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2013年11月18日 (月)

消費税を払わない方法

勿論、合法的に消費税を払わないで済む方法です。

そんな方法があるのかと言うと、物品ではなく、形のないモノです。つまり消費税は、消費税法第4条において、次のように定められています。

第四条  国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。
 保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。
   一  資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
   二  役務の提供である場合 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が運輸、通信その他国内及び国内以外の地域にわたつて行われるものである場合その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
4、5、6 ---省略---
  

資産には役務(サービス)も含まれ、消費税は事業者が行う資産の譲渡をした場合、消費税(及び地方消費税)が課せられ、事業者は消費税の申告書を提出し、消費税を納付する義務がある。但し、第1項のとおり、その譲渡が国内で行われた場合であり、国外での譲渡は課税対象外です。輸入品の場合は、第2項に従い税関に対して輸入品の引き取りの都度、消費税を納付することとなる。

サービス(役務)の場合、国外で行われた場合は、明白であるが、日本から外国に対して提供した場合と外国から日本人又は日本企業に提供された場合は、少し複雑となる。4条3項二号のように、政令(消費税施行令)を読む必要がある。結論は、日本から外国に対する提供の場合は、日本国内で行われたとされるが、一方で輸出免税となり、実質消費税は課せられないし、その取引に係わる仕入れの際の消費税も他の取引分の納付税額から控除できる。外国から提供を受けた場合は、外国(国外)が提供地となり、消費税の対象外となる。

これを使って、外国に子会社を作り、日本からそこに輸出する。そして、再度輸入する。この場合、対象物が物品であれば、税関で消費税を支払うこととなるが、サービス(役務)であれば、税関を通らないので、消費税は課せられない。但し、事業者がこれをしても、そのサービスの販売時に消費税が課せられ、一方で仕入れには消費税が含まれていないので、仕入れ税額の控除ができない。即ち、意味がないのである。

しかし、輸入者が個人であれば、事業者ではないので、消費税は支払わずに済む。そんな場合が具体的にあるのかと言うと、実は存在する。ネットで音楽、動画、本等をダウンロードした場合である。クレジットカードが一般化し、ネットもほとんど誰もが使い、しかもスマホの時代である。現状では、国内の会社がネットでソフトを販売すれば、消費税対象であり、外国の会社がネットで販売すれば消費税は対象外となっている。

これを使えば、外国に子会社を設立し、その子会社から日本向けにソフトを販売すれば、消費税を払わなくても済むのである。自社が音楽、動画、本あるいはPCソフト、スマホ・アプリ等に係わる販売権のような権利を保有していなくては、著作権違反等別の問題が発生する。単純に消費税だけの話です。言わば、1988年の消費税法制定時には、考えられなかったことが発生しており、法改正は未だ追いついていない状態です。

但し、そんなにうまく行くかと言えば、外国に子会社か提携先を作らねばならず、そのための経費が発生する。それと、政府の税制調査会において取り上げられている問題であり、法律改正までするのか、施行令の改正で終わらせるのか、判断がつかないが、近いうちに是正されるはずである。

現実の問題としては、日本の外国子会社でなくとも、外国企業であれば、この恩恵を受けられる。そうなると、例えば楽天のPCダウンロードは、外国企業より5%ハンディキャップを負っていることとなる。大きいです。ちなみに、アマゾンはと言うと、紙の書籍は消費税が課税されている。しかし、PCダウンロードは、よく分からないが、課税されていない可能性がある。もし、そうだとすると、書籍をPCダウンロードで購入すると、消費税を逃れることができる可能性がある。本当に、そうかどうか分かりません。もし、そうだとすれば、キンドル他、ネットやスマホによる購読サービスが、どう扱われるのか、現状では、国外と国内の差があり、しかも消費税率アップにより拡大するという状態にある。

2013年11月14日税制調査会国際課税ディスカッショングループの資料(ここ)にあるように討議されており、2014年4月から扱いが変わるのかと思ったが、10月24日の記者会見議事録(これ)を読むと、「この場で答えられるような問題ではない」との田辺座長の回答であり、よく分からない状態です。

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コメント

おじゃまします。こちらの記事を転載たまわりますようにお願いします。

投稿: 世話好き母さんのブログ | 2013年12月21日 (土) 07時33分

世話好き母さんのブログ の方へ 

転載いただいて構いません。その際は、出典についても記入いただき、今後もし私のブログで転載を希望する記事があれば、ブログのコメントとして書くなり、このブログのプロフィールにあるメールアドレスにメールを入れるなりしてその旨連絡ください。

結局この消費税の国際取引問題については、与党の税制大綱には盛り込まれず、2014年3月の税制改正では現状のままとなる見通しです。

投稿: ある経営コンサルタント | 2013年12月21日 (土) 18時05分

ある経営コンサルタントさまへ
 ありがとうございました。国際取引問題のご説明、理解できました。

 消費税と言うと自分が払うことばかりで他のつながりを考え、勉強する態度ができていませんが。

 戻し税のことはだいたいわかりました。こちらは堤未果さんの動画で知りました。

 でも、もう一つわからないことがあります。それはメディアへは適用されないとは本当かどうかということです。

投稿: 世話好き母さんのブログ | 2013年12月23日 (月) 06時44分

世話好き母さんのブログ さん

ご質問に、お答えします。

1)メディアとは、放送や新聞・雑誌のことと考えますが、通常の課税取引です。消費税法は、法の別表第一に掲げた物品とサービスを非課税対象とするが、それら以外はすべて課税取引としているからです。
2)民間放送では、視聴者から収入を得ていないので、ゼロにいくらパーセント掛けてもゼロですが、広告収入は当然課税対象です。一方、広告主にとっては、世話好き母さんが「戻し税」と表現された仕入れに係わる消費税として処理されるので、実質負担ゼロです。
これは、新聞でも同様で、新聞の広告も同じ扱いです。
3)余談ですが、来年度の医療保険の診療報酬0.1%アップのニュースがあります。保険適用の診療は、消費税法の別表第一に書かれているので、消費税対象外です。しかし、病院や診療所にとっては、仕入れ(製薬、医療機器、建物、修理等)はすべて、消費税対象です。消費税ゼロはあくまで、保険が対象となる取引なので、仕入れという行為は、別表第一に含まれません。即ち、消費税アップは病院と診療所の負担増です。人件費は消費税の対象となるので、報酬全額に対する3%の負担増ではありませんが、診療報酬0.1%アップには消費税8%対応も含まれています。
4)余談の余談ですが、公共工事も消費税対象です。従い、消費税アップ分は公共工事の予算は増加します。3)で医療費を書きましたが、その結果は、当然保険料にも反映されていくでしょう。

投稿: ある経営コンサルタント | 2013年12月23日 (月) 12時37分

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