関西電力大飯原発3、4号機についての疑問
どうも、国民に隠すことが好きな人達がおられるようです。
4月17日 47共同ニュース 再稼働協議も議事録なし 首相と3閣僚ら
単に仲間内で話しただけなら、密室・非公開で構わないが、「主要な議論の部分で官僚を退席させて議論し」となると、問題であります。民主党内部の話ではなく、政府内部の話なのですから。
様々なことが、言われているが、昨日は、今年の電力需給について書いたので、本日はずばり大飯原発についての私の疑問を書きます。
1) 大飯原発はベントができない
福島第一原発では、ベントが遅れたとして、問題視されている。しかし、大飯原発にはベント装置そのものが設置されておらず、ベントをしたくてもできないのです。そしてベント設備は、2015年度に設置する予定となっているのです。
4月9日に関西電力が発表した大飯発電所3、4号機における更なる安全性・信頼性向上のための対策の実施計画等の報告についてがあるが、その添付資料に書いてあり、概要(これ)では、4ページ目の下の部分です。
大飯原発は、福島第一原発の沸騰水型原子力発電所(BWR)とは異なり、加圧水型原子力発電所(PWR)です。BWRとPWRを同一の基準で議論することは、適切ではないと思います。しかし、私にとっても、きちんとした説明なしで、4ページ目に書いてあるような、次の説明をされても、分かったとは言えない。
「PWRは、格納容器の容積が大きく、電源によらない格納容器スプレイにより内圧を抑制するアクシデントマネジメントを整備」と
「PWRは、格納容器の容積が大きいため、シビアアクシデント時の発生水素濃度は爆発領域に至ることはなく、格納容器の健全性に影響を及ぼすような水素爆発の可能性はきわめて小さい」
原発は安全だと言っていたのとレベルが同じだと思えてしまう。いくら容積が大きくとも水素が大量に発生すれば同じと思う。
そして、そんなに安全だというなら、何故2015年にベント装置を設置するのかと思う。やはり、不安だからでしょうと思う。
なお、BWRとPWRの一番大きな違いは、核分裂の冷却材・中性子減速材として水を使うのは同じであるが、BWRは、その水を蒸気として取り出し、この蒸気で蒸気タービンを駆動させている。PWRは、水を液体のままで熱交換機(蒸気発生器)を使って、蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させ、この蒸気で蒸気タービンを駆動させていることです。ちなみに、このような仕組みの違いにより、炉心の圧力はBWRが6.9MPa程度に対し、PWRでは15.4MPaと倍半分の差がある。だから、安全・危険とか、単純に言えないのであるが、きちんと説明をしてくれないと私には理解できない。
2) ストレス・テストは何をしたのか
関西電力大飯原発3、4号機は、それぞれ2011年3月18日、2011年7月22日に定検停止をして現在に至っている。ストレス・テストの結果を待つために、再開せずに現在に至っているが、ストレス・テストとは何であったのかと問いたい。4月8日のこのブログの中で書いたが、評価項目は地震、津波、地震と津波の重畳、全交流電源喪失、最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失、その他のシビアアクシデント・マネジメントの6項目であり、津波を含んでいる。
大飯原発の断面図が報告書(これ)の76ページにあるが、津波想定高さ11.4mに対して、グランドレベル(地面の高さ)9.7mである。そして非常用発電機は10.0mにある。直流電源盤は18.1mであり、11.4mよりは高い。一方で、中部電力浜岡については、津波の最近の新想定では21mが発表され、建設中の防波壁18mより2m高いことで問題視されている。このあたり、浜岡と大飯の違いは何であるのだろうか?
安全神話は存在しないことを痛感したのであるから、理論的な説明をして欲しい。原発反対の方々を交えた、説明会が必要と思う。
3) 日本の原発安全性ランキング
多分、関係者は全て安全と言い、反対運動者は全て危険との主張になるのであろう。しかし、原発も直ちにはなくせず、依存せざるを得ないなら、個々の原発の安全性を評価して、安全な原発を優先して運転すべきと思うが、どうだろうか?ちなみに、日本にある発電用原発を営業運転開始の古い順に並べると次のようになった。
大飯原発3号、4号は、54基中38番目と39番目であり、比較的新しい。関西電力では、最も新しい原発である。安全であるなら、それでよいのである。どのように安全であるのかを説明し、疑問・質問に答えて、国民の支持を受けるべきと考える。
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