不正確で嫌な思いをさせるNHKクローズアップ現代
9月30日のNHKクローズアップ現代「親子とは何か?家族とは何か?今月、最高裁で“家族のあり方”に一石を投じる決定が出された。婚外子の相続差別に対する違憲判断と波紋。現代の家族と法制度を考える。」を見てしまったのですが、嫌な気持ちになりました。
最近、次のブログを書いたことからです。
9月5日 最高裁の相続に関する決定
9月28日 最高裁出生届判決と夫婦別姓
1) 9月5日最高裁決定
私の言いたいことは、最高裁の決定文や判決文に書かれている。私は、最高裁の判断を支持しています。
NHKは最高裁の考え方を曲げて伝えようとしているのではと感じ、怒りに近い感情を持ちました。例えば、「婚外子」は「嫡出でない子」であるとの伝え方である。「認知」については、伝えていなかったと記憶する。
民法772条の「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」が大前提であり、法律上の婚姻関係にある男女の間に出生した子を嫡出子と呼ぶのである。「嫡出でない子」でも母親から生まれてくるのであり、母と子の間は生まれた時から、親子である。しかし、父親との間は父親が認知するか、あるいは裁判等で父親を決定して認知されて親子関係が成立する。
実態を知らないのであるが、父親により認知されていない母親しかいない子が、多いのではないかと思うのである。親子関係存在の訴えを起こすことは可能であるが、その証拠を示す必要があるであろうし、あんな父親を自分の子どもの父親にはしたくないと思っている母親もいると思う。
9月4日の最高裁決定は認知をした子についての相続分に関する裁判についての高裁への差し戻し決定であった。(認知をしたからこそ「嫡出でない子」であり、認知がされていなかったら「子」とは呼べない。)
2) 未婚のシングルマザーの子育て不利益
少子化社会から脱却するには、シングルマザーに対する政府支援の拡大が必要と考える。NHKが述べたのは、所得税法の寡婦(夫)控除である。寡婦(夫)控除は、所得控除前の所得が500万円以下であれば35万円で以上であれば27万円である。しかし、これは税額ではなく、税金額を計算する際の控除なので、低くなる税額は、年間10万円にもならない人がほとんどであり、しかも2万円にもならない人も多いのではと思う。
むしろ地方自治体によっては、保育料を寡婦(夫)については低い料金の適用を定めており、その結果、一人親で子育てをしていても離婚歴があるとないとで、料金が異なり、月3万円違えば年間で36万円であり、支援を検討して欲しいというシングルマザーの要望であると思う。NHKから、具体的内容についての説明はなかったと思う。寡婦(夫)控除を強調していたと思う。単にそんな事につきず、おおきな社会的なバックグラウンドがある事項だと思う。
3) DNA鑑定
私はNHKのこの番組で知ったが、大阪で婚姻関係にある妻が他人の精子により産んだ子を婚姻関係にある夫婦の子として出生届として出したら、市役所の住民課で拒否され、更に家裁でも認められなかった。理由は、夫が女性からの性転換であり、そのことが戸籍に記載されていたからとのこと。
私なんかは民法772条の「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」により、法律上の婚姻関係にある妻が懐胎した子は夫の子であることに疑いを持たなかったのであるが。勿論、子は大きくなり、親の戸籍を見た時に父は実の父ではないと知るがそれでよいと思う。ところで、その結果、この夫妻は、どうしたのだろうか?高裁で争っているのか、あるいは特別養子縁組をすることにより解決したのか、そのことについてNHKは触れなかった。家裁が特別養子縁組を勧めた可能性があると思う。
むしろNHKが触れていたのは、他の婚姻関係にある妻が他人の精子で子を持った場合に、夫婦の子としない可能性の警告であった。
夫は、民法774条により嫡出の否認をすることはできる。しかし、一方で、現民法の考え方には、子が成人になるまでの親権としての親の権利と義務についての考え方がある。子を認知する事は、親権者の義務を負うことでもある。
9月26日に最高裁で住民票記載義務付け等請求事件で問われたのは、生前に認知をしている父とその子を産んだ母の名前を記載した出生届を提出したにも拘わらず、区役所が受領せずとして8年近くもその子を住民票も戸籍も存在しない状態にして許されるのかであった。そんな不受理の状態を起こしたのは区役所の対応のみならず政府や国会にも責任はあるが。
私は、あるべき姿を思い浮かべて、民法を読んでしまうのかな?法の以前に、自分が描く理想があるはずと考える。もし、その理想に法があっていないなら、改正する必要があるのだが。
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