1年の最初に書くブログとして、日本経済の今後について書いてみたい。日本経済を考える方法として、IMFが発表している世界経済統計(IMF World Economic Outlook)の2012年10月版を使って世界経済の中での日本経済を考えることとする。
1) 2012年のGDP
2012年10月版のIMF World Economic Outlookには、2017年までの推定データがあり、2012年も推定であるが、2012年の各国のGDP上位20国とそれ以外の国のGDPを円グラフとしたのが次である。
2) 1980年から2017年の推移
2002年における日本のGDPは、中国に次いで3位である。日本のGDPは2009年まで米国に次ぐ2位であったが、2010年から中国が2位となった。IMF World Economic Outlookは、2017年についてGDPの1位から4位のドイツまでに順位の変動はない推定である。しかし、2017年の第5位はブラジル、第6位インド、第7位英国、第8位ロシアのように第5位以下はその差僅少ではあるが、順位変動が生じる推定となっている。実際にどうなるかは不明であるが、BRICSが世界経済に影響を及ぼす時代に入っていると言える。
次のグラフでは、IMF World Economic Outlookのデータにある1980年から2017年の各国のGDPをパーセントで表して推移を描いた。(なおロシアについては、1991年までソ連邦であるが、ソ連邦のデータがIMF World Economic Outlookになく、1991年までの数字は、ソ連邦抜きの数字となっている。)
中国の大きなシェア増加と、逆に日本と米国のシェア低下が読み取れる。
3) 一人あたりGDP
中国のGDP増加は、これからも相当長く続くはずであり、インドも同様である。何故なら、人口が多いからであり、一人あたりGDPで見ると、よく分かる。次のグラフは、2012年の一人あたりGDPであり、中国もインドも現れない。
一人あたりGDPになると、ヨーロッパ諸国が上位に多くなり、20位以内にカタール、クウェートと言った産油国も入ってくる。
4) 購買力平価一人あたりGDP
次に生活実感としての貨幣価値に近い購買力平価(PPP: Purchasing Power Parity)によるGDPの推移を見てみる。
これで見ると、日本は1980年代の後半から1990年代の前半ぐらいまでは良い位置にいたのである。しかし、2000年からは、19位、20位が定位置(2012年は20位)となっている。IMF World Economic Outlookの2017年推定では、ベルギーが20位であるが、依然として日本が20位の可能性もある。
5) 日本はどうすべきか
新興国に工場が移転し、そのために日本は衰退しているとの考え方は、正しくないはずである。経済活動は、最も高い結果を得られる方向に向かうのである。この原則が気に入らないとするなら、日本以外の国の人達は不幸であって良いとする利己主義に陥ると思う。むしろ、世界が日本に求めるものを考え、そこに向かうのが正解であると信じる。
医薬品を例にとる。後発薬(ジェネリック)が、推奨されている。医療費に対する取り組みは重要である。しかし、行きすぎていないだろうかと思う。本来であれば、医薬品の選択は医師と患者が行うのであり、政府や医療保険機関が言うことではないはずである。後発薬とは、インドや中国でも製造可能な薬である。日本では、新薬の開発を促進すべきではないか。新薬の特許期間が満了すれば、その新薬と後発薬と市場競争が働くべきである。特許満了後の医薬品は、価格が下がって当然と思うのである。
昨年は、iPS細胞が話題に上った。しかし、現状の日本はどうだろうか?バイオについては、世界の後塵を拝しているように思う。バイオに限らないが、ドクターコースを出た人達を使う社会になっていないのが日本の現状と思う。日本の高等教育は、どこまで充実しているのでろうか?就職活動に明け暮れせざるを得ない大学生やマスターコースを出ても活躍の場は限られる。教育だけではない雇用や労働の制度も関係するので、単純ではないが、魅力ある活気あふれた日本にしなければ、現在の傾向が続いてしまうことを恐れる。
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