« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

2013年1月31日 (木)

高橋亨平先生のご冥福を祈念申し上げます

2011年12月24日に高橋亨平先生お疲れさまでしたを書きました。その高橋亨平先生が1月22日にお亡くなりになりました。死因は肝機能障害とありますが、直腸ガンによると考えてよいのだと思います。心よりお悔やみ申し上げます。

日経 1月20日 高橋亨平氏が死去 被災地で妊婦らの診察に尽力

高橋享平先生のことは、2011年4月頃から南相馬で先生と共に働かれた坪倉正治医師が書いておられるapitalの記事 そこに高橋享平先生がいたが一番よく伝えていると思います。

福島民報の高橋亨平先生の思い(1月27日)も、科学的、実証的に取り組んでいる高橋享平先生のことをよく伝えていると思います。年間1ミリシーベルトなんて根拠薄弱であり、そんな架空の数字の議論より、ホールボデイカウンターを入手して計測することが何よりも重要だと、それを実践された偉大な方だと思います。

高橋享平先生は、あの世でも、自分の信念で頑張られるのだと思います。Webでの情報しか知りませんが、勇気を下さった方です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月28日 (月)

ボーイング787機への日本政府支援

日本語のロイターでは見つからなかったのですが、英語のReutersに次の記事がありました。

Reuters  Jan 28, 2013 Exclusive: Japan eased safety standards ahead of Boeing 787 rollout

「特報:日本政府によるボーイング787機の安全基準を緩和」とでも訳すべきでしょうか?

ロイター報道では、JALとANAの話として、両者とも従来通りの基準でメンテナンス・運行しており、緩和された安全基準は適用していないとしている。しかし、40以上の基準を緩和しており、そのうち5つの勧告(Recommendation)はB787を有利にしており、特に4つはB787に直接関係するとの部分は、事実なのだと思う。

B787には、ジーエス・ユアサの電池以外にも三菱重工業、富士重工業、川崎重工業、東レ、ブリヂストン他多くの日本企業が生産に係わっており、これらの会社の下請けまで含めると日本経済のなかでも相当大きなシェアを占めるはずである。日本の航空機産業は、中進国より日本の技術に競争力があると考えられ、且つ将来まだまだ成長が見込まれる分野であり、将来の日本経済の発展に貢献すると期待できる。航空機を全て製造し完成機をアセンブルしなくても、それぞれの会社がその得意な分野で活躍する分業体制でよいと考える。

B787については、製造初期でのJALとANAの発注・受け取り機数が多い。英語Wiki(ここ)によれば、2012年12月末現在の総発注機数848のうちJALが45機、ANA66機で、引き渡し済み49機のうちJAL7機、ANA17機である。(最大発注会社は米国の航空機リース会社ILFCで74機。但し、引き渡しは未だない。発注機数では、2位がANAで、Unitedが3位、JALが4位。引き渡し数では、1位ANA、2位JAL、3位Unitedである。)

Reutersの記事には、日本企業の製造参加割合はB767では20%以下であったが、B777で25%になり、B787では35%となったとある。日本政府が航空機製造産業の分野を支援するのは間違いではない。また、三菱重工業他の参加企業もJALとANAに対してB787の採用を強く要望したと思う。一方、JALとANAにとっても航空機製造参加企業は有力な顧客である。そのような関係が決して悪いとは言えないと考える。なお、JALとANAにはA380を保有しての大量顧客輸送事業を成立させるだけの企業力はなく、B787に飛びついた面もあるとは思う。最も、B787とAir Busの競合機は2014年1号機引き渡し予定のA350と言われてもいるが。

ところで、日本政府が緩和した安全基準の具体的な内容は分からないが、過剰な緩和であったならば問題視されねばならない。決して、新技術が優れているのではなく、ある分野では不透明な部分が常につきまとうのである。技術とは、使うことにより、問題点が発見され、修正することにより完成に近づくのである。高松航空緊急着陸は、直流に関連した部分の事故である。直流とは安全装置のラストリゾートである。直流が失われて事故となったのは、福島第一原発である。高松航空緊急着陸B787は、詳細は不明であるが、NO-BLEED SYSTEMであっても、破損した電池系統以外のシステムは大丈夫であったと考える。

