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2012年2月28日 (火)

セラーテムテクノロジーの疑惑

セラーテムテクノロジーという会社を知らなかったが、架空増資・偽計取引の疑いで証券取引等監視委員会が強制調査があり、ストップ安になっている。

日経 2月27日 セラーテムが一時ストップ安 架空増資疑いを嫌気

そこで、どんな話かは、FACTAが、ずいぶん前から取り上げており、多くの記事がある。(全てを読むには、会員限定記事もある。)

2010年9月号 「中国のハイエナ」が大証裏上場

2010年09月02日 FACTAleaks――対セラーテム戦争4  お笑い決算会見(上)

2010年09月03日 FACTAleaks――対セラーテム戦争5  お笑い決算会見(中)

2010年09月06日 FACTAleaks――対セラーテム戦争6  お笑い決算会見(下)

2010年09月07日 FACTAleaks――対セラーテム戦争7  9項目質問状

2010年09月10日 FACTAleaks――対セラーテム戦争8 脅しつき回答

2010年10月号 窮鼠セラーテムの「お笑い」弥縫策

2011年11月号 セラーテム「強制調査」で崩壊へ

FACTAleaksとなっているのは、ブログであり、上に記載したより多くの記事がある。

架空増資・偽計取引については、例えばこの2009年12月16日付の第三者割当による新株式発行の払込完了ならびに主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせである。British Virgin Islandsの会社が15億円の増資を払い込んで49.6%保有の筆頭株主になったと言う。但し、この資金で、中国の会社を子会社化するという。ところが、British Virgin Islandsの会社は資産管理会社であり、その株式は趙広隆という人が100%保有していると書いてあり、中国人と思える。

増資をBritish Virgin Islandsから受けようが、中国に投資をしようが自由である。しかし、中国の投資に実態がなく、増資を受け入れた相手と、投資をした相手が同一であり、ぐるっと金が回っているだけなら、一般投資家を欺し、市場を悪用しているといえる。目的は、何であるのか?Yahoo株価チャートを見ると、2010年1月からむちゃくちゃな値上がりをしている。この間に、株価操作となった可能性があると思う。また、中国の投資に実態がなく価値がゼロであれば、ゼロと交換にセラーテムテクノロジーの株式を手に入れたのであり、全額儲けの濡れ手に粟となる。

実態の解明を待ちたいと思う。

Celartem20122

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2012年2月26日 (日)

原子力委員会

与党民主党が考えることは、変なことばかりと思うが、その代表例が私としては、環境省に設けるという原子力規制庁の話である。理解不可能であり、独裁を目指そうする権力のあくなき追求かと思える。ところで、自民党の動きが、おもしろく、こちらを俄然支持したい。

時事ドットコム 2月3日 原子力規制の独立委設置=政府対案骨子を策定-自民PT

国家行政組織法第3条の委員会とは、国家行政組織法の別表第1に掲げられた組織で、現在、委員会は4つである。原子力も公害、公安、労働、運輸と同等に引き上げるのがまずは第一歩のはずである。

委員会
総務省 公害等調整委員会 消防庁
法務省 公安審査委員会 公安調査庁
外務省    
財務省   国税庁
文部科学省   文化庁
厚生労働省 中央労働委員会  
農林水産省   林野庁
水産庁
経済産業省   資源エネルギー庁
特許庁
中小企業庁
国土交通省 運輸安全委員会 観光庁
気象庁
海上保安庁
環境省    
防衛省    

環境省の下の原子力規制庁なんて馬鹿な組織ではなく、原子力の重要性と事故の重大性を認識すれば、国家行政組織法別表第1に原子力委員会を加え、同時に原子力委員会の充実を図るべきである。

2月15日の衆議院予算委員会で塩崎恭久氏が、取り上げた。議事録がまだ衆議院のWebにアップされていないが、Youtube(衆議院TV)から文字起こしをしたと思う文章がIzaのここにあった。

この議事録を読むと驚いた。塩崎恭久氏が、「・・・資料の1ページ目に、マニフェストがあります。何度か聞かれていると思いますが、ここではっきりですね、国家行政組織法第3条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設するというふうにインデックスに書いてあったわけであります。それを、今回は、それを否定して、外局というので行きますと、ま、こういう話でありますが、・・・」と述べている。

