今夏の関西地区における電力需給
7月25日から関西電力管内において政府が要請した節電期間が始まった。
読売 7月24日 関電の節電、25日スタート…ピーク時6%不足
政府の要請とは、ここにある7月20日の電力需給に関する検討会合が出した「西日本5社の今夏の需給対策について」であるが、読んでみても、ピンと来ず、頭に余り入ってこない。とりあえず今夏の関西地区の電力需給について考えてみる。
1) 原子力発電
日本の原子力発電54基(合計48,847MW)のうち、稼働中は16基(14,355MW)です。これには、調整運転中の泊3号も含む。稼働中の16基は次の原発であり、稼働中または停止中の全原発は、この日本原子力技術協会のWebを見ると分かります。
半数稼働していて、出力合計が24,423MWであったとしても、それより10,000MW少ないので、やはり今の電力供給体制は、供給力不足気味であり、発電所で自然災害を含め、事故があれば、不足する危険性はあるように思える。ちなみに、東日本(60Hz地区)と西日本(60Hz地区)で分けると、稼働中は、東日本6,403MWと西日本7,952MWです。
2) 関西電力の昨年度(2011年3月まで)電力供給
関西電力の2010年度の電力供給源は、次の通りであった。(資源エネルギー庁の電力調査統計による。)単位は、MWhであり、MWhを千倍するとkWhになる。なお、この表で各電源の発電量は、発電に際して消費した発電所内動力を控除した、発電所からの送電電力量としている。
グラフにすると次の通りです。このグラフは、揚水動力を差し引いていない数字です。
2010年度は、2010年8月が電力供給が最も大きかった。ところで、各月の電力供給源別の構成割合で見たのが次のグラフです。なお、このグラフでは、揚水用動力を水力発電から差し引いた。その理由は、揚水発電で発電した電力は、水力で発電したのではなく、他の電源の電力で揚水した水で発電しているので、「揚水発電とは、蓄電池である。」と考え、蓄電池からの電力は計算から除外したのです。
関西電力の場合は、原子力発電による電力供給が少ない月でも4,000,000MWhあり、多い月は6,000,000MWhを超えていることもある。4,000,000MWhを30日間と24時間で割り、所内動力比率を4.5%で考えれば、発電機出力は5,817MWとなる。現在の関西電力の稼働中原発は、3,371MWであり、2,500MW低い。
なお、関西電力には休止中であった石油火力発電所が多くあり、石油火力発電所を使用して、かなりカバーできると考える。実際に、どうかは、情報を余り持っておらず、何とも言えないが、参考として、関西電力の火力発電所のリストを掲げます。
3) 西日本の2010年度電力供給源
60Hzの西日本で、沖縄電力は電力網がつながっていないが、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の6電力会社の間は、送電線がつながっている。50Hzと60Hzも、周波数変換設備により相互融通があるが、同じ60Hzの場合は、電気の方から流れてしまう。単純に、西日本6社合計での2010年度月別電源構成比は、次のグラフです。
原子力の割合は、西日本6社合計の方が、関西電力単独より低い。しかし、6社で融通すれば、大丈夫と言えるほど、単純ではなく、様々な要素が関係する。少なくとも、この夏がというより、その先の冬はどうか、そして、来年の夏、2~3年後はどうか、また10年、20年先がと考えていかないとならない。目先のことだけ考えて、大丈夫とか、あるいは節電とか、そんなレベルではないと考える。
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