航空機製造産業を日本の重要な産業の一つとして支援すると位置づけるためには、運行やメンテナンスの面での合理的な基準作りにおいても日本が貢献していくことが重要と考える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

南山大学のデリバティブによる損失

昨年7月21日に書いた南山大学の損失発表に関して南山大学関係者との名前で次のWebに南山大学が資産運用問題総括委員会報告書を発表したとの投稿があった。

http://www.nanzan.ac.jp/news/2012/20130125_oshirase.html

早速その報告書を読んで思ったことを以下に書きます。

1) デリバティブ損失額

報告書に次のように記載があり、損失額は229億円となっている。(原文を一部省略し短くしている。)

すべてのデリバティブ契約の解約を行いその結果、一連のデリバティブ取引による損失総額は約259 億7775 万円、利益総額は約30 億7935 万円で、結局のところ、差引約228 億9840 万円の損失でその処理を終えた。

2) デリバティブ取引についての委員会の見解

利益・損失の有無にかかわらず、南山学園はデリバティブ取引を行ってはならなかったと考える。」であり、正しい見解と考える。こんな常識的な判断ができなかったのは、証券会社のセールストークが上手であったこと、低金利下予算で計上した金融収益がなかったこと、担当者、担当理事、理事長他最高幹部がアホであったことがあげられるが、実は報告書に書かれている「デリバティブ取引には資産に当たるものがない」というデリバティブ(金融派生商品)の本質を誰も理解していなかったことになる。

デリバティブ取引については、会計上は正味の債権・債務で貸借対照表上認識し評価差額を当期の損益にすることになっているように、デリバティブ取引は通常契約時の決済と差額精算のみなので、資産運用ではないのである。例えば、米ドルの95円のオプション買いをするにしても、輸入業者がこのオプションを買う意味はあるが、運用として購入しても、購入費用をカバーする為替相場にならなければ損をするので、ばくちになる。南山大学が手を出したのは、そんな単純なデリバティブ取引でないと思うが、本質は同じ(ばくち)である。

3) 理事、理事長等幹部の責任

報告書は「財務担当理事、理事長および常務理事には、南山学園に対して損害を与える意図は全くないので、刑事責任を基礎付けるような事実は全く認められなかった。」と述べており、この部分については、そうであろうと思う。しかし、民事責任についても「損害賠償責任等の民事責任を問うに足りる事実を立証することには困難を伴うという結論に達した。」としており、これでよいのだろうかと疑問を抱いた。

勿論、私は、南山大学の関係者ではなく、この民事賠償について発言権を有していない。判断すべきは、南山大学の理事、職員、学生、卒業生、学資を支払っている親であり、そのような関係者が判断すべきであり、それを資産運用問題総括委員会が安易に結論づけて良いのだろうかと思うのである。個人から賠償を受けても、その結果得られる金額は少なく、229億円に遠く及ばないし、もしかしたら既に個人財産を処分してある程度の賠償をされているかも知れない。

それでも、あえて言えば、229億円の損失はビジネスでもたらせたのではなく、本来してはならないことをして発生したのである。他の大学だったら、どうするのだろうかと思う。実際、2008年11月19日 駒澤大学154億円損失に思う2008年11月24日 立正大学の148億円損失についてといようなのを書いたことがありました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月26日 (土)

電力売買にも正常なビジネスルールが必要

次の記事を見ると、そう思ってしまった。

MSN産経 1月25日 「ぼったくりバー」と批判 猪瀬都知事 東電の解約金要求に

この東京都交通局のページには、「交通局では、昭和32年以降、多摩川の流水を利用した水力発電による電気事業を経営しています。現在、交通局が管理している水力発電所は、多摩川第一発電所と白丸発電所(西多摩郡奥多摩町)、多摩川第三発電所(青梅市)の3か所です。発電した電気は、全量を東京電力株式会社に売却しており、・・・」とあり、この3発電所からの電力のことと理解する。

