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2013年2月 8日 (金)

PM2.5について

PM2.5が最近よくニュースになっています。

日経 2月7日 微小粒子状物質「PM2.5」、各省連携で対応策

中国からの飛来が原因とも思われ、次の読売の記事を読むと、あせることになります。

読売 2月6日 「PM2・5」基準超、マスク問い合わせ相次ぐ

正しい知識を持つことが重要と思え、私なりに調べた結果を書きますので、参考にしてもらえばと思います。正しく怖がることが重要であり、正しい対策が重要です。

1) PM2.5とは

Particulate Matter 2.5の略であり、日本語では、微少粒子状物質と呼ばれている。2.5マイクロメートル(25μm、0.0025mmまたは2500ナノメートル)以下の空気中に漂う物質であり、当然体に良いわきゃないと思える。このカリフォルニア環境局の2002年発表は、米国がん学会(ACS)研究による調査結果としてPM2.5が10μg/m3(マイクロ・グラム)増加すると、全死因による死亡率を4%、心肺疾患による死亡率を6%、肺がんによる死亡率を8%、それぞれ増加させるとある。

PM2.5とは、一体何であるかだが、その前にPM10と言う粒状物質があり、日本語では浮遊粒状物質と呼ばれている。PM2.5もPM10の範囲内に入るが、建設工事や道路等から発生する粉塵が含まれる。一方、PM2.5は内燃機関からの発生が多いと言われている。

2) PM2.5安全基準

PM2.5の安全基準が日本で制定されたのは比較的新しく、2009年9月9日のこの環境省告示(環告33)であり、1年平均値15μg/m3以下、かつ1日平均値35μg/m3以下となっている。但し、達成期間について「早期達成に努めるものとする。」と書いてあり、そりゃ何じゃと思う。ザル基準の見本みたい。

そこで、WHOの基準を見ることとする。ここにあり、1年平均値10μg/m3以下、かつ1日平均値25μg/m3以下となっており、日本は後進国にランク付けせねばならない。ちなみに、WHOの基準からすると、リンク先基準書の11ページと12ページにあるが、日本基準はInterim Target-3に該当する。すなわち、本来基準からすると多少のリスク増加(1年基準では数パーセント、1日基準では1.2%増加)するが移行措置として暫定適用やむなしとする基準である。なお、WHOは国際機関であり、主権は各国にある。すなわち、各国が自国の法として制定して強制力を持つのであり、最終的には各国の判断に委ねられるのである。

それでも、何で日本はザル基準なのと思う。

3) 測定値

平成22年度(2000年4月1日~2001年3月31日)の測定値が、この環境省のページからDownload可能なので、グラフを作成した。12カ所の測定局があるが、このなかから、東京、神戸、福岡、札幌を選んでグラフに表した。

Pm25a20132
ショックなのは、WHO基準年平均10μg/m3を札幌以外は、満たしていない。そして、場所により差があることが分かる。東京の場合、2001年2月に日平均最大値50μg/m3が2月6日に記録されているが、その日と平均的な2月24日の1時間毎のPM2.5の記録値をグラフにすると次になった。

Pm25b20132

日による差も大きく、そして時間帯によっても大きく変動する。2)の所では、日本基準を批判したが、ヤムを得ない面もあると思える。しかし、健康に害がおよぶリスクがある以上は、「早期達成に努めるものとする。」として3年半も放置して良いわけはない。原因究明と対策が求められる。 200mSVの被曝で10%死亡率が高まるとされている。これを踏まえて、100mSVで5%になるとして運用している。そして、更に安全サイドをとってこの100分の1の1mSVを年間制限値として運用している。PM2.5が10μg/m3で8%なら100mSVより危険な中に我々は生きているように思える。

厚生労働省や環境省、経済産業省から説明を聞きたいものである。もしかしたら、多くの人が除染をせずに帰宅できるかしれないし、それはそれで、大議論が生まれると思う。でも、大議論が生まれることは良いことである。

4) 中国

中国からのPM2.5の飛来がどの程度であるのか、このNikkeiBP2012年3月7日の記事には、「昨年11月の測定では、1立方メートル当たり500マイクログラムを超えるPM2.5を検出」とあり、200μg/m3はさすがに高い。そこで、更に探すと中国語ができない私であるが、北京市の測定では110μg/m3程度は普通のようである。(ここを参照)そして、WSJ Chinaであるがこの1月23日の記事は、北京の米国大使館の測定値として66μg/m3が測定されたとあるので、北京市の発表は信じて良いのかなと思った。但し、ムッチャ高い数値に違いはない。

5) 対策(マスクは有効か?)

冒頭に掲げた読売の記事には、「マスク問い合わせ相次ぐ」というのがある。しかし、0.0025mmという超微粒子である。息をすることを可能とすることと、0.0025mmを通さないようにすることには、矛盾があるように思える。根本的な対策をするしかない。日本国内の発生源は何であるのだろうかと思う。もし車が原因なら鉄道の拡充が急務と思える。廃線なんて、とんでもない。新線建設に力を入れるべきかもしれない、廃線の復活を税金を投入して実現するのが賢いかも知れない。このあたりは、きちんと研究すべきです。

日本の技術が優れているからというような論調がすぐに出てくるし、朝日の1月30日の社説もそうだが、決してそんなことはないと認識すべきである。日本国内で達成できていないのだから、日本国内を優先すべきである。かつてロサンジェルスはスモッグで有名で、晴れた日でも青空ではなく、白い色の空であった。ロサンジェルス(North Main Street)の2012年5-6月のPM2.5のグラフを掲げておく。

Pm25c20132

ガラパゴス諸島のことは、大きな世界にでたら通用しない。中国に対してPM2.5をビジネスとして可能性を追求することには賛成であるが、朝日新聞のような考えには反対である。日本のPM2.5が、どれだけ中国に起因するかも不明と思う。例えば、東京都は都内全域の大気汚染地図情報をここに出しているが、PM2.5のボタンを押すとPM2.5の地図が出る。日によるが、西部(山間部)は、相当低い。中国からの飛来であれば、西部と都心部で差が出ないように思うのである。

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