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2011年8月30日 (火)

野田首相には、ズバリ増税への取組を望む

野田佳彦氏が、第95代の首相に選出された。

日経 8月30日 第95代首相に野田氏 衆参両院が指名

多分「増税を望む」なんて、書いたら、多くの人に反発・反感を買うでしょうね。しかし、増税をしないと日本社会が、どんどん悪くなるとしたなら、誰かが、増税を叫ばねばならない。首相が人格者ぶって、人気を保つ仮面をかぶり、財務大臣が財政上は増税をと叫ぶ茶番劇は、国民をだますだけと思うからである。

やはり、増税には、首相自らが、国民にその必要性を訴えて初めて実現すると思う。そうせずに、うやむやのうちに増税することこそ、国民に政治不信を振りまくことになる。あるTV番組では「野田首相は、増税論者であり、不安がある。」と述べていた。そのように思われているなら、逆に野田新首相には、それを利用して欲しい。何故なら、増税を唱えることで自らのイメージを悪化させたり、失うものはないからである。

実は、増税とは、簡単ではない。成功する増税も、容易ではないかもしれない。現実に、消費税率3%から、消費税および地方消費税合計で5%への増税は、1997年4月から実施されたが、法人税率の引き上げもあり、その後の景気落ち込みから定率減税や税率引き下げにつながった。しかし、消費税率は、そのまま残った。政府財政健全化や福祉充実を掲げて実施された増税であったが、最終的には消費税増税のみが残った。それが、本当に国民の望むことであったのか、国民にとっては不満の残る増税と減税として残っているから、不信があるように思う。実際に、政府財政はむしろ悪くなったし、福祉もよくならなかったように思う。

野田新首相がいくら叫んでも、総選挙前に増税法案を国会に提出することは無理である。しかし、一方で、次の総選挙後は、増税が最大の政治課題になることに間違いはないと思う。何故なら、医療保険(健康保険)も年金も、持続しないからである。医療保険と年金の危機について、政治家は実情を知りながら、本当のことを言わない。原子力神話と言う言葉があるが、全く同じことが、医療と年金に当てはまる。いや、むしろ、原子力より酷い。原子力は、確率や可能性の問題であったが、医療と年金は現実の話である。

多くの議員や政治家は、嘘で堅め尽くすであろう。その中で、自分の信念で、医療と年金の現在の財政状態と将来の財政見込みに関する情報開示を、新首相にはきちんと実施してほしい。医療も年金も保険料負担を増加させれば、財政が健全化するシナリオを描けるであろう。しかし、低所得者層はおろか中間所得者層まで、負担を重くするシナリオは、日本を滅亡に導くおそれがある。税が、有効に支援しないと持続できない状態にある。

震災復興、原発事故対応、景気対策等は、他の人に任せることができる。しかし、増税については、他人に任せてはならない。首相が、自ら取り組んでこそ、可能である。法人税を減税して、消費税を増税とするなら、それなりの説得力が必要であり、国民が受け入れられる説明と案を示さないと駄目である。所得税・贈与税についても同じ。徹底した情報開示と、国民的議論により増税は可能と思う。増税がないと日本社会の未来がないと懸念するからであり、真摯に取り組んでほしいと思う。

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2011年8月26日 (金)

放射能に関する整理メモ(その2)

放射能に関する整理メモ(その2)では、放射能は、どのような影響があるのかを考えてみる。

1) 放射能汚染の現状

文部科学省が放射線モニタリング情報というホームページを開設しており、ここにある。このホームページから欲しいと思う放射能に関する測定データを探し出して、放射能関連の情報を入手するのがデータ入手の一つの有効な方法であると思う。例えば、ここに福島第一原発80km圏内の空間放射線量分布マップがあったり、このページに航空機モニタリング結果の一覧があったりする。

処で今観測されている空間放射線量のほとんどは、地表に降った放射性物質からの放射線、その降った場所から流れ出し、風に飛ばされした地点からの放射線、あるいは草木に吸収されてその草木から放射される放射線であると思う。ちなみに、空間放射線量と土壌放射線量を同一地点でサンプリング採取・計測していることが多く、その中で、福島県双葉郡浪江町赤宇木手七郎での計測結果を表にしてみた。(表中で右端のみが、空間放射線量である。)

土壌放射線量(Bq/kg)は、半減期の減少カーブより大幅な減少をしている。多分、流れ出したり、あるいは草木に吸収されたりしていると想像する。空間放射線量は、半減期の減少カーブより少し低い程度ではないかと思う。

ちなみに、空間放射線量の測定とは、ガンマ線の量を計測しており、その結果をシーベルト(Sv/時間)に変換している。どの程度、確実性があるかについては、私は分からない。但し、同一の方法で同一の地点で継続して計測を実施し、時間の経過に伴ったデータを取得することは、意味が大きいと考える。なお、土壌、ダスト、食品等は、これもサンプルから放出されるガンマ線を計測室で計測している。ガンマ線の周波数も同時に計測し、ガンマ線のスペクトラムを取っている。核種により放射するガンマ線のスペクトラムに違いがあることから、個々の計測結果のスペクトラムに含まれる核種の種類と量を推定することができる。

また、放射線の量が少ない場合、ベータ崩壊・ガンマ崩壊は、例えば100Bq/kgの場合、1kgのサンプルがあって、1秒回に100回であり、このうちの全数が計測されている訳ではないと思う。時間をかけることも必要であり、計測器をあてたらたちどころに結果が得られるものではないと私は思う。

2) 被曝量

外部被曝とは、放射線を体の外から受けることなので、空間放射線からの被曝と物体に付着した放射性物質から放出される放射線からの被曝である。基本的には、その場所の空間放射線量に比例すると思います。従い、0.1μSV/hの空間に1年間いれば、0.1 x 24h x 365日の計算で、年間0.876mSVでよいと私は思います。屋内を低く見積もり、屋内と屋外を別個に計算して、足しあわせる方法もある。

なお、自然界には、太陽、銀河系等の宇宙から来る宇宙線や天然に存在する放射性物質からの放射線(ラドン温泉のラドンも放射線を出す。)から、原発事故が無くても被曝をしている。

もう一つ、内部被曝がある。体内に放射性物質が入り、体内で核崩壊を起こせば、人体に対する放射線の影響力は大きい。皮膚も保護してくれない。食物に放射性物質が含まれていれば、その放射性物質が体内に残る限り核崩壊をする。ヨウ素131は、甲状腺に集まるようである。なお、尿の中に入り対外に放出される放射性物質もある。

そこで、内部被曝量の計算であるが、次の式で計算をする。(食品の場合)

内部被曝量=摂取放射性物質量[摂取量(kg) x 放射性物質濃度(Bq/kg)] x 実効線量係数

摂取量(kg)と放射性物質濃度(Bq/kg)は、おわかりと思います。実効線量係数については、この原子力安全委員会事務局の平成19年12月7日付け環指第5-3号を見てください。セシウム137、セシウム134、ヨウ素131と炭素14の実効線量係数と毎日100Bqを1年間摂取した場合の内部被曝量の計算結果を次の表にしました。

