« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2012年11月29日 (木)

安倍晋三は勉強を

次の記事のオーム返しです。

時事ドットコム 11月27日 「米倉経団連会長は勉強を」=緩和強化批判に安倍自民総裁

おつむの程度が酷すぎる安倍晋三であります。

思い浮かべるのは、落語の花見酒で、花見酒と同じ程度のおつむしかない人物と見受けます。花見酒の話とは、兄弟分2人が2両で酒を1樽買い、これを1杯1貫で売れば4両の収入となり、2両儲かるとの話になった。弟分が1貫を持っていたので、それで1杯飲む。そうすると兄貴分に1貫が渡るので、今度は兄貴分が1杯飲む。結局、酒1樽が全て売れたが、手元に残ったのは、1貫だけ。4両残らないどころか、元手の2両さえ残らなかった。

花見酒の話は、数量に樽やら貫が出てきてややこしいのですが、そこが経済計算に誤解を生む原因になっている伏線もあり、勘違いは大間違いの始まりになるようです。花見酒レベルでの誤解・間違いは笑い話で済むが、年間数10兆円の話になると、誤解・間違いでは済まされません。

1) 日銀に国債を引き受けさせることとは

昔だったらお札を印刷するとなるのですが、今だったら預金口座の残高が増えることです。但し、政府の銀行口座の預金残高が増えるのであり、国民の預金残高が増えるのではありません。

2) 公共工事の支出増加

政府が例えば年金財源に、その増えた預金を使えば、国民の間で、猛烈な不公平が生じます。一方、全員に公平に配分・バラマキすれば、実は、国債発行をしなかったことと同じです。そこで、公共工事に支出すればどうかであります。公共工事とは、インフラであり、必要なインフラであれば、完成後にそのインフラが活用されて生産(付加価値)の増加につながる。しかし、不必要なインフラであれば、負債だけが残る。(資産と負債が同額、同時に形成されるが、不良資産であれば負債のみとなる。)

3) 日銀が引き受けた国債は償還しないとしたならば

まさに究極の一手です。しかし、全体で考えれば、使える金である銀行預金は増えているが、物は何も変化していないので、インフレあるいは高インフレとなります。この場合、単純に全てが、同じ率でインフレとなるなら、皆損得なしとなるのですが、現実には品目によっては、インフレ率に相当の差がでると思います。高度成長期のインフレは、物価は上がるが、給料も上がった。予測は難しいですが、給料は上がらず、物価はどんどん上がるという状態も考えられます。失われた20年の間、企業はリストラや人件費カットをして生き延びてきたのであり、物価上昇なので給料を上げるとの方向に進むより、原材料その他の仕入れ価格が上がるので、リストラや人件費カットと行かなくても、据え置きの方向は十分考えられると思います。

4) アヘンと麻薬

安倍晋三は、アヘンや麻薬の売人みたいと思います。公共事業を増やせばその分ゼネコンへ行く金は増え、ゼネコン周辺にもお金が回っていきます。GDPとは、減価償却のない計算なので、公共事業費はそのほぼ全額あるいはそれ以上支出時のGDP増加につながります。しかし、その後は、増加した国債の利払いと償還に苦しみます。そして、インフレ傾向になったとたん、利子率が上昇します。その結果、新規国債は高利率でないと発行できず、発行済み国債は大幅値下がりが発生します。その結果、銀行等金融機関は郵貯銀行を含め大幅赤字を計上し、メガ銀行でさえ、国際業務からの撤退が考えられ、日本大不況が始まる恐れがあると思います。単に目の前だけを見て判断をする、せざるを得ないのはアヘン・麻薬中毒になっているような気がします。日銀引き受けという麻薬を味わってみたい人は別ですが。

あまりにも酷すぎるので、書きました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月20日 (火)

小沢裁判無罪確定

小沢一郎氏の政治資金規正法違反(虚偽記載)罪についての裁判は、検察官役の指定弁護士が19日に、上訴権の放棄を東京高裁に申し立て、最高裁への上告を断念し、小沢氏の無罪が確定した。

