« これからの日本の対応 | トップページ | 原発問題には技術者からの安全性等の説明が欲しい »

2014年1月14日 (火)

原発問題は真摯な取り組みを望む

様々なニュースからすると、都知事選では原発に対する主張を全面に掲げての選挙活動が実施される可能性も感じる。知事選挙の政策論点になりうるのかとの疑問があると同時に、そもそも選挙の政策として争われるべき事項でもないと考える。

1) 技術的事項を正面から捉えるべきである

福島第一原発の事故は何であったのだろうかと思う。原発とは2大政党あるいは政党間の足の引っ張り合いのおもちゃではない。エネルギー資源であるとと同時に危険性も孕んだ慎重に取り扱うべき技術である。

政権交代があったとしても変化してはならない基本政策が存在すると考える。年金制度や医療保険制度もそうであるし、教育方針にしても、政権与党の政策より、国民の教育方針が決定すべきである。原子力・原発にしても、重要政策であるが故に、政権与党や国会議員の意見より国民の意見が重視されるべきである。

原発に対する国民の意見とは何であるか、現状では判りつらい。不透明であるが故に、政治家がリーダーシップと称して自己の都合の良い方向に誘導しようとするのかどうか、そう思えてしまうことも多い。知りたいことが、高い信頼性のある情報として得にくい。原子力は確かに複雑で難しいことも多いが、それ故に、分かりやすい解説を望むのである。しかし、残念ながらマスコミ報道は矛盾が多いと感じるし、深い分析や情報はない。政府発表は、政府の都合の良いことを中心に伝えているはずであり、そうならざるを得ないと思う。政府予算の関係で研究費を得ている学者・研究者は御用学者となってしまう面がある。本来は、政府とは独立した民間原発シンクタンクが、独自に様々な論文をWebで発表し、それらの論文を読んで正しい判断が下せるようになりたい。政党は、政党助成金の一部でも、寄付をして、そのような団体を作る意志はないのだろうか。

疑問に思うことの例として、何故現在日本では原発は稼働していないのか、危険であるのか、よく分からない。3.11以降も以前も全く同じ設備で同じ運転員であるから、差があるとは思えない。もし、福島事故の後に基準を変更し、安全性を飛躍的に高めたのであるなら、日本のみの対応ではなく、世界に向けて、新安全基準の適用を働きかけるべきである。

2) 原発は停止していても安全とは限らない

原発は停止していても核燃料が装荷されているか、燃料プールに一時保管されているだけであり、また原子炉内には放射性物質が大量に存在する。福島第一原発の事故とは、放射性物質の飛散であったのであり、今でも、その対応に追われている。

運転している場合のリスクと停止している場合のリスク、あるいは個別原発のリスクを項目とリスク度合いについて評価して報告書を提出してくれればと思う。

例を述べると、福島第一原発は事故当時1、2、3号機が運転中であった。1、2、4号機の原子炉建屋が水素爆発を起こした。5、6号機は大丈夫であった。5、6号機が大丈夫であった原因は何故なのか?5、6号機の地面高(Ground Level)は海面上12-13mあり、1、2、3、4号機の10mより高い。その結果、津波の被害が少なかったのか、どうなのだろうか?もし、同じ10mなら、重大な事故を起こした可能性はあるのだろうか。もし、事故を起こした可能性があるなら、原発の停止と安全性は別次元として扱うべきでと思う。

現在福島第一原発は汚染水対策を初め様々な工事で大変であると思う。一方で、事故の調査は将来の原発の安全性確保には、重要である。仮に、日本で直ちに原発を廃止しても、放射性廃棄物は今後何千年という単位で日本に残るのであり、完全に大丈夫となるには、何十万年以上もかかると思うのである。

3) リスク程度が変わらぬなら原発運転して対策費に充当すべきではないか

原発の大変さは、何もしなくても多大なコストが発生することであり、逆に運転しもコストはほとんど増加しない。このことから、操業度を上げた架空計算をすれば、安い電力が生まれてくる。麻薬の発電所である。コストが増えずに電力が生まれることは、○○丸儲けみたいな話である。リスクが変わらないなら、丸儲け部分を原発対策費として将来に備え、また福島原発関係の補償費や廃炉、そして将来の使用済み核燃料を含む高濃度放射性廃棄物の廃棄費用として積み立てておくべきである。

ところで、そのような事が、現状の一般電気事業者9電力会社で対応可能かと言えば、不可能に近いと思う。何故なら、電気事業により利益を追求せざるを得ない会社であるからである。ならば、原発を全て国有化すべきかと言えば、NOである。最大の理由は、特定機密法である。休止中の原発でさえテロリスクが存在する。そんな設備を政府が管理すれば、情報開示がなされず、今以上の恐ろしいことになると思う。

4) 都知事選で脱原発をうったえるなら

候補者が何を政策として述べようと自由である。脱原発も結構である。しかし、その場合は、省エネ、節エネ、説電力の政策を同時に打ち出すべきである。東京オリンピックは、徹底した電力節約で、新規投資は極力抑える。新国立競技場の投資は最低限度とする。深夜バスは中止する。中央リニアは、当然反対する。

極端過ぎると思うが、東京がエネルギー多消費の地域であり、原発については、沖縄にとっての基地のように、自分の地域に存在するのではなく、他地域に存在する原発・火力・水力で発電された電気を消費しているのである。ならば、政策としては、消費関連の政策を述べるのがふさわしいと思う。

|

« これからの日本の対応 | トップページ | 原発問題には技術者からの安全性等の説明が欲しい »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 原発問題は真摯な取り組みを望む:

« これからの日本の対応 | トップページ | 原発問題には技術者からの安全性等の説明が欲しい »