炭素14は、空気中のCO2にも1.1%含まれており、植物には光合成で取り込まれる。それを、直接あるいは動物を通して毎日人間様は摂取しているのであり、実は、モロに内部被曝が生じているのです。但し、炭素14の割合は全炭素中1.1%と少なく、影響はほぼ無視できる。しかし、カリウム40もあり、このページは人体内に通常でも約4000Bqの放射性物質が存在すると述べている。

3) 人体への影響

私は、次が概ね正しいと考えている。

A. 100mSV未満の被曝については、人体への影響はよく分かっていない。

B. 100mSVの被曝をしたとして、ガンで死亡するリスクは1.05倍程度高くなる。30%→31.5%

C. 放射線を浴びれば、やはりDNAは破壊されるのであり、被曝量が低いほどリスクも低い。

参考資料としては、この(財)放射線影響研究所の説明が、あります。

C.で、DNAが放射線で破壊されると書いたが、細胞分裂の際にDNAが次世代にコピーされる時、多くは修復されるのです。(生物の不思議な力)但し、修復されず、壊れたままで受け継がれることもある。その結果が、ガンの発症となる。また、子どもについては、やはり同量の放射線を受けたとしても影響が大きいはずだし、細胞分裂も活発なので、その影響もあると思う。

なお、今回の福島の事故で、放射能による一般の人への影響(私は、作業員や発電所で働いておられる人達には、何らかの影響はあり得ると思っていr。)については、ほとんどない可能性があると思っている。なお、あるかどうか、その程度はということについては、何10年かの医療統計によってしか言えないはず。そして、その影響が、例えば、1.01倍のガン増加率であった場合、統計誤差に埋もれてしまうこともあり得ると思う。

こう書いて、たばことガンのことを思った。そして、国立がん研究センターがん対策情報センターの説明を読んだ。次の表があり、怖くて、たばこには、側にも寄れなくなった。

表2 日本における喫煙とがん死亡についての相対リスク*と人口寄与危険割合**-3コホート併合解析研究(1983年~2003年)

がん種
相対リスク 人口寄与危険割合(%) 相対リスク 人口寄与危険割合(%)
全がん 2.0 39 1.6 5
口唇・口腔・咽頭 2.7 52 2.0 7
食道 3.4 61 1.9 12
1.5 25 1.2 3
肝・肝内胆管 1.8 37 1.7 5
膵臓 1.6 26 1.8 8
喉頭 5.5 73
4.8 69 3.9 20
子宮頸部 2.3 9
腎盂を除く腎臓 1.6 30 0.6 -1
尿路(膀胱・
腎盂・尿管)
5.4 72 1.9 3
骨髄性白血病 1.5 35 1.0 0
* 相対リスク:たばこを吸わない人を1として、たばこを吸う人のがんのリスクが何倍になるかを示す指標
** 人口寄与危険割合:がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合を占めるかを表す指標(%)
(注)人口寄与危険割合は、相対リスクが1の場合は0となり、相対リスクが1未満の場合は負の値となります。

資料:Journal of Epidemiology, 18: 251-264, 2008

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2011年8月25日 (木)

放射能に関する整理メモ(その1)

東日本大震災から5月半になる。福島第一原発の放射能漏れは、ある程度まで落ち着いてきており、沈静に向けて関係者が今後とも努力することにより、何時の日か、収束することと期待する。しかし、原発から飛散した放射性物質は、幾分か離れた土地でも、多少は留まり、その放射能汚染が持続する可能性はある。いずれにせよ、これから放射能汚染や除染が一つの大きなテーマになると思うので、我が知識の範囲内で整理メモを書くこととする。

1) 放射能

本当は、放射能は存在しない。存在するのは、放射線と放射線を出す放射性物質である。でも、放射能という言葉は、放射性物質と放射線を総称して使用するには、便利であり、やはり、総称として放射能という言葉も、私は、使うこととする。

2) 放射線

放射線と言っても、何か線があるわけではない。何かと言えば、このATOMICA辞書が簡潔な説明であるが、アルファー線、ベータ線、ガンマ線、中性子線、陽子線等である。目に見えないと言われるが、完全に見えないのはベータ線である。何故なら、ベータ線は電磁波・X線・光子の類であり、エネルギーは持っているが、質量がないからである。

では、他のアルファー線、ベータ線、中性子線、陽子線はと言うと、それぞれ、陽子2個と中性子2個のヘリウム原子核のアルファー線、電子のベータ線、そして中性子、陽子と言った原子を構成する物質である。ちなみに質量(重量)は、アルファー線の粒子が6.65x10-24グラム、中性子線と陽子線はその4分の1、ベータ線は更にその1836分の1である。(とても小さくて普通では見えない。)

3) 放射性物質

放射線を出すのが放射性物質です。放射性同位元素という言葉もあり、ほぼ同一の意味です。原子を構成する主体は、陽子、中性子、電子であり、陽子の数により元素が決まる。元素が異なれば、陽子の数が異なる。しかし、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子が存在し、この中で不安定な陽子・中性子・電子の構成割合となっている原子は、より安定する原子に変化・変移・崩壊しようとする。

この変化が、核崩壊と呼ばれるアルファー崩壊やベータ崩壊、あるいは核異性体転移である。核崩壊の際には、放射線を出す。安定的でない原子が核崩壊するのであり、このような原子が放射性同位元素と呼ばれ、放射性物質である。核種というのは、それぞれのことであり、安定的な原子も放射性同位元素も全て含まれる。一つの元素について、実は極めて多くの核種が存在する。例として、これがセシウムの元素テーブルであり、多くの異なった中性子の元素が存在する。安定的な構成のセシウムはCs133であるが、現在福島事故の結果各地で検出されている放射性物質はCs134やCs137である。セシウムの陽子の数は、55なので、それぞれの中性子の数は、78、79、82である。

ところで、核崩壊は核分裂ではない。原発は、ウラン235の核分裂エネルギーを利用している。ウラン235は、中性子を捕獲して、核分裂をするが、核分裂の結果、2つ(時には3つ)の元素に分裂する。どのような元素かというと、ATOMICAには、このようなテーブルがある(FPは、Fission Products:核分裂生成物の略)。放射性物質は、自然界にも存在するが、核分裂の結果、大量に作られる(出来てしまう)。実は、この大量の出来ちゃった物質の処理は、原発を利用する際の、従来からの大問題で、今後も未解決の大問題です。

4) ベータ崩壊

アルファー崩壊をするのは、ラジウム、ウラン、トリウム等元素番号の大きい原子である。

福島事故で名前があがっている核種は、ベータ崩壊をする核種であり、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137、テルル129m等があり、年代に測定に使う炭素14もベータ崩壊をする核種である。ちなみに、これらの核種についての表を次に作成した。(参考にした日本原子力研究開発機構 核データの表のホームここはである。)