MSN産経 11月19日 小沢氏の「無罪」確定 指定弁護士が上告断念

検察審査会制度についての批判が出るかも知れないが、結論を出すには早すぎ、また検察庁への批判についても取り調べの可視化が本質であると考える。そして、やはり一番の問題は、政治資金規正法そのものであると考える。国会議員が自らを縛る法は、みごとにザル法として立法したと思う。

小沢裁判で問われたのは、政治資金規正法の収支報告書の虚偽記載について小沢氏が刑事罰に問われるかどうかであった。問題となった陸山会の小沢氏からの4億円借入の資金源について、また政治資金による土地取得の妥当性については、裁判の目的ではないので、争われなかった。

政治資金規正法に登録政治資金監査人に関する条文(19条の18~19条の28)があり、「総務省の政治資金監査に関するQ&A」がここにある。これを読むと、感心する程のザル法であると思う。

Ⅰ-5 使途の妥当性の判断
Q 政治資金監査の結果、政治団体に係る支出とは判断できない支出が分類されている場合、どのように対処すればよいのか。外形的・定型的監査にとどまらず、使途の妥当性についても登録政治資金監査人が判断するべきではないか。
A 政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものではありません。これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に、政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、国会における議論の結果、外形的・定型的な監査とすることで合意されたものです

支出の目的は、監査では問われないと言うことです。政党助成金という国民の血税がデタラメに使途される恐れはないのだろうか?

Ⅰ-3 繰越額と現金預金残高
Q 翌年への繰越額と現金預金残高とが一致しているかを確認する必要があるか。
A 政治資金監査は支出のみを対象としていますので、翌年への繰越額の確認は求められていません。

上記I-3のようにいくらでもある。収支残高と現金残高が不一致で構わないなんて、大福帳以下であり、複式簿記なんて夢のまた夢状態です。

Ⅶ-2 収入・支出の記載漏れ
Q 会計責任者等に対するヒアリングの過程で収入の記載漏れが発見され、その収入に対する支出についても記載漏れがあり、会計責任者は収支報告書を訂正しなかった場合、政治資金監査報告書ではどのように記載すべきか。
A 収支報告書に支出の記載漏れがあり、会計責任者に指摘したにもかかわらず、収支報告書を訂正しなかった場合、政治資金監査マニュアルの「Ⅶ.政治資金監査報告書 2.政治資金監査報告書記載例(3)」の「2監査の結果」と同様に、法定の監査事項を確認できなかったものとして、別記にその旨を記載することが考えられます。
なお、政治資金監査は支出のみを対象とし、収入はその対象とはしていません。

監査範囲のことだが、収入はその対象とはしていませんと言われてしまうと、ハアーとため息が出てくる。

国民が力を持たぬとどうしようも無いような感じです。少なくとも複式簿記には直ちにすべきであり、選挙制度と政治資金規正制度は、国民が参加して決定するようにすべきと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

今回のパレスチナとイスラエルの紛争の発端

和平合意しか解決がないのは余りにも明白であり、私のような外部の人間から見れば、和平への障害も乗り切れないのもではないと思えるのであるが。

日経 11月20日 ヒズボラ「ハマスに軍事協力を」 アラブ諸国向け ガザ空爆で反イスラエル活動を活発化

今回のイスラエルによる活発なガザ空爆とハマスによるイスラエルへのミサイル報復攻撃の応酬合戦の発端は、11月14日のイスラエル軍によるハマス軍事部門トップのアハメド・ジャバリ司令官のが乗っていた車を空爆しての殺害であった。

ロイター 11月15日 ハマス軍事部門トップを殺害、イスラエル軍がガザ空爆

この殺害の瞬間がYouTubeにありました。”IDF Pinpoint Strike on Ahmed Jabari, Head of Hamas Military Wing”というTitleです。IDFとは、 Israel Defense Forcesの略称です。

恐ろしいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月17日 (土)

国民不在の総選挙?

