« 生活保護法の一部を改正する法律が公布された | トップページ | 年末年始の株価予測? »

2013年12月13日 (金)

自民・公明の税制大綱の消費税軽減税率

自民、公明両党は、2014年度与党税制改正大綱を正式に12日に決定した。その中で、消費税の軽減税率は注目を集めている一つの事項である。

日経 12月12日 自公、14年度与党税制大綱決定 軽減税率導入、実施年月明示せず

その消費税軽減税率に関する記述は次の通りであり、与党税制改正大綱の6ページに記載がある。(自民党WebのDownloadページはここ

(4)軽減税率
消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。
このため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成26年12月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定する。

消費税の複数税率について、経団連他は11月20日にはこの意見のように複数税率制度は導入せず、単一税率を維持すべきであると述べていた。しかるに、与党税制改正大綱が出ると経団連会長コメントはこれ(12月12日)のように「財源の確保、対象品目の厳格な絞り込み、事務負担軽減に係る十分な配慮、導入時期などに関し、さらに慎重に検討すべきである」となり、トーンダウンし、法人実効税率のさらなる引き下げが欲しいとの態度になってしまったように思う。

私の意見は、インボイス制に移行するなら、複数税率も賛成するが、そうでなければ反対である。理由は次の通り。

1) 軽減税率の低所得者への恩恵は少ない

多くの人が述べており、あまり述べる必要なないと考えるが、食料品を軽減税率の対象にするとしても、切り詰めて生活をしている人は、食料品の支出金額も少ないのである。

2) 給付付き税額控除や福祉年金を低所得者対策として活用すべき

本当に支援するなら、所得税で低所得者を対象とした減税を実施するか、減税額が税額に達していない人には差額の給付をするか、非課税世帯には福祉年金として給付を実施するのが消費税の逆進性対策としては効果的と考える。

実は、消費税が8%である1年半の期間については、住民税非課税世帯に対し、一人1万円を1回、支給することが10月1日の閣議で閣議決定となっているのです。この閣議決定はこの財務省のWebからDownloadできます。そして、この秋田市の案内「消費税率の引き上げや地方消費税の導入などに伴い 臨時福祉特別給付金が支給されます」のように多くの市町村ですでに案内を出しています。

国民と企業の番号制が導入されれば、給付金の二重払いや支給漏れを防ぎ、確実に制度が運用できる訳で、給付付き税額控除や福祉年金を優先して検討すべきです。与党税制改正大綱は、軽減税率を税率10%時に導入すると書いており、8%時から後退しており、考え方がおかしいのである。

消費税や付加価値税がない米国でも勤労者に対する給付付き税額控除が存在する。勤労者給付付き税額控除とは、働いていることが条件ですが、給付付き税額控除を働けば、受けることができる。日本のあるべき税制を考えずして、やたらと見せかけの人気取りに政治家が走ることに嫌悪感を覚えます。

3) 複数税率を導入するならインボイス制に以降すべき

インボイス制では、事務作業が煩雑になる。即ち、仕入れ税額控除を受けるには課税事業者のインボイスが必要となるからです。一方、インボイス制であれば、売りサイドも仕入れ再度もインボイスに記載されている消費税の合計金額であり、不正がなくなります。消費税の税務申告に際して消費税インボイスを添付することとすれば完璧です。そして、これは、もう一つ効果があります。法人税や個人事業者の法人税や所得税の課税所得金額把握につながるからです。ヨーロッパで、何故インボイス制の付加価値税が多いのか、私は、所得の把握手段、脱税防止に役に立つとの考えが背景にあると思っています。そもそも、国境を越えた取引が多く、また国境をなくした国際取引を拡大し、ヨーロッパ全体を含めた産業成長を目指すことが大前提にあります。国境通過の自由と仕入れ税額の控除には、インボイスを必要とすることについて、私は関連性があると思います。

インボイス制を導入せずに複数税率を導入すると、軽減税率で仕入れた物品を普通税率で高く仕入れたとして差額脱税が増加すると思います。簡単に税務調査ができればよいのですが、そう簡単ではないと思います。正直者が馬鹿を見る制度は作るべきではありません。又、取り締まりが困難な制度も作るべきではありません。

もう一つの問題として、農業を例として考えます。現在年間1千万までは非課税です。おそらく、多くの農家は非課税と思います。(兼業農家でも給与所得は事業ではないのでカウントしない。)この人達は、売上収入が軽減税率の見合いとなり、減少します。しかし、農業機械や肥料は税率アップで支出増です。

なお、実際に紙のインボイスではなく、電子状態で発行し、電子状態で税務申告する制度を採用することが考えられる。個人と企業のすべてに番号が与えられる番号制度が始まれば、可能と思います。従い、税率10%時に導入するのではなく、番号制度移行時に導入するであれば賛成です。この場合は、住宅の貸し付けや医療保険制度適用の医療費も非課税ではなく税率ゼロにすればよいのです。

|

« 生活保護法の一部を改正する法律が公布された | トップページ | 年末年始の株価予測? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 自民・公明の税制大綱の消費税軽減税率:

« 生活保護法の一部を改正する法律が公布された | トップページ | 年末年始の株価予測? »