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2012年5月31日 (木)

高齢者・低所得者の医療と負担

NHKクローズアップ現代が不思議な番組を放映していた。

5月29日 もう病院で死ねない ~医療費抑制の波紋~

1) 病院で死ぬことが正常なのか?

人の生き方は、様々であり、例えば役者にとって、死に場所は舞台だと発言されている方もいると聞いたことがある。極端な例であったが、ごく普通の場合でも、延命治療より人間としての尊厳を保ちQaulity of Life(QOL)を最後まで追求し、人間として生き続けたいと考えておられる方もいるはず。

在宅医療、訪問看護、理学療法、介護サービス、食事サービス、家事サービス等を受けつつ、家族とともに最後まで暮らしたいと思っておられる方もおられるはずである。そのような方にとっては、在宅医療関係のサービス充実の方が重要と考えるはずである。

2) 医療費は誰が払うべきか

NHKの番組は、「この病院では、入院直後から患者を早く退院させることを検討します。そこまで力を入れる背景にあるのが、国の医療制度改革です。」と伝える。本質をあえてはずして、表面の一部を上滑りさせているように思える。その結果が、番組への書き込みコメント(スタッフの部屋にある)である。ほとんどは放送内容に対する同調。

医療資源は無尽蔵にあるのか?有限であるなら、どう需要と供給をバランスさせるべきなのか?国の医療制度ではなく、我々の医療制度である。医療を必要としない人に、病院を提供できる余裕は全くないはずである。医療スタッフも人なら、患者も人である。

医療ではない分野を医療に押しつけては、本末転倒である。

このような番組の結果として、恐ろしいことは、日本の医療崩壊が更に加速することである。

3) 後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度をどう改革するかであるが、一つは患者自己負担を全員同一の30%とすることと考える。現在は、現役並み所得者は30%負担で、それ以外は10%負担である。その結果は、5月25日の消費税増税を考えるに書いた協会けんぽの保険料率10%につながっている。後期高齢者医療制度とは、初めから、破綻を前提に設計されていると思う。破綻を避けるには、やはり自己負担を他の制度と同様とし、前期高齢者も30%負担とするのである。

老人ホームと病院とどちらの滞在が現状で安くつくかといえば、圧倒的に病院なのである。現役並み所得者以外の70歳以上の高齢者の世帯あたり高額医療費負担最高額は、一般で月に44,400円であり、住民税非課税だと月に24,600円とか15,000円です。これだけの医療費で済むのです。

しかし、衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、次のようなやりとりがあり、消費税以上に困難が予想される。

時事ドットコム 5月29日 窓口負担、3割が上限=現役世代の医療費-岡田氏

高齢者が医療費を払わず、高額の年金を受領し、それを若い人達が負担する社会に未来があるのかと思う。互いに応分の負担をし、万一の場合は、助け合う社会が望む社会だと考える。

一方で、日本で金融資産を保有しているのは、高齢者である。全てが、根本的に狂っていないだろうか?これを放置してよいのだろうか?有価証券税制や相続税制も併せて考える必要がありそうだ。

4) 生活保護者医療扶助

生活保護者医療扶助は、医療保険ではなく、生活保護法による政府と地方自治体負担になっているので、少し土俵が異なる。しかし、医療という面からは同じである。

一方、本当に重大な医療問題が存在するのは、高齢者の病院問題ではなく、低所得者の健康保険料滞納問題だと思う。国民健康保険減免制度もあるが、生活保護費程度の収入があれば、減免を受けられないこともある。これも変な話であるが、生活保護を受けていれば、保険料を払う必要がなく、生活保護を受けていなければ、保険料を払い、かつ医療費の自己負担額を負担する。

低所得故に医療機関での受診を回避し、結果的に病気が悪化する。それが、働くことを困難とし、低所得状態から抜け出れないという悪循環になる。あるいは、生活保護を受けざるを得なくなる。そのような状態の改善が、社会として取り組むべきより重要な問題と思う。

生活保護者医療扶助制度を廃止し、生活保護者は保険料全額免除とするのがスッキリすると思う。30%自己負担願うが、高額医療費制度の限度が適用される。

特定の側面のみをとらえて考えるのではなく、様々な角度から分析して考えていきたいと思う。

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2012年5月30日 (水)

ハイテクは使いこなすことで、成長と未来がある

「ハイテクは使いこなすことで、成長と未来がある」と信じているのですが、どうも、世の中は、それと反対の方向に動いているとも感じられる。

次の発表です。

PASMO 2012年5月18日発表 「マイページ・PASMO履歴照会サービス」の終了について

PASMOとは、首都圏のJR(仙台、新潟も)、私鉄、バスの利用他に電子マネーとしても使用できるICカード乗車券である。PASMOの乗車記録や使用記録がWebから取り出せたのであり、この利用履歴の照会をPASMOは、「マイページ・PASMO履歴照会サービス」と読んでいた。このサービスを本年3月5日に突然停止し、ついにこの5月18日に完全なサービスの終了を発表した。

1) PASMO履歴照会サービスとは

PCでカード番号とパスワードを入力すると、乗車駅、降車駅とチャージの時の残高が日にちとともに表示されたサービスであった。乗車賃が直接表示される訳ではなく、また時間も表示されなかった。

