« 東京新聞社説 「米政府機能停止 国より党利優先とは」 | トップページ | マララ・ユスフザイさんがノーベル賞の候補 »

2013年10月 7日 (月)

正しくは、消費税が6.3%に、地方消費税が1.7%になる

合計すれば、8%であり、ことさら消費税6.3%と地方消費税1.7%に分割する必要性は、納税者としてあまり関係ないかも知れません。しかし、納税者は、単に納税を気にするだけではなく、税金の使途を知り、無駄・無意味・不必要な支出がないかを気にし、支出の合理性や支出の効果を検証することも重要であると考えます。今回は、8%を消費税が6.3%と地方消費税1.7%に分解した場合のことです。

1) 税収増

税収増の表を作ってみました。(表の下の方は、平成27年度と平成28年度についても参考に書いています。平成27年10月から消費税率が合計10%になる予定で、そうなった場合です。)

Shouhizei201310

消費税が5%から8%になると税収としては政府と地方自治体(都道府県と市町村)の合計で13.3兆円から21.2兆円へと7.9兆円の税収増となる。地方交付税も考慮した支出可能な純額税収では、政府が7.5兆円から13.0兆円へと5.5兆円の増加であり、地方は5.8兆円から8.2兆円と2.4兆円の増加である.

2) 地方消費税は複雑怪奇

ほとんどの人は、地方消費税について、ほとんど気にしていないと思います。事業者が地方消費税を納付する場合でも、納付は消費税の申告用紙の下の方が地方消費税の申告になっており、納付は税務署に対して消費税と地方消費税の合計で納付することになるから一般の人にはほとんど無関係の状態です。

税務署に納付された地方消費税は、政府(私も、財務省・国税庁か総務省か分かっていないが)が、統計資料により都道府県の小売年間販売額等を基準に都道府県に割り振りを行っています。そして、今度は都道府県が、各県の地方消費税の半分を市町村に分配します。分配の基準は、各市町村の人口と各市町村の事業所の従業者数の合計で按分して分配しています。

8%になると更に複雑になるのです。各市町村の地方消費税は、従来の5%時代の市町村分0.50%相当額と8%へと増税された市町村取り分0.35%相当額は、配分方法がことなることになったのです。従来分は、従来通り、人口と従業者数の合計按分で、増税0.35%は全額人口のみで按分となったからです。理由は、人口比例の方が、社会保障のみに支出することと整合性があるという考え方です。

しかし、都道府県への分配は人口比例ではなく、各県の消費支出額比例に近いのです。理由は、消費税だからと言うこと。この各県分を人口で割り振っても、そもそも各県の金額が、そうなっていないのだから、日本全国一律とは行かない。

そもそも、地方消費税に無理があるのです。車を例に考えると、組み立て工場や部品工場は各地にあり、例えば、電力も消費しているし、鉄板は製鉄所が、輸送は・・・とある訳で、各県別に付加価値額を分割し、分けることは、容易ではありません。

地方消費税とは、地方のエゴが生み出した結果ではないかと思います。

3) 消費税も地方消費税も社会保障給付目的というが

2002年8月22日公布の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」及び同日公布の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律」により消費税6.3%と地方消費税1.7%の合計8%が定められた。

消費税については、第1条に次の条文が追加された。

消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。

地方消費税については、第72条の116として次の条文が追加された。

道府県は、前条第二項に規定する合計額から同項の規定により当該道府県内の市町村に交付した額を控除した額に相当する額を、消費税法第一条第二項に規定する経費その他社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策をいう。次項において同じ。)に要する経費に充てるものとする。

2 市町村は、前条第二項の規定により道府県から交付を受けた額に相当する額を、消費税法第一条第二項に規定する経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとする。

政府(国)分の消費税については、明白に地方交付税が別扱いとなっており、全額社会保障給付ではない。

都道府県と市町村分については、実はくせ者である。前条第二項と引用しているが、この部分は「合算額の十七分の七に相当する額」と定めている部分であり、8%への改正による増税分である。即ち、これまでの税収を、都道府県や市町村は社会保障給付に支出する義務はないのである。

4) 雑感

基本的には、社会保障制度を都道府県や市町村に分担させることがよくないと考える。政府が業務を都道府県や市町村に委託し、事務経費を支払うのが合理的と考える。これを日本の制度にすると決めたなら、その制度維持の費用は地方税ではなく政府の税金でまかなうべきである。

消費税を社会保障給付を含む社会福祉目的にするなら、都道府県や市町村に税収を渡すべきではない。当然、地方交付金の財源にもすべきでもないと言うのが、私の考えです。それ以外の税金や利用料その他の地方独自の財源で地方独自の取り組みをするのは、地方自治として正しいことと思います。しかし、現状は、政府は国であり偉いのだとの面があり、一方で中央政府の負担があるから地方自治体も仕事ができている面はあるが、ガンジリガラメで実質何もできないという面もあると思う。

ところで、消費税率8%の結果は、支出が直ちに増加する訳ではないので、都道府県と市町村にも恩恵が行くと考える。地方自治体の来年度予算は、どうなるのか、注目をしてみてもよいと考えるが、どうだろうか。

|

« 東京新聞社説 「米政府機能停止 国より党利優先とは」 | トップページ | マララ・ユスフザイさんがノーベル賞の候補 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 正しくは、消費税が6.3%に、地方消費税が1.7%になる:

« 東京新聞社説 「米政府機能停止 国より党利優先とは」 | トップページ | マララ・ユスフザイさんがノーベル賞の候補 »