ベータ崩壊の際には、ベータ線を出すと共に通常はガンマ線も出す。厳密には、セシウム137はベータ崩壊に際して、95%がバリウム137mを経由し、バリウム137mがガンマ崩壊をしてバリウム137に核異性体転移する。バリウム137mの半減期は2.55分。

いずれにせよ、上の表に掲げた崩壊後の元素は、安定核種である。表を眺めると、当然のことであるが、半減期の短い核種は、少量で同じ数の核崩壊(ベクレル:Bq)が生じる。また、崩壊に際して、崩壊数が同じでも、放出するエネルギー量は核種により異なる。(ベクレルが同じでも、シーベルトは異なる。)

次に、半減期についての参考が次のグラフです。

Csiint20118_2

セシウム134の半減期は2.06年である。セシウム134は2.06年を経過すれば100が50になるが、その時点で半減期30.04年のセシウム137は、100が95.3にしかなっていない。

実は、これが、除染問題である。放射性物質は、減少しない。核崩壊することにより安定し、核崩壊は時間のみに左右される。熱を加えても、叩いても、空気を除いても、埋めても、何の変わりもしない。除染とは、ただ別の場所に移動させるだけであり、新たな場所で、放射線を出す。初期の時点で、ヨウ素131が水道水等で検出されたが、ヨウ素131は半減期が8.02日であり、既に百万分の1程度に減少している。テルル129mも同様で、30分の1程度になっている。今後のこととして、10年程度では、90%程度にしか減少しないセシウム137のことも考慮した対策が必要であると思う。

なお、参考まで、核分裂とは、たった一つの原子で200MeVと言われており、セシウム134で2MeV程度なので、核分裂は約100倍のエネルギー(熱)を出す。

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2011年8月21日 (日)

放置できない日本の財政悪化

放置できない日本の財政悪化を、8月19日の日経社説は主張していた。

日経社説 8月19日 日本の財政悪化はもはや放置できない

その通りであり、賛成します。但し、どのように政府収入を増加させるべきか、即ち、増税であるが、関係者の利害が複雑に絡み合う。選挙を考えれば、実行不可能な夢を述べて、増税を見送ることを議員や政党は、述べる方向に動く。しかし、欺されては、いけない。やはり、然るべき根拠を示させ、それらを国民がチェックするようにしないといけない。

復興債については、日経社説に同感である。償還のための暫定増税と共に、発行すれば、それほど問題はなく、復興のための政府支出の明細や中身の議論に国民が参加できるように、必要な情報開示と公聴会等の機会をつくるべきである。

全般について、増税やむなしであり、国債がこのまま増加していった場合の、国債バブル崩壊が恐ろしいと思う。必ず、いずれかの時点で、市場で捌けなくなるはず。その時、売れ残り、金利上昇、政府支出削減、場合によってはハイパーインフレ、そして、日本国債のデフォールトなんてことにつながるかどうかであるが、日本経済を根底から不況に陥れるバブル崩壊がやって来る可能性はあるはず。サラ金の広告を思い出します。「計画性を持って、借入をして下さい。」

消費税増税や所得税増税と贈与税増税に手を付けざるを得ないと思うし、法人税も減税で良いのだろうかと思う。バランスを取って、また、それぞれの税率を上げた場合、国民、企業、社会にどのような影響があるかをシミュレーションし、その結果を国民に示し、国民が議論に参加できるようにすべきである。なお、増税の結果には、悪影響のみではなく、好影響もあり、正当に分析すべきである。増税方法として、消費税増税をする場合に、食料品を消費税率ゼロの非課税とし、仕入れ税額控除について課税売上割合なんて変なことをせずに全額控除制度とする。そうすれば、食料品は今より5%安くなる。非課税の医療費も5%まで行かないが、やはり安くなり、結果、医療保険(健康保険)の財政が改善する。また、家賃も消費税率を上げても据え置かれる。仕入れ税額全額控除制度については、改めて書いてみたいと思うが、検討をすべき課題と考える。

ムダな支出の削減は、当然すべきである。しかし、短期間では限界があり、長期的に取り組むべきである。例えば、公務員の人件費削減と言っても、一律ではなく、棒給制度や退職金制度を含めて、国民に給与体系と各棒給毎の人数等も示して、国民参加で検討すべきである。福島原発事故で、2005年に破棄された多度津振動台(参考、このAERA記事この原子力発電技術機構の資料)が話題になったことがある。福島第一原子力発電所は、津波のみで壊れたのではなく、地震によっても壊れた。(例えば、鉄塔や遮断機、もしかしたら配管の一部)多度津振動台は、小泉政権時の2005年9月に廃止され、売却された。維持費がムダと判断されたからである。東日本大震災を受けて、耐震強度や設計の実験を大型振動台で実施しようとしても、最早簡単にはできないのである。

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2011年8月20日 (土)

容易でない放射性物質の除染

余りにも簡単に除染が叫ばれているように思います。例えば、次のような発言をする人がおります。

読売 8月13日 災害廃棄物の最終処分場、県外に…細野原発相

まず、福島原子力発電所の放射性廃棄物は全て東京電力が対応するはず。それ以外の放射性物質が付着した廃棄物は、県外で引き受ける所があるとは、思えない。現政権特有の無責任発言としか思えない。政権についた当初、普天間基地について、最低でも県外と断言していた人達です。

無責任発言で片付けて良いわけはない。(どうせ自分たちの政権は、次の選挙以降で消滅するからと、無責任な言動や行為をしてはいけない。)現実の姿を見、地元や日本、そして世界のことを思えば、どうすべきか、少し考えてみます。

1) 発生源で止めることが先ずは必要

福島第一原子力発電所からの放射性物質の飛散を止めることが必要である。東京電力は、「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋当面の取組のロードマップ」で、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」をステップ2の目標とし、早ければ9月末(順調に行って?12月末)としている。放射性物質の放出コントロールが、やはり、何より必要と考える。

1号機については、6月23日の発表のような原子炉建屋カバーを設置し、建屋カバー内部を密閉し、内部の空気は全てフィルターを通して外部へ排気筒から排出する仕組みである。9月末から11月末の間に完成予定とのこと。2、3、4号機にも設置して欲しいと思うが、これらは少し寸法が大きいからであろうか、その後3年間の中期的課題とした原子炉建屋コンテナ設置で対応するものと思う。

一方、8月1日午後2時30分頃に10SV/h以上の放射線量率が1・2号機主排気筒底部付近で確認されたとの発表があった。敷地内に放射性物質が未だ他にも存在すると思う。いずれにせよ、東京電力が、発電所からの放射性物質の飛散をなくすよう、収束に係わる工事を実施して欲しい。第2ステップの終了が、その第一歩であるなら、データを公開し、確認のために、希望する団体には、現地での計測を認めて良いのではと思う。

2) 違法状態を解決し必要な立法措置をとれ

東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が、7月27日の衆議院厚生労働委員会に出席し、その発言が話題になっている。例えば、読売 8月12日 原発放出物質対策、時限立法制定を…東大教授提言読売 8月19日 放射能と暮らす(番外編)本格除染 長期的な視点でである。

