原発ストレステストって何?
分からないだらけのストレステストで、こちらがストレスで気分が滅入いりそうですが、御本人は自画自賛したとのニュースもあります。
読売 7月12日 国民も納得いく形…原発統一見解、首相が自賛
色々と分からないが、小出しに書いていくと;
1) ストレス(Stress)
学校では、応力と習った。物体に、外部から力(圧縮力、引っ張り力)がかかった場合に、それに対する反発力が物体内部に働く。これを応力(Stress)と呼ぶと。内部でも、ストレスが均一になるわけではなく、ストレスが大きい箇所から、壊れる。
人の体・精神に、外部から望まぬ力がかかり、内部にストレスが貯まる。他には、音楽で、強くするポイントを、アクセントと言ったり、ストレスをと言ったりする。
原発とは、関係あると思えないのだけど。
2) ストレス・テスト(Stress Test)
ストレステストなる言葉に出会ったのは、リーマンショック後の金融危機で、この金融機関は大丈夫かとストレステストをしたと言うのがあった。例えば、この23 July 2010 BBC Newsでは、”Seven EU banks fail stress tests”なんて、報道している。ダメだったのは、91行のうちの7行ですが・・
銀行は、通常、自己資本比率をBIS規則のような方法で計算し、例えば4%以下だと是正措置になるとか、自己資本比率で管理・規制を受ける。金融機関のストレステストとは、ベースラインシナリオとしてGPD成長率X%、失業率Y%で、業績がどうなるかの予測をし、更に悪化シナリオのGDPや失業率で、業績予測をする。当然その銀行の貸し付けポートフォリオやビジネスのポートフォリオにより、異なってくる。単純に、自己資本比率のみで判断するより、判断材料が増加し、実態がよりよく分かることとなる。当然、自己資本比率の考え方も継続するのであり、銀行検査の項目が一つ増加したことにある。
3) 原発のストレステスト(ヨーロッパ)
ヨーロッパとは、様々な国が国境を接して存在する。国家とは何かと言えば、国家とは主権を有するのであり、法を作ることができる。どのような兵器を持つか、原発を持つか、原発の安全基準をどうするかは、国家が決められる。ヨーロッパ連合(EU)は、加盟各国の主権を認めた上で、合意に達することができることについては共通にする方が、ヨーロッパの発展、ヨーロッパ各国の発展には、良いという考え方です。
そのような中で、WENRA(Western Europe Nuclear Regulators' Assocision)という組織があり、WENRAが原発のストレステスト実行を3月23日に発表しました。(WENRA statement on the Fukushima NPP accident)次のように書いてあります。
・・・・a WENRA task force is working to provide urgently an independent regulatory technical definition of a “stress test” and how it should be applied to nuclear facilities across Europe.・・・・・
The aim of the work is to see what improvements to nuclear safety may be appropriate in light of the Fukushima nuclear accident, as far as it is understood.・・・・・
福島原発事故を受けて、安全基準を見直すために、ストレステストをしてみようと言うことです。ある意味では、隣の国の原発について何も言えない。それ故、EUが音頭を取り、WENRAが統一基準のストレステストを提唱する。ヨーロッパ的スマートさもあるが、ドロドロした部分も感じられる気がします。
4) 日本の原発ストレステスト
この7月11日の枝野幸夫、海江田万里、細野豪志の文書を読んで、理解ができないのです。「原子力安全・保安院による安全性の確認について疑問を呈する声も多く、国民・住民の方々に十分な理解が得られているとは言い難い状況にある。」のでストレステストを実施すると読める。今の安全性の確認で国民から支持がないなら、ストレステストをしてみても、理解が得られるとはならず、意味ないと思う。菅直人とバカ3人が、納得しても意味はない。情報開示をして、説明をしていないことに問題があるのに、それを認識できない。
ヨーロッパもWENRAが発表したのであり、ストレステストを実施する理由は、福島の事故を教訓に追加でストレステストを実施するのである。運転を止めるということで、実施するのではない。
5月に浜岡原発を停止した時のことを思い出すが、当時首相は「これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫をしております。」と述べた。気象庁のWebを見ると、このQ/Aページには、「必ず予知できるのかとの問いには、「いいえ」となります。」となっている。30年間に87%は、日本中ほとんどの地域でも、あてはまる気もする。
3バカトリオの文書には、「(現行法令では関与が求められていない)原子力安全委員会」とあるが、何を言っているのか、理解できない。原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第13条は、次です。
原子力安全委員会(以下この章において「委員会」という。)は、次の各号に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する。 [一 省略] |
全てが狂っている民主党マニフェストにある政治主導とやらで、独裁政権を維持し、国民に嘘をつき続け、国民の財産を食いつぶし、国民の間に不信感を大きくすることをしているように思える。
日本は、法治国家と言われてきた。法を無視して、政府が口を出すことは、すべきではない。不都合があるなら、法改正をすべきである。発言の自由は、首相や大臣にも勿論ある。しかし、法にないことを要求することはできない。
5) 原子力安全委員会の発表
冒頭の読売の記事には、「内閣府原子力安全委員会が原発再稼働の認定に関与する形になったことを自賛したものだ。」とあるが、これもよく分からない。原子力安全委員の発表はこの文書であるはずだが、これも理解しづらい。
原子力安全委員の発表には、ストレステストを原発の運転・停止の条件とは書いていないし、議論していない。国民が、投げかけたい質問は、「福島原発の事故を考慮した上で、(現状では分析が終わっておらず、不確定要素が入るが)、定期点検を終了した原発は安全が適切に確保されていると考えてよいか、事故を受けて、安全基準は変えたか、変えたのなら、どう変えたか?」である。
政治主導は、国を滅ぼす。主権者主導、国民主導、人民主導の国を作るべきである。
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