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2012年3月25日 (日)

AIJ事件で公認会計士が虚偽の報告

AIJ事件の約1000億円の損失には、驚かされるが、公認会計士が虚偽の報告をしていたというのは、本当に驚かされました。

日経 3月25日 AIJ社長、投信監査報告書を開示せず 実態隠蔽か 会計士に改ざんも依頼

毎日 3月24日 AIJ:顧客に偽造監査報告書を提示…巨額損失隠し勧誘

毎日の記事では「AIJは顧客の年金基金側から開示を求められても拒否。それでも開示を求める顧客には、知人の公認会計士に偽造を依頼した虚偽の監査報告書を提示し、運用実績が上がっていたように装っていたという。」という部分です。日経の記事には、「23日の強制調査では、関係先として会計士事務所も捜索した」とある。

この公認会計士は、1000億円もの損失になっているとは知らなかったのであろうが、適正な調査をせずに、監査報告書(ある書面かも知れない)を書いたと思える。第三者の公認会計士であり信頼しうるとしてAIJの投資話に乗っかった年金資金運用者は、気の毒である。悪徳○○士というのが、存在しないわけではないが。悪徳○○士に注意しましょうと言うことなのでしょうか。

ところで、日本公認会計士協会は3月22日付で、年金資産の消失に係る会計処理に関する監査上の取扱いについてを公表した。内容は、特に目新しいことはないと思う。そもそも、企業が自己の退職年金に関する年金資産の正しい評価額を基礎に退職給付引当金を計上していれば特別損失(臨時損失)は生じないのである。勿論、正しい評価とは、困難であり、表現としては公正な評価額とならざるを得ないのであるが。それでも、公正な評価額を追求していけば、今回のAIJ事件のような巨額問題には行き着かなかった気がする。

ところで、日本ユニシスが、3月23日にAIJとの投資一任契約により平成24年3月期の連結決算で約55億円、個別決算で約41億円の特別損失計上予定を発表した(ここ)。 日本ユニシスが、報道されている虚偽記載をした監査報告書で欺かれていたかどうか不明であるが、日本ユニシスには、何故AIJに欺されたのか、経緯や原因を発表したもらいたい。第三者委員会を任命して、報告書を作成し、公表する価値があると考える。制度的なことを考える上でも役に立つ。日本ユニシスの監査法人は、トーマツである。トーマツも守秘義務の関係で公表できない部分もあるであろうが、やはり何かは発表して欲しいと思う。

山一・長銀破綻において、山一事件では社内調査委員会の委員を、長銀事件では刑事・民事裁判における須田元副頭取の弁護人をされた国広正弁護士が、次の文春新書で「修羅場の経営責任」を書いておられる。

山一事件における飛ばし問題や長銀破綻における住専問題等の原因や背景の核心部分がほとんど解明されることなく来ているのではないか?そうだとすれば、再度同じような問題が発生するのではないか?AIJ問題も社長の高報酬問題他に終わらせるのではなく、問題の本質部分を解明していく必要があると思う。

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