7月27日の衆議院厚生労働委員会には、放射線医学総合研究所明石真言理事、日本学術会議唐木英明副会長、長崎大学長瀧重信名誉教授、名古屋大学沢田昭二名誉教授および京都大学原子炉実験所今中哲二助教も出席し、発言しておられ、衆議院のWebに議事録が既にアップされていることから、時間があれば、一読することを勧めます。(報道は、常に部分的なので、各参考人とも、自分の分野は、その中で発言内容を短い中に纏めようとされており、参考となります。)

児玉教授については、この委員会で、「私ども東京大学には二十七カ所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。」と自らを紹介している。児玉教授は、南相馬市の除染に協力しているのですが、「私の現在やっているのは、すべて法律違反です。」と述べているのです。

解説をすると、

A) アイソトープとは、放射性同位元素であり、これ即ち放射線を出す物体(元素)であり、放射性物質のことです。東京大学でも、実験・研究用にアイソトープ(放射性物質)を保管・使用しており、児玉教授は、その責任者です。

B) ところが、児玉教授も共に活動している東京大学の人達も、アイソトープである放射性セシウム(Cs134やCs137)を扱っていはいけないのです。放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(障害防止法)に対する違反となります。

C) Cs134やCs137に関する許可を得ていないからですが、南相馬市の人が許可を得ている訳ではなく、児玉教授は「お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京へ持って帰ってきております。」となるのです。

政府も議会も必要なことに、何も対応ができていない。だから、児玉教授の次のような発言になります。

全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムを初め最新鋭の機器を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力を挙げて子供が守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。国策として、土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集してください。例えば、東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノルだとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店や何かさまざまなところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターをつくって、実際に何十兆円という国費がかかるのを、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。

付け加えれば、次のような発言もあります。

このときに枝野官房長官が差し当たり健康に余り問題はないということをおっしゃいましたが、私はそのときに、実際にこれは大変なことになると思いました。・・・

私どもは、アイソトープセンターのいろいろな知識をもとに計算してみますと、まず、熱量からの計算では、広島原爆の二十九・六個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では二十個分のものが漏出していると換算されます。さらに恐るべきことには、これまでの知見で、原爆による放射線の残存量と原発から放出されたものの放射線の残存量は、一年たって原爆が千分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射性汚染物は十分の一程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということがまず考える前提になります。・・・・・・

どうやって除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか。

3) 障害防止法の許可不要の範囲

障害防止法は、文部科学省の管轄であり、このページから関連資料を取り出すことができます。ちなみに、障害防止法は、これです。セシウム(Cs134とCs137)の場合、許可不要なのは数量基準で10,000Bq以下、濃度基準で10,000Bq/kg以下です。(放射線を放出する同位元素の数量等を定める件[平成12年科学技術庁告示第五号、最終改正 平成21年10月9日])

現在、下野新聞 8月10日 下水道汚泥、県内6カ所に分散保管へ セシウム汚染問題 5500トン分、来年6月までというようなニュースが相次いでいます。濃度が1キログラム当たり29000ベクレルなので、たちどころに、不法保管であり、量の基準からしても、既に濃度でダメであるが、ちなみに10000Bqでは、344グラムしか保管できない。勿論、運搬も、まして、処分なんて、とんでもないことになる。

これが、今のバカ内閣の実態なのです。除染と言って、放射性物質を水で洗い流しても、それが下水から処理場に流れ、下水汚泥になる。勿論、雨で流されて下水処理場に来る放射性物質も多い。下水処理場の人達の放射線防護は大丈夫であろうか。

除染とは放射性物質を集めることであり、無くすことではない。冒頭に書いたことであるが、除染した放射性物質をどこに捨てるのか?おそらく、地中埋設しかないと思う。深さをどうするか、容器が必要か、情報を公開して議論が必要である。おそらく、市町村毎に、その市町村内に処分場を設けるしかないと思う。よその市町村で発生した放射性破棄物を引き受けるほど、どこの住民も寛大ではないと思う。自分の市町村の分でも反対運動が起こり、処分場を見つけられない市町村では、放射線レベルが下がらないという現象が起こるのだろうか。

4) 測定・調査・情報公開

現内閣は、何をとっても最低内閣。例えば、ここに文部科学省と栃木県が7月27日に発表した航空機モニタリングの測定結果の発表がある。セシウム(Cs134とCs137)が、どのように拡散しているか全体像がよく分かる。ところが、この発表を文部科学省のWebから探そうとすると、幾ら頑張っても探し出せなかった。そして、他の県の測定結果も探し出せない。

極端な秘密主義である。例えば、経済産業省資源エネルギー庁のWebになるほど!原子力AtoZというページがあるが、「現在改定中です」と出てくる。都合の悪いことは、全て隠すという最悪の内閣である。

現状を知り、情報を公開し、公開の場で議論し、それを実践に移すことが重要です。児玉教授の委員会での発言に「プルトニウムを飲んでも大丈夫と言う東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが」とうのがあり、ほんとにトンデモ発言です。プルトニウムは、アルファー崩壊をします。今、XXシーベルトとか言っているのは、基本的にガンマ線です。アルファー崩壊が起こると、アルファー線が出てくるが、正体はヘリウムです。破壊力は、ベータ線、ガンマ線の何十倍もあり、しかも内部被爆の場合は、直撃です。トンデモ発言は、公開の場の議論で、是正されると考える。

私は、本当は、何が怖いのか分かりません。福島原発から、どれだけの放射性物質が排出され、その核種内訳(核種とは、放射性物質と同じであるが、例えば、セシウムにも134とCs137があり、同じ元素で中性子の数が違うので、134とCs137を別物と区別し、核種と呼びます。)、それらがどのように飛散したか、そして人体、食物、動植物、社会活動その他への影響はどうであったか、様々なことを調査し、かつその調査を継続する必要があります。

地球上から原発が消え去るわけではない。原爆も消えない。原発事故も原爆投下も、実は、これから先ないと誰も言えない。福島の事故は、人類に貴重なデータを残したと、後々の人が言うことは、悲しいことかも知れない。しかし、データも残さなかったら、現内閣と同じで、最低の人達になってしまう。

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2011年8月18日 (木)

砂上の楼閣 - 原発安全神話

絶対安全なんてあり得ないはずが、確かに原発は天文学的なゼロが大量に並ぶ巨大な数に1回程度の安全性があるようなことを言っていた人がいました。今は、誰もそんなことを言わないと思うが、実は、少し前には、そのように思っていた人も、大勢いたようにも思う。

マスコミも、その代表のはず。NHKが、8月14日22時から教育テレビで「アメリカから見た福島原発事故」という番組を放映しており、これを録画して見たが、NHKとしては、頑張って作った番組と思いました。番組の概要は、出演者の小出五郎氏のブログに書いてあります。ゲストの出演者は、このブログの元東芝の原発技術者後藤政志氏でした。原発神話か、原発誤解か、番組を見て、感じた興味ある点を書くと。