エクセルによる出力もなかったが、コピーペして例えば、会社に交通費を請求する際には便利であった。営業マンに会社のPASMOを貸与し、乗車記録をチェックすることにより私用での利用を防ぎつつ、交通費管理のツールとして利用していた会社もあったと思う。

2) サービス終了の理由

冒頭の発表文では、次のように説明されている。

しかながら、昨今のソーシャル・ネットワーキング・サビス(SNS)の普及等により、「氏名」、「生年月日」、「電話番号」に留まらず場合によってはPASMOカード番号」でさえインターネット上で公開されるなど、第三者が登録情報を入手しやすい社会環境になってきおり、現状の本人確認方法では、PASMO記名人および同居の家族等以外の全くの第三者により、残額履歴等が閲覧される可能性を完全に排除することが困難となっております。このとから、現行の「マイページ」のシステム仕様ではセキュリティを担保できていなと結論付けました。

履歴閲覧サービスであったのであり、文書の別の場所で情報改ざんは十分防止できていたと言っている。履歴照会サービスは、申し込まないと提供されず、途中で自らが中止することもできた。自らの責任でパスワードを管理し、リスクを承知の上で、利用する人にとっては、このような発表をされて、サービスを中止することは極めて迷惑なことである。

いったいSNSの普及によるPASMOカードの公開とは何であるのだろうか?不用意にSNSに書いてはならないことを書いた。あるは、i-Phoneやスマホのアプリで情報が流出したということなのだろうか?そうだとすれば、それはPASMOの問題ではない。PASMOのパスワード登録制度をより安全にするなら、そのように改善すべきである。

本当に、本人が書き込むこともなく、SNSで情報が漏れていることがあるなら、PASMOの問題ではない重要な問題であり、その詳細を公表すべきである。

3) ハイテクのリスク

ハイテク社会とは、ハイテクになる前には存在しなかったリスクが存在する社会である。情報化社会は、便利であると同時に、危険性も存在する。

しかし、PASMO履歴照会サービスのような対応をしていたなら、日本の将来は暗いだけと考える。積極的に対応をして、問題点をつぶしていく。リスクを小さくしていく。リスクを小さくする対応とは、自信のない人には、使わないように呼びかけることも対応である。今後、i-Phoneやスマホは増加し、老人の使用も増加すると思う。コンプガチャではないが、老人のi-Phoneやスマホの無料アプリのトラブルなんて急激に増加しそうな気がする。

PASMO履歴照会サービスだって、記録を残したくないなら、現金で切符を買えばよいのである。小沢一郎なんか4億円を現金で銀行に運ぶのだから。(5月2日のこれでリンクを作った先に東京地裁の判決要旨がある。)

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2012年5月26日 (土)

水道水ホルムアルデヒド混入とDOWAホールディングの責任

確定とは報じられていないが、DOWAホールディングの会社の一つであるDOWAハイテックが、その原因者であることが濃厚になっている。

MSN産経 5月25日 埼玉の化学工場が委託した群馬の産廃業者が流出か 高濃度のまま

埼玉の化学工場というのがDOWAハイテックであり、持ち株会社DOWAホールディングが上場会社である。

1) 因果関係

5月21日に水道水ホルムアルデヒド問題を書き、Omizoさんからコメントで検出されたのは塩素添加された水であることの指摘があった。調べるとその通り。しかし、源水のサンプルは保管されているはずであり、トレースがなされなければならないと思っていた。当然当時の源水に原因物質ヘキサメチレンテトラミン(HMT)が検出されており、ここまで報道されているからには、DOWAが原因者であることは確実と私は思う。

2) HMT

HMTについて、新エネルギー・産業技術総合開発機構が、化学物質評価研究機構と製品評価技術基盤機構に委託して作成した有害性評価報告書がここにある。

1ページの下にHMTに関する法規制の記載があり、

化学物質排出把握管理促進法: 第一種指定化学物質
労働安全衛生法: 変異原性が認められた既存化学物質
海洋汚染防止法: 有害液体物質 D 類 (溶液)
船舶安全法: 可燃性物質
航空法: 可燃性固体

とのことである。

報告書12ページには、「HMTを含む混合物の職業暴露を受けた労働者に対するHMTのパッチテストの結果は、陽性反応を示したとする複数の報告事例がある。また、紅斑、丘疹、そう痒、じん麻疹、及び水腫等のアレルギー性接触皮膚炎、その他、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等の診断結果も報告されていることから、ヘキサメチレンテトラミンはヒトに対し、感作性を有すると考える。」とあり、表7-1として疫学調査事例が記載されている。

いずれにせよ、HMTは安全とは言えぬと考える。

3) DOWA

DOWAは、HMTの危険性を認識していたはずである。HMTの含有量は不明であるが、60トンを不法投棄した。有害性評価報告書6ページに「加水分解生成物は、アンモニアとホルムアルデヒドが報告されている」と書かれているし、冒頭のMSN産経ニュースには「DOWA社は平成15年にもHMTを流出させて同様の事故を起こしたといい」とあり、DOWAは確信犯と思える。

HMCは、第一種指定化学物質として化学物質排出把握管理促進法施行令別表1の258番目の化学物質であるが、法の罰則規定は弱く、DOWAの刑事責任追及は困難かも知れない。しかし、民事責任は確実に追求可能と考える。無責任に勝手計算をすると、断水の影響を受けたのが30万世帯として1世帯あたり慰謝料を含め平均5万円を支払うとすると150億円。これに浄水場他の損害を加えても200億円程度でしょうか?DOWAの2012年3月末連結純資産は決算短信によれば1218億円である。民事賠償に問題はないと思える。