MSN産経の記事には「平成31年までの契約を今年3月末で解約する意向を伝え」とあり、長期契約の中途解約に伴う違約金の話である。契約内容が公表されていないので、確認する方法がないが、東京電力が求めた違約金の額は契約条項に従って要求できる金額と考えるのが妥当と思える。根拠なく、出したのであれば、非難を受けるはずで、考え難い。そう思うと、東京電力の株主のことやMSN産経が東電担当者の話として伝えている「ユーザーに影響を及ぼさないためにも都に負担をしてもらう必要がある」を考慮すると東京電力主張が当然のように思える。

消費者にも生産者にも利益をもたらすのは、ルールを尊重した取引である。お互いに信頼でき、公正な市場競争により良いモノが安く出回るようになる。契約の遵守は、ビジネスの第一歩である。記者会見で契約相手を罵倒するのは、ビジネスルールとは思えない。

そうなると、やはり、バカで非常識で我が侭でやくざみたいなのは猪瀬だとなる。でも、考えれば日本の前政権も独裁で国民を無視して好き勝手な発言を繰り返していたと思う。3月11日に地震があれば、すべてを放っぽり投げて翌朝に福島原子力発電所へ自衛隊のヘリコプターで出かけた人もいた。現在、互いを信頼することができない人が多くなってしまったのでしょうか?信頼関係を回復することも重要と考えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月23日 (水)

やはり事実ではなかったネアンデルタール人の母の募集

SFの様なニュースがあると聞いたのです。

1月22日 秒刊SUNDAY ハーバード大学で『ネアンデルタール人』の代理母となる女性を募集中

秒刊SUNDAYは、面白ニュースサイトとあるが、よく知りません。この元となっているのは、英国のMail Online(Wikiはここ参照)の次のニュースでした。

Mail Online 20 January 2013 Wanted: 'Adventurous woman' to give birth to Neanderthal man - Harvard professor seeks mother for cloned cave baby

これを事実ではないと報道しているのは、次のBoston Herald.comであり、George M. Church教授からの話としてドイツの雑誌の言葉の問題による誤解と伝えている。

Boston Herald.com January 22, 2013 Harvard professore balasts Web rumor - Neanderthal clone story blmaed on poor translation

Church教授は「将来技術的に可能となるのであり、議論は始めねばならない。自分は、ネアンデルタール人の遺伝子研究には携わっていない。」と述べたとBoston Herald.comは伝えている。

私は、1月10日に急増なのか他人の卵子による妊娠・出産を書いたのであるが、紙一重に近い気がする。精子の冷凍保存は可能です。人工授精も可能です。他人の卵子による出産は可能なので、代理母は可能です。精子は液体窒素の中等で冷凍保存すれば、死んだ後も生き続ける。SFが現実には可能となっている。親子関係と血縁関係は別モノで、何でもありでしょうか?

ネアンデルタール人の母の募集は誤報であったが、似たような話が将来ある可能性は、何時の日か不確かであるが、高いと思える。一方、現実には、他人の卵子で妊娠・出産したいとする人はいる。聖マリアンナ医大は、精子冷凍保存をしているが、非配偶者間人工授精は実施しないとしている。

宗教観や倫理観の重要性を感じます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月19日 (土)

DOWAの河川水汚染の社会的責任と損害賠償責任

次のニュースがあった。単にDOWAの問題ではなく、我々の暮らしや環境を守るという観点で捉えるべきと思うので、私の考えを書いてみる。

産経MSN 1月18日 DOWA社が賠償拒否、埼玉県など提訴へ

2012年5月19日に利根川の浄水場でホルムアルデヒドが検出され、大規模な取水制限の結果、多くの地域で上水道が断水となり、多数の家庭にも影響が出た。その原因は、DOWAの事業会社DOWAハイテックからのヘキサメチレンテトラミン(HMT)であることが判明している。埼玉県、東京都、千葉県他がDOWAに対して損害賠償を求めたのであるが、賠償拒否というのが今回の報道である。なお、賠償拒否は、既に予想されていたことであり、次のDOWAの2012年12月26日付の発表を読めば、その論拠も書かれている。

DOWA 2012年12月26日 当社子会社「DOWAハイテック(株)」に対する東京都水道局他12団体からの請求について

DOWAが利根川にHMTを流したのではなく、DOWAが廃液処理を委託した高崎金属工業が原因者であり、DOWAに損害賠償の責任はないとする論拠である。

私の意見では、このDOWAの論理を認めることはできず、DOWAが水道事業者のみならず影響を受けた個人や企業全てに対して損害賠償金を支払うべきであるとする。

なお、DOWAとその役員・従業員に対して刑事罰を求めるべきではない。故意や重過失はないと理解するからである。しかし、民事責任については、過失・無過失にかかわらず賠償責任を負うという考えである。いくら注意しても、過失が無くても、他人に迷惑を掛け、財産を損なう可能性がある。それもあり、損害保険が存在し、車を運転する時のラストリゾートが保険である。化学工場や化学品を扱っている場合、相当の気を使わざるを得ない。DOWAがHMTの処理について、必要な配慮を行っていたかどうか、私として、コメントすることはできないが、原因の化学物質がDOWAのHMTである以上、DOWAが損害賠償責任がないとすることはできない。

化学工場においては、そのプロセスや反応及び原料並びに生成される物質、副産物、廃棄物に関しては多くの企業秘密が存在する。企業秘密を公開する必要ない。しかし、危険物については、万全の責任を持って処理すべきである。廃棄物については、毒性や危険性はないか、汚染する恐れはないか、厳格に対処しなければならない。独自技術のため、自社でしか生まれない物質も存在するのである。DOWAのWebにある社長挨拶には「自社の環境保全に力を注ぐだけでなく、廃棄物処理や土壌浄化、リサイクルの事業活動を通じて循環型社会の形成にも貢献しています。」と書かれている。揚げ足をとるわけではないが、CSRや環境社会貢献活動より、ずっと重要なことが、自社の企業活動により社会に迷惑をかけ、損害・損失を与えないことである。

なお、このDOWAのHMTは、こともあろうか飲料水の水源に廃棄されたのである。飲料水の水源とは、人が生きていくために守るべき貴重な資源である。水源の水質汚染行為については厳しく臨むべきと考える。2012年5月12日のブログに書いたように、利根川のダムはHMTを薄めるため大量放水を実施した。2012年9月には利根川水系において取水制限も実施された。(参考:2012年9月7日 47共同ニュース 関東、11日にも10%取水制限 利根川、貯水量減で)渇水も関係しているが、DOWAのHMTを薄めるために実施した5月19日の大量放水がなければ、9月の取水制限もなかった可能性はあると思う。

参考に、2012年1年間の利根川9ダムの合計貯水量の推移グラフを掲げておく。

Tone8dam2012a
貯水量が5月中旬には450,000千m3近くまで達したが、19日の大量放水の実施により380,000千m3程度に減少し、6月初旬に400,000千m3強まで回復したも、それまでであった。一方、9月には130,000千m3弱にまで貯水量は減少した。利根川8ダムと呼んでいるのは、矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、下久保、草木の7ダムと渡瀬遊水池である。

このDOWAのHMT問題は、単にこの事件に限定すべきとは思わない。企業活動が高度化し、新分野が生まれれば、リスクは増大する。企業活動を制限することは社会の発展、社会の幸福につながるわけではない。制限するのではなく、無過失であっても、万一損害を与えた場合は、相応の損害賠償を行うという社会の責任体制を構築すべきと考える。そのような最高裁判決が欲しいと思う次第であり、埼玉県、東京都、千葉県他の地方自治体には最高裁まで頑張って欲しいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

各都道府県は原子力からの電力消費に応じた廃棄物を引き受けられるか

1月18日の日経ビジネスOnlineに次のインタビュー記事があった。

安倍新政権に立ちはだかる「核廃棄物」の壁 いますぐ取り組むべき「五つの政策」 田坂 広志

私が思っていること、考えていることとほぼ同じ内容のことが田坂氏により述べられていた。例えば、「原発がゼロになる時期は、原子力のバックエンド問題そのものによって決まってしまうのです。」という部分に代表される。

日本学術会議が2012年9月11日付で原子力委員会に対して高レベル放射性廃棄物処分についての意見を提出した直後の、9月17日にこのブログを書いた。私のブログの中では、日本学術会議の解答書へのリンクも張ってある。

日経ビジネス記事の田坂広志氏の「すべての都道府県が、過去に恩恵に浴した原発電力量に相当する使用済み核燃料の長期貯蔵を引き受ける」という法律を検討すべきでしょう。」については、私も、いささか驚いた。そんな法律は、できっこないと思える。非常に少量の放射性物質しか含まれていない焼却灰廃棄物でさえ自分の所は嫌だと拒否が起こっている。

では高レベル廃棄物である使用済み核燃料は、どうすべきであるか?原発に長期保管しておくことは危険である。そのように原発は作られていない。六ヶ所村の再処理工場は、再処理までの一時的な保管であり、再処理をしたところで、その再処理した核燃料をどうするか又再度発電に使用しても、同量以上の使用済み核燃料廃棄物が発生する。

もし、各都道府県が恩恵に浴した原発電力量に相当する使用済み核燃料の長期貯蔵を引き受けるとなると、沖縄県は貯蔵義務がなくなる。多分東京都が一番多くなる。でも、これを議論することこそ、原子力発電をどうするかの真剣な議論が期待できると思う。そして、政治家はどうするか。政治家にとって、もっともふさわしい踏み絵である気がする。どれだけ真剣な対応を述べ実行するか。それとも、やはり絵空事のポピュラリズムでごまかすか。ごまかすのが難しいから、おもしろい。地方主権なんて主張していた政治家は、どうするだろうか?地方が自らのことを責任もって決めるなら、廃棄物も自らが責任を持たねばならない。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2013年1月18日 (金)

やはり強行アルジェリアのガスプラント人質事件

次のReutersのニュースを読んで書いています。

Six hostages, 8 kidnappers killed in Algeria siege; 7 still held

地元の情報源によれば、アルジェリア軍が攻撃した結果、人質6人と犯行側8人が死亡した。7人が依然として人質になっており、それはアメリカ人2人、ベルギー人3人、日本人1人と英国人1人であると伝えている。

日本語のロイターにはイスラム武装勢力の事件、アルジェリア軍攻撃で人質34人死亡=報道というニュースがあるが、アルジャジーラは同じニュースをDozens of hostages 'killed' in Algeria で、伝えており、”according to the group holding the hostages.”としており、犯行側からの発表であり、 また犯行側組織Masked Brigadeはアルジェリア軍の責任であると非難していると述べている。

隣国マリの北部情勢について外務省は本年1月14日にこの外務相談話を発表している。今回の犯行側組織はフランス軍の撤退を要求していた。マリ政府の軍の派遣要請に応じたのは、フランス政府のみならず、ニジェールやブルキナファソも派遣を表明した。

今回の事件についてアルジェリア政府も他に選択の余地は、なかったのだろうと思います。武装勢力がおそってくる可能性がある地でのプラント建設は銃を持った警備会社の警護がないと実施できないのだろうと思う。もっとも、今回のこのアルジェリアのガスプラント建設現場では、どうであったのだろうか?もしかしたら、武装警備員が守っていた可能性もあると思うのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月15日 (火)

南極観測船 「しらせ」 の昭和基地沖への接岸断念

南極観測船 「しらせ」 の昭和基地沖への接岸断念と文部科学省が1月11日に発表した。

日経 1月12日 しらせ、今年も接岸断念 南極・昭和基地沖18キロから進めず

文部科学省 1月11日 南極観測船 「しらせ」 の昭和基地沖への接岸断念について

日経記事には「基地周辺では好天が続いた影響で氷の表面が解け」とあり、文科省の文章にも「氷上が水浸しの状態となっており雪上車による氷上輸送は出来ない状況」とあり、それでは砕氷して進めるように思えるが、不思議な状態です。

