JR西日本の賠償義務は影響されず
1月11日に、JR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告が、神戸地裁で無罪判決を言い渡された。
日経 1月11日 尼崎脱線「予見は不可能」 JR西前社長に無罪判決
JR福知山線脱線事故とは、個人で刑事罰に該当するような関係者は存在しなかった。しかし、事故の被害の大きさはきわめて大きく、また防げた事故であったと確信する。刑事罰を問うよりは、教訓とし、事実関係を分析し、調査事実や記録を後世に残し、再発防止に努めるとともに鉄道輸送の安全性を高めることに役建てて欲しい。
脱線事故のカーブ問題について、2009年7月9日のブログで、次の304mと600mの半径における外側に対する転倒力(横G)の参考グラフを書いた。
縦軸が転倒力(横G)であり、横軸が列車のスピード(km/h)である。縦軸が、ゼロからでない理由は、カーブの内側に傾けて線路が建設されているからである。横Gが赤線の0.2Gになると危険であり、半径600mでは120km/hでも0.1Gにならない程度である。しかし、半径304mでは90km/hで0.1Gの同程度となり、110km/hで2.0Gになり転倒してしまう。
このようなことは、鉄道員であれば、ほとんどの人が知っていることと考える。いや、知っていなければならないことである。これは、ATS設置以前の初歩的問題である。カーブの手前何百mかに大きな看板・標識等を建てて、運転手に注意を喚起していたらどうであっただろうか?線路を付け替えて、半径304mになった時には、ダイヤはどうしただろうか?遅い速度でも大丈夫なように余裕を持たせただろうか?逆に、距離が短くなったとして、所要時間を短縮した可能性がある。私鉄との競争で頭がいっぱいの人にとっては、つい軽く考えがちだったかも知れない。しかし、企業という組織は、販売に携わる組織・人もいれば、安全に携わる組織・人もいるのである。
タイトルに戻れば、この判決で、JR西日本の賠償義務は影響されず。JR西日本は十分な賠償を行うとともに、再発防止に向けて、他の鉄道事業者に対しても情報を発信して欲しいと思う。
刑事罰が関係すると、真実に口を閉ざしてしまうことがあり得る。遠慮なく将来のために真実を明らかにできる環境を作ることも重要である。そのために、刑事罰は問わず、民事賠償は被害者が満足しうるようにするのが原則と考える
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