水道水ホルムアルデヒド問題
基準を超えるホルムアルデヒドが浄水場で検出され大規模な断水が発生した。早く原因を突き止め、断水の不安が早期に払拭されることを望む。安心して飲める飲料水が水道の蛇口から供給されることは、うれしいことである。なお、次の読売の記事からすると、原因の特定は容易ではなさそうである。
1) ホルムアルデヒド
Wikiを引いてみると、CH2Oという酸化メチレンという気体と書いてある。水に溶けやすく、溶けて濃度が高くなるとホルマリンと呼ばれる。接着剤の溶剤に使用されることも多く、シックハウス症候群の原因として最も有名な原因物質である。
ところで、基準値は1リットル当たり0.08ミリ・グラムなので0.08ppmになる。
この朝日の記事に取水停止をした浄水場が赤丸で表示された地図が出ている。その中で、流山の流量を調べると約100m3/秒であった。そうすると1時間に約30kgのホルムアルデヒドが流れていたことになる。この北千葉広域水道企業団の5月19日19時30分発表によれば、18日19時15分から約6時間の取水停止、そして19日7時20分から10時間の取水停止を行っている。合計すると16時間であり、480kg即ち500キログラム程度のホルムアルデヒドが流れたこととなる。
不法投棄なんてことがあってはならないはずであるが、飲料水の安全確保は、重要であり、多額の費用を要しても、原因究明をして欲しい。
2) 対処方法
1)でリンクをした朝日の記事の地図によれば取水停止をした浄水場は江戸川に多い。そこで、江戸川の流山水位・流量観測所と江戸川と利根川の分流前でかつ渡良瀬川との合流後である、栗橋水位・流量観測所の流量をグラフに書いてみた。(情報源は、国土交通省の水文水質データベースと川の防災情報です。)
なお、栗橋水位・流量観測所の位置は、次のYahoo地図のポイントである。
5月13日からの1週間余りの推移を描いた。
19日16時頃から流山における流量は増加している。栗橋では18日昼頃から増加を始め、19日19時頃に最大となっている。
何故このような流量推移となったのかは、ダムからの放流と関係がある。ホルムアルデヒドの濃度を下げるためにダムの水を放流した。特に放流量が多かったと認められる渡良瀬遊水地、薗原ダム、藤原ダムの3ダムの放流量も上のグラフに追加してみた。
上流から下流に流れてくる時間があるため、タイムラグが生じているが、ホルムアルデヒドの濃度を下げるために、ダム放流により流量を増加したことがグラフから分かる。
3) ダムについて
ダムは役に立つ。しかし、八ッ場ダムは、どうかと言えば、この結果では判断がつかない。しかし、今回のホルムアルデヒド問題について言えば、出番はなかったように思う。
4) 地下水
地下水の飲料水利用を拡大できそうに思うのである。地下水は貴重な資源である。従い、開発は家庭用の飲料水や伝統的水利用を除いて制限すべきと考える。即ち、工業用であれば、ホルムアルデヒドが含まれていようと、これほどの問題にはならなかったはずである。
地下水を利用するには、地下水の資源調査をし、用途計画、利用計画を立て、関係住民の多数の支持を得るべきである。
日本も今後水問題が課題になってくるように思えるのである。
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コメント
ホルムアルデヒド自体が、流下したと言うことではないです。塩素添加での発生です。 植物性有機物の可能性が高いかも。
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-614.html
さいたまの利根川でも、放水を停止後に源水へ塩素添加で検出されていますし。
投稿: omizo | 2012年5月22日 (火) 19時51分
omizoさん
コメントありがとうございます。リンク先から次の群馬県のWebも見ましたが、「河川水・事業場排出水に塩素を添加して生成したホルムアルデヒドを測定しました。」となっており、塩素添加によりホルムアルデヒドが発生したと考えるべきですね。
http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1000023.html
但し、塩素と源水中にある何かの物質が反応してホルムアルデヒドが発生したのであり、その物質とは何かを追求すべきと思います。当然、ホルムアルデヒドが検出された時の源水も相当の量が保管されているはずであり、追求は可能と考えます。
植物性有機物の可能性は、私は低いと思うのです。もし、植物性有機物が原因であれば、過去に何度も発生していたと思いますので。
投稿: ある経営コンサルタント | 2012年5月22日 (火) 23時53分