1) 福島第一原発GE Mark Iは欠陥設計

沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉格納容器(containment)は、設計上の余裕が少なすぎて、大事故には耐えられないとの米技術者の意見が番組では紹介されていた。原子炉圧力容器(Reactor Veseel)の外側にあるのが格納容器であるが、この初期のGE Mark Iの格納容器は、小さすぎて、大事故には対応できないという意見である。なお、小さいほどコストが安くなる。下部にドーナツ条の構造物が何故あるかと言えば、これも格納容器の一部であり、上部をDry Wellと呼び、この下部に半分ほど水を常時入れておき、圧力容器や配管から万一蒸気(放射性物質を含む)が漏れたら、格納容器で吸収し、更に下部の水で冷やして、体積を小さくしようとの設計である。

GEに言わせれば、BWRは圧力容器内の蒸気圧力は7MPa程度で、加圧水型原子炉(PWR)約15MPaの半分なので、格納容器も小さくて良いとのこと。また、このような反論をしている。

しかし、福島で実際に起こったことを考えれば、Mark Iが欠陥原子炉であるというのが正しいように思える。さあ、どうなのか、役に立つ事故報告書を提出してもらいたいと思う。水素爆発が何故起こったかにも、大きな関連がある。

なお、GE Mark I原子炉の日本での原発は、福島第一1、2、3、4、5号、敦賀1号、女川1号、島根1号、伊方1、2、3号の11基である。女川2号、3号、浜岡3号、4号はMark I改良型であり、原子炉格納容器は1.6倍に大きくなっている。原子炉格納容器なんて、後から改造・改築で大きくすることはできないのですから。

BWRの説明は、このATOMICAの説明3)がよいと思います。

2) ベントにはからくりあり

番組の紹介は、Mark I原子炉格納容器の改造は不可能だから、最悪の場合は、大気に放出してしまえと、ベント装置を付けたと述べていた。放射性物質をモロに含んでいる蒸気を大気放出するのです。ゲストの後藤政志氏の言葉は、更に驚きでした。

・ フィルターを通して放出する設計にしようとしたが、そんな大量の放射性物質を除去できるフィルターなどあるわけはなく、直接大気放出しかできなかった。そもそも、格納容器とは、外部に放射性物質を放出せず、閉じこめておくための容器であるから、ベントを付けること自体が、大矛盾である。

・ 原子力安全委員会を始め日本政府は、Mark Iの欠陥を認めず、公式見解はベント不要であるとのこと。電力会社は、それでは済まされず、自らの責任でベントを追加した。政府は、電力会社が勝手にやることには、仕方がないとした。

4月7日の私のこのブログでは、首相の福島第一への訪問がベントを中止させたこと、4月9日のこれでは住民非難が完了せずベントができなかったことを書いたが、全て正しいことになる。更には、何故稲藁への汚染がこんなに広範囲であるのかの疑問にも答えているのかも知れない。即ち、ベントは、煙突に見える排気筒を使って放出されたと思う。そうなると、相当上空にまで達して拡散した可能性がある。まさに、日本列島放射性物質バラマキ事件が起こった。

そう。何故米国が50マイルだったか、相当広い範囲の米国人退避勧告を出した理由が分かる。ベントにはフィルターが無く、生で大量放射性物質の広範囲バラマキであることを知っていたからである。或いは、米国以外の人達も知っていたのかも知れない。日本政府が情報開示しないとしきりに言っていた。

アホの官房長官は、見事に国民だましを演じきったことになる。もし、官房長官自身も欺されていたとしたら、実は、そのときは、内閣の責任者・管理者として、内閣と政府を管理できていなかったのだから、無能力者となる。

3) 電源喪失

番組では、米技師が、非常用ディーゼル発電機を2基設置する場合に、同一場所に2基は非常用という意味をなさないという点を指摘していた。その通りである。軽く考えれば、2基同じ場所にある方が、メンテナンスも操作・運転も楽である。しかし、考えれば、万一事故が起これば、被害は甚大である原子力発電所であるから、便利性ではなく、2重・3重の安全性を確保せねばならない。

しかし、日本では、そうではなかった。次の記述は、原子力安全委員会の発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針の指針である。

指針27.電源喪失に対する設計上の考慮
長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい

原子力保安院が作ったのではなく、中立の原子力安全委員会です。これに従って、原発を建設する義務があるのです。そこに、「考慮する必要はない」と書いてあれば、どうすべきか。

福島第一原子力発電所の賠償義務を東京電力に負わせるのは、間違いで、全て政府が負うべきである。そうなれば、電気代は高くならないしと。そう思わせます。どうすべきかは、きちんと原点に返って、本質から考えるべきと思います。

こんなに、政治が政権を取った人達の都合だけで、動き、国民が不幸になる社会でよいのか大きな疑問を持ちます。

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2011年8月13日 (土)

京都五山送り火での陸前高田市の薪使用についての真実

お盆の週末。高速道路は大変混雑しているようです。毎年、京都では五山と呼ばれる五つの山で5種類のお盆の送り火が焚かれる。しかし、今年は残念なニュースがありました。

朝日 8月12日 送り火用の被災松からセシウム 京都市、使用中止を発表

ところで、耳にするニュースは二転・三転ですが、真実や真相は、何であろうかと思います。

1) 京都五山送り火

このざ・京都のWebにあるが、毎年8月16日に焚かれ点火時間が、大文字 (如意ヶ嶽・大文字山) 20時00分、妙・法(万灯籠山・大黒天山) 20時10分、船形(西賀茂船山)20時15分、左大文字(大北山・大文字山) 20時15分、鳥居形(曼荼羅山)20時20分と少しづつ時間がずれ、それぞれの送り火は約30分焚かれる。20時20分から20時30分の10分間は、全五山の送り火を同時に見ることができる。

全国にある夏のお盆の行事の一つであり、地元の人々によって始められ、受け継がれてきた。京都五山送り火は、大文字保存会、松ヶ崎妙法保存会、船形万燈籠保存会、左大文字保存会、鳥居形松明保存会により実施されている。これら五山送り火の各保存会が、京都五山送り火連合会として作っているホームページがここにあります。

送り火の点火に用いられる護摩木に姓名・年齢・持病等を書いて納め、 火床で最初の点火用として焚いてもらうと、厄除け・病気平癒になるそうです。各保存会の志納所で受け付けてもらえ、火床に組んで燃やす松割木は1本400円、護摩木は1本300円とのことです。

2) NPO法人「ふくい災害ボランティアネット」(福井県坂井市)

ところで宗教行事で、陸前高田市の薪使用となった理由については、次の読売のニュースが、ヒントです。

読売 8月10日 送り火問題で京都市長「大文字も参加して」

このニュースの中に、次のことが書かれています。

市などによると、薪500本は、陸前高田市の薪を販売して復興に役立てる活動をしているNPO法人「ふくい災害ボランティアネット」(福井県坂井市)から買い取る計画で、11日夕方には京都市役所に届く予定。