株価の下落については、当然と思う。

日経 5月25日 DOWA株が年初来安値 利根川水系の有害物質問題

なお、利根川にHMTを破棄したのは、DOWAが処理を委託した処理業者とのことであるが、排出者であるDOWAが民事賠償責任を負うべきと私は考える。処理業者に対しては、DOWAが賠償責任を求めればよい。廃棄物損害責任をこのように構成しないと、産業廃棄物問題を解決できないと考える。

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2012年5月25日 (金)

消費税増税を考える

衆議院に提出されたのは、3月30日であり、既に2月近く経過するが、深い議論は国会においてもなされていないと感じる。法案提出の翌日4月1日に、この消費税増税法案の注目点を書いたが、更に思いつくことを書いてみたい。

1) 景気対策としての消費税増税

消費税増税の反対する理由として、景気が悪くなることを、その理由としているあるいは時期を考えるべきとの主張がある。しかし、これは、本当に正しいのだろうか。

ここに、協会けんぽの「保険料負担軽減に向けた署名活動へご理解とご賛同をお願いいたします 」との理事長の文書がある。国家公務員、健保組合、協会けんぽの平均給与と保険料率を比較があり、それらのグラフと表を統合すると次のようになる。

<>

協会けんぽ

健保組合

共済組合

被保険者

主として中小企業のサラリーマン 主として大企業のサラリーマン

国家公務員・地方公務員・私立学校職員

保険料率

全国平均10.00%

(平成24年度)

平均7.93%

(平成23年度予算平均)

国共済平均7.06%

(国共済 平成22年度)

平均給与(年額)

370万円 536万円

631万円

保険料率が何故高いかは、給与が低いからである。勿論、協会けんぽ加入の企業に働く人で、共済組合の平均と書いてある631万円以上の給与を受け取っている人もいる。しかし、その人は、本人と会社を併せて共済組合の人より約3%多く健康保険料を支払っている。給付は同じであるが、検診や保養施設の利用を考えれば、実は給付内容は健保組合や共済組合より悪い。約3%と書いたが、本人負担の1.5%は、年収1千万円では15万円になるのであり、決して少額ではない。会社としても、同じ給料で人を雇えば、中小企業の方が、人件費が高いというのは、納得ができないはずである。大企業も中小企業も同じ条件で競争できるようにすべきであり、それが人件費の面で、中小企業が不利というのは、日本経済を根本からおかしくすると思う。

解決策は、国民健康保険を含め健康保険制度の統一である。簡単ではない。統一が達成されるまでの間は、税で負担を均等化するしかない。協会けんぽに補助金を出すなら、増税が必要であり、増税しても、増税以上の経済効果が期待できる。

税金を有効に使えば、効果は大きいし、政府でないとできないこともある。逆に何でもかんでも無駄だとすると、日経5月23日 公共施設「事業仕分け」の末路 活用方法定まらず ともなりかねない。

2) 消費税増税直後の景気悪化

消費増税をすると一時的には必ず景気は悪化する。一つの理由は、増税前の駆け込み需要である。税込み210万円の車が2014年4月から216万円になるなら、2014年1-3月の車の売れ行きは相当高いと誰でも予想する。その結果は、2014年4月以降は、個人の車需要は、その分は落ち込むと予想される。車以外に、マンションや一戸建ても同じはず。食料品のような保存ができない物はそうではないが、消費増税には、どうして駆け込み需要がつきまとうのである。

このことを無視して、消費税を上げると景気が悪くなるとして過去の例を取り上げるのは誤りである。

3) 増税の景気浮揚効果

公共設備に投資をして、その公共施設の有効利用により経済活動が更に活発化してと言いたいが、そうは現状では望めず、現況を踏まえての議論が必要である。

1)で協会けんぽのことを述べたが、実は、年金も健康保険全般も同じような状態である。平成24年度予算で、基礎年金の国庫負担2分の1を維持するための財源約2兆6千億円にさえ実質穴が開きそうである。(MSN産経 4月9日 年金交付国債見直しへ 苦肉の“粉飾”あえなく瓦解

増税をしなかったならば、年金制度は破滅に向かうはず。破滅を乗り切るために、保険料の値上げと増税とどちらがよいかの選択となるとどうするだろうか?嘘つき政治家に欺され続けると破滅しかねない。大東亜戦争を、欺されて支持したと考える人もおられたと思う。

4) 消費税の逆進性対策

消費税増税をしても、弱者に配慮し、社会のために税を支出することにより、逆進性は緩和されると考える。しかし、法案7条1項1号イの給付付き税額控除等の低所得者に配慮した再分配に関する総合的な施策を実施すべきである。番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)を今国会で消費増税と同時に成立させるべきである。

今回は無理と思うが、食料品等の低減税率とインボイス制度の適用である。実は、インボイス制を導入すれば低減税率は簡単に実施可能なはずである。事業者は、仕入れインボイスを提出することにより、仕入れ税額控除が受けられる制度である。次のような利点があると考える。

1. 非課税品を全て、税率ゼロとすることができる。その結果、価格が合理的となり、益税がなくなる。(銀行、学校や医療機関も仕入れ税額控除を受けられる。)

