大間原発の無期限凍結を函館市議会が全会一致で可決
大間原発の無期限凍結を函館市議会が全会一致で可決したとニュースがあった。
毎日地方版 9月26日 函館市議会:大間原発無期限凍結を求め決議 /青森
このニュースで思い出すのが、2011年5月7日の菅首相の浜岡原発運転停止要請である。東海地震の発生確率が高いので、停止を決定したとの説明であった。当時、反発を覚えて、これを書いた。東海地震については、相当以前からその可能性について指摘があったのであり、政府を始めあらゆる関係者がその対策について検討をしていた。浜岡原発についても中部電力のみならず関係者全員が東海地震を念頭に置いていたはずである。津波に対して不十分であったとするなら、津波の際のどの部分なのかを指摘すべきであった。あるいは新基準により運転停止とするなら、その基準を関係者の同意を得て、手続きに従って制定すべきである。
函館市議会の決議については、その気持ちは理解できる。大間原発は、函館ー大間間のフェリーの大間の港の南1km強の距離にある。(次の地図の中央あたりのL字に見える防波堤の陸地側で、国道338号が迂回している場所が原発建設地点である。)
設置許可済みで運転を開始していない、即ち核燃料が装荷されておらず放射性物質がない状態の建設中原発は、日本国内に3基ある。中国-島根3号機、電発-大間1号機と東電-東通1号機である。この3基の中で、全くの新規原発は大間のみで、島根原発は1,2号機が既に運転開始済み。東電-東通1号機は、その南約2kmに東北電力-東通1号機が運転開始済みである。(なお、現在東電-東通1号機は工事中断状態と理解する。)
もう一つ、大間原発はフルMOXという核分裂の約80%をプルトニウムに依存する原発である。即ち使用する核燃料が従来と異なる唯一のフルMOX原発である。フルMOXだから危険であるとするのは、正しくないはず。通常のウラン燃料も核分裂の結果、プルトニウムが生成され、そのプルトニウムも核分裂を起こす。また、運転の当初からフルMOXを使用するのではなく、徐々に割合を増加していく。しかし、フルMOXを採用した理由と、フルMOXとウラン燃料との違いや通常の軽水炉でフルMOXを採用した場合の安全性等について函館市の人々を含め国民に説明をすべきである。ウランとプルトニウムは、元素が異なるので、当然物理的・化学的性質も異なるはずであるが、何がどう違うか、その違いから来る安全性はと質問をしたい。
エネルギー問題は重要である。従い、国民全員が考えるべきである。国の選択とは、政治家の選択ではない。そんな重要なことまで決定する権限を選挙で議員達に与えたと多くの人は思っていないはず。馬鹿な2大政党制だから、政権交代だけを理由に選択をした人もいるはず。国民が議論でき、その意見を取り入れる機会を、政府は作るべきである。時間をかけても、全く問題はなく、多くの論評を読むことができるようになって国民は判断が可能になる。
原子力のみとは限らないが、地域の意見の反映は重要である。放射性廃棄物の処理について現状は全く見通しが立っていない。マスコミは馬鹿だから、政治家の言葉をそのまま伝えて「国の責任」という言葉を使う。「国の責任」=「国民の責任」である。政治家は解決しなくても困らないので、ごまかしを述べて、体裁よく繕い、次の選挙で当選することを目指す。そう考えると、函館市議会の要請に対して政府高官はどのように対応するか興味を抱く。
なお、地域とは地理的な地域に限らない。大間原発を中止した場合は、電源開発の関係者(原発関連の補助金や税収がなくなる大間町も含め)も損失を被るが、全額電源開発の負担とすべきなのか、何が合理的かを考えることも必要である。福島事故では、全て東京電力の責任と押しつけたあのやり方は、政府高官が自らの責務から逃れるための巧妙な方法であったと思っている。原発は全て1社か2社に統合して、その会社を上場会社にすべきであると私は考えている。政府高官の思い通りになる国営会社になんか絶対にすべきではない。
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