年金の課題を正面から取り組むべし
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版に掲載があった社説を読んで、思った。これは、日本の近い将来に発生する可能性がある悪夢のようだと。
WSJ 11月10日社説 福祉国家の行き詰まり象徴する欧州危機
WSJの社説は、日本人に耳が痛くなるような内容に思える。経済の拡大と税収の伸びを前提としての給付の大盤振る舞いは、前提が崩れたなら、破滅する。ごく当然のことである。
日本の年金について、”あらたにす”に11月10日に松山幸弘氏が、次の文章を書いておられた。
松山さんの言われていることに、ほとんど賛成である。
1) 若者の犠牲で支える年金存続策は破綻する
民主党は野党時代に政府の年金制度の問題点を指摘し、改革の必要性を訴えていた。しかし、政権を取って2年以上を経過し、改革にどう取り組むのか不明である。例えば、時事ドットコム 10月26日 年金の支給開始年齢上げ先送り=中長期的に議論-小宮山厚労相は、どうだろう?ある一定以下の年齢層について年金支給開始年齢を遅らせると、どうなるかは、誰にも明らかである。同じだけ払って、受取額が小さくなる。有利・不利は単純に年齢で決まり、若いほど損をする。小宮山大臣は1948年なので、年金受給は遅れない。若い人に我慢をしろは、根本的に変である。日本は平等な社会を目指していたはず。老若男女同じように減額・増額が本当のはずである。そのような感覚すら持ち合わせていない人が大臣になり、悲しい限りである。
小宮山大臣も民主党も酷いが、その前から、同じようなことの連続であった。例えば、次のグラフは厚生年金報酬比例部分の乗率であり、年齢が上であれば、85歳(昭和2年生)を限度として、年金額が多くなる。平行移動するのであり、現在65歳の人は、7.125でずっと同じ。現在78歳の人は、年齢のみを理由として20%多い金額の年金を受領する。
少ない年金に何を言うかであるが、制度改正において、その時点で受給している人や、需給年齢に近い人について改正による受給額の減額影響を小さくしたからである。
2) 100年安心の大嘘
平成16年年金制度改正で、100年安心の年金と政治家が言った。大嘘である。本当は、「積立金を100年間で取り崩し、モデルケースの場合に、現役世代の50%の年金受給を可能とする案」と言うべきである。次が、厚生年金の財政見通し(平成21年財政検証)の表(クリックで拡大)である。右から2番目の年度末積立金(21年度価格)は、2105年に13.2兆円となっている。
それでも、更に大嘘がある。この財政見通しの前提が、物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%、運用利回り4.1%なのである。経済常識と金融常識が全く存在しない。多くの国民を欺しているようで、悪意を感じる。
3) これから
どうすべきか国民的議論をすべきである。日本は、一部階層を優遇し過ぎている可能性がある。高年齢者もそうかも知れないが、高所得者も優遇されすぎているかも知れない。何故なら、厚生年金は標準報酬月額605,000円以上で、上限に達する。従い、これ以上の高所得者は、負担率が低くなる。中低所得者は、累進所得税率が低くとも、年金・健保保険料を考えると、結構な負担額になる。保険料を上げられないからと、年金を破綻させて良いのかとの疑問である。
小宮山大臣には失望するし、バカだと思う。健康保険の外来受診100円、50円の徴収を未だに言っている。そんなことをして有利になるのは高所得者のみかもしれない。保険制度は、保険料を支払うことにより、その保険給付を受けるのである。理念から外れた設計は、理由無くすべきではない。まして、外来受診100円、50円で、低所得者の高額医療費負担の解消なんて、考え方自身根本的に変である。現行の、高額医療費制度は問題と言えるのか分析が先である。
時事ドットコム 11月11日 厚生、共済年金一元化法案提出へ=来年の通常国会に-小宮山厚労相という報道があるが、遅すぎると言わざるを得ない。自公政権時代の2007年に国会に提出された法案がベースになるとあり、成立が期待できると思う。
最重要と思うのは、税社会保険統一番号である。民主党は、必死になって成立させるべきである。さもないと格差拡大を防止できず、悪人が栄える社会になると思う。税を正しく徴収することで、公正な社会を維持できるのである。
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