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2012年3月15日 (木)

長野県外郭団体の仕組み債投資

長野県の外郭団体が仕組み債に投資をしているというニュースがあった。

信濃毎日 3月13日 県の外郭9団体、「仕組み債」計66億円余を保有

仕組み債については、2010年12月3日に地方自治体はデリバティブに手を出すべきではないというブログを書いた。このときは、資金運用ではなく、資金調達で、通常の地方債を発行する代わりに仕組み債を発行することの危険性を書いた。

今回の仕組み債への投資とは、何であるか。信濃毎日の記事に団体名と金額の記載がある。最大の金額は長野県テクノ財団35億円である。そこで、長野県テクノ財団のホームページから探したが、財務諸表や財務データが見つからない。第2位の長野県農業担い手育成基金(ホームページはここ)を見ると、財務諸表や財務データが公表されていた。

2011年3月31日現在の投資有価証券が15.7億円あり、外国債2口、国債2口となっている。信濃毎日の記事では、10億円仕組み債を保有していることになっている。そうすると、外国債2口が、その可能性が高いと思う。信濃毎日の記事には「9団体はいずれも為替に連動する仕組み債を保有。円安であれば高い利子が受けるれるはずだったが、最近の大幅な円高で金利がゼロになっている事例が多い。」とある。これからすると、利息は当初期待は4%とかで、通常より高い。しかし、100円以上の円高になると利息率は低くなり、例えば95円より円高になると外貨建てで償還されるという仕組み債と思う。

仕組み債とは、デリバティブと債券が合体しているが、表面には何も書いていない債券である。自分の資金を投資する場合、とやかく言われることはない。しかし、長野県農業担い手育成基金の場合は、県と市町村と農協の金である。人の金をリスクにさらして、許されることではないと思う。

これらの団体はまずは、財務諸表・財産・投資内容と明細を明らかにし、特に仕組み債については、目論見書も公開すべきである。その上で、投資判断を議論できるし、時価を評価できる。もし、納得ができる説明があるなら、仕方ないと思えるが、さもなければ、損失については、全額を理事長や理事が個人のお金で賠償すべきと思う。損失は使い込み、不正支出とイコールのはずである。

そして、この問題は、長野県のみならず、他の都道府県の同じような団体でも生じている可能性がある。長野県のことと思わず、自分の都道府県の団体の財務諸表と財産・投資内容を調査せねばならない。

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