これに対して、野田首相が「これ、インデックスです。マニフェストには書いておりません。」とか「2009年の段階まではこういう委員会方式を我々も考えておりました。だけれども、昨年の3月11日の原発事故の発生と、それに対する対応ということを考えた時に、緊急時に対応を責任を持って行うには、内閣から独立した合議制の委員会形式ではなくて、内閣の責任の下で迅速な意思決定が行われ、適切に危機管理対応が行われる、ま、そういう形態の方が望ましいという判断をしたということが、今回の最大の原因でございます。」とか述べている。

犯罪者・独裁者の民主党と呼びたい。塩崎恭久氏が、菅直人リスクと表現したが、全員同罪と言いたい。こんな無責任な独裁政権の人達に原子力に一切関わって欲しくない。参議院で成立しないように野党の人達は、国民に責任を持って欲しいと思う。

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2012年2月25日 (土)

放射線を話題にすれば?

週刊文春の3月1日号は、「郡山4歳児と7歳児に「甲状腺がん」の疑い!」とのスクープを大々的に取り上げていた

2012年2月23日 発売 週刊文春 郡山4歳児と7歳児に

ここまで、取り上げたなら、本当なのかと思うと、この記事に対して検査をした医師が事実と異なると反論をしたとの報道があった。

JCASTニュース 2月24日 週刊文春に「言ってないこと書かれている」 「甲状腺がん疑い」記事に医師が反論

どう思いますか?週刊文春の取材対象元の人が、言っているのだから、そちらが正しいと思います。評価は根拠を持って、正しく行う必要があるが、福島事故では、ヨウ素はほとんど心配ないと思います。少なくとも、今のところ被害が認められていない。しかし、長期的に継続した調査は必要であると考えます。恐ろしいのは、心理的な圧迫で、ストレスを与えることで、影響力が大きいマスコミは、常に慎重であるべきと考えます。

チェルノブイリでは、放射性ヨウ素による甲状腺小児ガンが発生した。放射性セシウムによる被害は、認められていない。これが事実と私は認識しています。それでは、チェルノブイリ事故と福島事故と放出された放射性物質の量は、どれくらい差があったのか、相当福島事故は小さかったと認識します。そして、陸上に降下した放射性物質は、福島の場合は、偏西風によりほとんどが海に向かったことにより、小さかった。私も、数字で、示せないが、そのように理解します。政府は、そのような点も含めて報道して欲しいと思うし、マスコミも取り上げて欲しいと思う。東電は、そんなことよりも、当事者であり、事故があった福島原発の安全確保に全力をあげて欲しい。

福島事故に関しては、放射性被害より精神的ストレス被害の影響を懸念します。

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2012年2月23日 (木)

PPSの電力供給

読売に次の記事があった。

読売 2月23日 電力小売り、半数が休止…震災後の撤退も急増

沖縄を除いて、電力9社の地域では、50kW以上かつ6000V以上の高圧受電の電力は自由化されており、誰からでも買うことが可能である。売ってくれる相手が存在することが必要であるが。

契約を締結したなら、電力9社であれ、特定規模電気事業者(PPS)であれ、電気事業法による供給義務が発生するのである。(電気事業法18条2項および3項に「正当な事由がなければ・・・・拒んではならない。」とある)。

このような市場競争原理を電力供給に取り入れた結果、やはり電気料金は下がった。市場取引にゆだねるべきで、政府の関与は極力控えるべきである。なお、50kW未満の家庭用を含めた自由化されていない電力については、電気事業法19条による経産大臣の認可が求められており、この関連の手続きは必要である。

もし、電気料金が不当に低くなりすぎているなら、読売の記事のような懸念となる。もっとも、PPS事業者も値上げを要求することができるのであり、単純にPPSが衰退していくのではないはず。但し、先行きの見通しが暗ければ新規設備投資を控えることはあり得るであろうし、同じことは、電力9社についても言える。

決して、現状のままでよいとは思わない。原子力や温室効果ガスそして化石燃料依存を含め数多くの問題が存在する。少なくとも、東電国営化で解決に向かうとは全く思わない。このブログで原子力他の発電コストについて書いた。PPSの2011年4月から12月までの電力販売量が、資源エネルギー庁のWebにあるので、その資料から作成したグラフを掲げる。なお、PPSの事業者ごとの毎月販売量の表も掲げる。(表はクリックで拡大)12月時点での供給事業者は全部で21社であった。

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2012年2月21日 (火)

光市事件最高裁死刑判決

ほぼ予想通りと思うが、最高裁判決があった。

ここ (判決文

死刑判決は、悲しいことである。人が人の命を奪うことが許されるのだろうかと思うからだろうか?

実は、判決文の大部分は、宮川光治裁判官の反対意見である。理由は、被告人の精神的成熟度が相当程度低いということが認定できるか審理を尽くすのが相当であるとの考え方です。そうなんですね。私も、正常な心と精神の持ち主であれば、こんな恐ろしい犯罪をできないと思う。

本事件は、2006年6月20日に最高裁が無期懲役の判決を破棄し、広島高裁に差し戻しとなった(判決文はここ)。その前の4月18日に最高裁で異例の弁論が開かれ、この決定があった時から、この事件は死刑へと、まっしぐらに突き進んでいった。

何のために、死刑にするのだろうかと思う。無期懲役で良いではないかと思う。最も、永山則夫も、死刑にする必要がないと思うからには、やはり自分は死刑廃止論者なのだろうと思う。無期懲役という特別の許しがなければ外に出れない刑が、人として神から許されている行為だと思う。

この光市母子殺人事件も、いつか誰かが、研究するだろうか?小学校入学前後から両親の争いが激しくなり、父親から暴力を振るわれ、中学1年時に母親は自殺し、父親は再婚し、187歳の時に父親の子供が生まれる。不幸な被告人の一生である。

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2012年2月17日 (金)

オリンパス事件で7名逮捕

やっと逮捕したかと思う。

日経 2月16日 オリンパス虚偽記載の疑い、7人逮捕 旧経営陣と証券OBら

どう考えますか?昨年12月6日のオリンパス第三者委員会報告書に思うで、菊川剛を、私は、、ごく最近になって損失隠しを知ったと説明していたすごい面の皮の男と書いた。

嘘で固めた人生をおくることは、その当人にとって不幸なことである。しかし、同時に、その周りの人達も大いなる迷惑を受け、不幸になったと言えると思う。オリンパス事件では、迷惑を受けた株主や従業員は存在しているはずである。変な投資勧誘者に多額の報酬を払わずに株主配当や従業員給与として払われていたならばと思う。

人は悪事を働くものとして、監査役は取締役の監査をするのである。オリンパス事件の場合、監査役が自らの業務である監査をせずに、取締役とグルになって悪事を働いた企業犯罪そのものと考える。

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2012年2月16日 (木)

全力で成立させるべき共通番号法

個人を識別する番号法案を閣議決定したとのニュースがあった。

日経 2月14日 共通番号法案を閣議決定 15年1月利用開始めざす

共通番号制度は、消費税増税よりも絶対に実現して欲しい制度である。直前のブログでは、人口の高齢化のことを書いた。日本の社会が抱える様々な課題や問題点があるが、それらの解決は容易ではない。個人が自分の都合のみを主張して解決するのであれば、好都合であるが、現実には、そうも行かない。

格差社会とは、何であるか?非正規雇用や低賃金労働者の増加は、誰かが望んでいて、そのようになっているのではない。結果として、そうなっているが、その是正は容易ではない。再配分というより、負担能力を考慮した負担を実現すべく尽力すべきである。負担能力を超えれば、制度が崩壊し、不幸な社会になる。

2月5日に市町村国保の2010年度財政状況速報を書いた。そこでリンクを張ったこの厚生労働省の報告書の最終ページに滞納処分の実施状況が記載されている。そして、1年前の報告書がここにある。2008年度、2009年度、2010年度と並べて比較したのが、次の表である。

20122
見事に増加している。生活保護受給額程度の収入の場合、国民健康保険の納付は大変である。生活費の貸付制度があれば、救われる人は多いのではないかとも思う。もし、番号制度があれば、管理が容易となり、公的な生活費貸付制度も機能できると思う。

厚生年金3号被保険者制度という不公平な制度も改善できる。3号被保険者は、年金保険料を払わずに、年金が受給できる夢の制度である。しかし、現実では、そんな夢の計算はない。実態は、厚生年金の中での高額負担者が、損をしている。そのような人は、男の妻帯者が多い。従い、夫婦合算で計算すれば、支払い保険料と受け取り年金額の計算は、異なってくる。そうなると、一番損をするのは、独身者と夫婦共稼ぎ者である。これは、これからの社会に適合しない。社会の発展や高齢化社会を支えるには、男女平等な社会参加に適合する制度に変えていかねばならない。専業主婦(夫)という選択を禁止する必要はない。専業主婦(夫)であった期間の年金は要求があれば、○○%は、相手の配偶者に給付されるという制度にしても良いと思う。

番号制は、脱税や不正を困難にする制度である。同時に、様々なデータが入手しやすくなる。従い、将来の適切な計画立案を容易にする。個人データの流出をおそれる人がいるかも知れない。しかし、逆に対策も容易となるのである。むしろ、現状の中途半端な事態が最も恐ろしいと思う。例えば、市町村が災害対策用にと、住民データをクラウドに保存しつつある。しかし、このクラウドとは、何であるか。実は、民間会社のコンピュータである。ほとんどは大手の信頼できる会社と思うが、その会社に問題がなくても情報流出の恐れはある。実態が、隠れていることにより、恐ろしいことが起きる可能性があると思う。共通番号法を制定し、白昼の下で、利用方法や対策を議論し、社会の発展になるるように考えるべきと思う。いずれにせよ、共通番号法は、消費税増税の前に成立させて欲しい。

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2012年2月13日 (月)

1月発表の人口推計から

国立社会保障・人口問題研究所が平成24年1月の推計を発表した。次は、読売のこの関連の社説である。

読売 1月31日社説 急減する人口 政策総動員で活力を維持せよ

そう簡単に活力維持できるとも思えない。まずは、現状と将来を確実に見据え、どうすべきかをじっくり考えることが重要と思う。そこで、現状と将来について簡単に見てみる。

まず、国立社会保障・人口問題研究所の平成24年1月推計は、ここからダウンロード可能である。ダウンロードした結果を人口ミラミッドとして書いたのが次の図である。

Populationgraph20121_2


2005年と2010年の実際値と30年後の姿として2041年の人口ピラミッドを表示した。2005年と2010年を比べてみても、高齢化が現れている。簡単な事実は、2005年には30歳過ぎと60歳前にあった人口が多い世代が、2010年には5歳高齢化した60歳過ぎと40歳前になっている。

2041年の予測は、現在の40歳前の世代が70歳前になり、この世代が最大の人口割合を占めることとなる。そこで、25歳から65歳までの世代が、24歳より若い年少者世代と66歳以上の高齢者を支えるとして、一人が何人を支えることになるかを計算したのが、次の表である。

Population2565_3
2005年から2010年への変化でさえ、0.77から0.82である。将来は、1人が2人分の稼ぎをしないといけない。年金も医療も税金もすべては、この構造に打ち勝って社会を支える仕組みにならなくてはいけない。

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2012年2月 8日 (水)

普天間と辺野古と岩国

またNHKのニュースで、よくわからない報道があった。

NHK 2月7日 米 岩国への海兵隊移転を打診

普天間基地の米海兵隊が、アメリカ軍岩国基地に移転すると言っているが、それは、既に日米政府が合意済みである。従来の合意と、何が変わったのかと思う。ところで、従来の合意とは、この2005年5月1日の再編実施のための日米のロードマップです。ここに様々ことが書いてあり、この内容と、今回、どこがどう変わるのかが、重要なことのはず。ところが、報道では、よくわからない。

2005年5月1日の日米ロードマップに「4.厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐」という項目があり、「KC-130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。」と書いてある。ところで、このKC-130飛行隊は、どこから岩国に移転するのかと言うと、普天間である。何故、普天間と断言できるかは、普天間の米海兵隊移転に関してのこの2009年2月17日付日米協定に書いてあるからです。2ページ目に「ロードマップにおいて、合衆国海兵隊CH-53Dヘリコプターは第三海兵機動展開部隊の要員が沖縄からグアムに移転する際に海兵隊岩国飛行場からグアムに移転し、KC-130飛行隊はその司令部、整備のための施設及び家族のための施設と共に海兵隊岩国飛行場を本拠とし・・・」と明確に書いてある。これと、NHK報道との差は何なのか、説明がなければ理解不可能である。

様々な書類を読んでいくと、普天間基地には誰もいなくなる。辺野古の必要性は、訳がわからない。あえて言うなら、合意した文書に書いてあるからと言うだけである。それでは、地元に反対運動が起こっても、何も不思議はない。