つまり、保存会が実施している行事とは、すこし主旨が異なる気がします。薪を販売する。そして、地元の団体ではなく、福井県の団体で、ここにホームページがあるが、活動履歴を見ても、5年以上前の活動しか、記載がなく、よくわかりません。そして、京都送り火用に専用Webを立ち上げたとあります。NPOというより、薪販売業者と、どこが違うのかと思ってしまいます。保存会は、前もって必要な薪を手当てしているはずだから、やはりスペック通りの板を護摩木とし、姓名・年齢・持病等を書いて、保存会にお願いするのが伝統的な宗教行事を大切にすることである。

実は、このニュースを最初に耳にした時には、福井の団体については知らなかった。大文字保存会が、中心となって実行していることと思ってしまった。あるいは、保存会と関係が深い京都の人達の活動であるかに誤解した。

3) あるWebにおける説明と解説

@Wikiという無料サーバーを利用して、本事件に関しての説明と解説がある。次が、そのページです。

京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめwiki

この説明には、藤原了児氏という人形作家が、発案者として出てきます。訳が分からなくなってくるが、保存会の人達の意向を無視して、自分たちの欲と思いつきで、押し通そうとした結果に思えてくる。どこかの首相みたい。

@Wikiに「結局誰が悪いの?」というページがあり、これで、ほぼあたっていると思うのですが、大文字保存会という説明に「薪の準備やマスコミへの連絡が進んだ後に、藤原了児氏から話を持ちかけられた団体」とあります。これじゃ、無茶苦茶じゃんです。

4) 放射能汚染

言葉として正確なのは、放射性物質と放射線ですが、簡便的に放射能と使います。冒頭の朝日の記事は、放射性セシウムが発見されたとあるが、実施された検査方法は不明であり、Cs134かCs137かの記載は無く、表皮のみ1キログラムあたり1130ベクレルとある。「環境省は、焼却処分が可能な放射線濃度の基準を示していない」ともあり、評価の難しさはあるが、分析結果の公表は、京都市のWebを見ても見つからず、公表されていないことに憤りを感じる。国民をバカにすることは、いけません。

そう考えるが、読売 8月12日 屋外保管の薪や木炭、福島県に出荷自粛を要請とかのニュースがあり、ただただ混乱するばかり。保安院を環境省に移すなど、どうしようもないことを考える首相がおり、混乱が続くだけと思える。薪の放射性物質含有量は、どこまで許せるか、誰もが合理的に納得できる基準を環境省でなくて良いから、政府の関係者が協議して暫定基準でも良いので案を出して、国民が議論できるようにして欲しい。

読売 8月12日 原発放出物質対策、時限立法制定を…東大教授提言という報道がある。私は、時限立法などなくても、現行法で放射性物質の拡散測定、拡散計算、現象予測計算等は実施可能であり、信頼できる新しいメンバーによる委員会の設置も可能と信じる。これをしないのは、首相の無能と怠慢だけと思っている。仕分けで叩いたスーパーコンピュータ京は、まだ使えないであろうが、他にもスパコンはある。

除染なんてことが、叫ばれているが、除染をしても、放射性物質も放射線量も量は全く変わらず、単に移動するだけである。水で洗い流して、下水道を汚染し、作業員が被爆することで良いのだろうか。分析・評価が行われずに実施されることは危険である。

放射能とは異なるが、被災地復興におけるアスベストの危険性は、どうであろうか。放射線については、100mSV/Year以下は人体に対してのリスクは現在は評価不可能。しかし、アスベストは、リスクありと明確に言われている。双方とも、癌のリスク。放射線以上にアスベストのことも騒がれないでよいのだろうかと思う。

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2011年8月12日 (金)

円高は続くか(チャートから考える)

異常なほどの円高が続いている。

日経 8月11日 円、最高値まで一時6銭 日銀「照会」のうわさで乱高下

これから先どうなるのか、チャートでも眺めつつ、考えてみる。先ずは、この3月ぐらいの動きのチャートを見ると、次の通り。

Usdeur20118a

7月5日頃から円高が始まった。念のため、同じ5月以降の米ドルとユーロの為替レートを見ると次のチャートの通りとなる。なお、米ドルで表示していることから、数字が大きいほど米ドル高であり、低いほどユーロ高である。

Usdeur20118b

円とは異なり、7月5日以降の期間で特にユーロ高にはなってはおらず、むしろ一旦ドル高になり、7月12日に0.715EUR/USDで最高値となり、7月26日には0.690EUR/USDの最安値で、昨日は0.699EUR/USDであった。欧州金融不安と米国連邦政府債務限度額引き上げ不安とが、丁度打ち消しあっている状態かも知れない。

より先の為替を考えるには、遡って過去のレートを見つつ考えることも重要である。2005年5月からの6年強の為替レートが次のチャートである。

Usdeur20118c

特にユーロ為替のチャート・ラインは特徴がある。リーマンショックがあった2008年9月にドーンと落っこちている。そして、米ドルの長期傾向を読むと、2007年6月頃より、米ドルは安くなり続けており、それが止まらないだけのことに思える。このチャートを見る限りでは、米ドル77円は、驚くに足らないと思える。

今後は、米ドルが更に弱くなる可能性もあると思える。つまり、米国の不安が小さくなる可能性があまりないと思えることである。米国債のデフォルトは避けることができた。しかし、支出削減をせざるを得ない。政府財政支出による政策は限られ、ゼロ金利政策による景気刺激しかない。貧困層への配慮は、オバマ政権の意図に反して、ほとんど実施できなくなる。その結果は、どのようになるであろうか。下手をすると、社会不安の増大になる可能性があると思う。そのような状態は、避けねばならないが、市場は、それがあり得ると見れば、やはり売りに出るはず。

従い、今の円高は、当然の状態と思う。むしろ、更に円高が進んで、当然と考えるべきではないか。最後に、2005年5月以降のEUR/USD為替チャートを掲げておく。

やはり、米ドルやユーロより円が、やはり強いと感じられる。何故それほど、市場で円が買われるのか?アジア通貨であるからという要素があると思う。今や、アジアこそ、世界経済を牽引する力を持っているのではないか。日本の将来は、中国を始めアジアの中で、その優位性・有利性を発揮して、アジアの繁栄からもたらされる富の一部を手にすることに期待されると思う。

但し、何もしないで、アジア諸国の富の恩恵にあずかれるわけではない。やはり、日本が過去の高度成長で経験したこと、蓄積したことを、アジア諸国の発展のために提供し、協力することで、日本も、同時にその発展の恩恵にあずかることができると思う。そうなるなら、円高が進むことは、歓迎すべきことである。そうできなかったら、どこかで悲惨な状態になる気がする。

Usdeur20118d

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2011年8月10日 (水)

長崎原爆を製造した原発

8月9日は、長崎に原爆が投下され66年を経過する日でした。

長崎新聞 8月9日 ◆【動画】66回目の「長崎原爆の日」

66年前の8月6日にはLittle Boyというウラン爆弾が広島に、そしてFat Manというプルトニウム爆弾が長崎に落とされた。Fat Manのプルトニウムは、どのようにして製造されたかの話です。もととなったプルトニウムは原発で製造された。原発とはウランの平和利用目的に開発されたのではなく、原爆製造のための施設であり、それを発電目的に転用したというのが、実態に近いのではとの話です。

