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2011年11月30日 (水)

OECDによれば、日本の税金は安い

OECDが、2011年版のRevenue Statistics(税収統計)を刊行した。OECDの発表は、次である。

OECD Newsroom 2011年11月29日 Tax revenues stabilise in OECD countries in 2010

この発表の冒頭に、2009年におけるOECD各国の対GDP税収比率比較グラフがある。このグラフを、そのまま転記し、GDP比率のパーセント数字を書き加え、日本を赤くしたのが次である。

Oecdtotaltaxrevenue2009

税金が高いから良い国とか、安いから良い国とか決めることは出来ず、その国の国民が決めることである。でも、このグラフを見ると、日本が福祉国家を目指すなら、34国中で28位の26.9%は、税率が低すぎるように感じる。ギリシャも日本より高く、イタリアは第3位と頑張っている。

しかし、生活実感からすると、苦しくなるばかりで、これ以上税金を上げて欲しくないと思う。ところで、数字は正しいのかと検証をすると、11月21日に成立した第3次補正予算の「租税及印紙収入」は、40兆9270億円である。2010年10月から2011年9月までの12月間の四半期名目GDP合計は469兆6560億円である。即ち、税収はGDPの8.7%である。OECDの数字が、18.2%の85兆円も大きいこととなる。

差の最大の原因は、医療保険と年金である。OECD統計は、法により支払を国民に義務づけていれば税と同等であり、税として扱うのが合理的とする考え方である。しかし、それでも、なかなか我が計算では26.9%には達しない。即ち、保険料として徴収している健康保険料は、約18兆円であり、年金保険料は29兆円。合計して、47兆円にしかならない。OECDのRevenue Statisticsを読めば、解明できると思うが、そこまでやれていない。

2010年代の中頃に消費税を10%にするとして、幾ら税収が増加するかというと、第3次補正予算の消費税は10兆1990円である。これは、1%の地方消費税を含んでおらず、4%での計算である。そして、消費税のアップは、税収が増加するが、同時に支出側での消費税分が増加する。従い、純増は4%アップでも10兆円に満たないはず。地方分をゼロとしても12兆円程度のはず。GDP比たったの2.5%である。消費税10%でも、日本は税金天国の国のようである。但し、将来に国債償還があり、その財源を考慮すると、税金はメチャ高になる可能性もある。消費税10%で満足せずに、高額所得者の所得税や高額資産の相続税についても検討をしないと、低所得者の生活のみならず中所得者の生活が苦しくなり、その上、人口構成の高齢化により働く世代への依存度が高くなる。日本社会が維持不可能になる危険性さえある気がする。

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コメント

根拠レス直感ですけど、OECDさんの統計には、地方税や、国保・介保等々の地方公共団体の租税公課が含まれてる可能性は、無いのでしょうか。

それと消費税(国税たる4%)ですが、現行法を前提にすると、地方交付税法により消費税収(国税分)の29.5%相当額は、地方交付税の原資に充てることになります。

従って、国の政策に使える消費税収は、現状では2.82%であるところ、今回の消費税増税論では、消費税と地方消費税の割合のほか、地方交付税法の規定をどうするのか?という点も、気になるところです。

投稿: 秘匿希望。 | 2011年12月 1日 (木) 14時02分

秘匿希望さん

コメントありがとうございます。チェックをしていませんが、OECDの統計には、ご指摘の通り、地方税が含まれていると思います。

考えれば、都道府県や市町村に支払う地方税も所得に対する課税であれば所得税、法人の利益に課税されれば(事業税の名目でも)法人税として整理をして、国際比較をするのが正しいと思います。

地方交付税法6条についてのご指摘ありがとうございます。税の問題については、国税のみならず、地方税と地方交付税を念頭に置き、制度を維持できるか、合理的な管理・運営や改革の余地がないか、考えることは重要と思います。

なお、私が本文で書いた数字に国保の保険料は含まれています。介護保険料は、含まれていないかも知れません。日本のこの種の統計も、私は、あちこちを見て数字を集めていますが、簡単な国民(と法人)負担の一覧表は、ないものかと思います。(同時に、地方自治体毎の交付金、補助金等を含めた表も)

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年12月 1日 (木) 15時24分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株式の税金 | 2012年1月21日 (土) 18時47分

高額所得者に負担とおっしゃりますが、日本の相続税の最高税率は世界で一番高いことをご存じないのですか?
世界一高いのに更に引き上げろと言うんですか?
もう嫉妬はよしましょう。正直言って見苦しいです。
税金を負担していないくせに金持ちにばかり負担を求めるのは貧乏人の習性ですか?
少しは他の国の税金を勉強してから書いてください。金持ちは海外に逃げていくだけです。そして日本はますます衰退していくことでしょう。そうなったら貧乏人はますます貧乏になる。それでもいいんですか?
それと、デンマークやスウェーデンは相続税がありません。マスコミはとくにスウェーデンが大好きですが、なぜか相続税がないことには一切触れません。マスコミ関係者も金持ちに嫉妬深いようで情けないとしか言えません。都合のいい部分だけ使って情報操作そのものです。

投稿: nnnhhhkkk | 2012年1月29日 (日) 01時59分

nnnhhhkkkさん

私も、相続税の比較をそれほどできていませんが、次の所に、日本公認会計士協会の報告書があり、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの相続税について、少しかかれています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/00235-000474.pdf
所得税や財産税とも併せて評価しないと、評価を誤ってしまうので、コメントをすることは、難しいと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2012年1月29日 (日) 11時11分

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