2. 流通の全てが把握可能となり、消費税のみならず、法人所得の補足も容易となり、脱税を防止できる。

3. 個人についても、一定額について税額控除を認めれば、一定の所得以下の人は、消費税の負担が無くなる。

インボイス制度は、インボイスが税額控除のエビデンスとなるのであるが、電子インボイスで対応可能と考える。例えば、個人は、カードを持ち、それを買い物の支払い時に、店に提示し、消費税額を記録してもらう。その累計は、いつでも見ることができ、消費税払い戻し限度額までくれば、払い戻し手続きをすればよい。限度額まで達しなければ、その年の累計消費税支払額全額をそのカードの記録をエビデンスとして払い戻し手続きをすればよい。

個人の消費税払戻制度は、思いつきに近いのであるが、さまざまなことは考え得ると思う。税をどうすべきか、国民が主役になって、議論すべきと考える。

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2012年5月22日 (火)

薬事行政 朝日新聞と小宮山洋子厚労相

5月22日の次の朝日の記事であるが、違和感を感じた。

5月22日 朝日 薬事行政監視進まず 政府、第三者機関設置の法案断念へ

1) 問題大臣?or 報道能力問題?

今国会に政府として提出するのを断念する方針を固めた」とあり、そうであれば、断念する理由があるはずである。ところで「小宮山洋子厚労相は21日夜、朝日新聞社の取材に対し、「政府案として今国会の提出は無理。議員立法で成立させてもらいたい」と述べた。」 となっている。

小宮山厚労相が、どう発言したかは、朝日の取材に対してなので、検証方法がないが、大臣として必要であると考えるなら、厚生労働省の内部で議論・説得すべきであり、それができないからと言って、政府の人間が安易に議員立法で成立させてもらいたいと発言すべきではない。

しかし、もしも「どうしても、それを望む人がいるなら、議員立法を、その人達が働きかけることに反対しない」とのニュアンスであれば、厚労相発言は理解できる。本当に朝日新聞の報道通りであり、失格大臣であるのか、朝日の報道能力に問題があるのか、判断がつかない。

2) 薬害肝炎検証・検討委員会「最終提言」

4月22日に、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会より「最終提言」が出されており、この厚生労働省のWebからダウンロードすることができる。

最終提言において、概要版の最終ページや全体版の74~77ページに、第三者監視・評価組織の創設について書かれている。概要版では、立法の必要性までは記載されておらず、全体版では国家行政組織法第三条の三条委員会あるいは一歩後退するが八条委員会とすることについての検討が書かれている。

私は、原子力については三条委員会であるべきと書いた。しかし、薬事行政について三条委員会が適切かと問われれば、やはり返答に躊躇する。医療や薬事は、難しすぎるからである。時間をかけて慎重に対処すべきこともあるが、緊急な対応が必要な場合もある。

例をあげれば、日本では治験に時間を要し、ドラッグラグがあると言われている。これについて、早く承認すべきとの患者の要望があり、一方で薬害防止に万全を期す必要がある。この解決は、1つの製薬について具体的に医学・薬学的見地から検討することによってのみ得られると思う。

3) 私の提言

第三者委員会が、医療・製薬について医学・薬学的な見地で検討するのではなく、薬事行政の仕組みや審査体制等の問題を厚生労働省ではない外部の人達で構成された委員会が監視・評価することで、薬事行政の実効性をあげようとすることと言える。

しかし、私が第三者監視・評価組織を創設しても、改善や解決につながる可能性は、不明な部分が多いと思う。逆に、三条委員会として大きな権限を付与するなら、薬事行政に固定するのではなく、政府の行政行為のあらゆる部分について、例外対象を極力少なくして、そのような第三者監視・評価組織を創設すべきと思う。

しかし、少しでも前進させようとするなら、患者代表を含んだ薬事行政の監視・評価を実施する委員会を厚生労働省の中に設置すればよいと思うし、それなら、立法措置なしで創設可能と思うのである。その委員会をどのように発展させることができるかは、関係者と国民の問題と思う。

ITの利用を推進すべきと思う。それは、一言で言えば、電子カルテである。ほとんどの病院では電子カルテを導入している。しかし、その一番の利用目的が、診療報酬の保険請求であったりする。本当は、患者の病気治療・健康維持であるべきである。患者は、どの病院・診療所を受診し、治療を受けても、全ての記録が保管されることとする。あらゆる薬には、副作用があるのであり、薬効と副作用について患者ごとに管理できる。結果は、患者個人にとっても、医療・薬事行政にとっても有効に利用できる。

国民は全員がカードと自分で設定したパスワードを持てばよい。医療機関で受診する際には、カードを入れて、パスワードを入力する。データは政府が管理するクラウド・コンピューターにあるので、医療機関はその患者の全データが得られる。個人も自分のPCから、自分のデータが入手できる。日本の現在の制度では公務員の守秘義務が最も大きいのである。

それ以外にも考えられることは多いと思う。私は、朝日新聞のような単細胞的発想にはついて行けない。単純に決めつけて批判することしかできず、本質を見ることができないとなると、誤った方向に行ってしまう可能性が大きいと思う。

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2012年5月21日 (月)

