辺野古に移設するが埋め立てせずでは、どうなのか
政府は、3月22日に辺野古沿岸の公有水面埋めたてを沖縄県に提出。次の記事は3月31日の沖縄タイムスであるが、同社のアンケートに対し、県内の全41市町村長のうち36人が「評価しない」と考えていると報じている。
沖縄タイムス 3月30日 埋め立て申請「評価する」ゼロ 41市町村長
どのような進展になるのか、分かりませんが、埋め立てをせずとも、米軍普天間飛行場の辺野古移設は可能であると考えます。
1) キャンプ・シュワブ
米軍普天間飛行場の辺野古移設とは、2006年5月1日の再編実施のための日米のロードマップ(日本語外務省仮訳はここ)に「合意された支援施設を含めた普天間飛行場代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するため、キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。」とあり、この合意に従って進んでいる。
キャンプ・シュワブ(Camp Shwab)を、Google Earthで見ると次の通りである。
青線で囲んだ部分であり、東西が1.6kmで、南北0.8kmが程度の米海兵隊の基地である。ちなみに、地図上で東西に黄色線を薄く描いており、これが1kmの距離である。
私の案は、北北東から南南西に黄緑色で線を引いており、これを新滑走路とする案である。長さは800mある。基地を東西に分断することとなるが、地下に横断道路を何本か建設すれば、対応不可能と思えない。当然、大規模工事となり、建物等もほとんど新築し直し、レイアウトも根本的に変更となるであろうから、特に問題があるとは思えない。
2) 800m滑走路(航空写真黄緑線)
800m滑走路で問題ないかという点については、オスプレイを使うのである。オスプレイは、日本国内に訓練飛行に反対する意見があるのは承知している。一方、米政府、米海兵隊はオスプレイの信頼性・軍事実用性に問題はないとしているはず。それなら、オスプレイを使用し、キャンプ・シュワブの800m滑走路案で、米側を説得することは、可能であると考える。
キャンプ・シュワブの飛行ルートについて、地元には住宅地を避けることの要請がある。従い、東西方向の滑走路は不可能であり、北北東ー南南西案が好ましい。埋め立てをしない自然環境保護を最大限努力するなら、地図黄緑色滑走路案になると考える。
3) 800m滑走路のオスプレイ使用の可能性
ここにWikiの日本語、ここにWikiの英語、そしてここにBoeing社のTechnical Specsのページがある。オスプレイ(V-22)の自重が15,032 kgであり、これに燃料が満タンクで6,513リットルなので6,000kg程度。最大垂直離陸重量が23,859kgなので、乗員、兵士、兵器、貨物の合計が2,818kgまで可能と計算される。最大積載重量がよくわからないが、15,000kgの2本つりフックがあるので、15,000kgは持ち上げれるのだと思う。
一方、わざわざ23,859kg(52,600ポンド)を 最大垂直離陸重量(Max Takeoff Vertical Weight)と読んでいるからには、これ以上の重量の場合は、滑走路を使用しての短距離離発着になると考えられる。日本語Wikiには、最大積載量を積んだ場合は垂直離着陸できない。離着陸には約487m(1,600フィート)が必要とあり、500mあれば可能なのだと思う。
そうなると800mあれば十分と思われる。
3) キャンプ・シュワブにおけるオスプレイの3月12日離発着
現実には、キャンプ・シュワブにおけるオスプレイの離発着が既に行われている。この3月17日 琉球新報の記事 低周波音 基準超え オスプレイ、国立高専裏離着陸にあります。国立高専の位置は、1)のGoogle Earthの航空写真で紫で囲んだ場所です。オスプレイが離発着したヘリポートの位置は不明だが、近くて低周波騒音が酷かったことは十分考えられる。対策は可能であると思う。埋め立てを回避できるなら、普天間からの移転が実現するなら費用の捻出は難しくないと思う。国立高専の場所を移転することによる解決もあり得ると思う。
私は、沖縄出身でもないし、住んでもいない。従い、沖縄の人たちの意見を尊重すべきと考える。しかし、文書による合意が成立し、そのなかで米海兵隊の移転が普天間飛行場の代替施設の完成と記載されており(この文書)、埋め立てをするしないに拘わらず、キャンプ・シュワブの整備はせざるを得ないと考える。オスプレイ使用による埋め立て中止が最も現実的な案と考える。
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コメント
米国が普天間の代替基地を沖縄に求める本音の理由を推量すれば、本案は米国が絶対受け入れないと理解されるだろう。
沖縄には、3700mの滑走路2本がある巨大な嘉手納空軍基地があるが、この基地は、東南アジア、率直に言えば、中国本土に対する空軍基地として、地理的に最適の位置にある。中国に対する不沈空母だ。
嘉手納基地から発進した爆撃機等が戻る前に、もし滑走路が破壊されたら、帰ってきた航空機は着陸できず、パイロットも危険にさらされる。したがって、大空軍基地には、近隣に予備の滑走路が絶対必要だ。
埋め立て無しの800mの滑走路では、緊急時に爆撃機が着陸できないから、予備滑走路の役割が果たせない。
太平洋戦争開戦直後、ミッドウエー海戦で空母を沈められた日本海軍は、航空機もパイロットも多数失って戦力半減した。このことを知っている82歳老人は、普天間基地の裏の役割を読める。米国は、短い滑走路1本の辺野古基地を絶対受け入れない。
投稿: 富士 望 | 2015年1月20日 (火) 12時44分
富士 望 様
コメントをありがとうございます。
普天間・辺野古問題は、私が理解している範囲でも、相当複雑です。
まず、米国が何故普天間閉鎖に合意するかは、普天間が古すぎて、近代化できないので、移転したかったこと。そして、通常の飛行機部隊は、岩国移転で合意した。ヘリコプター部隊は辺野古(キャンプ・シュワブ)に移転する。なお、普天間の主力はグアムに移転する。
米国は辺野古は、ヘリコプター部隊なので、長い滑走路は要求しなかった。しかし、日本側は浮体構造の海上滑走路を提案した。しかし、それでは沖縄に金が落ちないとして、地元が埋め立てを伴う通常の滑走路案を持ち出した。
結局は、現在案のV字型の埋め立てを伴う滑走路案が日米合意となった。(再編実施のための日米のロードマップ(仮訳) http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/ubl_06/2plus2_map.html)
民主党政権時代に、日米交渉ではなく、日本国内で混乱と内部抗争が始まり、酷くなったと思います。原点に戻れば、辺野古に埋め立てして滑走路を建設することは不要だし、米国がそれを合意していたのですから。
投稿: ある経営コンサルタント | 2015年1月21日 (水) 02時04分