12月16日に予定されている今回の衆議院選挙は、国民が無視されている状態で、議員と政党の間の政略争いの選挙であり、国民不在となる可能性が高いように感じる。

日経 11月17日 師走選挙へ各党走る 首相「第三極は野合」 事実上の選挙戦、党首ら舌戦

前回までの選挙では浮動票という言葉がマスコミでは多く登場していた。今回は、第三極という言葉が多く出ているが、民主と自公以外の第三極と使われかたで、維新の会や太陽に減税日本なんて、民主と自公と結局は同じに思えて、よく理解できない。(保守と言うだけで考えが違っても集まったのが自民と思っていたし、政権交代のみで集まったのが民主とすれば、第三極は考え方がまるで違った人達が集まっているようだ。)

自民が有利と思われるが、自民が勝てば、公共事業・土建政治の復活になると思う。不要な公共工事の残骸が残すのは、将来の大増税しか無く、消費税率40%で、日本は貧困層が国民の50%なんて恐ろしい事態に至らないだろうか。

野田政権は大事な部分を放棄した。消費税増税は所得税の給付付き勤労者税額控除を同時に通すべきが、附則にも入れず、残ったのは中間・低所得者層に厳しい増税である。民主党は、最低賃金を1000円以上にすると約束した。しかし、最低賃金については、努力すらしなかったと思う。むしろ、非正規雇用者層と呼ばれている不安定で低賃金の雇用を増加させただけと思う。TPPにしても推進するなら、農業政策他を正しく施策すべきであり、それは農協の利益と反するかも知れない。しかし、農協も農業の本当の利益を代表しているのではなく、一部農民の声であったり、あるいは正しい施策が示されていないからの反対という部分もあると思う。自民が勝てば、既存農協の利益が守られ結果的に国民の利益や守るべき農家の利益が失われるかも知れないと思う。

景気対策は、公共事業や国債発行による赤字財政で実施するのではない。民間企業・事業の活動が活発になるように市場ルールつくりで実施すべきである。民間企業にとって現在悩ましいのは、健康保険料である。組合健保も協会けんぽも保険料率アップが見込まれる。最大の理由は、後期高齢者医療費の負担(拠出金)増である。最高料率の北海道は現在10.12%(最低料率の長野県でも9.85%)で介護保険1.55%と厚生年金保険料16.766%が加わると28.436%である。労使折半なので企業負担はこの半分だが将来とも増加が続くのでつらい。これを逃れるには、非正規雇用を増やせばよいと言うことになり、結果として個人消費の落ち込み、デフレとなり景気の悪循環が日本で現在発生していると考える。

国民の意見が集約されないで、議員が自己欲望で動くので、社会がよくならない。小選挙区制が悪の根源であり、小選挙区制の撤廃を目指して戦いたいと思う。民主党が言う「自らの身を切る改革として比例区の議員定数削減」なんて、ダマシの見本と思う。本当に身を切るというなら、政党助成金の減額や議員報酬の引き下げを何故言わないのだ。選挙活動にネットを解禁すれば、安い選挙費用ですますことができ、一般の人でも立候補しやすくなる。候補者ブログ、候補者ツイッター、インターネット討論会その他何でもありでよいではないか。インターネットで簡単に動画を発信できる時代でもある。大政党に属していなくても有名でなくても立候補ができ、選挙討論ができる制度が、本当の民主主義と思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月15日 (木)

スーパーコンピューターのランキング

「何故世界1位でなくては、ならないのですか」で有名になった「京」が第3位になったとのニュースが数日前にあった。

47ニュース 11月12日 スパコン京、3位に 世界の性能ランキング

スーパーコンピューターのランキングが発表されているWebのHome Pageはここです。毎年6月と11月の年2回上位500のスパコンが発表されており、「京」が1位であったのは、2011年6月と2011年11月の2回だけであり、今年の6月には既に2位となり、今回は3位であったのです。上位20スパコンのランキングは、次の通りです。なお、順位付けはMaximum Floating Points Operations Per Second (Flop/s)という1秒間の浮動小数点数演算能力回数で評価している。

Supercomputer201211a
100位以内に入っているスパコンの数を国毎に数えてみたのが、次の表である。500位以内も同様に数え、演算能力の単純合計も行った。なお、T Flop/sで合計を表示すると桁がありすぎるので、その1000倍のP Flop/sで表示した。