水道水ホルムアルデヒド問題

基準を超えるホルムアルデヒドが浄水場で検出され大規模な断水が発生した。早く原因を突き止め、断水の不安が早期に払拭されることを望む。安心して飲める飲料水が水道の蛇口から供給されることは、うれしいことである。なお、次の読売の記事からすると、原因の特定は容易ではなさそうである。

読売 5月20日 水道水のホルムアルデヒド、原因特定できず

1) ホルムアルデヒド

Wikiを引いてみると、CH2Oという酸化メチレンという気体と書いてある。水に溶けやすく、溶けて濃度が高くなるとホルマリンと呼ばれる。接着剤の溶剤に使用されることも多く、シックハウス症候群の原因として最も有名な原因物質である。

ところで、基準値は1リットル当たり0.08ミリ・グラムなので0.08ppmになる。

この朝日の記事に取水停止をした浄水場が赤丸で表示された地図が出ている。その中で、流山の流量を調べると約100m3/秒であった。そうすると1時間に約30kgのホルムアルデヒドが流れていたことになる。この北千葉広域水道企業団の5月19日19時30分発表によれば、18日19時15分から約6時間の取水停止、そして19日7時20分から10時間の取水停止を行っている。合計すると16時間であり、480kg即ち500キログラム程度のホルムアルデヒドが流れたこととなる。

不法投棄なんてことがあってはならないはずであるが、飲料水の安全確保は、重要であり、多額の費用を要しても、原因究明をして欲しい。

2) 対処方法

1)でリンクをした朝日の記事の地図によれば取水停止をした浄水場は江戸川に多い。そこで、江戸川の流山水位・流量観測所と江戸川と利根川の分流前でかつ渡良瀬川との合流後である、栗橋水位・流量観測所の流量をグラフに書いてみた。(情報源は、国土交通省の水文水質データベース川の防災情報です。)

なお、栗橋水位・流量観測所の位置は、次のYahoo地図のポイントである。

5月13日からの1週間余りの推移を描いた。

Formaldehyde20125a
19日16時頃から流山における流量は増加している。栗橋では18日昼頃から増加を始め、19日19時頃に最大となっている。

何故このような流量推移となったのかは、ダムからの放流と関係がある。ホルムアルデヒドの濃度を下げるためにダムの水を放流した。特に放流量が多かったと認められる渡良瀬遊水地、薗原ダム、藤原ダムの3ダムの放流量も上のグラフに追加してみた。

Formaldehyde20125b
上流から下流に流れてくる時間があるため、タイムラグが生じているが、ホルムアルデヒドの濃度を下げるために、ダム放流により流量を増加したことがグラフから分かる。

3) ダムについて

ダムは役に立つ。しかし、八ッ場ダムは、どうかと言えば、この結果では判断がつかない。しかし、今回のホルムアルデヒド問題について言えば、出番はなかったように思う。

4) 地下水

地下水の飲料水利用を拡大できそうに思うのである。地下水は貴重な資源である。従い、開発は家庭用の飲料水や伝統的水利用を除いて制限すべきと考える。即ち、工業用であれば、ホルムアルデヒドが含まれていようと、これほどの問題にはならなかったはずである。

地下水を利用するには、地下水の資源調査をし、用途計画、利用計画を立て、関係住民の多数の支持を得るべきである。

日本も今後水問題が課題になってくるように思えるのである。

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2012年5月13日 (日)

許してはならない再生可能エネルギー高値電力買取

やはり、どう考えても、高すぎるのです。

直前の日本経済沈没の恐れでは、インドを比較の対象として書いたが、今回は、米国のNPDという調査会社(Webでみると日本法人もあります。)の太陽光ビジネスに関するこのWebの情報を参考にします。

1) 下がり続ける設備価格

どんどの価格は下がり続けています。薄型液晶テレビと同じ状態です。それを高値で20年間も固定しようと言うのですから、狂っているとしか言いようがないと思う。

次のグラフは、このページのDownload dataを描いたのですが、1年前と比べて25%近く値下がりしています。(円換算は1ドルを80円としています。)

Solarmodule20125
モジュールとは、太陽光の発電パネルのことで、ワットあたりの価格なので、3.5kWの場合は、3,500倍なので、8,750ドルであり、80円で円換算すると70万円になります。1kWあたりは、18万円程度。交流の電気にするために、変換器や制御設備、そして工事費も必要であり、モジュール(発電パネル)でけで済まないが、この価格が下がっていることは、当然全体のコストも下がります。実は、実勢価格は、これとほぼ同じとの噂もあるぐらいです。

なお、Webには2001年からのグラフがあるが、5.5ドルだったので、10年で半額になっているのです。一般消費者に高値を押しつけるやり方には反対します。

2) 下がり続ける発電コスト

同じDownloadしたdataに太陽光発電の参考発電コストがあり、グラフを書いてみました。

Solargenecost20125
やはりインドと同じです。何故12-15円の電気が日本では40円で正当化されるのでしょうか?

