カネボウ化粧品の美白化粧品問題
株式会社カネボウ化粧品の全株を保有する親会社である花王株式会社は、前会計年度から12月決算に変更したことから、2013年1月から12月までの決算についての決算短信を2月4日に発表した。
花王の2013年12月期の決算短信発表のニュースリリースはここ にある。
その結果は、連結売上高1兆3152億円、当期純利益648億円であり、前期のそれぞれ1兆0126億円、528億円と比べて増収増益であるが、前期は9月間であるため、単純に前期の数字を9で割り12を掛けた数字で比較すると、連結売上高は349億円の減少で当期純利益は56億円の減少と、少額の減収減益となる。
なお、カネボウ化粧品が美白化粧品の自主回収を発表したのが、2013年7月4日のこのお知らせ である。従い、美白化粧品関連の業績への影響は、2013年12月期に凝縮されている。化粧品自主回収関係の損失としては97億円が特別損失に計上されており、決算短信18ページにもその旨が記載されている。
ところで、このNHKニュース は花王の損失を121億円と報じており、24億円損失が決算短信より大きい。私の決算短信の読み方が悪いのか、花王が複雑な決算発表を行っているために、そのような誤解を生んでいるのか、よく分からない。不可思議に思った。
更に不可思議なニュースが次の朝日新聞の報道である。
朝日 2月5日 カネボウ「賠償責任生じない」 白斑被害訴訟で主張へ
勿論、朝日の報道を否定するつもりはない。97億円の特別損失は、化粧品自主回収関連であり、被害者救済や補償のための費用は含まれておらず、花王・カネボウ化粧品は被害者救済や補償についての民事責任を有さず、費用や損失発生はなく引当金も不要と考えているのかも知れないからである。
どうなのだろうか?花王やカネボウ化粧品のWebを見ても、再発防止に取り組むとは明記されているが、被害者救済や補償に関しての明確な記載は見つけることができなかった。花王は連結純資産額が6426億円ある。被害者救済や補償については、どうするのだろうか?提起された訴訟に対して賠償責任はないと、頑張ることは、可能である。しかし、対応を誤ると、消費者離れが起きないかと心配になる。そして、子会社カネボウ化粧品の責任であり、親会社花王は関係ないと逃げることは、消費者離れを加速すると思う。そして、おそらく「肌を美しく白くする」との謳い文句を消費者からすれば、花王・カネボウ化粧品であるから問題視せず信頼して使用を継続した消費者も多いと思うのである。
今後どのような展開となるのか注目してみたいと思う。
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コメント
短信の添付資料の2ページに、返品に伴う売上げ総利益の減少が24億円、その他特別損失97億円、合計で121億円と開示されているようです。
投稿: ぴて | 2014年2月 8日 (土) 01時00分
ぴて 様
決算短信の説明の2ページに自主回収分で売上げ総利益の減少が24億円、その他特別損失97億円、合計で121億円と説明がありました。
ご指摘ありがとうございます。
投稿: ある経営コンサルタント | 2014年2月 8日 (土) 02時08分