現状だと、政府は、沖縄の人達を軽んじているのみならず、日本国民全員を軽んじていると思う。問題の本質は、米軍の日本国における施設及び区域の使用は、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する目的で許されると日米安保条約第6条にある。対等な関係であり、日本に駐留する米軍の規模は、米国が一方的に決定できるとは思わない。米国の都合で縮小する場合もあるであろうし、日本が、過剰と考えて縮小を要求する場合もあるはず。万一、合意に達しなければ、第10条の通告をすれば、1年後に条約は終了する。それが、良い状態かどうかは別にして、そのようなことも考慮して交渉すべきというのが、本当の姿だと思う。

本質は、米国とそこまでの外交交渉をしているのかとの点と、日本国民に米国駐留の必要性について説明し、合意を得られているのかである。少なくとも、沖縄の人からは、どうなのと思ってしまう。そして、岩国の人にも、説明して了解を得られているのねである。実は、自民党時代は、多数を得ているからと、触れずに来た。民主党になって少しは変わるかと思ったが、独裁色が増加したように思う。

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2012年2月 7日 (火)

NHK原発寄付金報道の主旨

NHKが、電力会社が原子力発電所のある自治体に支出した寄付金の総額は、これまでに1640億円余りに上っていると報道していた。

NHK 2月6日 原発自治体に寄付1600億円超

NHKの主旨は、電力会社が支払った寄付金が電気代金に跳ね返っており、けしからんとの怒りに思える。それだけでは、表面のみの報道に止まり、もっと深く考えるべきだと思った。

この制度は、電力会社のみに責任があるのではなく、経済産業省や旧通商産業省が作成したルールに従ったまでで、別の表現をすれば、内閣の指導に従った、選挙民が選んだ政権与党の選択であったはず。また、計算方法は、公開されているのであり、秘密裏にしたのではないと思う。

だからと言って、現行ルールが正しいとは思わない。政治がからまない仕組みを作るべきである。最も良いのは、市場経済で決定することであるが、家庭用の電力はユニバーサルサービスを確保すべきであり、統一価格が良いのかも知れない。2月1日の電気料金の決め方で書いたが、独立機関を設立し、そこが電力会社とユーザーの意見を聴取し、様々な情報と自らの分析を公開して決定する仕組みが良いと思う。

もし、経済産業省の役人であったらどうだろうか?原子力に限らないが、ある県から発電所の立地を承認するつもりだが、電力会社から寄付金が欲しいと相談があったなら?むげに断るか、斡旋するわけにはいかないが、うまくやってよと心の中で思うのが普通だろう。国会議員だったら、役人に圧力をかけたりするかも知れない。

ところで、1640億円がいくらの電気料金として跳ね返ってきているか、日本原子力発電の発電量を合計していないが、それ以外の9社の1970年度から2010年度までの原子力発電の発電量合計(所内動力控除後)が6,676,539GWhである。これで1640億円を割算すると、kWhあたり0.0246円となる。それぐらいの数字だから、電力会社も、経産省も、地方自治体も特に気にしていないのだろうと思う。

それと思うことは、原子力なら問題で、火力なら良いとはならないはず。NHKも原子力のみならず、火力、水力も同じように調査して報道すべきだと思う。そして、調査したなら、何故都道府県ごとの明細を報道しないのかと思う。調査結果をWebでよいので、公表すべきと思う。応じないなら、受信料を返還して欲しい。

もっとも、企業が都道府県に対して寄付金を支払うことの善悪について、どう考えるべきかもあると思う。公開されるなら、良いような気もするし。

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2012年2月 5日 (日)

市町村国保の2010年度財政状況速報

厚生労働省が、2月2日に市町村国保の2010年度財政状況速報を発表した。

平成22年度国民健康保険(市町村)の財政状況について  pdfファイル

これを報じた、朝日と日経の記事では、少なくともタイトルから受ける印象は、ずいぶん違った。

朝日 2月3日 国保収納率、3年ぶりに改善 10年度、減免措置が影響

日経 2月3日 国保、赤字3900億円に拡大 10年度、高齢化で医療費増

厚生労働省のpdfファイルに詳しい内容が出ており、この中の表1である国民健康保険の税制状況を平成20年度も加えて次の3年間の推移表を作成してみた。

H22

この推移表を眺めると、朝日新聞の記事は、誤解を招くと思った。確かに、記事に嘘はないし、赤字が増加していることも書いてある。しかし、会社と記者・編集員の頭を疑う。

収入の1行目の保険料(税)の行が、保険料収入であり、3年連続減少である。一方、支出の2行目の保険給付費が保険で支払われた医療費である。保険支払いは、3年連続増加・右肩上がりである。普通に考えれば、大変なことである。何とかバランスしている理由は、収入の2行目の国庫補助金を見ると、こちらは毎年増加しており、しかも、保険料収入より大きい。ちなみに、3行目の療養給付費交付金とは、被用者保険である健保組合、協会健保、共済組合からの退職被保険者に係る医療給付である。その他、都道府県負担、市町村負担もすべて増加し、被保険者が支払う保険料が減少しているのである。頭が、どうかしそうな感じである。

市町村国保の加盟者(被保険者)が、保険料を安いと思っているなら、高くすべき。しかし、実態は、国保被保険者に非正規雇用者が含まれており、負担に感じている人が、相当多いと思う。一方、政府が税金で負担している医療保険関係は7兆円を超えるのであり、そのうち3兆3千億円が市町村国保での負担である。もっとも、最大の負担は、後期高齢者医療保険であり、市町村国保と後期高齢者医療の負担で、税金の医療保険負担の80%以上になる。

収納率が上がったなんて、象に蚊がとまった程度の気がする。医療保険の統一とか根本的な部分を考えないとならない気がする。また、市町村国保の保険料も、低所得者には高いが、高所得者には優遇されており、せめて協会けんぽの個人負担と会社負担合計の最高額程度までは、徴収して良いと思うが、何故そうなっていないのだろうかと思う。

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2012年2月 1日 (水)

電気料金の決め方

東京電力の料金値上についてのニュースを、多くのメディアが取り上げている。例えば、

朝日 1月31日 東電、企業向け料金見直しへ 今秋にも、政府要請受け

この朝日のニュースもそうであるが、読んでいても、頭に入ってこない。

そこで、東京電力のWebを見てみると、次のプレスリリースがある。

1月17日 自由化部門のお客さまに対する電気料金の値上げについて

6000V以上の高圧受電の場合に、値上げ幅2円61銭(2万ボルト以上の場合は2円58銭)の値上げを2012年4月1日から実施すると書かれている。17%と報道されているのは、大口電力であり、kWh15円程度の単価の電力であるからである。同じ幅の値上げでも、家庭向けで22円86銭であれば、11.4%である。値上げの根拠は、燃料費であるとして、添付資料の参考1に計算式も書かれている。

福島の事故関連の費用は入っていない。但し、燃料費の計算においては、原発が運転できないことによる火力発電の増加、すなわち燃料費の増加とは、単価以外に量が増加した分も含まれている。そうなると、原子力が運転できておらず、火力発電が増加しているのは、東京電力のみではなく、沖縄電力以外すべての電力会社に共通である。従い、この問題は、東京電力のみに絞って考えるのではなく、日本の電気供給体制と電気料金の問題として考えるべきはずである。そう考えると、次のような人達は、矮小的なことしか頭にないように思える。

日経 1月31日 経財相、電気料金上げで東電社長に苦言 東電は理解求める

東京新聞 1月27日 都、東電値上げ「待った」

6000V以上の電力であり、自由化されている電力であるからには、市場原理に任せるべきである。しかし、どの電力会社も、原子力が運転できず、供給力に余裕がないどころか、売れば売るほど赤字になる状態かもしれない。この状態であれば、市場原理からすれば、電気料金は鰻登りの連日高騰かも知れない。

福島原発の事故関連費用は、最終的には、電気料金に跳ね返ってくる。政府は負担しないであろうし、負担する財源もない。東京電力のみに負わせれば、東京電力の電気料金が高くなり、皆他社から買おうとする。しかし、東京電力以外の関西電力等他社が現実に東京電力の地域でどれだけ電力を販売するか疑問がある。利益のことだけ考えれば、例え供給力は落ちても、設備投資などしない方が、良いとも言えるのだから。

日経が同じ1月31日に電力規制を経産省から分離 政府検討、監督強化へ独立機関と報じていた。あらゆる意味で、政府から切り離し、独立した機関が管理した方が、良い。

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