高い電力買い取りで喜ぶのは、太陽光発電に参入しようとしている業者で、機器メーカも少しは喜ぶ。一般消費者は、対抗策が何もなく貧しくなるだけ。それも、悪い政治の結果として。前回リンクを張った経済産業省資料の数字は、むちゃくちゃです。太陽光の運転維持費がkWあたり年間10千円なので、kWhあたりにすると10円です。実際は1円程度で、全ては発電業者の利益なのだと思う。だから、大型の方がコスト高というあり得ない想定がなされている。そして、IRR6%と言うことは利益率6%より、遙かに高い利益率を業者に約束することです。ちなみに、20年でIRR6%は、資本利益率では平均8.66%以上になります。

そもそも、IRRという考え方を導入することが間違いであるが、それすら理解できていない人達がやっている。何故競争原理を取り入れないのか?間違った計画経済ほど人々を不幸にすることはなく、また特定の人に利益が集中し、多くの人が貧しくなる。子孫に負債を残すことは、すべきではないと考えます。

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2012年5月10日 (木)

日本経済沈没の恐れ

日本は、過去の遺産を食いつぶし、破滅に向かっている気がしてならない。そのような一つが、4月26日に書いた再生可能エネルギー買い取り料金電気料金40円以上が許されるのかである。

1) 大嘘つきの政府公報

この平成24年7月1日スタート!再生可能エネルギーの固定価格買取制度である。嘘をついてまで、国民を欺そうとする姿勢が許せない。どの部分かと言うと、冒頭の「日本のエネルギー自給率はわずか4%にすぎません」である。

資源エネルギー庁が、総合エネルギー統計として日本のエネルギー需給実績を発表している。最新の発表は、先月4月13日に発表した平成22年度(2010年度)エネルギー需給実績(確報)である。

その発表がここにあるが、4ページ目に「2009 年度の我が国のエネルギー自給率(※3)は、原子力を国産とみた場合は19.0%原子力を輸入とみた場合は7.7%となった。平成2 年度(1990 年度)と比べると原子力を国産とみた場合のエネルギー自給率は1.0%ポイント上昇し、原子力を輸入とみた場合は0.7%ポイントの低下となった。」と記載されており、5ページ目に1990年以降の自給率のグラフと表がある。(原子力が全て輸入エネルギーに置き換わっても、7.7%の数字に変更はなく、省エネが進めば、輸入削減が生じると考えれば、受給率は7.7%より高くなる。)

私は、政府統計に信頼を置いている。政権首脳が操っている政府公報は、信じられません。

2) インドでは12円、しかし日本で売れば42円

太陽光発電の電気の価格です。日本というガラパゴス諸島では、世界価格とかけ離れた42円になりそうである。日本では、悪い政権が政治を牛耳って無理を通そうとしているように思える。勿論、インドと日本が単純比較はできないが、夜と昼の時間は同じであり、ここまで違えば、日本の太陽光発電関連業者は相当潤うであろうし、外国のメーカも高い単価で売れる日本を大歓迎する。馬鹿を見るのは、日本の一般消費者であり、日本経済は衰退の速度を強めると思う。

では、インドの12円の根拠ですが、次のニュースです。

Feb 27, 2012 Aggressive bids at heart of JNNSM's batch 2 of phase 1 tenders

Webを検索すれば、同様の報道は多数あり、キイワードはJNNSMです。JNNSMとは、インド政府が、2008年6月に発表した気候変動アクションプラン(NAPCC:National Action Plan of Climate Change)に含まれている太陽光・熱利用拡大を目指すプロジェクトで2022年までに20,000MWを目指すとしている。(発表は、これ

白髪三千丈の類かと思うと、既にPhaseIのBatch Iが終了し、Batch IIに入っている。やり方は、固定価格なんてけちなことを言わない。どーんと入札です。価格は、ニュースにあるように 最低Rs.7.49 ($0.149) per kwh(12円)で、最高でもRs.9.39 ($0.187) per kwh15円 であった。

インドは、世界的戦略を持っています。世界一安い太陽光・太陽熱発電機器・設備を開発し、それらを世界中に広めたいのです。その結果、世界的にも太陽エネルギーの利用が促進され、その上、インド企業、インド人、インド政府も潤います。今、インドで起こっていることは、世界をリードしようという動きです。日が沈む国のガラパゴス諸島では、考えられないことです。

なお、日本の再生可能エネルギーの電力買取料金はこの表のようになると予想されます。(消費税抜きで13円~55円。太陽光40円・42円)

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2012年5月 8日 (火)

高速ツアーバス事故の対策

4月29日午前4時30分頃に発生した関越自動車道藤岡ジャンクション付近の事故は、痛ましい事故であった。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。しかし、事故の本質を正しく究明することにより、不幸な出来事を可能な限りゼロとする対策を講じることができると思う。

1) 死亡・重体・重傷者

次の朝日の記事に死亡・重体・重傷者の氏名と年齢が群馬県警の情報として、書かれている。

朝日 4月30日 関越道で高速バス事故 7人死亡 39人けが

この記事で数えると、死亡したのは、男性1名、女性6名の計7名であり、年齢別では50代が2名、40代が1名、20代が2名、10代が2名である。重体は、全員女性で、50代、40代、10代である。重傷者は、50代の男性、40代の女性、20代は男性3名・女性2名、10代は男性2名・女性1名で1名の男性が年齢確認中となっている。

男性と女性は、私が名前から判断して区分したので、もしかして間違いがあるかも知れません。犠牲者には、若い年齢層と女性が多いのである。だから、余計に痛ましく思える部分がある。

