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2013年7月29日 (月)

JR東海リニア中央新幹線の電力消費および経済性(一部訂正)

6月22日にJR東海リニア中央新幹線の電力消費および経済性を書いたのですが、サトウ ススム さんから「超伝導磁石は車両に搭載でガイドレール側ではありません。」とコメントを頂き、私もよく調べなおしてみたのですが、サトウさんのご指摘が正しいと判断しました。

即ち、車両搭載の強力な磁石は超電導磁石であるが、地上側に設置する相手方の浮上・推進用のコイルは大気温度(実際には発熱により温度上昇する。)です。言ってみれば、永久磁石をRotorとして使い、Statorは三層交流とする同期電動機を考えれば、この同期発電機のRotorについては超電導磁石を利用する。何故なら、磁気浮上なので、大電力をRotor(車上)に供給できずないことも理由にあると思う。

一方、地上コイルへの電力供給は車両が走行する部分のみを車両速度に応じた推進用の移動磁界を発生することでよいので、地上コイルまで超伝導とすると、冷却のための大電力が必要となり設備とエネルギーの無駄になると理解する。

従い、エネルギー(電力)消費を新幹線のぞみと東京-名古屋間が比較すると次のようになった。但し、リニアの定員が不明であり、もしのぞみの半分等であれば、一人あたり乗員の電力消費はリニアの方が更に大きくなる。なお、

リニア: 270MWx40分/60分/5本=36MWh

のぞみ: 17MW x 50% x 100分/60分=14MWh

私の計算が正しいとは限らないが、傾向としてはあっていると思う。のぞみ改良型ぐらいも代案として、比較検討すべきであるというのが私の意見です。もしかしたら、のぞみ改良型でも余り変わらないのかも知れないが、情報開示はして欲しい。単に設備投資費用のみならず、運用時の費用やリスクファクターも考慮すべきであります。

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2013年7月28日 (日)

消費税8%・10%への増税にまじめに取り組むべき

選挙が終わったはずであるのに、変なニュースが流れる。

MSN産経 7月21日 消費税増税、決断迫られる首相 ブレーンから見送り論も

8%や10%への消費税増税を、何故国会で決定したのかと言いたい。

1) 2012年8月22日公布の法律名

2014年4月から8%そして2015年10月から10%への消費税増税をするために国会(衆参両院)で議決した2012年8月22日公布の法律名は、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」であった。

次のような社会保障の負担増が予想されるのであり、もし、増税されねば、更に負担が増加すると考えるがどうであろうか?

読売 7月26日 社会保障、高所得高齢者の負担増…国民会議原案

年金と医療が大きなウェイトを占める社会保障については、税・掛金・給付がバランスよく設計されているべきである。消費税増税をしなかった場合は、社会保障制度のみならず政府財政や日本国経済の破滅に向かうと思う。この日経 7月23日 同友会代表幹事、消費増税「ためらう理由ない」 早期判断要望は、正しいと考える。

なお、政府は、社会保障と消費税増税の関係を数字を示し、国民によく情報開示すべきである。

2) 低所得者対策

2012年8月22日公布の法律第7条は「税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置」とのタイトルであり、給付付き税額控除等の施策の導入が番号法の稼動を前提に検討すべき事等が定められている。

番号法は、2013年5月31日に公布され、3年以内の施行なので、遅ければ2018年5月31日施行となる。2014年4月や2015年10月より後に番号法が施行されることになると予想されるが、給付付き税額控除の実施に関する利用については、早期施行とすればよいと考える。

アベノミクスは、格差拡大であり、低所得者層への恩恵は少ないと予想されるし、場合によっては、更なる低所得に追いやられる可能性もある。消費増税のみならず社会保険料の負担増と物価上昇もあり得る。そうなると、生活はもっと苦しくなるだけである。

消費税増税反対で恩恵を受けるのも実は高所得者かも知れない。合理的な負担の上に、合理的な給付制度を構築していくべきである。

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2013年7月25日 (木)

ポップアップ広告の退治

数日前から、ポップアップがあるWebページで、ポップアップをクリックすると、本来のページではなく、変な広告が出る状態に、私のPCがなっていた。

この退治に、今日ほぼ半日を費やすことになったのだが、多分大丈夫になったと思うので、参考としての、その報告です。

1) 症状が出た変なポップアップ広告

”ttp://pop.zilionfast.in/eedz/”(安全のため、最初の”h”は省略しています。)で始まるWebがポップアップで勝手に開くのです。消して、もう一度開くと本来のページが開きました。信頼できるサイトのポップアップで起こったので、ついその先をクリックしそうになったが、どう考えても変であるので、閉じて、もう一度クリックすると本来のページが開いたのです。

それだけの事なので、余り気にとめなかったが、同じ事が何度か生じると、やはり収拾せねばと思い、コントロールパネルから疑わしいプログラムを削除していったのですが、やはり同じ変なポップアップ広告が出てしまう事が続いたのです。

2) ”adwcleaner.exe”で退治

Webを探し”adwcleaner.exe”なるフリーソフトを手に入れました。これをDownloadして、全てのプログラムを閉じて、実行(Delete)をすると、完全には確認できていないものの、とりあえずは、以前ポップアップ広告が発生したWebで実験しても大丈夫でした。今後は、発生しないことを期待します。なお、”adwcleaner”は、Webを検索すれば、直ちに見つかるはずです。

3) ネット社会の怖さ

ネット社会は利用すべきです。私の場合は、PCですが、スマホでもあり得るのだと思います。Free Softは多いし、クリックして試してみないと、そのリンク先が有用であるかどうかの判断もつかないですから。私は、Nortonを入れているのですが、どうも効いてくれなかったようです。しかし、そんなことは当たり前かも知れません。悪人と退治屋は、常に悪人が先行し、退治屋は後を追うしかないのでしょうから。

ネット社会の実態は、判りつらいが、スノーデン氏が暴露したように、大国の政府機関は、Webからあらゆる情報を入手し、分析していると私は思います。イラン原発をコンピューターウイルスで攻撃したなんてニュースもあった(参考ここ)。個人情報がどうのこうのと言うのも重要でしょうが、それ以上に重要なことが存在すると考えます。

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2013年7月24日 (水)

東京電力財務諸表から読み解く福島原発事故

原子力発電所の再稼働や除染が今後の焦点として浮かび上がってくると思うのですが、福島原発事故を東京電力の財務諸表を読み解いて分析して考えることも必要であると思います。そこで、私なりに東京電力財務諸表から読み解き、分析を加えて、原発事故について考えてみることとしました。

1) 東京電力の業績

東京電力の業績を損益計算書から抜き出したのが次の図表1です。(クリックすると拡大します。)原発関連の分析を目的としていることから、連結財務諸表ではなく、東京電力の個別財務諸表からの抜き出しとしている。

Tepco20137a_2

2009年3月期決算においても災害特別損失563億円を計上しているが、この特別損失は新潟県中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発の復旧費が中心であった。

2011年3月の東日本大震災からは、2011年3月末の決算を含め連続3期当期純利益は赤字である。(図表1において、費用や支出は全て赤字で表示している。)

2) 貸借対照表の推移

このような赤字続きの中、貸借対照表がどう推移したかを図表2として以下に掲げた。

Tepco20137b 

2012年3月末で利益剰余金はマイナスとなっており、累積損失となっている。2013年3月末において累積損失は1兆3千億円となり、資本金と資本剰余金合計の1兆1446億円を超過した。しかし、2012年7月に原子力損害賠償支援機構が優先株による1兆円の増資を払い込んだことから、債務超過にはならず、2013年3月末の純資産の部は8317億円となった。なお、原子力損害賠償支援機構が引き受けた優先株は議決権が付されており、東京電力株主議決権のうち現在50.10%は原子力損害賠償支援機構が保有している。

3) 原子力損害賠償支援機構法

原子力損害賠償支援機構とは、原子力損害賠償支援機構法により設立された法人である(ホームページはここ)。原子力損害賠償支援機構は、事故により原子力事業者が賠償をするために必要な資金を交付するために設立された法人である。東京電力への資金交付実績は図表3の通りである.

Tepco20137c

交付された資金が、財務諸表にどのように反映されているかと言うと、損益計算書において原子力損害賠償支援機構資金交付金としての特別利益として認識され、原子力損害賠償費として特別損失がもう一方で費用認識がなされている。貸借対照表においては、交付金の未収入額と賠償金の未払い額が認識されているだけで、交付金の返済については認識されていない。

もし、交付金の返済を認識したならば、2013年3月末で2兆2313億円の債務を追加認識せねばならず、更に先月の6月25日に経産大臣に認定された特別事業計画によれば図表3の累計交付額は2014年3月末までに累計3兆7893億円になる予定である。それでも、際限なくふくらんでいく可能性はある。何故なら、政府や地方自治体が実施している除染費用は全て東京電力負担となっているから。(やたらと長い名前の法律であるが、2011年8月31日公布の「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」で定められている。)

国会で法律が制定されているのであるから、その法の定めに従う以外に方法は他にない。ところで、原子力損害賠償支援機構法は交付を受けた資金について、どう定めているかというと、第52条で「負担させることが相当な額として機構が事業年度ごとに運営委員会の議決を経て定める額」を原子力損害賠償支援機構に支払うことを定めている。期限は明確ではないが、支払義務があると解釈すれば、債務を認識すべきように思う。しかし、東京電力は、「機構が定める特別な負担金を支払うこととされているが、その金額については、当社の収支の状況に照らし会計年度ごとに機構における運営委員会の議決を経て定められるとともに、主務大臣による認可が必要となることなどから、計上していない。」とし、監査法人もこれを認め、大株主の原子力損害賠償支援機構も承認しているのである。

4) 倒産がない会社

東京電力は、あるいは、原子力発電所を保有、運転している会社は倒産をさせることができない。倒産させれば、財政余力はなくなり、賠償金は払えなくなる。それどころか、原発の維持ができなければ、福島事故以上の放射性物質が世の中にまき散らされる。

一方で、4兆円・5兆円以上にのぼるであろう負債を年間2000億円足らずの利益しか出せない会社が返済できるであろうか?

倒産が考えられない以上、無理に債務超過にすることもないのかも知れない。一方で、実態は、債務超過であるとして、どうどうと債務超過の財務諸表を作成して世の中に問うのが正しいようにも思う。

日経 7月19日 東電、管理職に一時金10万円 離職者増に歯止めとのニュースもあった。管理職のみならず有能・優秀な人材が離れていっているなら、恐ろしいことである。原発とは、特殊なモノなのである。放置することができない。福島原発事故から学ぶべきことは、まだまだ多いし、政治家にごまかされることなく、正しく考えるべきと思う。5兆円以上かも知れないが、いずれ日本国民が負担することになると言うか、それ以外の道は出てこないように思う。「一義的に東京電力が負担」なんてのは、一瞬の気休めと考えるべきであり、本質的なアプローチを当初からすべきであると考える。

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2013年7月19日 (金)

みどりの風と緑の党

今回の参議院選では、みどりの風と緑の党の2つの党があり、混乱しそうなので、私なりに調べてみました。なお、このブログ記事は、特定の政党に投票を呼びかけるものではなく、私のように混乱する人がおられた場合、多少の参考になるかも知れないと書いているだけです。

1) みどりの風

党のホームページは、ここにあり、谷岡代表の挨拶に「平成24年7月、志を同じくする4人の参議院議員で無所属の会派、「みどりの風」を結成しました。」とあるように、2012年7月に民主党を離党した3人と国民新党を離党した1人の4人で結成された。みどりの風の綱領がWebにあり、その冒頭は「爽やかなみどりの風吹きわたる健やかな日本、私たち日本人は、・・」で始まっている。

2) 緑の党

党のホームページは、ここにあり、正式名称は「緑の党 Greens Japan」と呼ぶと理解します。党の結成は、Webの党結成総会における結成宣言の日付が2012年7月28日となっており、みどりの風に遅れること数週間で、同じ2012年7月に結成されている。

1970年代のヨーロッパで環境問題を告発し、環境重視の開発を目指す緑の党の運動が始まった。緑の党が最初に国会において議席を獲得したのは、1970年代末頃でベルギーであったと理解する。その後、1983年にドイツ国会でも議席を獲得した。現在ドイツ国会(Bundestag)では、622議席中68を占めている。また、欧州議会(European Parliament)でも99議席中14議席である。オーストラリアやニュージーランド、その他地方議会を含めある程度の数の議会において選出された議員を有している。環境問題を最重要視していることから、国際的な連携を行うGlobal Greenを結成されている。緑の党は、このGlobal Greenの日本のメンバーであり、党結成の準備として2008年11月に結成した「みどりの未来」なる団体があった。Global GreenもこのWebのように緑の党の支援を表明している。

3) みどりの風と緑の党

みどりの風が、なぜそのような党名にしたかは、綱領の冒頭文の通りと思います。一方で、緑の党との名称は、すでに緑の党結成準備団体として「みどりの未来」が存在しており、類似団体名を避けるために、現在の名称にしたのではと思います。

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2013年7月16日 (火)

相続に関する消極的トラブル

相続に関するトラブルは、少なくないのですが、消極的トラブルと書いたのは、気が進まない相続やトラブルがやがて発生する相続です。

1) 不動産の相続

バブル時代にはあるゆる土地に価値があったのかも知れないが、今や簡単には買い手がつかずという土地が結構多いようです。そして、人口減の日本では、その傾向が増加すると予想されます。

また、不動産の相続登記をするには、相続人全員による相続財産分与合意書のような、誰がその不動産の相続人であるかの書面を登記に際して提出せねばならず、かつ、相続人全員が合意していることを証明するには、全相続人とは誰になるかを確認するために、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(閉鎖謄本を含め)を提出する必要があります。

不動産の相続とは、手続きだけでもめんどうくさいのです。勿論、司法書士等に依頼して、戸籍謄本の入手も可能ですが、抵当権の設定もなく、売却もしないならば、費用も節約できるので、相続登記が放置されることがあります。固定資産税は、死亡した人あてに納付書の送付が続くが、誰かが納付をしていれば、特に問題にされないと理解します。

2) 開発と相続

東日本大震災の結果、道路の移転、拡幅、堤防の増強等で地方自治体が津波に強い地域を作る目的で土地購入をしようとしたところ、登記上の所有者は既に相当前に死亡しており、相続人は非常に多く中には海外に移住してしまった人もいるとの話を聞いたことがあります。この場合でも、地方自治体は全ての相続人から同意を取る必要があり、あるいは土地収用法による収用をすることを迫られると理解します。いずれにせよ、工事は予定通りには進まず、開発は中断し、遅延あるいは計画変更になると理解します。

高価格で買い取られる開発であれば、地上げ屋が活躍して、動くのでしょうが、そのような開発ばかりではない。東日本大震災後の復旧や開発のみならず、1970年頃以前に建設されたアパートや住宅においても都市部で空き家が増加しているようです。あるいは、古いマンションは、どうなのでしょうか?空き家となり、誰も借りてくれない。立て替えをするにも、総会決議を集めることも容易ではない。

権利義務関係が複雑になると、大変なのですが、管理費・修繕積立金は発生し、不払いとなっている人も存在するマンションの場合は、ますます大変だと思います。

収入は期待できず費用が継続して発生する相続財産の場合は、相続人の間で押し付け合いが始まるのではと思います。あるいは、相続登記はせずに、年数が経過し、あの時の約束は○年間ということであったとして、トラブル発生もあるのではと思います。そして、そのトラブルは相続人の間に止まらず、その不動産に係わる利害関係者にも及ぶことになります。

3) 山林の相続

昔は、山林保有者とは大金持ちの代名詞みたいでした。しかし、今やトラブル資産になっている山林もあるようです。山も手入れをしなければ、災害を引き起こす元凶になる可能性がある。手入れをし、山林を生育し、伐採、搬出による収益が期待できるのであれば良いが、そうでなければ、保有したくない資産となる。山林の隣地所有者との境界線も明確になっていない場合も多いようである。ある時点では明確であっても、時が経過し、当時の関係者は死亡してしまっている場合は、大変である。

山林が放置されることは、望ましいことではない。しかし、現実には、相続登記はなされず、なかば責任者不明状態も多いのではと思います。山林は、長期にわたる継続した手入れが必要であり、荒れ始めると、荒れが加速され、同時に関係者も遠ざかりたくなるし、相続人を決めることができない場合は、誰も手入れをしないようになると思います。

ヨーロッパは平らな農地の多い所と感じるのですが、日本は山が多く、しかもその山は緑で美しいと感じます。その山が危機に瀕しているとすれば、悲しいことです。

4) 相続放棄による国有財産化はどうだろうか

民法959条を使っての国有化です。地方自治体や政府に対して寄付をすることは可能なのですが、寄付とは相手があっての行為であり、相手は拒否をすることが可能です。そこで、民法959条の「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。」と言うのを使うのです。

前条の規定とあるように、手続きは必要であり、要は相続人が全く存在しない状態になった場合です。相続人とは、配偶者と被相続人の子であり、相続前に死亡していればその者の子による代襲相続ですが、相続放棄をすると、民法939条に「初めから相続人とならなかったものとみなす。」とあり、存命であれば親や兄弟姉妹が相続人となり、更に代襲相続も適用されるので、該当者全員が相続放棄をしなければ、相続放棄をしなかった人が相続をすることになり、国有財産化はできないことになります。

そして、もう一つ重要なことは、初めから相続人とならなかったのであり、全ての財産の権利を失います。山林だけやトラブル資産だけを相続放棄することはできません。

5) どうすべきか

なかなかうまくは行かないとも言えます。悩まざるを得ないのかも知れません。悩んで良いのだと思います。エンディングノートに関する話題を新聞で読んだり、TVで聞いたりしますが、トラブルが発生する可能性がある資産をどうするかも、遺言に残したり、あるいは自分の財産として生存中に自分のやりたいように処分することも対処方法だと思います。

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2013年7月14日 (日)

マララ・ユスフザイの国連でのスピーチ

マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai )が16歳の誕生日における国連での演説を国連Webテレビで聞いたが、感動的なスピーチと思った。16歳で、このスピーチができるのは、すごい能力であり、それを世界に発信しているのは、日本のどの政治家よりも高い能力があると思った。また、母国語ではない英語で、完璧なスピーチをしたことも私には驚きであった。

国連テレビのマララによるスピーチはここをクリック下さい。

日本の報道としては日経記事を、マララが治療を受けた英国の報道としてはBBCを、そしてマララの母国パキスタンの報道としてはDawnのそれぞれリンクを掲げておきます。

日経 7月13日 銃撃受けたパキスタン少女、国連で初演説

BBC 12 July 2013 Shot Pakistan schoolgirl Malala Yousafzai addresses UN

DAWN 2013-07-13 The Malala movement

1) 教育が最重要の政策

マララは、17分間に及ぶスピーチの最後で”Education is the only solution. Education is First.”と結んだ。久々に耳にする言葉に思えた。世界の紛争地域における紛争解決・和平・平和維持のためには、教育は武力よりはるかに有効であり、貧困からの脱却にも何よりも大切なことである。しかし、現実の世界では、防衛費に多額の税金が投入され、教育はおざなりにされているように思う。教育とは、軍事・防衛のように金を掛けることで充実するほど単純ではなく、教員や制度の充実も必要である。

マララが教育のことを述べた背景には、マララ自信がタリバンにより就学を阻害されそうになったことがある。また、パキスタンにおいて教育環境が良くないことも事実である。しかし、日本もどうなのだろうかと思う。生活保護費の問題や生活保護からの脱却支援が言われるが、一つの大事なことは、生活保護の連鎖・貧困の連鎖をつくならないことであり、生活保護世帯の子どもも十分な教育が受けられるように支援すべきである。高校授業料が無償になっても、授業料以外のお金も必要なのである。大学を卒業してフリーターが良いのだろうか?大学で学問をすれば、それなりに社会に役立つようになるべきであると考える。日本で、不足しているのは、奨学金であると考える。返済が不要な奨学金制度も多くす創設べきである。貧しくても、望めば努力で大学に行けるようにすること。

社会が有能な人材を育成して、社会に役に立てるようにすべきである。ところが、現在は司法修習生の給与制が廃止されて貸与制になったように、日本は人材をつぶす社会になってしまったと感じる。

2) タリバン批判

日本の報道ではあまり出ていないが、タリバンについても、マララは必要な批判をしている。Dawnの記事では引用文として書かれている次の部分である。

The Talib shot me. A bullet that went through the left side of my brain. Thinking the bullet would silence me … but nothing has changed in me but this. Weakness, fear and hopelessness died. Strength, power and courage was born.

参考意訳:私を襲撃したタリバンは私の左脳を射撃した。弾は私を殺すはずだった。しかし、私は生きている。いや、弱さ・恐怖・絶望が消え去り、力と勇気が生まれてきた。

A Talib doesn’t know what is written inside this book (Quran). They    think God is a tiny conservative being who would send girls to hell    for reading books. But the Talib are misusing Islam in the society for    their own personal benefits. Pakistan is a peace loving, democratic    country. And Islam is a religion of peace, humanity and brotherhood.    Islam says it is not only each child’s right but each child’s     responsibility.

参考意訳:タリバンはコーランを正しく読んでいない。タリバンは、本を読む女は、神により地獄に堕ちると考えている。しかし、人々の幸福のためにあるイスラム教を間違って解釈している。パキスタンは平和を愛する民主主義の国である。イスラム教は、平和・人権・人々の愛を求める宗教である。イスラム教の教えには、子どもの権利と子どもの責任がある。

1997年7月12日に生まれたマララは、15歳の2012年10月9日にパキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州(旧:北方辺境州)スワット(Swat)で学校帰りのバスにタリバンが乗り込んでマララを襲撃した。英文のWiki(ここ)には、襲撃したタリバンはマララがどの娘か判別はついておらず名乗らなければ、全員を殺すと言ったので、マララが名乗り出たとある。(Wikiの出典はこれ)真偽のほどは分からないが、タリバンがマララのみを襲撃したのは事実である。

マララの傷は、重傷であった。頭蓋骨も銃弾でダメージを受けており、治療ではチタンを埋め込んでいる。(参考:このBBC NEWS

すごい人物である。だから、国連スピーチの始まりの方で、マララの日と名付けられたこの名前は私を意味しているのではなく、女性と男の子・女の子の日であり、弱者としておかれている人々がその権利を回復し幸せな社会を作っていくための日であると述べている。

マララが更に成長し、豊かな幸せな平和な世界を築くための努力をしていくことを期待する。

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