1) マンハッタン計画(Manhattan Project)

原爆を作り出す米国のマンハッタン計画は、1941年末から開始され、1942年に入って本格的に動き出した。ウラン235の核分裂反応は、1938年にドイツのオットー・ハーン(Otto Hahn:1944年ノーベル化学賞)らによって発見されていた。プルトニウム239の核分裂は1940年頃に発見された。

原爆とは、核分裂によるエネルギー(熱)を発する爆弾であり、核分裂物質を使用する。ウラン235は、天然ウランのうちたったの0.7%であり、ほとんどはウラン238であり、比重差は1.26%しかない。マンハッタン計画実行のためには、とにかくウラン235を得る必要があり、遠心分離法、電磁分離法、ガス拡散法そして熱拡散法の全てで製造された。もう一つの核分裂物資のプルトニウム239を大量に製造する方法は、原子炉である。即ち、核分裂物質ではないウラン238を中性子を照射し、プルトニウム239に変えればよい。プルトニウムから原爆を作る場合は、ウラン濃縮が不要である。原発を作ればよい。

マンハッタン計画については、このATOMICAの説明が纏まっていると思う。

2) 長崎原爆を作った原発

Hanford B Reactorというのが、その名前であり、次の場所にある。(建物等は存在する。)

ワシントン州ハンフォード(Hanford, Washington)の敷地は、上のYahoo写真でもわかるように、とにかく広い。1,500km2もある。敷地内に、Hanford B Reactorで生産されたプルトニウムを取り出すプルトニウム分離設備(B Plant)も建設した。

Hanford B Reactorは、黒鉛炉であり、設計発電出力250MWであった。工事は、1943年8月に開始され、1944年9月には運転開始した超短期間工事であった。当初出力9MWも、1945年2月には250MWの運転が可能になったようである。同型のD、F Plantも1945年2月までに完成し、運転を開始した。T PlantとU Plantを含めプルトニウム分離設備も1944年10月から1945年3月には完成した。分離精製された最初のプルトニウムは1945年2月に出荷された。

1945年7月16日にニューメキシコ州アラモゴード(Alamogordo)でトリニティ(Trinity)実験と呼ばれた核実験が実施されたが、その時の原爆は、ハンフォードで製造されたプルトニウムを使った原爆であった。

そして、8月9日長崎に、Hanfordで製造されたプルトニウムが使用された。

3) 放射能汚染

ハンフォードでのプルトニウム製造は、1987年まで続いた。Hanford B Reactorも停止したのは、1968年2月である。冷戦時代にもプルトニウムは、製造し続けられたし、今も作られている。日本の原発だって、製造しているのであるし。プルトニウム製造は、高濃度のウラン235抽出よりも簡単でコストが安いと言われている。水爆の起爆用にも便利である。

ハンフォードでのプルトニウム製造は、同時に大量の放射性物質を作り出した。多くの放射性物質が現地に残っている。除染は、未だ途上である。マンハッタン計画が実行中であった時は、核分裂を発見して、それほど立っていない。放射性物質や放射線が人体に与える影響についても、データは無かったはずである。そのような状態で、長崎原爆による、その製造過程での米国における放射能汚染もあり得るように思う。

マンハッタン計画は、原爆がナチスドイツに先に開発されることを恐れて、秘密裏に実施された。ソ連軍がベルリンに到達し、ドイツが降伏したのが1945年5月9日。原爆は、ドイツに使用されることはなかった。核分裂というエネルギーを知った時、それを使いたくなるのが人間なのだろうか。これから先、どうなるのか、分かりませんが、その時々の人達が決定していくしかないと思う。そして、私の言葉としては、「核の平和利用などない。危険性を知った上での、産業利用はある。」です。でも、危険きわまりないと言える。自分が放棄しても、他人が保有していれば、解決でも何でもなかったり。だから、その使用を含め人類としてどう管理するかの問題であるとも思う。

なお、ハンフォードについては、この米国エネルギー省のWebが、一つの参考です。

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2011年8月 4日 (木)

原子力損害賠償支援機構法の今後について

8月3日の参議院で、原子力損害賠償支援機構法が可決・成立した。

日経 8月3日 原発賠償支援法が成立 機構設立や国の責任を明記

成立した法律は、衆議院東日本大震災復興特別委員会での7月26日修正議決の通りであり、この修正案は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及びたちあがれ日本の四派共同提案でなされたので、今回の参議院での可決・成立は当然のことではある。

しかし、一件落着ではなく、やっとスタートすることができたのであり、むしろこれから先が重要と考える次第です。

1) 東京電力の賠償責任

賠償責任は当然あると思うし、その義務は今回の原子力損害賠償支援機構法が成立したことによっても、何ら変わりはなく、東京電力は賠償責任から逃れられないと考える。

但し、7月31日の原子力安全・保安院とプルサーマル問題で書いたプルサーマル方針を含め原子力政策は日本の国家エネルギー政策として進めていた政策であり、電力会社はその実施・実行部隊という形が認められると考える。沖縄電力以外の9電力会社の全てが原子力発電所を保有しているが、それは横並びで保有したと考えるより、政府の原子力政策の下で、政府指導により原子力発電設備を保有したというのが実態であると思う。

沖縄電力については、本島でも発電設備合計は(電源開発の発電所を含め)200万kW強で、原子力を設置するには小さすぎる。四国電力や北陸電力の、それぞれの発電設備は、合計700万kWと800万kWと、それほど大きくはない。しかし、60Hz圏内で送電線がつながり相互融通・送配電が可能であるので、原子力を保有することが不合理とは言えないであろう。しかし、電力自由化前の地域独占制度においては、今以上に多くの許認可権を政府が握っていたことから、電力会社にとっては、政府と摩擦を起こすより、国策に従い原子力発電所の建設に尽力することが、経営政策としても、やはり当然のことであったと考える。

事故から5月近く経過し、被害も複雑化している。牛肉セシウム汚染問題は、飼料であった稲藁が原因と言われている。稲藁のセシウム汚染は、予測が難しかったのかも知れないが、政府と東京電力とを比べれば、政府には農業・食料の部門もあり、警告を含め対策を講じることも可能であった。福島第一原子力発電所の事故があった当時の官房長官発言として、耳に残っているのが「一義的には東京電力が賠償責任を負う。」との発言や「直ちに影響はない。」との言葉である。政府(あるいは政権首脳)の責任逃れであり、国民の眼を東京電力に向け、政府の対応を遅らせることになったのではないかと思う。

今後は、政府が、前に出て、対応にあたって欲しいと思う。現実に放射性物質の除染という問題が今後の課題となる。どのレベルを基準とし、どのような方法で実施するかは、大きな課題である。除染により放射性物質が無くなる訳ではなく、下手をすると新たな汚染や被爆につながる危険性もある。情報や議論を公開し、国民が納得するように進めるべきである。除染で取り除いた放射性物質で新たな汚染を起こしては意味が無く、また除染作業で被爆する人が出てきてもならない。

2) 成立した原子力損害賠償支援機構法の内容

原子力損害賠償支援機構法の閣議決定法案はここにあり、その修正案はここにあります。原子力損害賠償支援機構なる法人が政府と9電力会社及び日本原子力発電による出資で設立される。(法には、政府及び政府以外の者が出資とあるが、政府以外としては、原発を保有する会社以外に考え難いと思う。

原子力事故が発生し、1200億円を超える損害賠償をする必要があると認められる事業者(東京電力)は、機構に対して、資金援助を申し込める。機構は、交付国債の償還を受ける形で、政府から資金援助を受けることができる。機構の収入は、9電力会社及び日本原子力発電並びに研究原子炉等の保有者から負担金の納付を受け、損害賠償資金を受領した事業者(東京電力)からは、特別負担金の納付を受ける。機構は、年1回(3月)の決算において、剰余金を生じた時は、交付国債の償還により受領した金額に至るまで、国庫納付をし、政府に対するこの実質借入金の返済を行う。

政府への国庫納付については、利息は書かれておらず、無利子と理解する。機構から東京電力への資金援助の返済は、特別納付金であり、その金額は「認定事業者に追加的に負担させることが相当な額として機構が事業年度ごとに運営委員会の議決を経て定める額」となっており、決め方によっては、どうにでもなると言える。9電力会社及び日本原子力発電が納付する負担金は、「機構が運営委員会の議決を経て定める額に負担金率を乗じた額」となるので、これからの話である。

3) 電気料金への影響

電気料金に跳ね返るのかと言えば、負担金の支払いがあり、当然の部分はある。しかし、幾らかは、非常に難しい面がある。また、他の要素もあり、複雑でもある。例えば、原発の定険後の運転再開に時間を要した場合、負担金の支払いコストより、稼働せずに資産が寝ていることに関連して要するコストの方が高いかも知れない。

言えることは、透明性のある情報開示が必要・重要なことである。また、多くの国民の声を聞くことである。公聴会も開催し、Webでも意見募集をする。ある意味では、政府が賠償をすることとほとんど変わりがない。政府による賠償であれば、税金からの支払であり、それが電気料金に変わっただけとするば、徴収方法と比例計算する対象が変わっただけである。

東京電力についても、特別負担金の額に相当する分、東京電力の電気料金が他社より高くなるのかである。比較して、高すぎれば、需要家は不満を持つ。この辺りのマーケット動向はどうなるのだろうか。

そして、やはり電力自由化を、推進すべきことである。原発を持たないPPSは、機構の負担金を分担しない。現在、送配電線は自由化されており、6000V以上かつ50kW以上は、誰からでも電気を購入することが可能であり、また電気料金の取り決めも全く自由である。この制度を推進すべきと言うか、拡大の障害となっていることがあれば、その解決に尽力すべきである。例えば、PPSが事故等により供給不可能となった場合に備え、その地域の一般電気事業者とバックアップ供給契約を締結せざるを得ない。そのバックアップ供給の料金は、経済産業省の認可制であったと思う。問題点を合理的に解決していけば、拡大につながるし、それでも拡大しないなら、既に充分合理的なはずである。

スマートグリッドも同様に推進すべきである。市場主義の取り込みを推進して、国民が納得できる制度になると思う。

4) 東京電力

東京電力自信、その株主、そして融資をしている銀行等の責任を問わずして、単に現状維持を図る法案であるとの批判が多かった。法令違反があった。あるいは、重大な過失があったという場合には、その責任は厳しく問われるべきである。福島第一原発事故は、事故があった場合に、その被害が、原発の場合は、非常に大きいと言うことを知らしめた事故と思う。皆ではないが、多くの関係者が油断していたのであり、単純に東京電力とすることで終わらせてはならないと思う。

東京電力の財務分析は、別途行いたいと思うが、現実には、2011年3月期に単体で1兆175億円の災害特別損失を計上し、繰延税金資産4046億円を取り崩し、1兆2585億円の当期純損失を計上した。結果、資本金9010億円で剰余金残高3638億円となった。機構から資金援助を受け、特別負担金の支払い義務を負っている状態で、株主への配当は、財務的にも困難と思う。巨額の機構からの資金援助を返済する前に、配当金の支払いは、簡単に許されないと思う。そう考えると、株主は否が応でも、ペナルティーを被ることとなる。

社債に関しては、電気事業法で保護されており、それを無視すれば全ての電力債がおかしくなると思う。福島と同じ事故は、他原発であっても、何らおかしくなく、リスクは同程度と思うから。銀行借入については、機構への特別負担金の支払い義務が存続する間、社債発行が困難とすれば、銀行借入に依存せざるを得ない。そうなると、返済免除はありえず、然るべき低利融資をと銀行に東京電力が依頼せざるを得ない。

経営者の責任については、しかるべく問われるであろうし、高報酬はあり得ないと思う。社員についての適切な処遇は必要と思う。東京電力の義務として、福島第一の安全な収束と管理は、どうしても残るし、維持しなければならない。福島以外の発電所での発電を含め、電力供給は必要である。そのための有能な人材は必要である。

しかし、東京電力の存続が絶対必要ということではない。第2東京電力ができても良いし、電力業界の再編があっても良いのである。重要なことは、日本の国民と産業に必要な電力を、最も合理的に供給する体制を築くことである。インフラとは、国民と産業に密接に関わっており、国民がその制度(料金制度を含め)構築に積極的に関われるようにすることが重要と考える。

5) 原子力体制

保安院を環境省へなんて驚くような案が出てきたりしているが、問題点や課題が何であるかを見極めて対応すべきである。私は、日本の制度では、政権与党の権力が強すぎて、情報開示を適切に行い、国民のための仕事をする制度・組織になっていないと思っている。内閣から独立した組織を作ることである。例えば、現状では、原子力委員会も原子力安全委員会も内閣府に設置され、首相を通じて勧告をする。内閣からは、独立し、国民と首相に対して、勧告するというのが本来の姿と思う。もし、経産省保安院に不正があれば、それについての発表や勧告があれば良いのである。

今後の日本における原子力発電は、どうすべきか、脱原発であるのか、その場合は、どのような展望、見通し、計画で実施するのかの検討が必要である。これらは、決して、電力会社の問題ではない。国民の問題である。電力会社は、国策(脱原発が国策かも知れない。)を推進する実施組織である。そう考えると、原子力発電については、各社から発電所を買取し、別会社を設立すべきではないかと考える。例えば、株式交換により、設立することも可能なはず。新原子力発電会社は、株式を上場し、もし必要なら、引き継いだ社債について政府保証を付ける。原子力発電を分離した方が、電力自由化も進むと思う。

原子力損害賠償支援機構法は、賠償を確実に実施するための法である。制度にまで、踏み込んではいない。制度は、国民に利益をもたらすように作るべきであり、今後検討が続けられていくべきと考える。

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