消費税増税の今後
消費増税法は、8月22日官報で公布された。法の名称としては、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」と「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する等の法律」である。
8%になるのが2014年4月からで、2年も立たないうちであり、10%になるのが2015年10月であるから、8%になった後から1年半である。多分、消費税増税を、どう乗り切るかを考え始めないと、大変になると思う。
1) 3党合意で吹っ飛んだ超富裕層への課税をどうするか
言わば、政府案をひん曲げたのが、自民・公明であった。元の政府案にあった、消費税増税に加えての超富裕層への課税拡大が、なくなってしまった。法律の名称も政府案は、「消費税法等」と「等」があり、「所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うため、消費税法、所得税法、相続税法及び租税特別措置法の一部を改正するとともに」なんてことが第1条に書いてあった。
そして、所得税は課税所得額が5千万円以上の場合は(5千万円を超える金額について)5%増税、相続税は課税相続財産額6億円以上の場合は(6億円を超える金額について)5%増税があった。これが削除され、第20条と21条に、「・・・・検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。」なんて、文言が入った。完全に消えたわけではないが、自民・公明が次の選挙で勝つとなると、多分超富裕層への増税はされないだろうと思う。
一方、消費税反対を唱えていた野党の考えはどうなのだろうか?これまで、何度も富裕層に対する減税が行われてきた。本来は、消費税増税よりも、累進税率が適用される所得税増税が税制として優れているとの考え方があるなかで、所得税を積み残した。やはり議論が必要である。
2) 勤労・児童税額控除
次の毎日の記事が、民主党税制調査会における勤労・児童税額控除の案について報じていた。
毎日 8月21日 民主税調:消費増税対策に「勤労・児童税額控除」検討
どのようなものか、米国の場合は勤労税額控除はEarned Income Tax Creditと呼ばれており、ここにWiki(日本語)、ここにWiki(英語)があった。ちなみに、米国歳入庁(IRS)のEITCのページは、ここにある。子ども2人の場合、最大5千ドル(40万円)程度受け取れるようである。
所得税に税額控除を取り入れ2014年から実施するなら、2013年には所得税法の改正が必要なはず。そうなると、直ちに法案作成に着手せねばならない。そして、実施のためには、国民番号法の施行が必要であり、これも2013年3月までに成立させねばならない。
さて消費税増税法の7条には、政府案では「給付付き税額控除等の低所得者に配慮した再分配に関する総合的な施策を導入する。」となっていた。ところが、3党合意で、これも微妙に文言が変更となった。「給付付き税額控除等の施策の導入について、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等を含め様々な角度から総合的に検討する。」となってしまった。
これじゃ、2013年3月までの成立には相当な困難があると思う。
3) 消費税増税反対論
自民・公明以外の野党は、消費税増税反対であったわけで、野党として反対するからには、低所得者層への配慮は、二の次であったと思える。現実的な対応を、どうしてできないのかと思う。あまりにも、政治が貧困な国であるように思えてしまう。国民のことより、政権をとることが重要と考える人達に思える。
消費税反対論よりも、現実や実態に即した対応が、重要と思う。
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