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2011年9月30日 (金)

復興増税の論点を考える

復興増税は、9兆2千億円との報道がなされている。復興増税が必要かとの議論や、増税額についての議論も必要であるが、9.2兆円を復興増税として課す場合に、何を考えるべきかと言う論点を整理することも必要であるはず。そのような、観点で以下に書いてみます。

1) 法人税増税

どうもよくわからない。この9月29日日経記事復興増税の規模を抑える不断の努力をのように、法人税については、「約40%の法人実効税率を5%引き下げたうえで、12年4月から3年間にわたって法人税に10%の定率増税を課す。」とするなら、次の計算になるはず。

(40% - 5%) X (1 + 10%) = 38.5%

復興増税になっていないと思う。10%増税は、3年間なので、4年目からは、35%の税率適用で減税になるはず。とりあえずの3年は1.5%減税で、3年を経過すれば5%減税の恩恵が適用される。

この5%減税とは、本年の税制改正で、30%の法人税率を25.5%に改正しようとした案である。何故30%が40%になるのかは、法人税割り地方税と事業税を加えた実効税率で考えた場合の合計実効税率である。法人税の話は、税率を25.5%へと来年の税制改正で実施し、その上で復興税制として税額の10%を追加課税する案である。

見送られた平成23年度の法人税改正案には、減却償却方法の変更、欠損金の繰越控除額の80%制限、貸倒引当金の廃止(金融機関等を除く)があった。これらの改正も実施する案で動いているようであり、どさくさに紛れて、国民を蚊帳の外に置いて、税制を決めていこうとしているように思えてしまう。むしろ、法人税は復興増税の対象とせず、改正は見送ることとし、所得税、消費税、相続税の全体バランスの中で長期的課題として、国民的議論の中で進めるのが、本筋と思う。

2) 所得税増税

法人税では、税率を下げても、課税範囲の拡大があるので、税額ではほとんど変わらないとすれば、9.2兆円は、所得税増税で賄うこととなる。所得税区分の全てとするのかの議論はあるが、乱暴に言えば、10年間所得税が10%増税となることを意味する。即ち、10年で1年分所得税を余分に支払うこととなる。しかし、これだけの税額だと、よく考えないと、重税感を味合うかも知れない。

上の日経記事には、「13年1月から10年間、所得税に4%の定率増税」とあり、日経も、政府からの情報で書いているはずであるが、我が計算は次のようになり、計算が合わない。政府は説明をすべきである。

平成23年度所得税収入予算: 源泉所得税11兆1720億円、申告所得税2兆3180億円
                   (合計13兆4900億円)

13兆4900億円に4%追加課税しても、年間5396億円にしかならず、10年で5兆3960億円である。

所得税の中には、利子の所得税のように15%(地方税を含め20%)課税で終了している所得税もある(平成21年6619億円)。利子の所得税も増税するのか、同様に証券関係の課税がある(配当源泉税1.6兆円)。給与の源泉所得は、平成21年度は8兆6269億円であった。

9.2兆円の課税も容易では、なさそうである。但し、地方税(県民税、市町村民税)も増税するなら、様子は違ってくる。もっとも、地方税を増税するとなると、被災していない地方でも増税が生じ、被災していない地方の自治体の税を、被災地の自治体が支出することが可能かという問題も発生する。

3) 単純追加課税 or 超過累進

上の日経の記事は、「所得税の定率増税は中高所得層の負担が必要以上に重くならないよう注意してほしい。」と述べている。しかし、これに対しては、「低所得者層の負担が重くならないように、工夫すべきである。」との全く逆の考え方も成り立つはずである。

次の2つの円グラフは、国税庁の平成22年分民間給与実態統計調査から作成した。分布状況が、税額で見る場合と人数で見る場合で、全く異なることが分かる。

Salarysurvey2011a

Salarysurvey2011b

人数では少ない高額所得者が税額では大きい。これは、次のグラフでも確認できる。

Salarysurvey2011c

所得税のみなら、給与額1000万円以下をどうしようと大きな問題はないかも知れない。但し、地方税も増税するなら、給与額1000万円以下の人にとっては、地方税の方が、金額が大きい。そもそも、所得が低い人ほど、生活が苦しいのであり、更に増税で苦しみが増加する。影響がないのは、生活保護の人となってしまう。(最も、生活保護とは最低レベルのはず故、下げようがないのであるが。)そうすると、例えば、仮の金額であるが、所得100万円以下は増税なし、100-700万円は3%、700万円超の部分は6%という風に、復興増税も所得税額を課税標準とするが、超過累進税率とする方法もあるように思う。

4) 支出の合理性

年金と医療保険の制度維持のために、否が応でも、今後増税の道を進まざるを得ない状況である。その上、復興増税の余裕なんて、全くないのが実態である。でも、復興はせざるを得ない。その時に、復興費用をムダに支出することは、許されるべきではない。ある金額までは、地元の地方自治体に任せることとし、地元が描く将来像のために支出するとしては、どうかと思う。極力中央の紐付きは止めるのである。

地元は、○○については、国の方で実施して欲しいと要望してくる。これを、「国など何も出来ない。政府が徴収した国民の血税を地方に分与するので、地方自治体が最も有効と考えることに支出して欲しい。」と、回答するのである。

増税分与の基準は必要であるが、具体的な使途に関する基準は中央では決めず、県をまたがる鉄道、道路と言った政府が整備すべきインフラ整備を政府が実施し、それ以外は地方自治体というのが、合理的なように思うが、どうであろうか。

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2011年9月23日 (金)

NHKの報道番組への要望

1) 環境に優しい車?

本日のNHKニュースを見ていたところ、アレッと思うことがあった。次のニュースです。(リンク先は、短時間で消滅すると思うが、記載しておきます。)

NHKニュース 9月23日 4時47分 “世界初”空気で動く自動車

どの部分を不思議に思ったかは、「運転席の後部に積んだボンベから送り込んだ圧縮空気を膨張させ、その力を車輪に伝えるしくみで、ガソリンも電気も使わず環境に優しい車となっています。」との部分です。即ち、走行時は、ガソリンも電気も使わないかも知れないが、圧搾・圧縮空気を作るには、コンプレッサーが必要で、その動力源はどうするかです。圧縮空気を作る時のエネルギーの環境評価をあわせ、総合評価しないといけないところが、部分評価で終わっている。せめて、一言付け加えて欲しかった。

なお、他社報道の例としては、日経の記事はここにあるが、単に空気エンジン車として紹介している。メーカーの発表は、ここにあるが、「化石燃料も電気も動力としない新しいエコカーです。」と述べており、自社の関係だから、エンジンとしてはそうであり、環境評価は述べていないので許せるのかは、皆様の判断にお任せします。

2) 特殊報道は深夜番組

次のNHK番組を見ていないのですが、放送時間が、NHK総合 2011年 9月11日(日)の午前2:35~午前3:20(45分)となっています。

全村避難~飯舘村 ある家族の150日~

番組は、このブログに書いてある内容と思うが、敢えて深夜の多くの人が気付かない時間帯に、新聞等の番組欄にも目にとまらない形で放映するのは、偏向報道の一種と考える。菅内閣の酷いやり方を何故未だに隠し通すのかと思います。米国は、50マイル(80km)圏内の避難を決定したのは、当然と思う。菅内閣は、SPEEDI等の計算結果に基づき、きめ細かい合理的な避難計画を策定できた。(SPEEDIの文部科学省の説明はここにあり。)しかし、実際には、飯舘村の住民を翻弄した。そして逆のケースとしては、静岡のお茶が安全にも拘わらず、あり得もしない大量摂取を前提として出荷禁止をし、不安を拡大した。

正確な報道が重要と考える次第です。飯舘村に関する番組は、是非通常時間帯に再放送をお願いしたい。

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2011年9月21日 (水)

福島第一原発放射性物質飛散は回避可能であったか?

福島第一原発の事故は、放射性物質の飛散により広範囲に影響を及ぼしており、放射性物質の飛散がなければ、被害や影響は局地的な範囲に収まり、影響は現状よりずっと小さかったのではと思う。

厳密な評価をする必要があると考えるが、放射性物質の飛散の原因の大部分は、やはり水素爆発により大気中に飛散し、降雨あるいは自然現象により地面に落下したことに起因すると思う。なお、今回、このエントリーの放射性物質飛散の回避は、水素爆発を防げたならと言うことで考えてみたい。水素爆発が、放射性物質飛散の原因の全てではないが、大きな関係があるとしてのことである。

1) 自衛隊出動による回避可能性

どのような手段で水素爆発が回避可能であると言えば、自衛隊の出動である。いずれにせよ、得られている情報は限定されており、多くの情報を入手可能な調査者・団体が調査・分析・評価すべきであり、ここで記載することは、結論ではなく、可能性であるから、しかるべく調査し報告書を公開して欲しいのである。

武力であり軍隊である自衛隊の出動は、民間要請で行ってはならず、総理大臣命令により出動すべきである。翻って言えば、総理は、その義務を果たしたのかにもなる。なお、ここに言う自衛隊の出動とは、燃料プールに海水を撒いた出動ではない。水素爆発の前に、放射性物質飛散を防ぐために、出動して有効な手段が取れなかったかである。

福島第一原発の事故調査は、日本の原発のためのみの調査に終わってはならない。世界の発電原子炉の今後の安全運転、事故防止、放射性物質飛散回避に役に立つ事故調査でなければならない。例えば、次の表は世界各国の発電用原子炉の数と出力である。現在中国で建設中の原発が完成すれば、中国は日本に次ぐ世界第4位の数と出力を持つ原発大国となる。日本には、中国の黄砂が風に運ばれてやって来る。万一の場合は、同じように、放射性物質が日本に来る可能性があると思う。もし、事故の際の放射性物質の飛散が、人民解放軍の出動で回避できるなら、是非出動して欲しいと思う。その為には、福島事故の正確なレポートを世界各国に提出し、福島原発事故から学んだ貴重な経験が世界で生かされるようにすることである。

Powerreactor20119

2) 自衛隊活動の可能性

自衛隊が何を出来たかであるが、その前に、事故をふりかえっておきたい。

3月11日14時46分に地震発生。福島第一原発では、1号機、2号機、3号機の3基が運転中であったが、タービン及び原子炉が14時47分に自動停止し、未臨界となった。(全制御棒が一斉に炉心下部から炉心に急速挿入され、原子炉の停止:SCRAMに成功。)外部電源が止まったが、非常用ディーゼル発電機が起動し、SCRAM後の冷却が開始された。

3月11日15時41分に津波が到達し、タービン建屋地下が水没。結果、非常用発電機が運転不可能となり、全交流電源を喪失した。東京電力は15時42分に原子力災害対策特別措置法第10条に基づく特定事象発生を経済産業省、福島県他に通報。16時45分に、東京電力は、同法第15条の緊急事態に至った旨を通報した。内閣総理大臣は、19時03分に原子力緊急事態宣言を発し、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部を設置した。

3月12日14時以後、14時30分より以前に、1号機原子炉格納容器のベントに成功。

3月12日15時36 分に1号機原子炉建屋で爆発が発生。

3月15日06時頃に2号機格納容器サプレッションチェンバー付近において爆発音が発生。

3月13日20時10分頃に3号機の原子炉格納容器のベント成功。

3月14日11時01分に3号機原子炉建屋で爆発が発生。

3月15日06時頃、4号機原子炉建屋の爆発が発生。

自衛隊に出動命令が出せたとするなら、11日19時03分の時点か、あるいは、原子力災害対策本部での緊急検討の結果、直ちに出動命令を出すことが出来たはず。普通に考えれば、15時41分の全交流電源喪失を受けて、専門家が提案するはずと思う。何故なら、直流電源しか残されておらず、その直流電源もバッテリー容量の限度から8時間程度しか依存できない。

交流電源がなくとも、直流電源で機能する計器や監視装置は存在する。また、非常時の冷却システムである1号機の非常用復水器(アイソレーション・コンデンサ)、2号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)、3号機の原子炉隔離時冷却系と高圧注水系(HPCI)等は、交流電源不要であるが、直流電源は必要と思う。

自衛隊は、夜間飛行可能で重量物運搬可能なヘリコプターを持っている。これを使えば、ある程度の交流電源も運搬できたし、充電済みバッテリーを輸送することもできた。勿論、整流器を持った小型エンジンの充電器を自衛隊は保有しているであろうし、おおよその装備も持っている。これらを利用したなら、水素爆発を防げたのではないかと期待する。

タービン建屋地下1階には、非常用ディーゼル発電基のみならず、配電盤もあり、直流が少しは利用できた3号機を除いて、どこまで有効であったか分からない。しかし、陸上を走っていった電源車は交通渋滞や交通規制で進むのが難しかったことと比べれば、自衛隊の夜間飛行は利用可能な最も有効な手段であった可能性がある。原子力災害防止のためなら、内閣総理大臣命令で出動して、構わなかったはずである。

仮に3号機の水素爆発を防げたなら、3号機のジルコニウム-水反応による水素が原因である可能性の4号機爆発も防げたかも知れない。そうなると、飛散した放射性物質も現状より少なく、冷温停止に向けての作業も幾分か容易であったかも知れない。

これが、私が望む事故報告書において含んでおいて欲しい項目である。批判される対象は権力の中枢であり、またその組織の動きである。それ故に、最も必要な究明点であると思う。

3) 参考資料

参考資料をいくつか上げておきます。

IAEAに対する日本国政府の追加報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)2011年9月: http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/backdrop/20110911.html

IAEAに対する日本国政府の追加報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について 2011年6月: http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html

日本原子力学会「原子力安全」調査専門委員会情報 http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousasenmoniinkai.html

(例えば、福島第一原子力発電所事故からの教訓 ここ

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2011年9月14日 (水)

2011年夏の電力使用制限の結果

2011年夏は、東京電力と東北電力管内において、政府による電力使用制限が実施され、9月9日に終了した。その結果は、どうであったか、東京電力がWebで発表している1時間毎の平均電力供給量のデータから検証してみることとする。

なお、2011年夏の政府による電気事業法第27条の電気の使用制限は、大口需要家(契約電力500kW 以上)について、7月1日から9月9日までの9時から20時の時間帯の電力消費を、2010年の同一期間の1時間最大電力量の85%の範囲内とすることであった。

1) 2011年と2010年の比較

2011年と2010年の7月1日から9月9日までの間の各日の最大負荷に対する1時間の供給量を比べたのが、次のグラフである。

概ね、2011年は2010年を下回った。

2) 各日最大電力と最高気温

夏の電力消費はエアコン消費もあり、気温と電力消費量との間の関係が強い。その相関関係を見たのが次のグラフである。

全く同じグラフを昨年の2010年について書いて見たのが次である。

2010年は、2011年より電力消費が少し多いことが分かる。また、2つのグループに分かれており、同じ気温の場合に、少し電力消費が少ないグループがあり、これが土日休日である。

3) 2011年と2010年の分析

2011年と2010年の各日最大電力と気温を同一グラフ上に書いたの次であり、近似線も付け加えた。

近似線が平均を示しているとして、近似線の2011年と2010年の差について電力量と2010年比で2011年をパーセント表示したのが、次のグラフである。2011年は、2010年より800万kWから1200万kWの節減、2010年に対して82%から80%の水準にした。土日休日の節減幅は小さいが、これは、休日の振り替えにより、電力使用制限の対象とならない土日休日に働いた企業や工場があったからと考える。

2011tepcosp5

4) 日負荷曲線での比較

電力使用制限は、ピーク電力を念頭としたが、制限対象は9時から20時であった。そこで、2011年と2010年のほぼ同じ気温を記録した日として、2011年8月8日と2010年8月3日を選んで、比較をする。両日の1時間毎の気温の推移は次の通りであった。

2011tepcosp6

毎時電力供給量で2011年8月8日と2010年8月3日を比べると次のグラフになった。

2011tepcosp7

企業も人々も非常事態であるとの認識で政府の電力使用制限に協力したし、義務になっていなかった契約電力500kW未満の一般家庭や中小企業・工場も節電に取り組んだ結果であると思う。

今後も同じように継続するのか、良い仕組みを考えていくのか、節約は良いことかも知れないが、それで全てが解決する訳ではない。今後のことは、色々と考えていく必要があると思う。私なんかは、電力使用制限ではなく、自由化と市場競争導入、そしてスマートグリッド導入による細かい時間帯別料金とし、市場原理による節電メカニズムが働くことを考えるべきと思う。

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2011年9月12日 (月)

9.11から10年、3.11から6月経過

9.11から10年を、3.11から6月を経過し、色々な思いが浮かんできます。

1) 東日本大震災

東日本大震災と津波は、自然現象であるが、全てを天災だとすると、行き過ぎであると思う。なにがしか、災害規模を小さくできた対策は、あったはずと思うし、高い防潮堤があることにより避難が遅れたようなこともあったはず。復旧にしても、反省すべき点、将来のために教訓として残しておくべきこともあると思う。濃淡の差はあれ、天災、人災、不可抗力が混じり合っているように思うし、将来のために、分析し、記録を残すことは重要と思う。

2) 9.11

9.11は、テロであった。事件直後は、米国人にとっては、自国が攻撃されたのであり、安全確保のためには、攻撃が続かないように、相手の武力を殲滅せねばならないとの行動になる。その結果、アフガンに攻め入った。1年半後に、米国はイラクに攻め入ったが、9.11があったからイラク戦争があったと思う。一方、別の見方をすれば、10年を経過したのではなく、10年も戦争を継続しており、且つ、その終戦の見通しも立っていないとなる。

では、一体、何のために、米国は戦争を始めたのかになる。

NY TimesにパキスタンのAHMED RASHIDさんというジャーナリストの投稿記事”And Hate Begat Hate”(ここにあります。)が掲載されていた。「憎しみは憎しみを生んだ。」との意味であり、Begatは、Beget(生む)の過去形であり、男の場合に使うようです。女の場合は、Bearを使う。投稿記事は、英語であり、結構長文ですが、パキスタンの人からすれば、そうなのだと実感が感じられる。

アルカイダは、ごく少数の一派であり、アルカイダを攻撃するために、大部隊で世界最強の軍隊が航空機やミサイルを使い攻め込む。そして、国境を接するパキスタンも無関係ではなくなる。パキスタンにとっては、1980年代にソ連によるアフガン侵攻も、2000年代の米軍の攻撃も、変わりはあまりない。パキスタンの状況は、良くなっているのか、悪くなっているのか、分からない。

オサマ・ビンラディンを米国は殺したが、やはり、裁判で裁くのが、本当のやり方であると思う。戦争で解決しない性質の出来事について、戦争で武力で立ち向かうことの愚かさがあるように思う。それからすると、イラク戦争の際、日本では好戦的な首相や外務大臣が、日本も戦争を支援すべきと当時言っていたように思う。

3) 日本はテロにどう対処するか

過去には、オーム真理教サリン事件があったが、これから先はどうなのだろうか。何とも言えないが、原発事故と同じで、無いとは言い切れず、あるかも知れない。しかし、リスクを小さくする努力は可能であるはず。一つは、警備の強化であり、例えば、万一テロに狙われたら恐ろしい原発については、対策を十分にすること。

テロリストは、国内とは限らず、外国から来ることもある。その場合、貧困国、破綻国家の中で更にそのうちでも恵まれない人がテロリストになる場合が、多いのではないかと思う。それからすると、貧困国・途上国支援の中でも、貧困対策や医療支援に関する援助は、我が国の安全保障の面でも、重要と思う。防衛費を削ってでも、その意味は大きいと思う。

今年の7月22日にノルウェイで、32歳の男が、政府庁舎を爆破し、さらにオスロ近郊の小島で銃乱射し多数の人を殺したテロ事件があった。9.11と異なるのは、ノルウェイ人によるテロであり、外国人排除の国粋主義。共通点は、一般の人を多数殺すテロである。ノルウェイは、この事件とテロ・犯罪・犯罪者にどう立ち向かうのだろうか。ノルウェイが外国人移民受け入れ政策を変更することはないと思う。しかし、この事件に限り死刑復活もない。ノルウェイとしての民主主義と国民の幸福の地道な追求しかないと思うのである。

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2011年9月10日 (土)

除染でムダ使いや不合理をしてはならない(除染は合理的に)

福島第一原発から飛散した放射性物質の取り除きを行う除染に対する政府の対応は、遅れていると思う。遅れの結果が、将来に大きな問題を残し、その結果、対策に費用がかさみ、合理的に実施をするより大きな支出となり、ムダ使いになることは避けねばならないと思う。ダメ首相が退いたので、今度こそ正しく除染に取り組んで欲しいと思う。

1) 未だ研究中なのか?しかし、正しい対策のためなら許される。

基準がないに等しい。例えば、毎日 9月9日 放射性物質:除染事業 福島県内12市町村で先行実施へというニュースがある。2200億円を支出して、12市町村で試験的に除染を行うと読める。

ニュースには「実証事業は除染効果などを確かめるのが目的で」とあり、前内閣が手を付けていなかったので、国民と放射能レベルが高い地域の人には、申し訳ないが、これが現実ですとのことなのか・・・・。それなら、それで、私も、全体像が掴めていないので、何とも言えず、政府には是非積極的に取り組んで欲しいと思う。正しい対策の確立が重要であるから。

2) 放射性物質の廃棄場所

大きな課題の一つは、やはり放射性物質の廃棄場所である。例えば、ここにある原子力学会の9月9日プレスリリースに、表土の除去(汚染状況によって異なるが、概ね2cm 程度)の効果は、最高除去率が、90~97%に達するとある。しかし、5cm除去で、50kg-70kg/m2の除去による汚染土壌が発生する。これは、1ヘクタールの除去で500トン-700トンという数字になる。むやみに表土除去をすると、後の処理で費用がかさみ、困ってしまう。

表土と下土の入れ替えも検討すべきである。では、どの場合が、表土の除去で、どの場合が表土と下土の入れ替えで、どの場合が、対策不要とするのか、その基準を合理的に作る必要がある。土地の利用形態によっても異なるかも知れない。

農地の場合は、表土の除去は困難なはず。そんなことをすると、肥えた優良農地が、悪い農地になりかねない。では、ヒマワリがセシウムを吸収するとして、ヒマワリを植えた場合に、収穫したヒマワリをどうするのか?放射性物質を吸収させるためにヒマワリを生育したのであり、元に戻しては意味が無く、飼料・食用に出来るなら、初めから目的とする作物を収穫できたのである。放射性物質を含むヒマワリの廃棄に困ってしまうのである。

屋根や壁を高圧水で除染する方法がある。果たして、現時点でどれだけ効果があるか不明だが、洗い流した水を下水に流せば、下水処理場に放射性物質が行く。あるいは、下水管に付着する。河川に流れれば、下流域で放射性物質の汚染が始まる。全体像を考えずに、現時点のことのみの対策をしても、逆に汚染拡大になることもあり得る。河川への汚染拡大は、下流で飲料水として取水していた場合、内部汚染につながる。

3) 安全な除染方法

例えば、地表に固着したセシウムを表土の除去で取り除いた場合に、空中に舞い散り、作業者の呼吸による内部被爆になることがあり得る。もし、内部被爆になるなら、除染をせずに、そのまま放置した方が、被爆量が少なかったかも知れない。地表に留まり、外部被爆のみで終わるなら、おそれる必要は少ないかも知れない。この基準・目安を検討せずにいることは不合理と考える。

また、作業員の安全確保は重要である。「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」では、無許可でセシウム134や137を含む放射性物質を扱える量は極めて小さい。普通の人が、除染と言って、溝からショベルで土を取ると、法律違反になりかねない。土木機械を使って、土建会社が、表土を削っても同様である。

作業員の安全と放射性物質の安全な取り扱い、そして廃棄の安全を確保する必要がある。「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に適切な改正を行い、効果的かつ安全に除染が実施できるようにする必要がある。

除染作業者には、原発作業員と同様に、作業時に線量計を身につけ、放射線管理をするぐらいのことがあってよいのかも知れない。(レベルが分からず、そこまでは不要かも知れず、困ってしまうが)

4) 焼却と焼却灰

放射性物質は除染をしても量は減少せず、最終的に除染で取り除いた放射性物質を含むモノを、どこかに保管する必要がある。焼却をし、放射性物質を焼却灰と共に保管するのが、嵩としては一番小さくなる。下水汚泥の焼却灰が一番良い例である。高いBq/kgとなり、放出される放射線量も大きいが、管理は容易とも言える。

但し、放射性物質が煙突から安全レベルの微量しか排出されず、かつ、それが常時モニターされ安全性が確保できた焼却炉で焼却されねばならない。当然、それを運転・管理する人は、どのような資格となるか調べていないが、管理する能力がある人でなければならない。

焼却灰にすることが出来れば、特別なドラム缶のような物に入れて、地中に埋設して、処分することが可能になるかも知れない。

5) 除染案の作成

いずれにせよ、全体を見渡した除染案の作成が必要である。年間被ばく量20ミリシーベルトが基準と言っても、訳が分からない。東北以外でも除染を実施するべき地域があるかも知れない。

作業や作業者の安全基準や、廃棄物の取り扱い基準も必要である。例えば、自宅の庭や公園を自発的に除染する場合は、幾ら以下とするかという基準も必要である。

そして何よりも情報公開・開示が重要である。前内閣のような非公開と独裁を行ってはならない。この文部科学省の8月22日発表にも、9月以降愛知県、青森県、秋田県、石川県、岩手県、神奈川県、岐阜県、埼玉県、静岡県、千葉県、東京都、富山県、長野県、福井県、山梨県の広域航空機測定をし、結果が公表される。除染だけではなく、モニタリングを長期に継続することで、国民の安全が確保されると考える。

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2011年9月 9日 (金)

日大医学部付属練馬光が丘病院(続きの次)

日大医学部付属練馬光が丘病院事件(事件では、ないかも知れないが、騒ぎを呼んでいるので、事件とした。)のその後の報告です。前回続きを書いたので、続きの次とした。(最初はここ、続きはここにあります。)

練馬区の選定委員会で候補として公益社団法人地域医療振興協会を内定し、12日の同委員会で決議後、志村豊志郎区長に答申され、16日の区議会医療特別委員会で公表されるとのニュースがあった。

MSN産経 9月9日 後継は「地域医療振興協会」 選定委が高評価

ちなみに、公益社団法人地域医療振興協会のホームページはここにあります。

(参考) 地域医療振興協会の財務業績(2010年4月から2011年3月まで)

医業・介護収益702億円、経常利益21億円、正味財産増加額[一般企業の純利益]21億円

施設数: 49 医師数: 590 研修医数: 89 看護師数: 2262

なお、MSN産経ニュースは「日大光が丘病院の存続を求める区民の会」が、住民監査請求を行う方針であることを報道している。

MSN産経 9月9日 「水準維持に疑問」区民が住民監査請求へ

このニュースで触れている共立湊病院の指定管理者地域医療振興協会の急な病院経営撤退とは、この静岡県の説明に関することと思うが、下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町及び西伊豆町の1市5町が構成する共立湊病院組合(下田メディカルセンター)のことについては、私も調べておらず、よく分かりません。

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2011年9月 6日 (火)

小宮山洋子厚生労働相の増税発言

8月30日に野田首相には、ズバリ増税への取組を望むと書いたが、増税方向への発言が、厚生労働大臣からあることを、余り期待していなかった。

一般的には、次の発言でしょうが、

日経 9月5日 小宮山厚労相「たばこ1箱700円に」 増税を主張

私には、そんな少額のことではなく、次の発言です。

日経 9月5日 診療報酬、来年度も増額検討 小宮山厚労相

是非、全力で取り組んで欲しいのです。簡単ではないからです。小泉政権は、その国民的人気から、三方一両損とか言って、診療報酬減額と保険料増額に取り組んだ。しかし、長期的に続くものではない。

診療報酬を増額するとして、その財源の政府負担の捻出は財務省とするのは、無責任であると思う。厚生労働省から増税を要求して良いと思う。厚生労働省が、財務省が予算を認めないとして、よい子・ブリッコするのは、よくないと思う。誰かではないが、厚生労働大臣も泥にまみれて苦労しなければならないと思う。

新薬等の開発もあり、医療費は今後益々増加すると思う。高額医療費の負担をどうするか。外来1回100円値上げして、高額医療費の負担にあてるというのは、持続可能なのかと思う。いっそのこと、混合診療を認め、特定の高額医療については保険対象外とすることも模索せざるを得ないのではと思う。税社会保険統一番号は推進せざるを得ないはず。反対論者を説得する主体は、財務省ではなく、厚生労働省ではないかとさえ思う。

なお、国民の支持を得るためには、情報開示が必要である。誤魔化してはならない。隠してはならない。情報開示をし、国民の支持を受けつつ、持続可能な制度を確立することに取り組んで欲しい。

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台風12号豪雨被害と林業衰退

今回の台風12号による死者・行方不明者の合計は、100名を超えた。

日経 9月6日 台風12号被害、平成で最悪の恐れ 死者・不明104人

TVニュースの映像を見ていると、山の斜面の崩壊が多くあり、また崩壊した土砂が川をせき止めて、貯水池を形成している場合もある。

気象庁の9月5日付台風第12 号による大雨(第1報)によれば、8月30日~9月4日の6日間の合計で雨量記録が一番大きかったのは、奈良県吉野郡上北山村上北山での1808.5mm、同期間で1時間最大雨量記録が一番大きかったのは和歌山県新宮市新宮で9月4日03:57における132.5mmであった。ちなみに、上北山での1808.5mmの雨は、次のように降った。(台風第12号による大雨(速報)の7ページから)

Typhoon122011 被害があって当然のような大雨であった。しかし、気になるのは、間伐を含め山林の手入れが行き届いていなかったことによる被害の増大ということは、無いのであろうかとの点である。当面の救助や復旧作業が終了してからのことであるが、調査をして欲しいと思う。

何故なら、林業経営が成立困難で、間伐が行き届いていない山林が増加していると聞くからである。林業が山を守り、自然を守り、人々の生活を守っている側面があると考える。林業を守るために、税金を投入しても良いのではないか。その結果、大雨被害が減少するなら、税金投入はムダ使いではなく、投資であり、災害復旧費用削減につながるSavingである。間伐材の割り箸利用等による間伐の促進もあってもよいと思う。

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川崎協同病院事件須田セツ子医師の医師免許停止

一昨年12月に最高裁が上告を棄却し、川崎協同病院事件須田セツ子医師の高裁判決(殺人罪、懲役1年6月、執行猶予3年)が確定し、その時にこの2009年12月9日のブログを書きました。

殺人罪確定から1年半以上経過したが、医道審議会による医師免許の停止、あるいは3年以内の医業停止の処分という行政処分が決定するようです。

週刊金曜日ニュース 9月5日 終末期医療は「殺人罪」なのか――罪に問われた医師に医師免許停止

2009年12月9日に書いたので、どのような事件であったかは、そちらを読んでいただければと思います。須田医師が行った医療行為が殺人罪となったのであり、最高裁で確定したので、行政処分は当然のことと言えます。

患者家族の依頼により患者に装着されていた気管内チューブの抜管をした。結果、患者は苦しみ始め、筋弛緩剤ミオブロックの注射、そして死亡となった。これに関して、患者家族から書面による確認は得ておらず、また、他の医師の立会等もなかった。

須田医師は、横浜市で診療所を開き、外来で日に100人近く患者が来院しているようである。川崎協同病院事件に関する一般の評価は、「須田医師の脇が甘かった。」との見方が多いようである。しかし、週刊金曜日ニュースの記事が書いている須田医師の発言「延命治療の技術が進んだのに、技術に司法が追いつかないまま判断を下せば、国民が不幸になる。地震などの大規模災害でも、トリアージ(災害治療下で、治療の優先度を決定すること)を行なう医療者は常に訴えられる危険にさらされる。」は、考えねばならない重要なことと思います。

過去に、取り上げたことがある事件なので、書いてみました。

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日大医学部付属練馬光が丘病院(続き)

9月2日に日大医学部付属練馬光が丘病院について書いたことからの、現時点における続報です。

1) 駿河台日大病院の斎藤宏総医局長の文章

日大には、板橋、駿河台、光が丘の3病院があり、このなかの駿河台病院の小児科医局長である斎藤宏氏が、産経新聞へ寄稿された文書がMSN産経にあった。

MSN産経 9月5日 【寄稿】 練馬区、日大共に歩み寄りを 駿河台日本大学病院総医局長・小児科医局長 斎藤宏氏(全3ページ)

日大病院で小児科医・小児科医局長として働いておられる人であり、今回のことについては、発言せざるを得ないとして書いておられると思う。その気持ちを強く感実。例えば、普通であれば、言い過ぎとも思える文書の最後の(次に抜き出した)部分であるが、率直に受け止めてよく考えるべきと思った。

後継法人が9月中に決定した場合、地域の小児医療の崩壊は確実で、その代償は人命であることを、区、日大本部、議会、そして2次医療圏(豊島、北、板橋、練馬)に責任を持つ都は理解すべきだろう。

 7月の問題発覚後、全てが手遅れになるまで時間がない。地域医療とはこんなに簡単に壊れるのかと、医療を支えてきた医師の一人として無力を感じている。

2) 練馬区議会による決議

決議は未だであるが、MSN産経は、日大医学部付属光が丘病院の問題で、区議会医療・高齢者等特別委員会は、「地域医療の確保と充実を求める決議」を9日の区議会本会議に上程することを決めたと報道していた。

MSN産経 9月2日 病院機能維持の決議案上程へ 練馬・光が丘病院問題

医療サービスの維持は、時として金銭が必要と言うより、金銭負担なしで維持することが出来ればよいが、それは期待のみで現実は異なると考えるべきと思います。勿論、野放図に金銭を支出できず、財政状態を含め情報開示が常時、適切になされることが重要と考えます。

日大医学部付属光が丘病院が、どのようになるか、分からないが、とりあえずの備忘録です。

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2011年9月 5日 (月)

司法修習生の給与制廃止となるのか?

昨年の11月27日に司法修習生の給与制来年の10月31日まで延長成立を書き、本年10月30日まで給与制が適用されることとなったが、東日本大震災や福島原発事故もあり、給与制が廃止され貸与制となることについて余り話題に上らなくなっていた。

そんなとき、次の朝日新聞の社説があった。

朝日 9月5日社説 法律家の養成―腰据え本題に取り組め

大新聞とは、こんな身勝手なことを述べるのかと思ってしまった。

1) 司法制度は重要です

司法制度とは、裁判所、検察、弁護士から成り立ち、刑事事件では3者、民事では2者が直接関係し、ハコモノではないヒトモノである。即ち、人事育成が最重要な制度です。その人材育成に係わる1年間の給与をどうするかである。

修習生は司法試験合格者であり、修習の期間は勤務と同じで、時間拘束を受け、他の仕事どころかアルバイトも禁止である。企業が、新人の雇用を開始してJob Training(On-Job及びOff-Job)をするのと全く同じと思う。企業が、時間拘束をして、人を訓練する場合は、給与支払いの義務がある。司法修習生との違いは、司法修習生は、検察官になるとは限らず、裁判官になる場合や、弁護士なる場合もある。しかし、企業だって、訓練期間終了後、転職する者もいる。弁護士になる司法修習生修了生も、政府の為に働かないと言っても、社会のために働くのであり、国家の最重要制度を構築する人材になる。学校教育や大学教育に税金を使って維持するのは、社会を担う重要な人材は、税金を使ってでも育成すべきとの考え方からである。何故、司法修習生を別扱いにするのか、理解に苦しむ。

最近は、検察批判が多くあった。検察をよくすることの一つの方策は、弁護士の能力を高くすることです(言いすぎで、弁護士からクレームを受けるかな)。 弁護士が刑事裁判をおろそかにすると、検察官が手抜きをしても大丈夫となる恐れがありやしないか(今度は、検察官からクレームを受けるかな)。 裁判官が審理を尽くし、真相に迫り、正しい判断をすることに手抜きをする恐れがないか(今度は、裁判官からクレームを受けるか)。 いずれにせよ司法制度にとって、人材がどれほど重要かと思います。冤罪事件で、検察を批判することは簡単です。しかし、裁判官や弁護士がいることを忘れてはならず、1年間、検察官、裁判官、弁護士の卵が、同じカリキュラムで一緒に修習を受けるとことは意義があり、日本の司法制度を維持、発展させていく上で、現時点においては、有効と考える。

2) 貸与制と給与制

昨年の9月4日の司法修習生の給与制と貸付制で、書いたので、今回は、お金についても。修習生一人に対して約3百万円です。これを節約しようというは、事業仕分けのやり過ぎに思う。

上に掲げた朝日の社説の背景には、この法務省の法曹の養成に関するフォーラムがあり、その第一次取りまとめはここにある。「司法制度改革においては,新しい法曹養成制度,日本司法支援センターや裁判員制度など,多額の財政負担を必要とする諸施策が導入されたが,このような司法制度改革全体の制度整備を進める中で,全体としての財政負担を考えると,司法修習に要する経費を国庫負担とすることに加えて,すべての司法修習生の生活資金まで給与として支給する給費制を維持することについて,国民の理解を得ることはもはや困難であると考えられた」との極めて独善的な非常識なことが述べられている。

本末転倒も甚だしい。裁判制度を導入したことや、法テラスを創設したことに、司法修習制度の貸与制導入とは、関係がない。過去の間違った指摘を、引きずっているバカが多いフォーラムである。フォーラムという言葉は単なる集まり意味すると思えるし、意味不明の名前を付けることも気に入らない。

11月27日の司法修習生の給与制来年の10月31日まで延長成立で、2010年11月26日参議院本会議において、賛成票224と反対票11で本年10月31日までの延長成立を書いた。これで、もうバカな議論は生じないと思ったが、再び訳の分からない連中が貸与制と言い出した。政府財政が問題なら、エコカー補助金を自動車メーカから取り戻せばよい。車種も全て判明しているから、簡単である。自社で利益をあげられる連中に補助金(直接の相手はユーザーであったが)を支出する理由など全くなかった。

我が文章も相当混乱気味であるが、こんなバカがいる日本の○○審議会やフォーラムなど全て止めて、正しい判断ができる人に置き換えるべきである。なお、日弁連の会長声明がここにあることを紹介しておきます。

3) 朝日新聞社説

ろくでもない新聞社で、悪論ばかり述べていると思う。そう言えば、司法修習生の給与制に関しても、昨年9月30日にここに書いたことがある。新聞社も記者も無茶苦茶。

もう一つの社説再生エネ法―送電線の接続を透明にも、最後の結論は無茶苦茶である。「外部の人間がチェックして透明化する態勢が必要だ。」とすることには賛成するが、「地域に偏在する自然エネルギー電力を東京や関西の大消費地に送るように送電網の運用を変えれば、・・」という部分は、外部の専門家がチェックすべき部分であり、アホの朝日の記者・編集者が結論として書くことではない。書くとすれば、「・・・・という可能性もある。」とすべきである。

また、数日前の朝日新聞には、記者が「年金が破綻するというのは嘘である。」と書いていた。「破綻」という言葉の意味が人によって異なるかも知れないが、「年金受領額が期待額より非常に小さい。」と落胆した状態は、私にとっては破綻である。例えば、身を削る思いで、年金保険料を支払って、その結果が、全く納付せず生活保護を受けたと仮定した時に、年金受領額が生活保護費より低かったらどうであろうか?実は、これが現実とほぼ近いのである。従い、制度維持や破綻阻止を税を投入してもすべきであると考える。勿論、単に税をつぎ込めばよいのではない、合理的な制度に作り替えていかねばならない。

年金支給額を年金納付額にあわせて支給していく限りは、破綻はあり得ない。当然である。しかし、そんなことをしていたら、制度維持の意味すらなくなるはず。大会社の高給サラリーマン記者が書く記事や社説には、世の害になることばかり含まれていると思う。

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2011年9月 3日 (土)

子宮頸がん予防ワクチンと性教育

これが、厚生労働省の子宮頸がん予防ワクチンに関する一般向けリーフレットです。でも、よく分かりません。

こちらが、東京都中野区の「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種費用の一部助成」というWebです。まだ、こちらの方が、分かります。

1) 子宮頸がん

子宮頸がんとは、子宮の「入り口」にできるがんで、婦人科のがんで最も多い。前がん病変である異形成を経て発症し、異形成から発がんの過程でヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が原因であるとされている。HPVには、100種類以上のタイプがあり、このうち15種類が子宮頸がんの原因となる高リスク型に分類されている。HPVは、性交渉により感染することが知られており、HPV感染そのものはまれではなく、感染しても、多くの場合、症状はない。HPVに感染した人の中に、10年以上を経過して前がん病変となり子宮頸がんを発症する人がいる。

2) 子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)公費助成

HPVがウィルスであることから、予防ワクチンが当然考え得る。日本では、HPVワクチンとしてサーバリックスが2009年10月に薬事承認され、同年12月から販売開始となった。政府は、平成22年度補正予算で措置した交付金を原資とした「ワクチン接種緊急促進基金」を設置し、市区町村が行う子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種費用を助成し、予防接種の促進を図ることとした。

厚生労働省から都道府県知事宛の通知は2000年11月26日であったが、これ以前から独自にHPVワクチンの公費助成を実施している市区町村もあった。2011年7月に4価HPVワクチンであるガーダシルも薬事承認され、8月から販売開始となった。厚生労働省は、サーバリックスに加えガーダシルも助成対象とし、9月15日から適用するとした。このことが、冒頭の子宮頸がん予防ワクチンに関する一般向けリーフレットの内容です。

政府の助成金額は都道府県に対して約690億円で費用の1/2まで。平成23年度までであるが、平成24年度も継続されると私は思います。なお、上に掲げた中野区の助成は1回に付き8,000円となっている。しかし、この横浜市のWebには、無料(公費負担)でワクチン接種とあり、市区町村により助成内容は異なっているようです。

サーバリックスにしろガーダシルにしろ、3回接種を受けねばならず、3回目は6月後となるので早めに1回目の接種を受けるべきと考えます。

なお、HPVワクチンを接種したとしても、子宮頸がんになる可能性はあります。従い、子宮頸がんの検診は、HPVワクチン接種に拘わらず必要です。この国立がん研究センターがん対策情報センターのWebの下の方の「3.子宮頸がん検診の重要性」には「子宮頸がん予防ワクチンは子宮頸がんの治療薬ではありませんし、定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものではありません。ワクチン接種に加え、正しい子宮頸がんの知識を持ち、何よりも早期発見のために子宮頸がん検診を定期的に受診することが重要なのです。」と書いてあります。

3) 性教育

HPVの感染の全てではないかも知れないが、ほとんどは性交渉による感染と考えられている。また、臨床研究の結果として、セックスパートナーの数、喫煙、経口避妊薬の服用、他の性行為感染症、慢性炎症、経産回数(お産をした回数)、年齢などがHPV感染にかかわる危険因子とされていると聞く。

政府の助成対象となる接種は、13歳となる日の属する年度の初日から16歳となる日の属する年度の末日までの間にある女性であり、中学生と高校1年生です。理由は、子宮頸がんが40歳代以下の年齢層で増加しており、特に25-29歳の年齢層で増加割合が大きいのです(1975年と2005年の比較)。このことも踏まえてと思うが、感染から発症までが10年以上であり、高校生の時期における初めての性交渉を経験する者の割合の増加との関係が指摘されている。米国では、ACIP(the Advisory Committee on Immunization Practices)のリコメンデーションは、11-12歳の女性が優先的な接種対象としているとのことです。

ワクチン接種も良いのですが、やはり、同時に性教育をすることが重要と考えます。学校の先生に知識・能力がそれほどあるとは思えず、産科医師や専門家に依頼してよいと思います。講師謝礼より、ずっと大きな利益がもたらされると思います。

4) LUPOさんのブログ

LUPOさんは、ブログでどのように書いているかと見てみると、ここにありました。さすがに、次のように書いています。

中学生にパピローマウイルスのワクチンを打つ際には(全年齢の女性に打ってます)、生殖器の解剖・生理とセ☆ クスという行為について、性感染症と避妊についてお話をしています。

「セ☆ クスは本当に自分を大事にしてくれる人と、責任がとれる大人になってから。そして、妊娠出来る年齢には期限があります」という話まで。中学生にピンとくるかなと思いつつ、大事なお話なので。

また、LUPOさんの子宮頸がんについてのブログはここにあります。

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2011年9月 2日 (金)

知事が責任を持つとは?

日大付属練馬光が丘病院と余り変わらない話のように思ってしまった報道を発見しました。

四国新聞 8月17日 県民の安全に万全期す/浜田知事発言要旨

質問: もし、想定外の被害が起きたとき、だれが責任を取るのか。

知事答弁: 責任は私が取る。行政の長としての責任は、十分に自覚している。

「想定外の被害=原発の事故」と置き換えて読むと、知事答弁は強弁にしか聞こえない。そして、この質疑は、8月16日の新香川県立中央病院に関する地震・津波に対する安全性についての香川県議会文教厚生委員会でのことでした。

工事中の新香川県立中央病院は、6月11日から工事中断をしていたが、工事再開について文教厚生委員会でも異論が無く、10月に地震・津波対策を強化して工事再開となるようです。

しかし、「責任は私が取る。」と言うのは、言い過ぎであると思います。逆に言えば、地震・津波で被害があろうと知事が個人で賠償する責任はなく、道義的責任に止まる。 また、地震・津波対策と言って、幾らでも県費の支出が許されるわけはなく、その時点での最善を尽くし、最も合理的と思われる対処をすることである。重要なことは、情報公開と、住民の意思の尊重であると考える。

また、私は、「責任は私が取る。」と発言する人を信用・信頼しません。ビジネスでも同じです。「では、どんな責任を取るのですか?」と問いたくなる。刑事責任がないにも拘わらず、刑事罰を問題にしてはならず、損害賠償責任が成立しない場合に、金銭・財産による支払を強制できない。

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日大医学部付属練馬光が丘病院

日本大学は、医学部付属練馬光が丘病院(342床)が、累積赤字が90億円になり、来年3月末で撤退することを発表し、これに対して、練馬区は新たな医療機関を公募するとのニュースが少し前にありました。

MSN産経 7月15日 日大が光が丘病院撤退 練馬区は新運営者募集へ

7月15日の申し出と思ったが、日大が撤退の意向を練馬区に伝えたのは、2009年のことであったと述べている記事があった。

Yomiuri Online 8月30日 なぜ、日大練馬光が丘病院撤退なのか

MSN産経の記事にも、「日大は21年9月、区に運営支援を要請。区は21、22年度の建物賃借料を免除した。」とあり、建物賃借料の免除をしたことから考えれば、免除をしないと撤退となるから免除をしたと推測できる。そして、それは2009年9月か、それ以前であったのであろう。撤退とか、賃借料とかの言葉が出てくるのは、Yomiuri Onlineの記事に「この病院は1991年、経営破綻した医師会立病院を引き継いで開院し、以来、地域医療を担ってきた。」とあり、またこの練馬区の7月15日のお知らせには「日本大学は基本協定書および公有財産貸付契約書に基づき」とあり、区の財産(病院)を日大に貸し付けて運営している病院だからです。(私には、指定管理者制度による区営病院に近いと思える。)

そこでWebを探すと、光が丘学校跡地利用を考える会というブログがあり、その7月15日のブログを読むと、練馬区の住民は日大が光が丘病院撤退することを、やはり7月15日に初めて知ったようです。Yomiuri Onlineにも、「区は、「地域住民を混乱させないように」と極秘で日大と交渉を続け、多くの住民が、この事態を知ったのは、日大が発表した7月15日だった。」とあります。

区が所有している病院にも拘わらず、住民に知らせなかった。そして、光が丘学校跡地利用を考える会というブログには、恐ろしいことが書いてあります。

区長はこういう事を裏で知りながら「5病院構想」など掲げて再選したわけです。

いやはや、すごいものです。

なお、日大光が丘病院は、夜間救急小児医療や周産期医療で重要な役割を果たしていた(る)と理解する。

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