1) 現「しらせ」の性能への疑問

もっと不思議に思えるのは、文科省の発表の下の方にこの文書へのリンクがあり、そこには前「しらせ」は、25回南極に行ったが、接岸できなかったのはたったの1回だけ。現「しらせ」は、最初の2回だけ接岸でき、3回目、4回目は接岸できず。なら、相当性能の悪い砕氷船と思える。しかも、この進め!しらせを見ていくと、前「しらせ」の接岸日が見つけられた。49次12月26日、48次12月23日、47次12月24日、46次12月21日とあり、11月に出港した翌月に接岸している。ところが、現「しらせ」は、1回目、2回目の接岸日は1月11日、1月1日であり、年を越えないと昭和基地に到着できていない。書面上の性能では、同じであるが、実質能力には差があるように思えてしまう。

どうなのだろうか?政府は説明をしてくれるだろうか?なお、可能性としては、エンジントラブルで性能が出ない可能性もある。何しろ、エンジン機種が公表されている書類を私は見つけることができていない。初代宗谷は新潟TN8Ex2基(4,800馬力)、2代目「ふじ」は三菱V8Vx4基(12,000馬力)、3代目前「しらせ」は三井12V42Mx6基(30,000馬力)であった。

2) 過去の経験は生かしているのか

昭和基地沖に接岸できなかった代表年の観測船の位置をプロットしてみた。

Southpoleshippos
「第35次しらせ」と書いた位置が、前「しらせ」で接岸できなかった第35次(1994-1995年)の位置である。2012年と2013年の位置は、「第35次しらせ」より少しだけ距離があるように思える。第1次宗谷の位置は、1956年11月8日出発し、57年1月24日に到達した定着氷接岸地点である。「第2次宗谷」の位置は、太郎・次郎という犬で有名な越冬をあきらめざるを得なかった年の輸送拠点である。

「宗谷」は、日本の南極観測参加を可能にした当時の日本が英知を結集して作り上げた砕氷船である。この当時、砕氷船で南極観測をできたのは、日本以外には米ソのみであったのである。「宗谷」は、積極的に氷を割っていく船としては設計されていなかった。定着氷までたどり着き、定着氷に接岸し、荷揚げし、輸送するように考えられた。従って、第1次では、ベル・ヘリコプター2機とセスナ1機を偵察用に持って行き、活用した。当時は、基地の位置決定をもする必要があったのである。

翌年の「宗谷」は、昭和基地から180kmほどの位置までしか近づけなかった。これは、「宗谷」の砕氷能力が低かったからではない。この時は、米国の当時最大の砕氷船バートンアイランド号(13,200馬力)の応援を受け、当時最大の砕氷船が2月8日から2月10日まで砕氷にあたったのである。それでも、2月14日にバートンアイランド号から氷状悪化により退出すると宣言され、引き上げざるを得なくなった。南極の厳しさを思い知らされたのである。そこで、「宗谷」は、ヘリコプター輸送に翌年から方針変更した。ヘリコプター甲板を大きくし、シコルスキーS58x2機を追加搭載したのである。空輸作戦で確実に成功させることで成功したのである。

「ふじ」が、18回中6回の接岸に止まったが、前「しらせ」が25回中24回接岸という驚異の記録を達成したので、それに安住してしまったのだろうと思う。安住するなら、安住できる配備にすべきと思う。

なお、50次(2008-09年)はオーストラリアのオーロラオーストラリス号をチャーターした。この時も接岸していないが、当初から接岸は計画にない。昭和基地から43マイル地点を空輸拠点にしたと国立極地研究所の平成21年度年報にある。この時の輸送物資料は91.8トンであった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月10日 (木)

急増なのか他人の卵子による妊娠・出産

よく分かりませんが、NHKは、女性が海外で他人の卵子で妊娠することが急増していると伝えている。

NHK News 1月10日 海外で卵子提供を受ける女性急増

旧来の常識を覆す部分があるが、人工授精が行われるようになった時点で、あったとしても当然の話でした。体外受精で受精した卵子を戻すのは、他人の卵子や夫以外の精子で受精した卵子でも可能であり、出産できることに何の違いもないはず。NHKニュースは、「確認できただけでおととしは63人と、その4年前の3倍に急増していることが分かりました。」とあり、増加していると判断してもよいのでしょう。

日本の民法には、父による認知はあるが、母による認知はない。何故なら、母は出産時に確定しているからである。

この概念をどうするかだけでも夜眠れなくなったりするかも知れない。親子の愛情とは、何であるのか、母親(父親)は、遺伝的につながりのない子どもに、どう接することができるのか、・・・難しい問題を含んでいる。むしろ養子の方が、スッキリするように思う。養子であれば、それを打ち明けて、解決できることもあるように思う。

自然界では、絶対に起こらないことを人為的に起こすことの恐ろしさがあると思う。神の領域に人が手を出すことになるのかとも思う。しかし、医療を含め人間の活動とは、そのようなことを含むとも言える気がする。

言えることは、中途半端な気持ちでやってはならないと思うことである。血液検査や超音波検査で妊娠初期の中絶可能な時期に、生まれてくる子の障害の有無をある程度の高い確率で判明できるようになっている。最初の段階で検査を受けるかどうかがあるが、障害が予想される、あるいは生まれてきても短時間の内に亡くなることが予想される場合に、自分はこの子の生涯を左右できるような力を持っていない。私は、母親として、例え障害が重くても、命が短くても、可能な限り育てたいとする人もおられると聞く。

法律の問題ではなく、個人の愛の問題、愛の試練という側面が強いように感じます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

日経社説もバラマキを批判

70歳以上の高齢者医療費自己負担据え置きとするバラマキは自民・公明のバラマキであるが、日経社説も批判を書いている。

日経社説 1月19日 選挙目当ての医療費据え置きを憂う

70歳から74歳の人の医療費が10%負担でよいというのは、69歳までの人がそれを補っていることに他ならず、消費税を増税せざるを得ない中で、一方でバラマキを継続することは、許されない事と思う。

70歳-74歳の人にとっては、医療費負担が増加して大変かも知れない。しかし、この国民健康保険ガイド (高額医療費)にあるように、外来のみの場合は最大負担額が1月12,000円である。反発を受けるかも知れないが、その程度は決して大きな負担になるような金額ではないと思う。具体例をあげると、夫婦2人の世帯で妻の年金は3号非保険者で年間78万円であり、夫は厚生年金を年間300万円受給している場合、課税所得額は110万円弱になる。この場合、所得税は5万円強、住民税10万円強であり、世帯ベースで年間360万円が税引き後の自由になるお金となり、医療費は外来のみの場合1人年間最大15万円弱であり、入院があったとしても世帯で最大53万円強の負担である。

1月入院したとしても、その月の医療費自己負担額は44,400円であり、他の11月は通院したとすれば12,000円x11月なので132千円。合計年間18万円程度を年金手取り収入360万円から負担願っても、不公平でないと思うし、負担をせずに、若者に負担させることが、逆に不合理である気がする。

なお、年金額が、上の例のような金額にならない人もおられる。例えば、妻は年金が国民年金のみで受給額78万円以下、そして、夫の年金受給額が170万円以下の世帯の場合は、世帯合計での医療費負担額は最大月24,600円である。もし、妻の年金78万円で夫の年金が120万円以下ならば、世帯合計で月15,000円が医療費負担最大額となる。勿論、入院したとしても、これが最大負担額である。但し、差額ベッド料は、全額自己負担であり、そもそも医療費10%負担でも同じである。

高齢となり、収入が年金のみにも拘わらず、医療費がかさめば大変である。しかし、高額医療費制度があるので、悲惨な状態にはならないと思う。高額医療費制度を可能な限り維持することが、現時点における正しい選択と考える。

上記は、いわゆる非正規労働にしか就くことできていない若者にとっては、羨望の眼差しで眺めてしまうような気さえする。しかし、そのような若者には言いたい。「未来は、あなたがたのために存在するのである。より良い未来の制度をつくるために、発言し、行動をして欲しい。」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月 7日 (月)

