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2011年10月 9日 (日)

サンマ漁業関係者の自主規制は自らの首をしめないか

サンマは、おいしいし、資源も比較的豊富で、魅力ある魚と思います。しかし、サンマ漁業関係者の動きは、気になってしまう。

日経 10月8日 福島原発100キロ圏、サンマ禁漁決定

日経 10月6日 東北沖のサンマ、受け入れ拒否要請 北海道の水産団体

これで安心してサンマが食べられるので良かったとの考えで、支持する人も多いと思う。しかし、私なんかは、根拠なしで、禁止や拒否することは、消費者側から、根拠なく拒否される危険性を抱えることになり、下手をすると消費者の魚離れにつながり、漁業の衰退になる可能性について心配してしまう。

1) 水産物の放射性物質検査

水産物の放射性物質については、福島県及び近隣県の主要港において、表層、中層、底層の漁獲物を週1回程度サンプリングして調査しており、水産庁が公表している。最新の発表は、10月5日更新の9月1日以降公表分であり、ここにあります。

福島沖では、まだサンマが捕れていないようで、福島沖サンマの検査結果はないが、多くの魚の検査結果が記載されている。ちなみに、規制値500Bq/kgを超えるのは、コモンカスベやクロソイのような底層性魚種に属する魚のようである。

魚種毎に放射性物質の濃度傾向が明白であれば、合理的な管理が可能と思う。今後、福島沖でも、サンマが捕れるはず。しかし、そのサンマは、現在北海道沖で回遊中のサンマが移動して、福島沖で捕れるのであり、禁止や規制が意味のない行為である可能性は、どうなのであろうか?資源保護になるのか、消費者のサンマ離れになるのか、よく分からない。

2) 東京電力による損害賠償

東京電力に損害賠償を求めないと思うが、どうなのだろうか?規制値500Bq/kgを超えたことを理由に、合理的に損失額を算出し、損害賠償を求めるのは、当然のことと思う。しかし、根拠なく、損害を受けたとして賠償を求めることは、社会正義に反するはず。もし、これで賠償要求があれば、裁判で戦って欲しいと思う。

そうでなくとも、原子力災害賠償には、政治的な発言が多すぎる。全て東京電力の責任と述べた官房長官もいたし、今でも電気料金の値上げは認められないと言っている人も多い。しかし、打ち出の小槌は存在しないのである。なお、東京電力による負担は当然と考える。しかし、負担能力を超えて負担させることは、不可能を可能にすることであり、あり得ない。どこかに限界はあり、賠償総額は限界を超えると思うのである。

金額はさておき、ふりかえると、8月10日に原子力損害賠償支援機構法が公布され同日施行となった。この支援機構法は、東京電力が福島第一原発損害賠償を実行するため、政府が支援機構を通じて資金支援する仕組みである。この資金については、東京電力が返済義務を負うのである。

原子力損害賠償支援機構法

第52条  認定事業者が、当該認定に係る特別期間内にその全部又は一部が含まれる機構の事業年度について納付すべき負担金の額は、第三十九条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額に特別負担金額(認定事業者に追加的に負担させることが相当な額として機構が事業年度ごとに運営委員会の議決を経て定める額をいう。以下この条において同じ。)を加算した額とする
2  特別負担金額は、認定事業者の収支の状況に照らし、・・・・、できるだけ高額の負担を求めるものとして主務省令で定める基準に従って定められなければならない。

第47条  主務大臣は、・・・認定の日から次に掲げる条件の全てが満たされたと認めて・・告示する日までの間(・・・「特別期間」という。)、・・・。
一  ・・・
二  ・・・
三  ・・・機構が国庫に納付した額の合計額が・・・国債の償還を受けた額の合計額に達していること。
(ブログ主注:政府に返済を完了すること)

最も、政府に返済されなければ、税金による負担であり、東京電力による負担とは、電気料金により国民が負担することである。但し、株主配当をする余裕は、ほとんど認められないであろうから、株主負担はあるし、人件費等費用の切り詰めもあると思う。しかし、福島第一原発における廃炉関連の費用もあり、甘くはない。現実の問題として、電気事業の正常な継続には、有能な技術者や人材を必要とする部分はあり、人材の確保や設備の維持・拡充も重要である。当たり前のことであるが、東京電力の負担と言うことのみで、解決はしない。

3) 根拠無き損害賠償

根拠無き損害賠償は、東京電力の根拠の無い料金値上げにつながる。風評被害はダメだと言っているのではない。損害賠償として認められないものは、認められないとして拒否することが重要であり、公共の福祉を守ることも重要であると言いたい。

更に言えば、外国政府、企業、個人も東京電力に損害賠償を認め裁判を提起することも可能である。その際、日本企業・個人には認め、外国人には認めないとするような、同じ法の下での、ダブルスタンダードはない。日本で原発事故があったということだけで、帰国して、損害賠償を求められるのか?中国、韓国、北朝鮮、ロシア、米国の企業が、福島原発事故により漁業被害を受けたとして損害賠償を求めてきたら、どうなるであろうか。やはり、被害があったかどうかは、放射性物質の検査等合理的な判断基準で考えることになるはず。

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