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2012年9月17日 (月)

原子力に関する閣議決定と日本学術会議の高レベル放射性廃棄物処分についての意見

直前のブログ大臣の人間性で9月14日の閣議決定「革新的エネルギー・環境戦略」に触れた。日本学術会議は、原子力委員会からの「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについて」と題する意見・提言依頼に対して、9月11日付でこの回答を提出した。

興味ある内容が含まれています。

1) 核燃料サイクルの破綻

閣議決定に明確に書かれていないが、どう考えても核燃料サイクルの破綻である。原発に依存しない社会の実現を目指すと言う意味は、使用済み燃料(プルトニウム)を再処理する必要性がないことである。プルトニウムを再度核燃料として使用することを目的として、再処理するのであり、プルトニウムを再利用しないなら、核兵器として利用されないように処理・管理することに方向を転換せねばならない。この大前提は重要である。

2) もんじゅの廃炉

閣議決定には「年限を区切っ研究計画を策定、実行とし、成果を確認の上、研究終了する。」とある。これまでの試験結果を分析し、とりまとめ将来のために残すことが主体と考える。まさか、プルトニウムを連続核分裂となる臨界状態にして運転をすることはないと考える。原発に依存しない社会とは、プルトニウムとは無縁の社会を目指すことである。燃焼した以上の燃料が生産される夢の原子炉は、利用目的のない核燃料を製造するのであり、もんじゅは廃炉にする以外にないはず。

核の利用(発電目的であれ核兵器であれ)を考えるからプルトニウムの利用を実現しようとするのであり、「もんじゅ」は無用の長物である。

3) 日本学術会議の意見

高レベル放射性廃棄物の処分に関する社会的合意形成が困難である現状を踏まえて、原子力委員会が日本学術会議に意見を求めたのである。困難である理由として、日本学術会議は次の3点をあげている。その通りであると思う。

(1) エネルギー政策・原子力政策における社会的合意欠如のまま、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定への合意形成を求めるという転倒した手続き

(2) 原子力発電による受益追求に随伴する、超長期間にわたる放射性の汚染発生可能性への対処の必要性

(3) 受益圏と受苦圏の分離

現在も3点が続いていると思う。(1)に関しては、高レベル放射性廃棄物の処分の議論もなく、「討論型世論調査」で2030年時点の原子力発電依存度で「ゼロ」が46.7%とは意味があるのかと思う。(2)については、今でも国民に十分に説明しておらず、(3)は政治家が逃げている(あるいは甘い汁を吸っているのか?)。

逃げずに正面から取り組めば、どう考えても、日本学術会議の回答のように、高レベル放射性廃棄物の暫定保管と総量管理の2つを柱とした時間をかけた合意形成を進める以外に手はないはずである。2030年時点の原子力発電依存度をどうするかではなく、高レベル放射性廃棄物をどうするかの議論を進めるべきである。

高レベル放射性廃棄物とは使用済み核燃料を含めての話であり、暫定保管とは最終処分の前の安全な長期管理であり、総量管理とは暫定保管可能な高レベル放射性廃棄物の総量を研究・検討し、廃棄物量は安全な管理可能範囲内に収まるように管理することである。

ビジネスでも何でも同じと考えるが、リスクを管理できることは、極めて重要である。リスクゼロは、どのような場合も存在しない。しかし、リスク事態が発生しても、それに対応・対抗する手段が存在するなら、管理可能である。そして、常に評価を継続せねばならない。抜けがあるかもしれないのである。万全と思うこともリスクである。

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