Supercomputer201211b_2


2年前の2010年11月の
このブログを書いた時は、第1位は現在8位の中国のスパコンであった。100位以内のスパコン競争では、どうやら日本が台数で現在2位になっているようだ。しかし、500位以内の台数では中国が2位になっている。

スパコンは、それを活用して価値が生まれるのであり、活用すれば非常に大きな価値を生むのである。そして、研究開発になくてはならない重要な基礎インフラである。インフラ整備を怠った時に、発展・成長はないと考える。

ところで、やはり思い浮かぶのは、「何故世界1位でなくては、ならないのですか」という事業仕分けでのおばさんの発言です。11月14日の日経ビジネスOnlineに伊東乾氏が書いておられた(「世界で2番目に速いコンピュータではなぜいけないのか?」といったような、内容の本質に無関係で、揚げ足を取ることだけにクレバーな質問・・(この記事のなか))との表現に共感を覚えた。このおばさんだけに限らないのだが、民主党の議員は相手を攻撃することよりもずっと重要なことが世の中には存在するのだと認識して、お勉強をして欲しい。あるいは、他人の意見、書物、論文、発言等を尊重して、素直になって欲しい。他の人の協力を得て、仕事ができるのである。多分、民主党の議員も良い人が多いのだろうと思う。選挙にあたって、素直な人間性を出し、それを今後とも貫くことが重要と思う。何しろ、でたらめに作成したマニフェストなんて全く意味がないことを証明してくれたのだから。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月12日 (月)

民主主義を放棄する日本の民主党

この場に及んでも、あきれはてることを述べている民主党と思った。

日経 11月11日 「一票の格差」是正、周知期間必要 民主国対委員長

衆院選挙制度改革関連法案について「(一票の格差是正と比例定数削減は)セットでやりきりたい」と述べたという部分です。きちがい集団と思っているが、選挙を前にして、狂っているとしか思えない。

DemocracyをWikiで引くと、次のようになっている。

Democracy is a form of government in which all eligible citizens have an equal say in the decisions that affect their lives. Democracy allows eligible citizens to participate equally—either directly or through elected representatives—in the proposal, development, and creation of laws. It encompasses social, economic and cultural conditions that enable the free and equal practice of political self-determination.

全ての有権者(all eligible citizens)が、平等な発言権(equal say)を持つ政府・政治形態である。equalという言葉が何度も出てくる。

民主党が言う比例定数削減では、少しの得票差で大きな議席数の差を更に生み出すのである。多くの良識ある人は、民主党政権は、日本の政治の質を悪くしたと思っているのではと思う。将来のことを考えず、目先だけの事で動き、自分のことだけを考える狭い視野で臨む。

日本を良くしたいと多くの若者が思う社会であるべきと考える。現状は閉塞状態と思う。一つの大きな理由は、政治に夢を持てないこであると思う。大政党に入らなくとも、当選の可能性がある選挙制度であり、国民の意見が反映される議会や政府であるべきと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 7日 (水)

大学の認可制度

様々に入れ替わる報道であったが、結果としては、3大学(秋田公立美術大-秋田市、札幌保健医療大-札幌市、岡崎女子大-愛知県岡崎市)は認可となるのでしょう。

日経 11月7日 3大学新設を一転認可 田中文科相が表明

ところで、思うのが、大学の設置について、政府の許可(認可という言葉を使っていますが、許可と同じだと思います。)が必要なのかという疑問である。

大学とは教育機関であるが、研究機関であり、研究することの指導を通じて教育する学校である。研究は、自発的に行うものであり、自らがそのテーマを見つけて実施する。大学教育は、それを指導することである。政府が関与すべきではな。大学の卒業資格をどう評価するかは、社会、企業等の問題であり、A大学については価値を認め、B大学は価値を認めないこともあってよいと思う。画一的にすることこそ、問題があるように思う。D大学でEについて研究した人に高い評価を与えるとすることもあってよいはず。

例であるが、田中大臣が認可せずと述べた3大学の中に、看護大学がある。高齢化社会を迎えるなかで看護師の需要が増大しており、看護大学の設置は認めるべきだとの意見がある。社会の需要が高まれば、人材を供給する教育機関の増加はマーケットとして当然のことであり、受給については政府が余り関与すべきではない。教育のレベルについては、看護師の場合は、看護師国家試験に合格する必要があるのであり、制度としての議論が正しいと考える。

規制緩和と言いながら、大学については、緩和すべき分野が緩和されていないと思う。文部科学省は、大学設置認可において、学校法人分科会で財務計画・管理運営等についても審査してるとしているが、実際には、この南山大学の損失発表他、資産を失っているケースの報道も多い。明るい将来展望を築くために、大学教育は極めて重要と考える。それ故、高い能力を持った研究者や人材が育って欲しいのである。そのためには、自由な研究が必要であり、政府の関与は最小限であるべきと考える。(田中大臣には、議論のきっかけを作ったことで、評価すべきか?)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

核兵器廃絶運動自治体

10月21に書いた日本政府は核兵器についての方針を説明すべしの続きです。

毎日新聞は、11月7日に広島市長:政府の核兵器非合法化不賛同に要望書提出という記事を出しました。

287の地方自治体が日本非核宣言自治体協議会を組織しており、10月23日に外務大臣宛に要請文を出しておられます。ここにあります。ホームページはここであり、会員自治体リストがここにあり、自分が住んでいる市町村が加盟しているかどうかを知ることができます。県が加盟しているのは、神奈川県だけです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

東京電力女性社員殺害事件再審無罪判決

既に検察は無罪主張に転じていたのであり、無罪判決は当然であった。しかし、報道に接すると、やはり冤罪判決について問題の大きさにをあらためて感じる。

日経 11月7日 15年…遅すぎた名誉回復 問われる捜査・公判 東電女性社員殺害で再審無罪

警察、検察が犯罪者の逮捕、捜査、起訴というその職務に忠実であることは正しい。しかし、つい最近あった遠隔操作ウイルス感染パソコンなりすまし事件では、警察および検察が職務に忠実であろうとしすぎて、行きすぎた取り調べがあったのだと思う。

東京電力女性社員殺害事件では、東京地裁判決は無罪であったにも拘わらず、東京高裁と最高裁では有罪判決であった。裁判官が間違いを犯すことはあり得る。

日経の記事には、『弁護団の一人は「不利な証拠の存在が明らかになっていれば、無実は早くに分かっていた。検察は間違いの原因を厳しく検証し、再発防止に努めるべきだ」と批判する。』とあり、私も、証拠は全て警察、検察が握り続ける現行の制度・法のありかた検討をすべき必要性を感じる。取調べの全課程の録画・録音も推進すべきであり、代用監獄問題についても多くの人に訴えるべきと考える。

日本弁護士連合会も 「東電OL殺人事件」再審判決に関する会長声明を発表しており、ここにあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 3日 (土)

不動産鑑定の意味

2011年2月21日に書いたかんぽの宿層雲峡から、暗黒の世界をのぞき見た?に多くのアクセスを頂いています。理由は、次のニュースからだと思います。

朝日 11月2日 旧かんぽの宿過大評価、不動産鑑定士6人処分 国交省

国交省の11月2日付けの報道発表は、ここにあります。

この不動産鑑定士に対する行政処分は、不当に高い評価額で不動産鑑定を行ったことが理由です。

ところで、この報道を読むだけでは一面的すぎるのであり、ここに2011年8月26日付の国交省から日本不動産鑑定協会に対する通知があります。この通知は、日本郵政公社(当時)からの依頼による「かんぽの宿等」の不動産の鑑定評価にあたり(故意に)低い評価を実施したことに対するもので、行政処分と行政指導を行っています。

かんぽの宿層雲峡問題は、2011年2月21日のブログを読んでいただければと思います。今回申し上げたいのは、不動産鑑定を絶対視してはならないことです。不動産は、その利用により大きく価値が変わります。うまく利用すれば価値が増し、うまく利用できるように開発すれば価値が増加する。しかし、かんぽの宿がその例かも知れませんが、利用が計画での期待通りとならなかったら、無価値やマイナス価値もあり得るのです。(マイナスとは、美しい自然を開発という名で破壊し、破壊のみが残る場合を含みます。)