2) 高速バス利用の理由

死亡・重体・重傷者の多くは、バスの左側の座席に座っていた人達だったはずであるが、バスの乗客の年齢と性別の構成も多分あまり変わりはなかったと思う。利用者が、高速バスを選んだ理由は、多く報道されているように、費用の安さだったのだと思う。次の読売の記事は、「石川県と東京都、千葉県のディズニーリゾートを結ぶ路線がほとんど。片道3000円台が多く、中には2980円という格安バスもある。」と書いている。

読売 5月6日 バス事故1週間・・・安い運賃、今なお盛況

バスとLCCの飛行機とどちらが安いかの競争に突入し、新幹線はがら空きとなるのだろうか。中央リニアなんて、空席ばかりで、1日数本の運転となったりして。

3) 賠償金支払い

今後多額の賠償金が、問題になると思う。バス会社は、保険を付保していたであろうから賠償保険による支払いがなされると思う。しかし、運転をしていたのは、常時雇用の人ではなかった。まさか、それを理由に、保険会社が免責を主張するとは思わないのだが、この事故については、問題含みの点が多いと思う。

バス会社自身に多額の賠償金を支払う資金力があるとは、思えない。一方、関越道を長時間通行不能になっており、東日本高速自動車道(NEXCO)に対する損害賠償は、どうなるのだろうか?

4) 浮かぶキイワード

こんな連想ゲームは、気が進まないが、キイワードとしては「価格破壊」、「規制緩和」、「格差社会」が浮かんできてしまう。

交通輸送に関する法規則について詳しくないが、小泉改革の頃、事業ライセンスを緩和して、新規参入が容易になったと理解する。規制緩和は、マイナス面のみを持つのではないが、規制緩和は規制強化よりも難しいのである。競争が激しくなって、「お客様は神様です」となるが、実は表面と口先だけで、見えない・見えにくい部分は手を抜く競争になっていたとすれば恐ろしい。

格差社会も同じで、働き方の多様化と言いながら、派遣労働や短期雇用が増加し、社会が本当に必要とする能力ある職業人・労働者を生み出せていない。最低賃金を上げるとの公約は完全に無視される。全体が悪循環に陥っているように思える。

5) 対策

国土交通省は、ツアーバス業者への規制強化策をまとめているようである。

日経 5月7日 「高速ツアーバス、規制強化前倒し」奥田国交副大臣

対策としては、様々なことが考えられるが、バス輸送会社のランキングを発表する制度を作ってはどうだろうか。それも、政府や国交省がランキングを付けるのではなく、信頼しうる機関が付けるのである。例えば、保険会社である。保険会社は、保険を引き受けるに当たっては、その会社の事故率や安全性について詳しく調査する。何故なら、保険会社のリスクを小さくし、利潤を大きくするには、必要であるし、それが損保会社である。

また、保険会社にバス輸送各社の保険内容の公表も義務付ける。そうすると、保険内容の輸送会社や事故率が高い輸送会社のバスは皆が敬遠する。多分、事故率が高ければ、保険料も高く、採算が悪くなる。そのような保険内容の公表制度をつくれば、機能するように思うがどうだろうか?

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2012年5月 5日 (土)

東京地裁小沢判決

4月27日に小沢元代表の裁判は最高裁まで争うべきではないかを書いたことの続きです。東京地裁の小沢判決の要旨が民主党衆議院議員しな たけし氏のWebにあったので紹介しておきます。

しな たけし議員ホームページ (要旨はここ

要旨と言っても、目次を入れると100ページあり、膨大な量です。その上、すっきりしないのです。

私の読後感は、実は4月13日のさいたま地裁の木嶋佳苗被告と重なってしまったのです。小沢裁判の要旨の最後には、次のように書いてあります。

以上のとおり,本件公訴事実のうち,被告人の故意及び実行犯との間の共謀については証明が十分ではなく,本件公訴事実について,犯罪の証明がないことに帰着するから,刑事訴訟法336条により無罪の言渡しをする。

刑事訴訟法336条は、次の通りです。

刑事訴訟法第336条  被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。

この論理だと、木嶋佳苗被告も無罪になるのではとの気がしたのです。

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2012年5月 4日 (金)

日本国憲法について議論を

日本国憲法が施行されたのが1947年であり、施行から65年を経過した。MSN産経ニュースに「憲法記念日各党談話のニュース」が掲載されていた。(目次のようなページを探したが、分からず、リンク先は、多数党である民主党前原氏の談話となっており、ページの下の方に各党談話のリンクがある。)

MSN産経ニュース 5月3日 憲法記念日各党談話のニュース

1) 憲法について議論を

改正についてではなく、改正を含めて憲法について議論を進めるのが、本当の姿と確信する。古くなり、そぐわなくなったから改正というのは、間違いであり、何がそぐわなくなっており、それをどう改正するか、改正結果はどのよう影響があるか、単に提案者のみの意見のみならず、改正結果については、多くの意見を聞くべきであり、国民一人一人が、それを判断すべきである。改正についてを主題に議論をすると、大事なことが、抜け落ちることになるはず。

もう一つの重要な点は、憲法とは、権力者を縛るものであることです。中世の絶対主義国家には憲法は不要だったのであり、国王から市民(人民のなかの権力者)が、権力を得るために生まれたと私は考えている。憲法は、国会議員が主体になって改正するのではなく、国民が主体となって改正すべきと考える。

2) 朝日新聞世論調査

朝日新聞が4月21,22日に行った世論調査の質問と回答が次のページにあった。(結果のみならず、質問と回答の%を記載しており、よいことと思う。)

