オリンパス第三者委員会報告書に思う
オリンパスが第三者委員会の報告書を発表した。このオリンパスのWebからダウンロード可能である。要約版しか読めていないが、ほぼ思っていたとおりの内容が書かれている。以下、私の雑感である。
1) 重大な組織犯罪
この日経記事にはの「企業ぐるみの不祥事が行われたわけではない」との記述は、要約版最終ページにあり、「オリンパスはもともと真面目な従業員と高い技術力を有する健全な企業であったのであり、」との文章から続いている。があるが、私は、そのような記述を報告所の中に発見できなかったし、オリンパス自身は、その通りであるが、このオリンパスの犯罪そのものは重大な組織犯罪であると考える。役員全員ではないが、歴代の社長、監査役が中心となり、犯罪を犯し続けた。経営幹部による不正行為は極めて悪質である。この不正行為は、社長他幹部数人で実行できたのだろうか?そうとは思えない。社長が命じた腹心の部下もいたはずである。それも単数ではないはず。企業犯罪の典型的な姿かも知れないが、その中でも、最悪に近い部類と思う。例えば、ある部下が失敗をし、部下のために、上司がそれをかばおうとしてというのとは異なる。
オリンパスは光学機器他のメーカである。余裕資金が発生したなら、借入金を返済し、有利子負債を減少するのが経営である。一時的に余裕資金が発生し資金運用をしたなら、その結果について株主、債務者、従業員に適正に報告するのがルールである。自らの失敗は隠せというのは、すごい人間性である。
(この1)項の冒頭部分は、たぬきサンのご指摘を受け、修正しました。)
2) 菊川剛
菊川剛は、少し前のことであるが、この毎日の11月25日報道のように、ごく最近になって損失隠しを知ったと説明していたようである。すごい面の皮であるが、オリンパスの社長の要件は、犯罪を引き継ぎ、それを継続することであったのだから、そのような非情の心で人間性を持たない人物が就任するのが当然であったとも思う。
それからするとウッドフォード氏は、人間性豊かな、人間社会が追究すべきことを追求しようとしている人物に思える。報告書によれば、オリンパスの取締役会は、そのような行為に出たウッドフォード氏を排除しようとした。正当な発言や行為を認めない組織は、破滅するはずであるがと思う。
3) 第三者委員会の限界
今回第三者委員会が全てを解明したわけではない。11月1日に結成され、1月余りの調査であり、しかも強制力を持っていた訳ではない。オリンパスのガバナンス向上を目的とする調査であり、責任追及を行う目的での調査ではない。
反社会的団体への資金の流れについて、報告書は「反社会的勢力の関与は認められなかった」と書いている。しかし、なかったと断定は出来ない。一連の犯罪行為には、外部の関係者も絡んでいる。悪は悪を呼び、悪が結びつきという構造があるはず。特捜部がきちんと捜査をして欲しいと望む。
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コメント
「企業ぐるみの不祥事が行われたわけではない」というのは、要約版P24の2行目にしっかりと書いてあります。
投稿: たぬき | 2011年12月 7日 (水) 23時02分
たぬき 様
ご指摘ありがとうございます。最終ページの結びの部分ですね。本文も少し修正します。
投稿: ある経営コンサルタント | 2011年12月 8日 (木) 01時41分