かんぽの宿の不動産鑑定をめぐって1年数ヶ月の間に低すぎるということと、高すぎるということで2つの行政処分があったので思わず書いてしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 2日 (金)

家庭用温水器の比較

パナソニックが2013年3月期の年間予想として、これまで発表していた純利益500億円を純損失7650億円と、8150億円も悪化する業績予想を発表した。

日経 11月1日 パナソニック7650億円赤字 13年3月期、63年ぶり無配

パナソニックの発表は、ここにある。

8150億円の差の原因は、営業利益の減少額が1200億円とその15%に過ぎない。大きな原因としては前年度の法人税等が13億円に対して4114億円に増加したことがある。この税額増加は、繰延税金資産の取り崩しが関係している。4125億円を、この9月四半期ですでに取り崩しており、第2四半期で既に6851億円の純損失となっている。税額が増加して納付額が増えたのではなく、将来に課税計算上損金扱いできると計画していた繰越欠損金が、その見込みが確実でなくなったとしたことにある。

シャープも同様に、11月1日 日経 シャープ、赤字過去最大に 構造改革費追加計上など響く、(会社発表)となった。

どこか会社の方針が間違っていなかったのだろうかと思う。日本企業が、ガラパゴス化しているのではないだろうか。世界市場に目を向けず、世界との競争・競合を忘れ去った時は、井の中の蛙となり、たちまち苦境に立つ。

政府が10月26日付けの「経済危機対応・地域活性化予備費等の活用」という名称の閣議決定がをした。(ここ)この中に、家庭用エネファーム設置の緊急支援251億円という支出がある。これもガラパゴス的税金の無駄使いだと感じる。

1) エネファームとは

参考としてこの東京ガスの製品仕様(パナホーム製)からの情報に基づき考える。都市ガスを水蒸気改質して水素を取り出し、燃料電池でこの水素と空気中の酸素を反応させて電気を発生し電力を得る設備である。

ところで、この設備(エネファーム)とは、都市ガスから電力を作ると言えるが、熱も同時に発生する。ガス中の35.7%が電力となり、44.8%が温水(貯湯温度が60℃なので70℃程度が設備出口温度と思う)として得られる。100%から引き算をすると19.5%が利用できないロスとなる。

エネファームとは、コジェネレーションであり、ロス20%は、電力と温水をあわせた総合効率であり、80%は高いと言える。しかし、電力と温水は同時に生み出されるコジェネレーションであり、単独に電力又は温水が得られるわけではない。そこで、この設備の場合には200リットルの貯湯タンクがセットになっている。発電と同時に生み出される温水は200リットル貯湯タンクに貯蔵される。風呂他で40℃強のお湯を使う場合に、貯湯タンクの70℃の温水を水で温度を下げるとして1日あたりの70℃の温水使用量を計算してみると次のグラフのようになった。

Enefirm201110a
1日あたりのお湯の家庭での消費量は、バスタブに200リットル程度入れるのが多いと思うので、1日あたりのお湯の消費量は300リットル程度ではないかと思う。当然のことながら混合する水道水の温度が低ければ70℃の温水使用量は増加するし、夏のように温度が高ければ70℃の温水使用量は少ない。エネファームの場合、発電と温水発生が同時なので、温水使用量が少ない場合は、発電量も少ない。夏と冬で発電量が異なってくる。

そこで次のグラフは、70℃の温水使用量ではなく、その温水を発生した場合に発電される電力発電量のグラフとした。

Enefirm201110b_2
70℃温水使用量のグラフより発電量のグラフの傾きが急になったのであるが、これは水道水の温度が低いと70℃を得るためのエネルギー量が大きくなり、従い発電量も増加したからである。夏と冬の発電量の差が大きいのである。発電量とガス消費量は比例関係にあり、ガス消費量も計算できるが、ガス消費量をm3ではなく、単価を147円/m3として金額で上のグラフの右軸で表した。

