2012年3月31日公布の税改正(増税)
3月30日に閣議決定をして衆議院に提出した消費税増税改正の話題が大きすぎて、2012年3月31日公布の税改正(増税)については、報道が少ないが、おもしろい増税内容がある。参考まで、日経報道には、次の記事があった。
1) 給与所得の増税
給与収入額が1500万円以上の人が対象であるので、高額所得者に対する増税と言ってよいと思う。内容は、給与所得控除は1500万円で245万円になるが、1500万円以上であっても、245万円を適用するという改訂である。
グラフを書けば一番簡単なので、グラフを書くと次の通りです。なお、給与収入額が1500万円以下の人は、増税なしです。ここで言う給与収入額とは、残業代込みの月額給与と年間ボーナスの合計額です。
税負担増と言っても、5000万円の給与の人で、68万円ぐらいなので、1.3%程度、2000万円の人だと8万円強なので0.4%程度です。事業所得の人には、給与所得控除に相当するかも知れないのは青色申告控除の65万円のみだとすれば、245万円の適用は不当ではないと思う。
なお、今回の税改正の法律名は「租税特別措置法等の一部を改正する法律」という名称であり、この所得税の改訂は3月31日官報82ページです。
2) 地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例
追加となった租税特別措置法90条の3の2(官報76ページにあり)のタイトルが、このような名称です。そこで、本当に地球温暖化対策なるのか見てみることとする。改訂内容は、次の表の通りです。
まだ、判りつらいので、2016年4月以降について、分析をしたのが、次の表である。
分析をすると、うならされるような姿です。増税幅では、それほど大きな差はなく、一番大きいのがガスであり、小さいのが石炭である。増税率では、石炭が大きく、原油・石油製品が小さい。
地球温暖化対策と言うなら、増税後のCO2排出量あたりの税額が、燃料による差がない状態でないと不公平に思える。しかし、この改訂では、原油・石油製品に厳しく、石炭にやさしい。これからすると、税では石炭を推進していることとなる。だが、燃料なので、発熱量あたりの税額も重要である。どうなったからは、上表の一番下の行の通り、ガスが一番有利で、次に石炭、そして原油・石油製品は不利となった。
地球温暖化対策は、税のみで講じるものではない。しかし、例えば、エコカー減税の財源は、一般財源ではなく、このような温暖化対策税がよいと考える。温暖化対策税については、課税と支出の双方について、合理的な設計と運用になるように今後とも検討を重ね、発展させていくべきと思う。
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