朝日 5月2日 世論調査―質問と回答〈4月21、22日実施〉

A) 支持政党なしと分からないが69%

政党支持に関する質問の回答で、1%以上の支持があったのは、民主10%、自民14%、公明2%、共産2%、みんな1%なので、国民のものである憲法について改正を含め議論できるのは国民自身であり、3分の2以上の意見を反映させるため、国民自身がすべきなのだと思う。

とくに、朝日の世論調査でも、改正をする必要があるが51%で、必要はないの29%より多い。これ即ち、積極的に大いに憲法について議論をすべきと言うことと考える。ところで、日本人はというより、日本の社会は、議論をすることについて未成熟だと思う。大勢と異なる意見を述べると、冷たい目で見られる。いじめを受ける陰湿なムードが、どこかにあると言えるのではないか。勿論、そうではない成熟した人達もずっと多いのであるが。憲法議論を通じても、いじめ社会を自由でオープンな社会に変革していきたい。

「憲法について議論する会」のような集まりをつくってもよいと思うし、ネットで議論するような場をもうけることも可能である。

B) 改正議論 首相の投票制

賛成 68 とのことで、改正質問に対して賛成の回答が一番多かった。これを、どう考えるかだが、議院内閣制を止めて、国会と政府を完全に分離し、三権分立を確立することを望んでいると解釈すべきなのかと思った。首相は、国会議員ではなく、大臣も国会議員ではない。首相を代表とする内閣は、国会が制定した法に従い、憲法73条が定める行政事務を行う。すっきりする気もする。

あるいは、民主党の掲げた政治主導に対する反発なのだろうか?ここに「菅副総理、小沢幹事長、連合結成20周年レセプションに出席」との民主党ニュース(2009年10月09日)があり、この中に「国会で多数の議席をいただいた政権党が、立法府でイニシアチブを取るだけではなく、内閣も組織する。あえて言えば、立法権と行政権の両方を預かる。」との菅発言がある。裁判所以外向かうところ、敵なしとなったの独裁の恐ろしさを感じてしまう部分がある。

立法と行政を分離することについては、検討の価値があると思う。首相は、国会議員でないとし、大臣・副大臣その他政府で行政に携わる人も、国会議員でないこととし、首相が国会議員を大臣に任命した場合は、その人は議席を失う。こうすると、大臣も公務員として、国民のために働かねばならない。公務員も与党対策や野党対策に無駄な時間をとられずに、もっと多くの時間を国民の意見を聞くことに使え、国民のために法案を立案できる。

そう単純ではないと思うが、問題点を含め、大いに議論すべきと考える。

C) 政治家に問題がある67%

今の政治家(議員)に問題があると思っている人が2/3以上存在する。もし多数決なら、2/3以上なんて、すごいことである。

最大の問題は、小選挙区制であると私は確信している。一刻も早く、小選挙区制を廃止すべきと考える。政権交代より、国民の意見を代表し、国民のために働く議員が選ばれる選挙制度にすべきである。小選挙区制では多数を得ねば、落選するので、手段を選ばない連中が多くなる。民主党のような烏合の衆と思える政党が政権を担う。権力目当てで結成された政党と感じる面がある。但し、他の党にも、同じようなことが言える部分があると思う。だから、政治家に問題があるという政治(議員)不信が生まれると思う。

やはり、選挙制度を早く変えるべきと考える。これは、憲法改正が不要である。

3) 地方自治

日本国憲法において、地方自治に関することは92条から95条までの5条のみである。一方、地方公共団体は法律を作れない。課税権はあるが、課税根拠となる法は国会のみが制定できる。狭い日本であり、ジェット機・新幹線を含め交通およびインターネットような通信の発達があり、日本1国制度が私はよいと思う。連邦のような地方独自の権限を確保する必要性は薄いと思う。

ところが、道州制という変な議論がある。理由がよく分からないのである。と言うか、権力を持ちたがっている人が、より大きな権力である、道州制の知事になりたがっているので、唱えていると感じてしまうのである。

ところで、私は、2007年8月17日に、日本国憲法と題するブログを書き、現憲法とGHQの憲法草案を対比して表を作成したことがある(ここ)。現憲法の92条から95条に相当するGHQの憲法草案(86条から88条)を読んでみると、実は、GHQ案の方が、すっきりする気もする。「国会ノ制定スル法律ノ範囲内ニ於テ彼等自身ノ憲章ヲ作成スル権利ヲ奪ハルルコト無カルヘシ」なんて。

憲法改正とは、離れて、地方自治についても議論をすべきと考える。今や国保を市町村単位で確保し、同様に生活保護も市町村行政に置いておく必然性はないと思うのである。政府レベルに持って行くと同時に、地方自治は、その根本思想として住民参加を推し進めるべきと考える。決して、道州制なんかで住民を阻害すべきではないと考える。市町村が分離して、それぞれミニ化するなんて、地方自治のあるべき姿のような気がする。市町村合併なんて、金と権力の醜い争いであった気がする。自分たちのマチやムラの計画を自分たちでつくる。金額は小さいが税収もある。自分たちのマチやムラの全員とはいかずとも、ほとんどの人達が満足するマチやムラを目指す。そう言えば、吉里吉里共和国なんてあったかな。そのような地方自治体を作れるようにすればよいと思う。

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