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2013年4月 4日 (木)

アベノミクス税制改正による経済活性化の効果

アベノミクス税制改正による経済活性化の効果は、おもしろいと思いました。次の記事からは、アベノミクスではなく、アソウミクスに訂正しなくてはいけなくなるのですが。

NEWSポストセブン 4月4日 接待減税打ち出した麻生財務相に「麻生様々ありがとう」の声

考えてみたいと思います。なお、盛り場の経営者ママさん、ホステスさんは、文句なしで歓迎で良いと思う。以下は、飲食業以外の事業経営者の立場での記載です。但し、飲食業の人にも、参考にはなると思うので読んで頂きたいと思います。

1) 交際費等の損金不算入の改正内容

租税特別措置法61条の4に交際費等の額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入しないと定められている。但し、条文の中に括弧書きがあり、資本金が1億円以下の法人については、交際費等が年6百万円以下の場合は、年間交際費の10%を、年6百万円以上の場合は、60万円と6百万円以上の交際費額が損金にならずであった。法人税がその対象であり、結果、地方法人税と事業税も対象になった。

2013年3月30日公布の法改正により租税特別措置法61条の4については、資本金が1億円以下の法人(以下、中小法人と略す。なお、資本金1億円は含まれる。)については、交際費等が年8百万円以上の場合に限り、年間8百万円を超過する分の交際費額を損金にしないことになった。

2) 節税金額

8百万円以下は、全額損金扱いになったのであり、昨年度まで5百万円の交際費を支出していた中小法人は次の金額の税金が少なくなるのである。

  5百万円 X 10% X 税率

税率については、所得金額8百万円以下の場合は措置法42条の3の2により15%であるが、復興特別税があり、地方税と事業税にも影響するので、低い場合は28%程度である。税率は所得金額が大きければ高くなり、38%程度になると思う。結果、5百万円の場合は、14万円から19万円の範囲と思う。

もし年1千万円の交際費を使っていたならば、73万円から99万円程度の節税となる。確かに、節税額としては大きく、経済活性化の効果は期待できるし、会社の接待関係の利用が多い飲食店は、歓迎する今回の税改正である。

3) 留意点

資本金が1億円を超える会社には、適用されないが、資本金5億円以上の会社の子会社にも適用されない。

なお、そもそもの前提として、赤字で法人税を支払っていない会社にも、適用はされるが、税金を払っていないので、節税にはならない。但し、将来に利益計上が期待される場合は、繰越欠損金の金額を大きくすることができるので、将来の節税にはなる。

更には、もう一つ重要な点ですが、交際費の支出とは、同額のキャッシュが社外に流出することであり、企業からすると、減税があるので、支出増をすべしと簡単にはならない。例えば、競争相手に勝たねばならずと取引先を接待する必要がある場合、競争相手も同じ中小法人であった場合、結局は消耗戦が激しくなるだけ。喜ぶのは、飲食店となりかねないのである。支出には、十分その効果を考えて実行すべきであります。

くだらないことですが、4月1日から施行であるが、4月1日以後開始する事業年度からなので、12月決算の会社の場合は、2014年1月からの適用となる。

4) どうだろう雇用者給与増加額による節税

2013年3月30日公布の法改正により租税特別措置法42条12の4として雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除が新設された。内容は、2012年4月から2013年3月までの人件費を基準とし、この基準人件費より5%以上人件費が増加した場合、増加額の10%を法人税額から3年間控除するという制度である。但し、最大控除額は法人税額の10%(中小法人の定義が少し広くなってはいるが、中小法人の場合は20%)まで。事業年度が4月-3月でない会社は、期間対応がずれて適用される。

源泉徴収税や社会保険負担額を差し引く前のグロス支払額が基準となる。但し、雇用者給与には、役員に対する給与は含まれない。しかし、パートや非正規雇用・臨時雇用も含まれ、会社が賃金台帳に記載している使用者が、全て対象となる。雇用者人数の変動は人員数・月数で割り算をして計算をする。

例として、1億円の給与を支払っている場合を考える。5百万以上増えれば良く、ボーナスで増加することになっても良い。3年間毎年計算するので、2年目が4百万の増加であった場合は、2年目は適用されない。5百万円の10%である50万円の節税となる。中小法人の交際費の場合は、支出額に加えて発生する税が節税になるのであるが、こちらの雇用者給与増額は増額した場合に10%は法人税額が減額される税金が給与負担をしてくれるというありがたい話に思える。但し、適用は中小法人でも法人税額の20%が最大なので、50万円が20%に相当するには250万円以上の利益を人件費増加後も計上している必要がある。

5) 評価

アベノミクス特有の実際の効果より、ムード的な相乗効果による期待感をふくらませるデフレ脱却期待を感じる。雇用者給与増額は、労働者側からしても面白い。5%の賃上げではなく、4.5%の負担で済むではないかと主張できる。会社の方も、余裕があるなら、これを機会に今年はボーナスを増やしてとインセンティブを掲げて、事業の改善、効率化、拡大を働く人たちに提案して、目標を示しやすい。目標を示して、達成時のボーナスを約束できる機会かも知れない。

但し、大前提がある。黒字であって恩恵に属せるのである。ここに3月に国税庁が発表した「平成23年度分「会社標本調査」 調査結果について」がある。72.3%が欠損法人であり、直前年度の欠損とは限らないが、繰越欠損(損失)金を抱えている会社である。欠損法人割合を業種別に見ると繊維工業は81.5%で欠損法人割合が高いが、それ以上が料理飲食旅館業の83.7%である。逆に、欠損法人割合の低いのは、その他の法人45.8%であるが内容は不明であり、分類項目にあるなかでは、67.4%の不動産業が欠損法人割合が低い。但し、それでも、半数以上は欠損法人である。

いずれにせよ、せめて、ムードだけでも明るくなりたいと思います。

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