いずれにせよ、夏は発電量が少なく、冬発電量が増加する機器である。(夏でも発生する温水を捨てれば、発電量を抑える必要はない。しかし、無駄にエネルギーを使うことになり、効率は悪くなる。)

電力のみでこの結果を評価すると、kWhあたり32.5円程度になる。東京電力の値上げ後の単価でkWhあたり26-27円程度故、エネファームからの電気は、温水を勘案して評価しないと、相当高いことになる。

2) 高効率ガス温水器

熱効率が95%程度の高効率ガス温水器が存在する。東京ガスのWebで見てもエコジョーズ24号が40万円程度である。一方、エネファームは276万円もする。熱効率では、高効率ガス温水器の方が高いこととなる。

3) エコキュート

ヒートポンプで温水を得る設備である。パナソニック・エコキュートのWebはこちらである。外気温等の季節条件や沸き上げ温度により異なるが、6.0kWの加熱能力に対して消費電力は1.2-2.0kW程度である。消費電力に対して3倍以上のエネルギーが得られるということである。

そうなると熱効率は、発電時及び送配電の総合効率を40%としても、120%の効率となる。熱効率の面では最も優れた設備と言える。

4) エネファーム、高効率ガス温水器、エコキュートの総合比較

比較をするのが一番よく分かるので、表にした。
Enefirm201110c_2

料金ではエネファームが一番安い。次にエコキュートが安いが、深夜電力との組み合わせによっては、料金が更に安くなるはずである。なお、設備費では276万円のエネファームや40万円の高効率温水器の間になるのが80万円程度のエコキュートである。一方、エネルギー消費で考えれば、家庭に届く電力が一次エネルギーの40%であるとした場合、エネファームが80%効率なので最も効率が高い。しかし、実は、この表を見て、それほど大きな差があると思えない。むしろ実際の使用条件によっては、逆転することもあり得ると思う。また、メンテナンス費用も考えねばならず、その面では温水器が一番安いはずである。

一般家庭におけるエネルギー使用のうち風呂の温水使用は大きな割合を占める。だから補助金を出して省エネを奨励するという考え方に立っている。しかし、一方で、その補助金とは税金である。それ故、有効に支出されねばならず、エネファームに50万円もの補助金とは疑問に思った。また、パナソニックとシャープの巨額赤字の報に接すると、日本の市場が補助金や再生可能エネルギーの電力高値買い取りによりガラパゴス化してしまって、かえって日本企業の力を弱くしているような懸念を抱いてしまう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 1日 (木)

どこか変なソフトバンクによるイー・アクセス株保有率の引き下げ

次のニュースです。

読売 11月1日 ソフトバンクがイー・アクセス株保有率の引き下げも…子会社化後

読売の記事も「可能性を示唆した」とあり、断定をしたのではない。

また、現時点においてイー・アクセスがソフトバンクの子会社になっているのではない。手続きとしては、2013年2月下旬に予定されているイー・アクセスの株主総会での承認を経なければならない。しかし、株主総会では承認されると思う。

このニュースで一番奇異に思うのは、保有比率を3分の1以下にするという部分で、では誰が3分の2を保有するかという疑問である。ソフトバンクは1800億円相当の自社株式を対価としてイー・アクセスを取得すると発表しているのであり、ソフトバンクからすると3分の2は1200億円以上の対価を受けねば譲渡できない。そんな金を払う会社はないと思う。もしあったとするなら、全株を1800億円で取得のはずだが、リスクは伴うし、イー・アクセスの事業内容を詳細に知るとともにLTEを含め無線ブロードバンドの技術や将来への事業展開能力を持っていないと買えないはずである。

3分の2を、子会社であるソフトバンクモバイルにしても100%保有と実質に変わりはなく、意味がないのである。10月29日のブログに書いたが、電波は国民の財産であり、電波監理審議会の委員が決定する方式が間違っているのである。企業のM&Aは、原則規制すべきではなく、電波の割り当てを入札制度で決定すべきなのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »