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2013年9月29日 (日)

JR再編の必要性はないか

JR四国では、鉄道橋約2600本のうち50本で補修の必要性が見つかりながら3年以上放置されているとのニュースがあった。

日経 9月28日 JR四国、橋50本補修せず 点検記録不備も1000本超

9月23日にJR北海道一連の事故発生の真因は?を書いた我が身としては、もう少し書かざるを得ないと思い、以下を記述します。

1) 国営JR会社4社の最近の業績

JR北海道の表の下にJR四国、JR九州とJR貨物の損益計算書からの抜粋を書く加えた。

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JR四国は規模がJR北海道の3分の1近くで、鉄道事業であれ、付帯事業を加えた場合であれ、ほぼ同様であり、経営安定化基金の収益他で少し黒字になっている状態である。実質は、税金の支援で会社として保たれている。JR九州は、鉄道事業では赤字なるも、付帯事業を加えるとごくわずかの黒字。しかし、経営安定化基金の収益等がなければ純損益は赤字となる。JR貨物は、経営安定化基金の恩恵を受けておらず、その意味では、上記で比較対象とした4社の中では最も健全であると言える。しかし、鉄道線路を保有していない砂漠の楼閣会社(貨物専用線等で400km強保有していると了解するが)であり、JR旅客会社6社に支払う通行料金次第で、会社事業収支は変わってしまう。安定的な収益構造になく、また自社努力以外の要素が大きすぎる。

2) メンテナンスと会社業績

会社の表面的な数字を良くしようとすれば、厚化粧を施せばよいのであり、メンテナンスには限りなく金をかけなければ、評価される経営者になれる。JRや鉄道事業に関わりなく、メンテナンスが必要な資産を持つ企業に共通した事である。

JR北海道でもJR四国でも、メンテナンスに金をかけられなくするようなプレッシャーは働いていたと想像する。それが規則違反まで引き起こしているかと言えば、当然直ちにそうならないのであるが、遠因や背因になった可能性は否定できないし、調査する必要はあると思う。

3) 求められる経営者

経営者は、その企業活動の細部に至るまで把握しておかねばならない。直接でなくてもよく、他人をして、組織をして把握していても良い。例えば、技術屋ではないから、技術関係のことは分からないというのは許されない。誰かの補佐を受けるか、全幅の信頼を置く誰かに委ねれば良いのである。

上に掲げたJR4社の場合は、どうすれば良いのか?会社の業務把握以外にするべき事がある。株主に対する報告であり、要求である。事業内容を報告するとともに、民営化への展望を示すべきではないのか。

実は、日本国有鉄道改革法第6条は「旅客鉄道事業の分割及び民営化」であり、第8条は「貨物鉄道事業の分離及び民営化」である。しかし、条文には株式会社にすると書いてあるが民営化(民間への株式売却)については書かれていない。また、第12条には、JR北海道、JR四国、JR九州には経営の安定のための基金を置かせ、その収益で事業の費用に充てることが書いてある。その意味では、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社しか民営化しないようにしている法律であるとも言える。

国民は、どうなのだろうか?誤魔化された。あるいは、手品を見せられたと思う人が大勢いるように思う。JR4社の株主は政府であり、イコール国民である。国民が望むように経営者は経営し、国民に十分な報告をする義務があると考える。

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2013年9月28日 (土)

復興特別法人税を前倒し廃止なら復興特別所得税も同様にすべきではないか

復興特別法人税の前倒し廃止が、税に関しての9月30日の週の一番大きな話題になると思う。

日経 9月26日 復興税の前倒し廃止、野田氏に判断一任 自民税調

ところで、復興特別法人税を前倒し廃止するなら、復興特別所得税も前倒し廃止すべきではないかと思うの。つまり、今の政府首脳閣僚の案は、復興特別法人税を1年前倒しで廃止する案である。復興特別法人税は、2012年4月1日から3年間の間に開始する法人の事業年度について法人税の10%を課するのであるから、2年間に短縮するので、3月決算の法人であれば、今事業年度で復興特別法人税を最終年度とし、打ち切る案である。

復興特別所得税は、本年1月1日から25年間である。特別税であり、正規の税ではなく、25年も続く重税の見本と思う。本来は、直ちに廃止すべきと考えるが、一旦成立した以上は、廃止については様々な障害もあると思うので、復興法人特別税を前倒し廃止するなら、復興特別所得税についても、現行の3分の2の期間に短縮するのが道理であると考える。なぜ、生まれてもいない子どもに、特別税を負担させるのか、そんなことが許されて良いのかである。

財源の上では、平成25年度予算で、復興特別法人税が9145億円であり、復興特別所得税が3095億円であり、合計では1兆2240億円である。復興特別所得税は、所得税の2.1%である。正論を考えれば、こんな税を課すべきではなく、所得税のあるべき姿を考え、所得税として国民が負担する総額はいくらであるべきか、累進の最高税率や所得控除のあり方そして税額控除制度及びマイナスとなった場合の給付制度について検討すべきである。また、歳入庁の設置を目指すべきである。

ポピュラリズムと税を取りやすいところから取ることが結びついた結果が、復興特別税と思うのである。これを機会に復興特別税の廃止を税制一般の検討とともに進めて欲しいのである。

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最高裁出生届判決と夫婦別姓

9月26日に最高裁で住民票記載義務付け等請求事件に対する棄却判決があったのだが、この事件を調べると嫡出子か非嫡出子かの問題ではなく、夫婦別姓が認められていないことが存在すると考えます。

最高裁判決文は:ここにあります。

なお、裁判に関する報道として、産経と朝日の記事を紹介しておきます。(朝日の記事は、わかりにくいし、私にとっては意味不明部分がある。朝日は、無料のNet記事は字数少ない。但し、本記事の有料記事を見ても、内容は同じであり、私はほとんど意味がないと思う。)

MSN産経 9月26日 出生届の婚外子区別「不可欠ではない」 規定自体は「合憲」 最高裁

朝日 9月27日 嫡出子の届け出義務「不可欠でない」最高裁、合憲判断も

夫婦別姓が認められていないことが背景にあると考えたかは以下です。

1) 子どもの住民票

2005年4月7日に3月●日に誕生した子の出生の届け出を世田谷区役所に届け出たが、区役所は「嫡出子又は嫡出でない子の別 」の記載がないとして、受理せず、最終的に2012年12月に母親の本籍地我孫子市に通知をし、我孫子市が職権によりこの子の戸籍の記載を2013年1月10日に行った。これを、我孫子市が世田谷区に通知し、この子の住民票の記載が2013年1月21日になされた。

この子には、8年近くも、戸籍も住民票が無かったのである。出生して14日以内に区役所に届けたにも拘わらず。

2) 世田谷区の不受理理由

世田谷区の不受理理由は、次に掲げた戸籍法49条の必要事項であるアンダーライン部分の「嫡出子又は嫡出でない子の別 」が記載されていなかったからです。

第49条  出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。
②  届書には、次の事項を記載しなければならない。
一  子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
二  出生の年月日時分及び場所
三  父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍
四  その他法務省令で定める事項
③ ー省略ー

3) 最高裁判決

最高裁判決は「嫡出子又は嫡出でない子の別を記載することを届出人に義務付けることが、市町村長の事務処理上不可欠の要請とまではいえないとして も、少なくともその事務処理の便宜に資するものであることは否定し難く、およそ合理性を欠くものということはできない。」とし、「嫡出でない子」という用語は法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして用いられているものであり、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差 別的取扱いを定めたものとはいえず、憲法14条1項に違反するものではない。」とした。

そして、櫻井裁判官が「出生届に子が嫡出であるか否かの記載を求めることが、戸籍事務処理の便宜に資するものであることは認められるとしても、平成22年通知に記述されているとお り他に確認の手段があるのであるから、必ずしも事務処理上不可欠な記載とまでは いえないであろう。そうであれば、本件のような事態に陥る嫡出でない子の問題の発生を将来にわたって極力避けるためには、父母の婚姻関係の有無に係る記載内容の変更や削除を含め、出生届について、戸籍法の規定を含む制度の在り方について しかるべき見直しの検討が行われることが望まれるところである。」と補足意見を加えた。

妥当な判決であると考えるし、判決と補足意見が矛盾する訳ではなく、国会においてアンダーライン部分の「嫡出子又は嫡出でない子の別 」を戸籍法49条から削除する法改正をすべきと考える。

4) 父親 夫婦 家族

MSN産経の記事には父親が記者会見する写真があります。この子の出生届は、この父親が提出し、その出生届には当然自分を父親としての名前が書いてあったのです。父親は、この子が生まれる前の2月24日に母親の本籍地である我孫子市に対して胎児認知の届出をしており、受理されていたからです。その際、法律上の結婚をしていないので嫡出子としては届けられない。しかし、嫡出でない子と届けることはしたくないとの考えです。

この人のホームページがここにあります。例えば、ホームページ上に「私たちは、東京都世田谷区で、婚姻届を出さずに共同生活を送っています。それも家族の一つの形であり、私たち夫婦にとっては気持ちのいいライフスタイルです。でも、なぜ婚姻届を出していない女性から生まれた子どもは「嫡出でない子」なんてレッテルが貼られるのでしょう?「嫡出」という言葉は「正統な」という意味があります。親に対して自分の子どもを「正統でない子」として届けることを強制するのは、人権侵害です。子どもへの差別です。

 そう思って、私たちは、子どもの出生届の「嫡出でない子」という記載を一切拒否してきました。・・・」とあります。

5) 私の意見

子どもにしわ寄せをするようなことをしてはならないと第一に考えます。そして、様々な生活スタイルを認めることが必要であり、今後日本が発展を遂げるには、女性の力を生かすことが重要です。シングルマザーも婚外子(嫡出でない子)も大いに推奨し、支援する必要があると考えます。

9月26日に安倍総理が国連で26分の一般討論演説を行ったのですが、この演説の後半部分はほとんどが、ウィメノミクスとの言葉を使ったりで、日本の成長は、女性の力の活用で図ると言うような内容でした。演説は、この首相検定のWebにあります。

新しい成長社会にふさわしい新しい社会制度を築いていく必要があると考えます。

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2013年9月25日 (水)

JR東海発表によるリニア中央新幹線の電力消費

JR東海が9月20日にリニア中央新幹線の敷設に伴う環境影響評価準備書を公表した。

47NEWS 9月20日 【リニア新幹線】 環境への影響、厳しい目で点検しよう

JR東海のこのWebをたどっていくと、環境影響評価準備書をダウンロードすることができる。電力消費そのものの数字は書かれていないが、CO2発生量が記載されており、その根拠としている電力消費についても記載がある。

次のグラフは環境影響評価準備書の東京都についての部分の資料編で「14 温室効果ガス」のページ環14-2-1にあるグラフです。

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リニア中央新幹線のCO2発生量は東京-大阪間で乗客1人あたり29.3kgと言う訳です。即ち、新幹線N700系「のぞみ」が7.1kgなので、4.12倍のCO2を発生する。バスと比較しても、バスよりもCO2を発生する乗り物なのです。このグラフからすると、航空機や乗用車よりCO2排出面でリニア新幹線は優れている。

しかし、本当なのだろうか?リニア新幹線が次世代の乗り物であるなら、次世代の競合する乗り物と比べるべきと考える。即ち、三菱MRJは従来より20%以上燃料節約になると宣伝している。さて、乗用車もホンダは、フィットのハイブリッドを燃料消費36.4km/Lと発表した。この36.4km/Lを使って、CO2排出量を計算すると、JR東海が計算に使った514km走行で29.8kgとなった。何のことはない、リニア中央新幹線とはホンダFITと変わらない。いや、もしホンダFITに2人以上乗れば、絶対にリニア新幹線になんか負けない。もし、FITに5人乗れば6.0kgなのでN700系のぞみにも勝ってしまう。

CO2排出面でリニア新幹線は、劣後しているようである。何故こんなものを今の時代に建設するのか、もう一度考え直すべきかも知れない。

次に、電力消費であるが、同じ環14-2-1ページに”3.5万kW x 加速・勾配考慮 約1.1 x (走行時間67) / 60分 ≒ 43.8MWh"を電力消費とし、乗車率61.2%、座席数1000席で更に電力のCO2排出係数0.409kg-CO2/kWhを使って計算していることから、時間あたり38.3MWhの電力消費で東京・大阪間500kmで43.8MWhであることが分かる。

しかし、これにも疑問を挟まざるを得ない。何故なら、東京発で名古屋のみに停車し大阪着の計算と思えるからである。実際には、途中駅で停車するリニア中央新幹線がある。これはどうなのだと言いたい。なお、43.8MWhをもし重油火力で発電したならば、9KL程度の重油使用となる。現新幹線N700系「のぞみ」であれば、2.1KL程度で済むのであるが。

私は、リニア新幹線なんかより、省エネルギー型輸送システムを整備して欲しいと思う。少なくとも、これからは、省エネルギーで原発には依存を拡大しない社会に向けての取り組みが必要と考える。

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2013年9月24日 (火)

栃木県の黒部ダム

あまり知られていないようですが、栃木県に黒部ダムという名前のダムがあります。次がその写真です。

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ダムの表面が石張りで、周囲の自然にとけ込んだこぢんまりとした美しいダムです。日本ダム協会のダム便覧(日本のダム)によれば、ダムの高さは28.7m、堤頂長150mで、総貯水容量2,366千m3ですから、例えば富山県の黒部ダム(高さ186m、堤頂長492m、総貯水容量199、285千m3)と比べると、とても小さなことが分かります。

ダムの所在地は、次の場所です。

住所は、日光市日蔭で、鬼怒川の上流地域の標高約700mの地点にあり、すぐ近くに日光市栗山総合支所があります。公共交通機関としては、鬼怒川温泉から女夫渕行きの日光市営バスに乗り、栗山総合支所前で下車して、停留所から少し先です。車であれば、鬼怒川温泉から川治ダムの方へ向かい、青柳平のバス停の所を右の方へ入っていくとすぐです。又、日光霧降高原の方から霧降高原道路を通り、大笹牧場を経由しても行くことができます。鬼怒川の最上流には、川俣温泉、平家平温泉、女夫渕温泉、更に奥に(女夫渕温泉から徒歩となりますが)八丁ノ湯があり、これらは山奥の静かな情緒ある温泉宿で、更に奥には山小屋日光沢温泉があります。温泉に一泊し、その際に、黒部ダムで一時停止するのも趣があるかも知れません。なお、更に鬼怒川を源流までたどっていくと有名な湿原の鬼怒沼まで歩くことができます。本当に自然豊かな美しい地です。

1) 黒部ダムの歴史

もう少し紹介していきます。栃木県の黒部ダムは、100年前の1912年の完成という日本で4番目に古いコンクリートダムなのです。ちなみに、1番古いのは神戸市の布引五本松ダム(1900年完成)、2番が長崎市の本河内底部ダム(1903年完成)、3番が神戸市の立ヶ畑ダム(1905年完成)です。

誰が、何のために黒部ダムを作ったのかですが、鬼怒川水力電気株式会社であり、小田急の設立時の親会社であり、小田急と合併しているので、小田急電鉄です。鬼怒川水力電気の創設者は利光鶴松氏で、略歴はNet検索すれば大量に見つかりますが、これを参考に上げておきます。ちなみに、利光鶴松氏は東京市街鉄道の役員もしており、東京都交通局の電気事業の歴史にも大正2年のこととして、「鬼怒川水力電気株式会社より受電開始、深川発電所閉鎖。」とあります。

では、鬼怒川水力電気の発電所とは、どこに存在するのかというと、鬼怒川温泉にあり、当時は下瀧発電所と言う名前で、現在は東京電力鬼怒川発電所です。鬼怒川水力電気の下瀧発電所は、戦前の発送電国有化政策により日本発送電に買収され、戦後の9電力体制発足において東京電力の発電所となったのです。

2) どのように発電するのか

黒部ダムのすぐ下流・栗山総合支所の東隣に沈砂池があり、黒部ダムの水はここから逆川ダムによる調整池に約7.5kmまたは約11kmのトンネルを経由して流れていきます。そして、逆川ダムの調整池から恋路沢の上流にある小さな池を通って鬼怒川温泉に所在する鬼怒川水力発電所に有効落差330mで流れ落ちて発電されるのです。水が流れ落ちる水圧鉄管(Penstock)しか見れないのですが、次の写真の中央の茶色パイプが水圧鉄管です。

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何故発電所が見えないのかは、現在では地下(多分地下50mぐらい)に発電所があるからです。鬼怒川水力電気下瀧発電所の当時は、発電所は地上にあったのです。これを1963年に東京電力が大改造を行い、それまで36.5MWであったのを127.0MWへと発電出力を3倍以上にしたのです。そのため、地下発電所として落差を大きくし、また黒部ダムから逆川ダムへ水を流入させるトンネルをもう1本掘削して、2本としたのです。

ちなみに、地形図を見ると黒部ダムから逆川ダムへの水路トンネルが2本あります。理由は、この発電出力増加に見合う水量確保のためで、直線的に延びている水路トンネルが1963年掘削のトンネルで山にそってカーブを描いているのが1912年完成のトンネルです。当時は、機械力をほとんど利用できず、ダイナマイトはあったものの人馬が活躍した工事でした。

1963年の発電所の大改造をあったが、黒部ダムは基本的に同じです。勿論、自然条件が変わっている訳はなく、流量や水量は同じです。落差を大きくした分は確かに発電量の増加にはなっているものの増加量は20%もありません。実は、発電時の水量を大きくしたのです。その結果、水を貯めておくだけの発電しない時間帯が多くしなります。しかし、これは大いに意味があるのです。例えば、太陽光発電を考えると夜間でゼロになり、曇が覆えば出力はたちまち下がる。これをカバーするには、発電出力を容易に調整できる発電機が必要です。また、電気の付加価値はピーク時に高いと考えると、付加価値の高いピーク時に多く発電できる能力を持つことが付加価値の高い設備となります。

なお、そんなに水の使用量を変化させると下流では困ることになるのですが、東京電力は1963年の鬼怒川発電所大改造と同時に鬼怒川発電所の南東5kmにあり、鬼怒川発電所の水が水路トンネルで運ばれていく西古屋ダムと塩谷発電所を建設しているのです。西古屋ダムと塩谷発電所は次の位置です。

なお、逆川ダムへ私は行ったことはないのですが、途中で車を降り、徒歩となるが、ダムには行けるようです。

3) 栗山発電所

黒部ダムのすぐ上流にあるのが次の栗山発電所です。そして、栗山発電所に流れてくる水は土呂部ダムからであり、更に土呂部ダムに流れてくる水はせき止めている土呂部川の水と川俣ダムにある川俣発電所からの発電放流水が地下水路トンネルを通ってやってくる水とがあります。

栗山発電所と土呂部ダムの写真も参考に掲げておきます。

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2013年9月23日 (月)

JR北海道一連の事故発生の真因は?

JR北海道函館線大沼駅構内で貨物の列車脱線事故があった。

日経 9月21日 JR北海道、レール幅基準超え放置 脱線事故現場

5月27日には、JR北海道の石勝線で、スーパーおおぞら14号がトンネル内で火災を発生した事故があり、79名が負傷した。そんなことが頭に浮かぶが、いやはや更に97カ所でレール幅の広がりや高低差他の許容値の放置があると報道され、関係者は認識していたはずと思うと、驚いてしまう。

北海道新聞 9月22日 レール異常放置97カ所 特急走る本線も JR北海道社長が謝罪

1) 大沼駅構内貨物列車脱線の直接原因

日経の記事には「昨年10月の検査で脱線現場のレール幅が20ミリ広がっていた。今年6月の検査で25ミリに拡大。社内規定では19ミリ未満なら許容され、超えると検査から15日以内に補修することになっている。」とある。

即ち、技術基準のコンプラ違反であり、レール幅が基準を逸脱していることは、自動車で言えば、道路が通行危険になっていることと同一であり、異常を放置できないはずである。異常事態を放置した重大なミスである。

レール幅の広がりが何mmになるとレールから外れるのかであるが、レール位置はJRのレール幅(Gauge)1067mmの半分であるので、中心から533.5mmにある。ここがレールの内側であり、レールの外側はレール幅65mmが加わり中心から598.5mmの位置となる。車輪の位置は、中心から560mmにあるので、レールとの相対位置は、内側で26.5mm、外側で38.5mmある。車輪厚は120mm~150mmであり、フランジ厚を40mmとすれば、車輪踏面の幅は80mm以上ある。これだけを考えると、19mm、20mm、25mmの広がりは直ちに線路から外れるような危険ではないように思える。特に、高速走行をしない引き込み線で徐行運転の車両通過に限られる場合は、そう思える。

しかし、事故が発生したことは、事実であり、実走行では振動が加わり、動きは複雑である。それ故、線路幅が19mm以上基準より広がった場合は、発見から15日以内に補修することを決めていたはずである。

2) JR北海道

JR北海道は、国鉄分割民営化により1987年4月に発足した。当初の親会社は、旧国鉄の名称変更後の日本国有鉄道清算事業団であった。この国鉄清算事業団は1998年10月に廃止・解散となりJR北海道の株式は日本鉄道建設公団に引き継がれ、更に日本鉄道建設公団は2003年10月に解散となり、現在の株主である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に引き継がれた。

JR北海道の歴史は、そういう事であるが、最近の業績は次の通りである。

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驚くなかれ、鉄道事業のみで考えた場合(全事業でも、ほとんど変わらないが)、5年間平均で売上100に対して37の営業損失であり、この2013年3月期は売上100に対して43の営業損失であった。運賃や特急料金を50%値上げしないと、会社として存続不可能な状態である。いや、本当はもっと深刻で、有利子負債がほとんど無いのであるが、親会社からの無利子負債が2200億円あり、更に設立時の株主資本(現在の純資産額もほぼ同じ)が8753億円ある。但し、経営安定基金資産が7327億円と親会社の特別債券が2200億円ある。結局は、この基金の収益と債券の受取利息により、売上に対して5%程度の純利益を計上している。取引の結果を正確に財務諸表に表示しており、粉飾決算ではないが、親会社から赤字全額の以上の補填を受けているのが実態である。但し、親会社鉄道建設・運輸施設整備支援機構の財務諸表を見ても、経営安定基金資産の運用については説明がつかない部分が存在することからが、どうであるかの完全な解明は私もできておらず、手の込んだごまかしがなされている可能性はあると思う。

3) JR北海道の体質

2)に書いたように、JR北海道とは政府(税金)により存続している国営企業である。財政的に本格的な新規投資は無理であり、南千歳~釧路間、旭川~名寄間の高速化事業他に伴う鉄道線路や特急車両は、北海道と釧路市他の地方自治体による第三セクターの株式会社である北海道高速鉄道株式会社が保有し、JR北海道に貸付を行っている。

このようなJR北海道の状態とJR北海道の事故多発や許容値放置と関係があるのではないかと言うのが、今回の推理である。即ち、現場の技術者は危険性を認識している。しかし、上層部は金が必要なことを許さない。

事故につながる場合は、技術者の良心が動く。しかし、安全性に問題ありと言えても、安全性には余裕値が盛り込んであることから、1)に書いたような疑問も生じる。内部告発にまで踏み切るには、抵抗がある状態かも知れない。経営者は、社内ルール違反が常態的に生じているような企業状態を絶対に作ってはならない。

しかし、JR北海道では社内ルール違反が常態的であったと、現在の報道では推測される。トンネル内火事も、その結果引き起こされた可能性がある。考えれば、国鉄には、かつて「遵法闘争」なる労働組合のストライキのようなことがあった。ストライキとは、労働組合の団結権の行使として職場放棄をするのである。即ち、労働義務違反である。一方、遵法とはコンプラであり、組合がコンプラすることを雇用者は歓迎こそすれ、対立することはない。「遵法闘争」とは、地球をひっくり返したような理解不可能な言葉である。言ってみれば、それほどまでに、労使対立が激しかったのである。

本来であれば、国鉄民営化で労使対立は消滅するはずであった。しかし、JR北海道では、どうもその名残が残っているのではないかと思う。もし、現場と経営者そして中を取り持つ管理職層のコミュニケーションがあったならば、このようなことは発生しなかったのではないか。これが私の答えであり、このとについて検証をしないと将来に向けての解決が得られないように思う。

4) 国鉄分割民営化

国鉄分割民営化とは、政治家のごまかしであったかもしれないと思う。本当に民営化されたのはJR東日本、JR東海、JR西日本の3社のみでJR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物は鉄道建設・運輸施設整備支援機構が株主であり、国営企業であり、民営化されていない。民営化するにしても、国鉄全体を一つの株式会社とし、その株式を少しずつ市場売却する手法が優れていると私は思っている。単純な姿が、実態を知るには最適である。実態が分かりやすいことにより、問題が発生しても対応策の検討が容易なのである。複雑な組織ほど、手が付けられなくなる。

東京電力の一時国営化の意見も存在する。しかし、国営化には私は反対である。倒産による事業消滅を避けるための政府資金投入は増資であれ、貸し付けであれ、補助金であれ、どのような形態であっても構わないと思うが、採算を確保し、存続性(Sustainability)が重要な場合には、政府全株保有や○○機構を初め、政府特殊法人は避けるべきである。

それからするとJR北海道もJR東日本に売却し、同様にJR四国とJR九州はJR西日本へと、JR貨物はJR東海へと売却するのが現状では妥当なように思える。その上で、政府補助金の額について話をすれば良いのだから。少なくとも、現状のような税金投入額があるにも拘わらず、解明が容易でない状態は避けられる。

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2013年9月 8日 (日)

シリア政府の言い分

シリア大使館の人(ハビブ氏)が9月6日に記者会見を開いてシリア政府の主張を説明したとの報道があります。

Stars and Stripes September 6, 2013 Diplomat asks Japan to not support action in Syria

田中龍作ジャーナル 9月6日 シリア代理大使 「米国につき従ってはいけない」

シリア政府の主張は余り報道されていないが、ハビブ氏は当然”With full confidence I can swear by God that our government did not use chemical weapons and we never used chemical weapons against our people.”と答えています。そして、She said that chemical weapons have been brought across the Syrian border by the rebels. Further, she said that the rebels have adapted chemicals pilfered by them from factories for use as weapons.とハビブ氏は述べており、反政府派やテロリストが国外から化学兵器を持ち込んでいるに違いないとの見解になります。

米国と主張が対立しているが、裁判であれば常に対立しており、対立しているから裁判をしているのです。簡単なことで、米国とシリアが裁判のような形で争えば済むことのはずと思うのです。世界一の武力を持てば、何でも自分の意のままに操りたくなるのだろうかと思ってしまいます。そのあげくの果てが、第2、第3の9.11へと続くのだろうかと心配になります。

田中龍作ジャーナルの写真の下の説明メッセージに「日本のメディアは少なく、外国人記者が目立った。」とあり、検索してもシリア大使館の記者会見に関する記事は日本の大手マスコミでは見あたらず残念に思いました。

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2013年9月 5日 (木)

最高裁の相続に関する決定

最高裁が9月4日に嫡出でない子の法定相続分も嫡出である子の相続分と同一であると判断して、東京高裁の原判決を破棄し、差し戻す決定を出した。

日経 9月4日 婚外子相続差別は「違憲」 最高裁決定、民法改正へ

決定文は、3人の裁判官の補足意見もあり、全部で20ページと長いのですが、ここにあります。報道されている内容より、深い内容であり、興味のある方には読むことをお勧めします。

1) 民法は世の移り変わりにより変化する

民法とは社会規範なので、世が変われば、異なってくる。仇討ちは、現代において認められない。当然のことなのである。最高裁の決定文に「児童の権利に関する条約(条約文はここにあり。)」には児童が出生によっていかなる差別も受けない旨の規定があることを述べている。本来であれば、その当時から立法機関である国会と議員は民法改正をはかるべきであったと私は考える。なお、最高裁決定文には更に早い時期の問題意識として、1979年に法制審議会民法部会身分法小委員会の審議に基づくものとして公表された「相続に関する民法改正要綱試案」において嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を平等とする旨の案が示されたことの記述がある。

法は、子どもの権利を確保し、保護すべきである。

2) 紛争への遡及適用

今回の最高裁決定があつかった案件は、2001年7月に相続が開始された。即ち、父親が2001年7月に死亡し、その父親が婚姻していた母親との間に生まれた子との間で遺産相続について争っていた。そこで、2001年7月以降に死亡した父親が嫡出でない子を持っていた場合、その全ての遺産相続について、嫡出でない子に現在の民法900条4号の2分の1が適用されるのか、あるいは今回の最高裁決定が影響を及ぼすのかの問題がある。即ち、民法900条4号の当該部分は、違憲であると判断し、その判断をした相続は2001年7月開始の相続であるからである。

そこで、今回の最高裁決定は、「嫡出でない子を2分の1とする民法規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。」と述べている。

争いが続いている場合には、今回の最高裁決定により決着できる。しかし、多くの場合は、今更もどすことはできない。民法の適用とは、そうせざるを得ないのだと感じた。

3) 嫡出である子は不利になったのか

嫡出である子も嫡出でない子も相続分について同じ権利になったのであり、嫡出である子が不利になったのではない。即ち、子どもが3人にて、うち1人が嫡出でない子であった場合、2分の1は妻に相続分があり、子どもは全員6分の1である。この妻が死亡した場合は、妻の子どもは2人であり、2分の1は4分の1ずつ2人の子どもの相続となる。

遺言も関係するので、遺言により配偶者と子どもの相続財産額を決めることも可能である。

4) 影響

政府は民法改正案を早期に提出せざるを得ないと考える。一方、どうなのだろうか?男は、妻でない相手との間に子供が生まれた場合、なかなか認知しようとせず、認知をしようとしすると妻に直ちに離婚されるとして、逃げ通すことが多くなるのだろうか?即ち、純粋シングルマザーが増加する。

そんなことになるかも知れない。でも、それでよいのだと思う。女が強くなる世界が、これからの世界なのだと思う。

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2013年9月 1日 (日)

シリアを軍事攻撃すべきではない

この日経ニュース9月1日 米大統領、仏大統領にシリア軍事介入決断伝える は、オバマ米大統領が米国のシリアへの軍事介入を決断し、仏オランド大統領に電話したと報道している。

理由は、米国の調査によればシリア政府軍の毒ガス使用が判明した事である。(日経 8月31日 米大統領、シリア限定攻撃を検討 報告書で化学兵器使用を断定

なお、シリア政府軍が毒ガスを使用したかどうかは、現状不明である。国連調査団はシリアで採取したサンプルを持ち帰り、31日にオランダに到着したのであるが、国連はその調査結果を未だ発表していない。

UN News 31 August 2013 Syria: Ban briefed by UN disarmament chief on latest developments - UN spokesperson

そこで、私の「シリアを軍事攻撃すべきではない」であるが、例えシリア政府軍の毒ガス使用が確実になった場合でも、軍事攻撃はすべきではないとの意味である。

米国による軍事攻撃とは、地中海の米軍艦からのトマホーク・ミサイルの攻撃である。そんなことをして、シリアで多くの人が死ぬ。戦争で犠牲になるのは、民衆である。おそらく軍事攻撃をしたならば、20年-30年の間、シリアの人々は言い表せないほどの苦しみに入ることになるだろうと思う。バッシャール・アサド大統領が失脚し、アサド政権が倒されるだろうか?そんな可能性は低いと思う。一方、むしろアサド政権が倒れたならば、その後の政治こそ、極度の混乱となる可能性さえあるのがシリアである。

米ブッシュ・ジュニアのイラク戦争が終わってから10年以上を経過したイラクでは、どうなったかを知って欲しい。考えて欲しい。戦争の以前と以後での違いは、サダム・フセインがいなくなったことであるが、治安は明らかに悪くなり、物騒になった。テロ攻撃が日常生活の中であるかも知れないと、死の恐怖の中で暮らしていくことの恐ろしさを考えて欲しい。貧しくても、平和があり、食料がある方が、死の恐怖があるより、よほど良い。では、イラクでは貧困がなくなったかと言えば、違う。分け前にありついたのは、イラク国外も含め石油の恩恵を受けることができる一部の人達だけである。

余りにも複雑なのがシリアである。イスラエル・パレスチナ問題をもシリアに関係している。反体制勢力との戦闘に従事しているのは、政府軍のみならずヒズボラもそうである。ここに末近浩太氏が8月28日付で書いておられる「シリア「内戦」の見取り図」との文書がある。シリアの問題について、よく書いておられるので、一読をおすすめします。

なお、「シリアを軍事攻撃するべきではない」と言って、どうするかであるが、軍事力を使わずして毒ガス使用を中止させれば良いだけの事である。シリア政府は、国連の調査団を受け入れているのであり、今後とも受け入れるはずである。毒ガスを使用したのは、反体制武装勢力の可能性がある。あるいは、双方かも知れない。シリア問題の解決は容易ではないが、だからといって軍事行動が許されるわけではない。国連による当事者の合意による監視体制を整備することが、本筋であり、忘れてはならない。

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