠はあると思う。日本原子力研究開発機構は、原子力に関する総合的な研究開発機関とされている。その一つとして、高速増殖原型炉もんじゅを運転し、データを蓄積して、高速増殖炉を開発しようとしている。これは、政策で決定した研究開発の実施・実行であり、独立行政法人が妥当であるように思える。
原子力発電は、値段がつく電気を生み出すので、収入がもたらされる。それを独立法人化か何か分からないが国営企業にするとなると、単純に考えれば、非効率な組織による高いコストとなり、その結果、電気料金が高くなる。そうならなくとも、政権与党の影響を今以上に受けると予想する。そして情報開示は、どうなるか?悪くなるとは限らないかもしれないが、一般の人が株主となり参加できる株主総会はなくなる。財務諸表についても上場企業と同じ基準での監査がなくなる。
国営企業とすることにより、一般の国民から、より遠い存在・手が届きにくい存在になると思う。JRの前の国鉄は、色々な批判を受けたが、少なくとも収入は一般国民から直接得ていたのであり、原子力発電を国営企業にしたら、販売も一般電気事業者への卸売であり、国民とは直接の関係がなくなる。政権の好き放題にされたりする危険性はないのだろうかと思ってしまいます。
2) 日本原燃株式会社
青森県六ヶ所村で、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物埋設、 高レベル放射性廃棄物一時貯蔵、再処理の四事業を展開している会社で、株主は全国9電力会社、日本原子力発電、その他関係先77社です。この会社も遠い存在に感じるし、知っている人は、あまりいないのではと思います。9電力会社、日本原子力発電が顧客の会社であるが、国策会社の面が大きいと思います。最も、核燃料サイクルなんて、国策以外何ものでもあり得ないと思うし、プルトニウムの扱いは、国策であると同時に、核兵器不拡散の国際社会の問題です。
原発の国営化と言った時に、日本原燃をどうするか、同時に考えないとならないと思う。事故がなくても、使用済み核燃料の問題は、存在し、現状の日本は解決方法を持っていないのと同じような状態だと思いますから。
3) 原発の発電コスト
原発の発電コストなんて、鉛筆をなめれば、どうにでもなる世界です。4月29日の原子力、火力、水力発電のコスト比較で、次のグラフを掲げたが、赤の部分が燃料費です。メチャクチャ小さいのです。
修繕費や減価償却費、そして燃料再処理費や廃炉の費用の方が、大きいのです。燃料再処理費や廃炉費用なんて、運転中にキャッシュが出ていかないのであり、言わば帳簿上のみの費用です。それが国営企業であったなら、恐ろしい気がします。
4) 原子力発電は、民間2社体制でどうか
民間2社で、積極推進しようというのではありません。推進か脱原発かは、国民が決定すればよい。直ちに、止められないので、運転するなら、9社プラス日本原子力ではなく、民間上場企業2社体制にすれば適切ではないかと思うのです。
1社でもよいが、2社の方が、多少の競争原理か、対抗意識かが働いて、よいように思うからです。上場企業とはするが、政府は3分の2未満であれば、株式保有をしてもよいと思います。安全確保と社会的責任としての情報開示を最大の使命として取り組む会社とする。2社の分け方は、50Hzと60Hzでもよいし、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)で分けても、どちらでもよいと思います。
菅氏は、フランスやロシアで国有企業が原発事業を運営と言ったようですが、フランスのEDFは、このWikiのように、2004年に上場会社となっています。日本の原発を国営企業にと言うのは、問題がありすぎだと思います。
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