成長戦略一人あたり国民総所得150万円増加
安倍総理が6月5日の成長戦略第3弾スピーチで述べた中に含まれている一人あたり国民総所得を10年後には150万円以上増やすことについて、考えてみたい。
1 国民総所得と国民総生産
国民総所得とはGross National Income(GNI)であり、国民総生産とはGross Domestic Income(GDP)です。GNIとGDPの違いは、GDPが日本国内で生じた付加価値であるのに対して、GNIは日本の人が海外で稼いで得た収入も含むが、一方で日本国内で生み出した付加価値分の海外に対する利息や配当の支払を差し引きます。
国外に製造拠点が移った場合、国内のGDPは減少するが、海外生産による利潤が送金されてくるとGDPは国内製造に係わる付加価値分が減少するものの、GNIは海外生産による配当金の受け取りは増加する。増加と減少とどちらが大きいのかと同時に、製造拠点を移さなくてジリ貧になれば、もっと減少が大きいとも言える。
最近の傾向としては、図表1の通り、日本についてはGDPよりGNIが多くなり、かつその差(海外からの所得の純受取額)は増加傾向です。
2 10年後150万円増加の意味
安倍総理のスピーチは首相官邸のWebのここにあるのですが、2012年度の国民総所得(GNI)は、490兆1730億円でした。これを人口1億2775万人で割ると一人当たり383万7千円となる。10年後の人口を1億2750万人として一人当たり150万円の増加を計算すると平均年3.3%の増加が必要との答えが得られる。
そこで、アベノミクスはインフレターゲット年率2%であったので、実は実質年1.3%の増加率を目指すことになるのではと思う。スピーチでは明確でない部分と思う。
3 給与金額は
6月14にこの成長戦略の最重要事項は給与アップを目指すことであるを書いた。そこで、気になる給与をGDP、GNIと共に比較をしたのが次の図表2である。なお、年1%の増加でも失われた20年と比較すると良い成績である。
GDPとGNIは前年度からの伸び率では、ほとんど一致している。給与年収は、厚生労働省の毎月勤労統計調査からであるが、比較のために内閣国民経済統計に含まれている雇用者報酬/賃金・棒給の前年度増加率も表示した。給与年収と雇用者報酬/賃金・棒給はほぼ同じであることが分かる。
GDP・GNIの伸びと給与の伸びを比べると、どうも給与が低く抑えられているように思えて仕方がない。そこで、図表3として1995年を100としての指数表示のグラフを書いた。
給与が下回っている。給与をあげるために頑張らなくてはならない。
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