番号法の利用を考えよう
マイナンバー法とも呼ばれている番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が5月31日に公布され、3年以内に施行される。(公布に関する5月31日官報号外112号の目次はここ)
法には、第1条に的として「行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が」となっており、政府、政府機関、地方自治体を主語として書かれており、行政事務を効率的に実施し、国民の利益や福祉の増進をすることが大きな目的である。同時に、第3条第2項に「行政分野以外の国民の利便性の向上に資する分野における利用の可能性を考慮して行われなければならない。」とあり、行政事務に止まらず、広く国民の利益増大に結びつけるべく、努力すべきと考える。番号制は、今後国民がその有効利用を試行錯誤も含め有効に開発し、国民の利益を増進するデファクト・スタンダードとして利用すべきと考える。
1) 法人番号
番号は、個人のみならず、法人にもつけられる。法58条において、国税庁長官が法人番号を指定し、これを当該法人等に通知することとなっており、更に法人番号の指定を受けた者の名称、所在地及び法人番号を公表することを定めている。番号は、株式会社のみならず、社会福祉法人もNPO法人も役所もあらゆる法人全てである。
変な勧誘電話を受けたなら、法人番号を名乗ってくださいと要求すればよい。信用情報も法人番号に基づいて流され、誤認は少なくなり、MRIのような怪しい投資情報についても、的確な情報が得やすくなることを期待する。また、会社法939条、940条の決算公告であるが、法人番号の実施により媒介者が安価にNetで決算公告を提供するようにすれば、法人の信用情報は得やすくなる。正しい信用情報が得られれば、ビジネスは拡大し、経済は発展する。MRIの情報で一般投資家が疑心暗鬼に陥ると経済は停滞する。法人番号に基づく信用情報の提供は、民間が実施可能であり、NGO・NPOでも可能である。
法務局も、番号法を機会に、法人の登記簿情報をNetで入手可能なようにすればよいと思う。株式会社の決算公告も、これを機会に法務省が自らNet提供するように整備すべきと考える。番号法施行まで3年あるから法改正が必要でも可能と思う。
番号法は、法人も含まれるので、マイナンバーや個人番号と呼ぶより単に番号法と呼ぶのが適切と思う。
2) 税徴収と税額控除給付の適格な実施
正しい税徴収には、税額の基となる所得等を正しく把握する必要がある。番号法の実施で直ちにとは行かないが、正しい把握が容易になると期待する。脱税で不幸になるのは、税務署や政府ではない。国民全体が不幸になり、脱税額を埋め合わせるのは、納税者である。ここで言う税は、法人・個人の法人税、所得税、消費税、相続税、地方税を含めあらゆる税のことである。
税には、制度から生じる不公平があるとしても、不正行為による不公平は許してはならない。番号法が存在しないために把握が困難な部分があったかも知れないが、番号法施行後は番号法を有効に活用して国民のために脱税を摘発して欲しい。
番号法付則6条7号に給付付き税額控除のことが触れられているが、消費税の逆進性解消については、複数税率制ではなく、所得税の税額控除を給付付きで実施するようにして欲しい。番号法の下では、税金を政府が国民に支払うことが可能となるのであるから。
2014年1月よりNISAと呼ばれる上場株式等・公募株式投信の配当・譲渡益への非課税制度がはじまり、2014年から2023年迄の計10年、毎年100万円迄の新規投資から得られる分配金や譲渡益が、最長5年間非課税となる。(租税特別措置法9条の3と37条の14)現在の10%課税が20%課税になることからの措置であるが、原則一人一口座という制限があることを含め、複雑な制度である。番号法の番号で管理すれば、一人一口座なんて変な制限を設ける必要はない。そもそも、預金についても適用すべきである。少額の預金についても、投資と同様に税を徴収しないというのは、すっきりするし、番号で管理可能である。あるいは、累進課税の一般の所得と合算することも可能にすればよい。そこまで進むと、株式投資で損をした場合に、その損失を所得合算・通算して損をすれば所得税が少なくなるようにして、一般の人も、ベンチャーキャピタルに投資しやすくすればよい。法人も個人も番号で管理可能であり、不正は防げると考える。
3) 医療情報他
調剤薬局ではお薬手帳に張り付けるスリップが渡される。薬剤や医療の管理・記録は重要であるが、一元的にシステム管理した方が、効率的である。病院を変わっても、以前からのデータが全て自動的に引き継がれる。複数の医療機関で治療を受けることも容易である。一方、過剰受診の自己負担も導入可能である。10年前のX線やCTデータもいつでもどこでも見ることができる。
個人情報流出を恐れる必要があるだろうか?もし、医師や医療機関を疑うなら、医療を受けることができない。自分のデータは自分自身であれば、アクセスできるようにすべきである。一方、業務でデータを扱う人については、政府・地方自治体を含め、端末を操作する場合は、IC個人番号カードでログインし、どのデータを誰が取り出したか、入力したか全ての記録を管理すべきである。電子データの保存コストは安くなっている。インターネットにはつなげない情報を含め合理的に管理すれば不正なデータ流出は防げると考える。故意の不正流出は、犯罪として記録が残るようにしておく。医療データシステムも、公衆回線で流す情報と一般回線とは切り離した専用線でつながったシステムの2つの構成にすることも考えられる。専用と言っても、日本中に光ケーブルが存在するのであり、その中での利用故、高コストでないと思う。
番号法の施行には3年あり、我々自身が、番号法により幸福になる社会を目指すべきと考える。
| 固定リンク
コメント