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2011年8月26日 (金)

放射能に関する整理メモ(その2)

放射能に関する整理メモ(その2)では、放射能は、どのような影響があるのかを考えてみる。

1) 放射能汚染の現状

文部科学省が放射線モニタリング情報というホームページを開設しており、ここにある。このホームページから欲しいと思う放射能に関する測定データを探し出して、放射能関連の情報を入手するのがデータ入手の一つの有効な方法であると思う。例えば、ここに福島第一原発80km圏内の空間放射線量分布マップがあったり、このページに航空機モニタリング結果の一覧があったりする。

処で今観測されている空間放射線量のほとんどは、地表に降った放射性物質からの放射線、その降った場所から流れ出し、風に飛ばされした地点からの放射線、あるいは草木に吸収されてその草木から放射される放射線であると思う。ちなみに、空間放射線量と土壌放射線量を同一地点でサンプリング採取・計測していることが多く、その中で、福島県双葉郡浪江町赤宇木手七郎での計測結果を表にしてみた。(表中で右端のみが、空間放射線量である。)

土壌放射線量(Bq/kg)は、半減期の減少カーブより大幅な減少をしている。多分、流れ出したり、あるいは草木に吸収されたりしていると想像する。空間放射線量は、半減期の減少カーブより少し低い程度ではないかと思う。

ちなみに、空間放射線量の測定とは、ガンマ線の量を計測しており、その結果をシーベルト(Sv/時間)に変換している。どの程度、確実性があるかについては、私は分からない。但し、同一の方法で同一の地点で継続して計測を実施し、時間の経過に伴ったデータを取得することは、意味が大きいと考える。なお、土壌、ダスト、食品等は、これもサンプルから放出されるガンマ線を計測室で計測している。ガンマ線の周波数も同時に計測し、ガンマ線のスペクトラムを取っている。核種により放射するガンマ線のスペクトラムに違いがあることから、個々の計測結果のスペクトラムに含まれる核種の種類と量を推定することができる。

また、放射線の量が少ない場合、ベータ崩壊・ガンマ崩壊は、例えば100Bq/kgの場合、1kgのサンプルがあって、1秒回に100回であり、このうちの全数が計測されている訳ではないと思う。時間をかけることも必要であり、計測器をあてたらたちどころに結果が得られるものではないと私は思う。

2) 被曝量

外部被曝とは、放射線を体の外から受けることなので、空間放射線からの被曝と物体に付着した放射性物質から放出される放射線からの被曝である。基本的には、その場所の空間放射線量に比例すると思います。従い、0.1μSV/hの空間に1年間いれば、0.1 x 24h x 365日の計算で、年間0.876mSVでよいと私は思います。屋内を低く見積もり、屋内と屋外を別個に計算して、足しあわせる方法もある。

なお、自然界には、太陽、銀河系等の宇宙から来る宇宙線や天然に存在する放射性物質からの放射線(ラドン温泉のラドンも放射線を出す。)から、原発事故が無くても被曝をしている。

もう一つ、内部被曝がある。体内に放射性物質が入り、体内で核崩壊を起こせば、人体に対する放射線の影響力は大きい。皮膚も保護してくれない。食物に放射性物質が含まれていれば、その放射性物質が体内に残る限り核崩壊をする。ヨウ素131は、甲状腺に集まるようである。なお、尿の中に入り対外に放出される放射性物質もある。

そこで、内部被曝量の計算であるが、次の式で計算をする。(食品の場合)

内部被曝量=摂取放射性物質量[摂取量(kg) x 放射性物質濃度(Bq/kg)] x 実効線量係数

摂取量(kg)と放射性物質濃度(Bq/kg)は、おわかりと思います。実効線量係数については、この原子力安全委員会事務局の平成19年12月7日付け環指第5-3号を見てください。セシウム137、セシウム134、ヨウ素131と炭素14の実効線量係数と毎日100Bqを1年間摂取した場合の内部被曝量の計算結果を次の表にしました。

炭素14は、空気中のCO2にも1.1%含まれており、植物には光合成で取り込まれる。それを、直接あるいは動物を通して毎日人間様は摂取しているのであり、実は、モロに内部被曝が生じているのです。但し、炭素14の割合は全炭素中1.1%と少なく、影響はほぼ無視できる。しかし、カリウム40もあり、このページは人体内に通常でも約4000Bqの放射性物質が存在すると述べている。

3) 人体への影響

私は、次が概ね正しいと考えている。

A. 100mSV未満の被曝については、人体への影響はよく分かっていない。

B. 100mSVの被曝をしたとして、ガンで死亡するリスクは1.05倍程度高くなる。30%→31.5%

C. 放射線を浴びれば、やはりDNAは破壊されるのであり、被曝量が低いほどリスクも低い。

参考資料としては、この(財)放射線影響研究所の説明が、あります。

C.で、DNAが放射線で破壊されると書いたが、細胞分裂の際にDNAが次世代にコピーされる時、多くは修復されるのです。(生物の不思議な力)但し、修復されず、壊れたままで受け継がれることもある。その結果が、ガンの発症となる。また、子どもについては、やはり同量の放射線を受けたとしても影響が大きいはずだし、細胞分裂も活発なので、その影響もあると思う。

なお、今回の福島の事故で、放射能による一般の人への影響(私は、作業員や発電所で働いておられる人達には、何らかの影響はあり得ると思っていr。)については、ほとんどない可能性があると思っている。なお、あるかどうか、その程度はということについては、何10年かの医療統計によってしか言えないはず。そして、その影響が、例えば、1.01倍のガン増加率であった場合、統計誤差に埋もれてしまうこともあり得ると思う。

こう書いて、たばことガンのことを思った。そして、国立がん研究センターがん対策情報センターの説明を読んだ。次の表があり、怖くて、たばこには、側にも寄れなくなった。

表2 日本における喫煙とがん死亡についての相対リスク*と人口寄与危険割合**-3コホート併合解析研究(1983年~2003年)

がん種
相対リスク 人口寄与危険割合(%) 相対リスク 人口寄与危険割合(%)
全がん 2.0 39 1.6 5
口唇・口腔・咽頭 2.7 52 2.0 7
食道 3.4 61 1.9 12
1.5 25 1.2 3
肝・肝内胆管 1.8 37 1.7 5
膵臓 1.6 26 1.8 8
喉頭 5.5 73
4.8 69 3.9 20
子宮頸部 2.3 9
腎盂を除く腎臓 1.6 30 0.6 -1
尿路(膀胱・
腎盂・尿管)
5.4 72 1.9 3
骨髄性白血病 1.5 35 1.0 0
* 相対リスク:たばこを吸わない人を1として、たばこを吸う人のがんのリスクが何倍になるかを示す指標
** 人口寄与危険割合:がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合を占めるかを表す指標(%)
(注)人口寄与危険割合は、相対リスクが1の場合は0となり、相対リスクが1未満の場合は負の値となります。

資料:Journal of Epidemiology, 18: 251-264, 2008

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