日本経済の今後

1年の最初に書くブログとして、日本経済の今後について書いてみたい。日本経済を考える方法として、IMFが発表している世界経済統計(IMF World Economic Outlook)の2012年10月版を使って世界経済の中での日本経済を考えることとする。

1) 2012年のGDP 

2012年10月版のIMF World Economic Outlookには、2017年までの推定データがあり、2012年も推定であるが、2012年の各国のGDP上位20国とそれ以外の国のGDPを円グラフとしたのが次である。

Imfweo201210a
2) 1980年から2017年の推移

2002年における日本のGDPは、中国に次いで3位である。日本のGDPは2009年まで米国に次ぐ2位であったが、2010年から中国が2位となった。IMF World Economic Outlookは、2017年についてGDPの1位から4位のドイツまでに順位の変動はない推定である。しかし、2017年の第5位はブラジル、第6位インド、第7位英国、第8位ロシアのように第5位以下はその差僅少ではあるが、順位変動が生じる推定となっている。実際にどうなるかは不明であるが、BRICSが世界経済に影響を及ぼす時代に入っていると言える。

次のグラフでは、IMF World Economic Outlookのデータにある1980年から2017年の各国のGDPをパーセントで表して推移を描いた。(なおロシアについては、1991年までソ連邦であるが、ソ連邦のデータがIMF World Economic Outlookになく、1991年までの数字は、ソ連邦抜きの数字となっている。)

Imfweo201210b_4
中国の大きなシェア増加と、逆に日本と米国のシェア低下が読み取れる。

3) 一人あたりGDP

中国のGDP増加は、これからも相当長く続くはずであり、インドも同様である。何故なら、人口が多いからであり、一人あたりGDPで見ると、よく分かる。次のグラフは、2012年の一人あたりGDPであり、中国もインドも現れない。

Imfweo201210c

一人あたりGDPになると、ヨーロッパ諸国が上位に多くなり、20位以内にカタール、クウェートと言った産油国も入ってくる。

4) 購買力平価一人あたりGDP

次に生活実感としての貨幣価値に近い購買力平価(PPP: Purchasing Power Parity)によるGDPの推移を見てみる。

Imfweo201210d
これで見ると、日本は1980年代の後半から1990年代の前半ぐらいまでは良い位置にいたのである。しかし、2000年からは、19位、20位が定位置(2012年は20位)となっている。IMF World Economic Outlookの2017年推定では、ベルギーが20位であるが、依然として日本が20位の可能性もある。

5) 日本はどうすべきか

新興国に工場が移転し、そのために日本は衰退しているとの考え方は、正しくないはずである。経済活動は、最も高い結果を得られる方向に向かうのである。この原則が気に入らないとするなら、日本以外の国の人達は不幸であって良いとする利己主義に陥ると思う。むしろ、世界が日本に求めるものを考え、そこに向かうのが正解であると信じる。

医薬品を例にとる。後発薬(ジェネリック)が、推奨されている。医療費に対する取り組みは重要である。しかし、行きすぎていないだろうかと思う。本来であれば、医薬品の選択は医師と患者が行うのであり、政府や医療保険機関が言うことではないはずである。後発薬とは、インドや中国でも製造可能な薬である。日本では、新薬の開発を促進すべきではないか。新薬の特許期間が満了すれば、その新薬と後発薬と市場競争が働くべきである。特許満了後の医薬品は、価格が下がって当然と思うのである。

昨年は、iPS細胞が話題に上った。しかし、現状の日本はどうだろうか?バイオについては、世界の後塵を拝しているように思う。バイオに限らないが、ドクターコースを出た人達を使う社会になっていないのが日本の現状と思う。日本の高等教育は、どこまで充実しているのでろうか?就職活動に明け暮れせざるを得ない大学生やマスターコースを出ても活躍の場は限られる。教育だけではない雇用や労働の制度も関係するので、単純ではないが、魅力ある活気あふれた日本にしなければ、現在の傾向が続いてしまうことを恐れる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »